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講演 三陸海嘯の一端 を語る 後六の二五 仙台から

 宮城県桃生郡十五浜村 天雄寺住職 本多喜禅
過ぐる日三月三日は実に私共の終生今回の大海嘯のあった日でありまして、正に三陸沿岸充満の民家を襲い、数千万の財宝を流失し、二千有余の人命を犠牲にした恐るべき惨事であったのであります。
実に当時を追想致しますると、悲痛胸を打ち、惨然として涙を禁ぜんとするも能わざる、阿鼻叫喚の生地獄であったのであります。畏多くも上天皇陛下におかせられましては、深く御■年遊ばされ、親しく侍従を御差遣下され、御視察の上、巨額の御下賜金を、賜ったことは誠に恐懼に堪えない次第であります。
次いで陸海軍を始め各省大臣閣下県当局の各位、新聞社、各種団体婦人会、青年団、処女団の各位におかせられても深い御同情を賜り、御見舞に次ぐに、慰問品や義捐金を沢山贈られ、又労力奉仕まで頂いて、救済から復旧へ、復旧から復興へと御尽力を頂きましたことは、まことに有難く感謝の言葉もありません。私は県下で、被害の甚大であったと思われる十五浜村、雄勝、天雄寺の住職でありまするが、此所に実況の一端を述べまして、上天皇陛下の御聖慮、御仁慈の■恩に奉答すると共に、社会大衆の御同情に報いんとするものであります。