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講演 三陸津浪と水産業  (後六時廿五分 仙台)    東北帝大理学部    助教授理学博士 林 喬

三陸津浪によって浅海利用の水産業は相当の打撃を受け、中には全滅に近いものがある、然し暴風時の例に倣えば海水、燐酸塩、硝酸塩が増加して浮遊生物の増加殖を来し引いては近海漁業が■漁となるものと思う、現に気仙沼にては残存漁船の鮫の■漁は大したものである、遠洋漁業の漁場関係には何等の変化がないことが予想されるだから漁民に一日も早く小舟を給与して、海を恐れぬ進取の気象を再び取り戻す事と、産業に従事出来るという安心を与えなければならない、次に津浪被害地の漁村の建設であるがこれには三陸津浪襲来の特異性を考えなければならない、三陸の沿岸、殊に岩手県の沿岸は古生代の地質が多く、その岩石は千枚岩、板岩が多い、所々に花崗岩があるが、この岩石が大絶壁をなして各湾を取り囲んでいる、而して海は深いから湾奥ノ漁村における被害が大きい、それで此津浪の襲来を三つの型に分けて漁村の築営を論じ度い。
 一、本郷型の津浪(田老、釜石吉里、細浦、只越等)
 二、綾里型の津浪(綾里、雄勝■ヶ浦等)
 三、気仙沼型の津浪(気仙沼、志津川、渡波、女川の各湾)
以上三者の被害の程度、浪の襲来の模様の相異を述べて漁村建設の注意を喚起したいと思う。