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復旧事業として  救済は小範囲   財政難を理由に大蔵省に難色    関係代議士躍起奔走  

三陸災害地復興費追加予算残今議会上程運動は、引続き三県関係者によって行われているが、既報の通り内務省としての具体案は未だ完成せず、現地に派遣せる技師等よりの報告を待って取急ぎ作成、大蔵省に廻附される手筈となっている。一方大蔵省内の救済策は丹後震災の前例を基準としてこれを行い、復興は新規事業同様であり財源涸渇のこの際復興というが如き大規模な事業はなさずに復興事業として取敢えず防波堤修理の程度に止め漁船建造住宅 建築も極めて狭き範囲内においてなすべしとの論有力に行われて居るので、菅原伝代議士を始め宮城、岩手、青森各県選出代議士は極度に狼狽し伝えらるるが如く復興費を単なる復旧費とすれば従って補助額も極めて小額なるものとなり、災害に打ちのめされて起上れない多数漁民と唯一の生業たる漁業の復興は望まれない
とて遂に別項の如く菅原代議士主唱となり災害被害者に対する租税減免委員会において種々述べ、同案に希望条件を附して可決せしめた程である。大蔵当局の意向は罹災民の困窮は充分察するが、何分政府の財政が極度に困っているのであるからいずれにしても希望通りの救済補助を出すというわけには行くまいというにもある。

租税免除、猶予は消極的  直接の恩典はない   追加予算提出の希望条件を附す    委員会案本会議へ

衆議院震災被害者に対する租税の免除、猶予等に関する法律委員会は前日に引続き十六日午後二時より第二委員室において開会、内ヶ崎、藤井、大石各委員より夫々政府の所見を質し、ついで
内ヶ崎作三郎氏(民政)
 災害地に接近している本吉郡気仙沼町は幸いに大島という離島が今度の津浪の防波堤の役目を努め直接の災害から免れた。同地は三陸地方物資の集散地であり、附近各部落の災害によって商取引はバッタリ止まり、このために同地商工業者は俄かに困難に陥ってしまったのである。気仙沼町の如き状態に陥ったのは志津川町、岩手県宮古町、その他にも相当あるが、政府はこれら災害による間接的の損害を被りつつあるものに対しては如何たる救済策をとられるのであるか
堀切政務次官 直接の災害を被らざるものについてもよくその状況を調査の上救済の途を講じたいと目下考究中である、
その他■瀬、手代木各委員より質問あり政府委員これに答え質疑を打切り討論に入り、先ず菅原委員■
菅原伝氏(政友)
 本案はまことに消極的なものであって罹災民に直接大きな恩典がない。即ち本員は左の希望製作を附して本案に賛成するものである、
 希望条件 政府は災害の甚大なるに鑑みこれが復旧復興のため速かに追加予算を提出すべし
 三陸沿岸の災害程度は過日も本会議において述べた通り災害の状実に言語に絶するものあり、一日もこれを■せにすれば寒天の漁民はそれだけ苦痛を嘗めなければならない。この点特に政府において同情され速かに追加予算を提出され、飢と寒さに泣く多くの罹災民を一刻も早く救って戴きたい。
内ヶ崎作三郎氏(民政)
 本委員も本案に賛成する。菅原委員の希望条件にも賛成する。
外二名の賛成演説あって同案は委員会を通過した。なお希望条件附同案は多分十七日の衆議院本会議に上程されるのである。斯くて午後三時半散会した。