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十五浜村の復興は  先ずスレートから   予期せざる職工払底を来し    当分註文に応じきれぬ

桃生郡十五浜村の海嘯惨害復興は何といってもスレートを原料とする石盤、硯を第一としなければならないというので、村当局及び関係有志は躍起準備に着手したが、今度の海嘯惨害は丁度新学年末のため、石盤、硯等の学用品製作に最も多忙を極めている矢先、これ等の工場大部分が被害を蒙ったため、全国需要地に対し充分な発送を行うことが出来ず殊に雄勝浜にあった「製硯組合事務所」の破損によって一層困難を繰り返さねばならなくなったので、同組合では早速県に交渉し、特産スレート工場を第一着 復興せしめられたいと要望している、又満州国から硯の註文も相当あるばかりか、印度南洋輸出向きのスレートも当分到底需要に応じ切れぬという状態で同村の復興はスレート工場が第一である、尚被害を免れた工場は早速操業を始めたいといっても労働者の大部分は罹災みんなのでこれも当分各自の住宅復興その他に忙殺されているので、本格的に労働する事が出来ぬ状態にあり、之れがためスレート工業界は■工払底という予期せざる支障を招致し当分折角の註文に応じ切れないでいる

未だ帰らぬ  犠牲者二十八名   不吉な数字が繰返す十五浜    ちかく村で合同葬

桃生郡十五浜村海嘯行方不明死体未発見は二十八名(内雄勝浜二名荒浜二十六名)の多数に達し、事変発生以来当局はあらゆる犠牲を払って捜索船に潜水夫に殆ど昼夜兼業で捜査に奔走した甲斐もなく未だ発見するに至らないので、一時捜索を打切る事になったが。荒浜部落民の如きは彼岸に入ってから連日浜辺に集って念仏を唱え、死体の発見と瞑福を祈る有様は復興のあわただしい海岸に一層哀れを止める姿であったが、今はこれ等の姿もなく、近く合同葬を執行して犠牲者の霊を慰めてはどうかとの申合せをしている、なお同部落は去る明治二十九年大海嘯の時も行方不明死体が二十八名に達し今回再びこれを繰り返したものであると。

救護金品取扱 漸く下火  石巻救護出張  所調査

石巻救護出張所で取扱の救護金品は漸く下火となったが二十六日現在の調査によると
 女川町一万七千七百八十点、大原村二万三千九百七十点、荻浜村三百九十六点、鮎川村二千八百八点、桃生郡十五浜村八万八百五十点、十三浜村二万八百四十点、合計十五万七千百四十七点で現金直扱は二十七日現在で一千百五十一円六十一銭である
なお各町村に対し交付した二十二日までの金額は
 本吉郡十三浜村二千四百四十四円、桃生郡十五浜村一万一千四百七十一円、牡鹿郡大原村四千三百六十五円、女川町一千九百三十円、鮎川村百七十円、計二万三百七十三円
である。