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震災地郵便貯金  非常払戻を開始   時間に制限なく深更までも    宮城、岩手で卅二局

仙台逓信局では三陸沿岸震災に対し被害甚大と認められる地方、左の各局に対し郵便貯金取扱規程第一一一条により貯金の非常払戻し取扱いを三日午後から開始したがこれは逓信の通帳のあるものは勿論、無通帳無印鑑のもので認定によりも即時全額払戻を行うもので期間中は時間に制限なく夜間深更と雖も払出しを行うものであるが特別取扱の範囲は規程第一一二条第一項各号の外特に本省の承認を得て据置貯金額月掛貯金に対し期間中払戻し認可申請の手続きを省略せしめることにた、なお当分非常払戻しを行う局は左の三十二局である。
△宮城県 大原浜、雄勝浜、唐桑
△岩手県 細浦、泊浜、綾里、野田、田老、平井賀、小本、釜石、釜石鉄山、釜石大渡、高田、只出、越喜来、小白浜、鵜住居、大槌、重茂、山田、宮古、普代、宇部、侍浜、種市、久慈、吉浜、安渡、船越、津軽石、久慈湊

三陸の魚肥業者  震災で大打撃   肥料期節に流失又は水ひたし

三陸地方の震災で折柄受渡の時期に入って居た魚肥の大部分が流失し倉入品も水浸しとなり魚肥製造業者は全滅の状態となったが、最近三陸地方で製造される魚肥は五六十万俵に上りこれ等は全国的に配給されているもので今回は丁度肥料期節を控えていたこととてその被害額は甚大に上る模様である特に今春■豆糟の代用として魚肥の需要頗る旺盛の気運に会し各漁場では製造に全能力を傾倒していた際とて業者一般の落胆は大きい魚肥の現在相場は一俵三円八、九十銭の見当で需■者は肥料相場の不安定を恐れ買進まぬ結果、期節の接迫を控え業者は投げ売りを開始せんとし、昨年から見ると二、三十銭の安値相場となっていたが今回の災害で産地は品薄となり魚肥相場は当然高騰して来るものと観測されている。

宮城県沿岸の  被害は二万俵

宮城県販購■では全購連を通じ今春七百噸の魚肥購入契約を行っていたがこの中受渡済みとなったものは百六十噸前後で大部分は現品の受渡なく将来の取引が頗る懸念されているので全購連山下肥料係が五日朝来仙し生産地の実情を調査することになった
宮城県肥料商同業組合でも魚肥の取引に痛く心配し五日石川理事が生産地女川、十五浜、大原方面に出張して実際状態を調査することになったが宮城県沿岸地方の魚肥被害は二万俵前後の予想である。

目算狂った  三陸への米移出   途方に暮れる取引商

今回の災害地方三陸方面の漁場に対し宮城県は主要飯米として年額五万石乃至六万石の白米を供給しこの代金は百二、三十万円に上っているがこれ等の取引先が全く崩壊してていたので県内取引商は途方に暮れている三陸沿岸に向けられるのは主として仙南米で塩釜、松島、石巻、気仙沼方面から三陸汽船やトラックで大船渡、釜石、山田、宮古、大槌方面の米商人に渡され漁場に配給される手順を踏んでいるもので今年の三陸移出米目算が狂い仙南米の移出先を失った形である。

政府米非常払下  断行の模様   宮城県で命令一下    蔵出の手配つく

農林省は三陸方面の罹災民救済の一方法として直ちに政府米の非常払下を断行する模様であるがこれ等は当然宮城県下指定倉庫のものをもって充当することなく可く県では命令一下蔵出しの手配がついている、目下県下指定倉庫にある政府米は四万石十万俵に達している、なお県内指定倉庫の政府米中古川町の本石倉庫に納入されていた一万俵の米が三日の地震で積俵が崩壊したので積替えに少なからず当惑しているがその他には被害がなかった。

伊藤事務官  鮫の浦方面

農林省事務官伊藤佐氏は宮城県国技手とともに四日石巻町に来り地震海嘯の災害の最も甚だしい牡鹿郡大原村鮫の浦、谷川方面の罹災者等こまっているものに対し特に政府米を払下げることになり同地へ急行実情を調査することになったが模様によっては今明日中に政府米払下の手配をする筈である。

税監局の  現地調査   酒の流失が多    い見込

仙台税務監督局では目下管内税務署に対し三日払暁の地震被害状況を調査せしめているが三陸方面における被害状況は全く混沌としている、大蔵省谷口書記官は四日朝遠野に急行三陸方面の被害地実情を調査することになったので仙台監督局よりは大塚間税部長ならびに直税会根係長が随行現地に向った、元尾監督局長は折柄一日以来遠藤国有財産係長同伴岩手県下における国有財産調査のため出張中で目下盛岡市に滞在中であり今明日中には帰仙の上積極的な調査方針を執ることになった、なお管内は目下酒の造込み最盛期にあったため流失による損害が多い見込みである。

清酒流失  仙税管内で十石   乃至十五石程度

仙台税務署では目下管内各種酒造家につき地震に依る清酒の流失損害状況を調査しているが損害は極めて軽微で管内三十一軒の酒造家の被害流失は十石乃至十五石の程度と見ている、管内今年度の清酒製造見込高は二万千石この税額は八十四万円の程度であるから結局酒造税に於て五百円前後の減収を見るであろうと。