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産業教室 津波被害農作物の手入れ 早く排水し塩分薄める 植え替え用の苗も準備

二十四日早朝から押し
寄せた津波は、県南の
海岸線二百数十メートルの田
畑に冠水、田植え直後
の早期水槽、または収
穫期を迎えた麦などに大きい被害を与えた。そこで県農務部、
県農業試験場、専売公社徳島地方局などで、おもな被害農作
物の対策や手入れについて聞いてみた。

(水)(稲)
最も被害を受けたのは
阿南市と海部郡南部の
海岸沿いで、早期水稲の本だ百十
ヘクタール程度に冠水。水稲が塩分により
被害を表すのは、〇・三%から
で、〇・八%以上では稲の成育は
できなくなる。海水の塩分濃度
は二・五〜三%のため、この海水
が水稲の本
田、または
苗代に流れ
込めば、根
の機能はこ
わされる。
さらに茶葉
が冠水する
と、稲は枯
れ始め、一
昼夜も冠水
すれば全滅
する。
 このため
 軽く海水
 が入った
 本田では
 至急排水
 につと
 め、同時
 に淡水の
 入れ流し
を繰り返し、土中に残る塩分を
洗い流すことが大切である。ま
た塩分を早く流すには、十分淡
水を入れて、除草機(コロ)を
通し、表土をかくはんしてから
落水する。この水がなくなれ
ば、すぐ給水(深水)して一昼
夜置き、前日と同じ要領で三〜
四回繰り返すと塩分はほとんど
なくなる。しかし、土中に残る
塩分は、土質によりかなり違
う。たとえば湿田では、塩分が
しみ込むのに時間がかかるが、
砂質地では早くしみ込むので根
の被害は受けやすくなる。この
 ため、浸入している時より
 も、海水がひいたあとの方が
 恐ろしい。
海水がひくと茎や葉についてい
た水が蒸発して、濃い塩分が残
り、葉などがちぢれて枯れる。
このため海水がひきかけると淡
水を葉がつかるまで入れ、早く
塩分の濃度を下げるようたえず
水をかえる。冠水、浸入の程度
が大きい場合は、ほとんどが枯
れるので、塩分を早く少なくし
て、捕植、または植え替えしな
ければならない。
 また、泥水冠水とか、全滅し
 た場合は、早く植え替え用の
 苗を準備する。もし、苗がない
 場合は、至急種まきの準備を
 する。品質は早期後、普通種
 のどちらでもよく、農協など
 を通じて取り寄せるよりか、
 積極的に少しでも早く種子を
 さがして芽出しすること。こ
 うすると月末までに苗代へま
 き終わり、二十六〜三十日苗
 として六月中に本田へ移植で
 きる。とくに秋落ち田などで
 は、早期品種のササシグレな
 どがあればよい。
苗代が冠水した場合も本田と同
じ被害が現われる。浸水後一昼
夜が過ぎれば、苗が白く、葉緑
素がぬけたようになるので、海
水がひいたあと、すぐに茎が見
えなくなるまで淡水を入れて苗
を洗う。淡水が十分ない場合は
噴霧器などを使って茎、葉の塩
分を洗い落とす。しかし、被害
苗が多く、苗が不足する場合は
早く補充用の苗代を準備する。
 田植えを準備している水田で
 も、早く塩分をなくするた
 め、淡水を入れ流し、軽く代
 カキをしてから移植する。
(麦)
阿南市などで小麦十ヘクタール、
はだか麦十ヘクタール前後が冠
水。県南の麦はほとんどが成熟
期に近いと考えられるのですぐ
刈り取れば、それほど減収しな
い。しかしおそい小麦などは登
熟期に向かっており海水が入る
とすぐ土壌中にしみ込んで、茎
や根が枯れてしまう。このため
早く刈り取ることが望ましい。
(野)(菜)
おもな被害畑はソラ
マメ、ジャガイモな
ど約一ヘクタールが冠水した。ソラマ
メ、ジャガイモは収穫期が近づ
いているが、塩水が浸入した所
は枯れるのが早く、登熟が進ま
ないため早く収穫すること。ま
た畑地であれば、跡作としてつ
ぎの作付けが問題になるが、野
菜は一般に稲作よりも塩分に対
して弱いため、雨が二〜三回降
るのを待って作付け準備する。
(タ)(バ)(コ)
阿南市橘町の六十
アール、海部郡浅川地
区の二十ヘクタールが全滅(そのほか調
査中)したが、この跡作として
水稲が栽培されるために増収を
考えて早く苗代を準備する。ま
た、ウネ間程度に浸水した畑が
あれば、海水がかわいてから軽
く中耕し、エキ病の予防として
セレサン石灰またはウスブルン
液を散布することが大切だ。

津波の御被害に心から御見舞いを申し上げます

未曾有の津波により、災害を被ら
れました皆様に、心から御見舞い
を申し上げます。
この度の津波は、観測史上最大
とのことで、被害は太平洋岸全域
に及んで居りますが、とりわけ
御地の被害は甚大で、さぞ御難儀
のことと御同情に堪えません。
なにとぞ健康に御留意くださいま
して、一刻も早く復旧され明る
いくらしをとりもどされますよう
御祈り申し上げます。
昭和三十五年五月二十六日
松下電器産業株式会社
社長松下幸之助