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震嘯災害  復旧事業費   三辺知事の説明

震嘯災害復旧事業費提案の宮城県臨時会における三辺知事の予算説明大要左記の通りである
 至仁至慈なる 天皇 皇后両陛下に於かせられましては震災の被害少からざるを思召され三月五日特に侍従を御差遣遊ばされまして御内■の資を下し賜い恵撫慈養の道を御示し遊ばされたのであります、天恩優渥洵に感激の至りに堪えませぬ次第であります、侍従は御思召を奉じ■三月五日六日の両日罹災地を巡視し被害の状況を詳にさるると共に宏大なる聖恩を伝えられたのであります、御下賜金の伝達に当りましては聖旨を■するに遺憾無きを期し三月二十日夫々伝達を致したのであります、この聖趣に浴しまして罹災地万は申すに及ばず全県民は真に感■興起同心協力して賑恤救護の実を挙ぐると共に災害地復旧の目的を速かに達して以て聖恩の厚きに応え奉らんことを■う次第であります。
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 震嘯災害を被りましたが五町村数二十、五郡に亘り特に本吉郡、桃生郡、牡鹿郡の沿岸地方において酸鼻を極めて■るのであります、死者、行方不明者合計三百九名、負傷者百六十一名、倒壊流失せる家屋一千四百五十四棟、床上床下の浸水を合せて実に三千三百八十八棟の多きに達して居るのであります、罹災地方は本県重要なる漁業根拠地でありまするがため船舶の被害特に著るしく運送船十七艘、動力付漁船七十七艘、無動力漁船一千九百七十一艘合計二千六十五艘の流失破損を出しているのであります、冠水又は土砂■没せる耕地頗る広くして農家の被害少からず更に養豚家、商工業者等各種の業態に亘り夫々復旧の要極めて■切なのであります、道路、橋梁、河川海岸の破壊、警察電話の破損亦大なのでありまして各種の損失総額は実に四百二十四万余円の多きに達して居ります。
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 県としては死者の遺族に対し取り敢えず見舞金を贈呈し又食糧被服、小■■等に要する費用は救護上特に速に支出することを要しまするので六日罹災町村長に対し罹災救助募金より一万八千余円を前渡し一方政府所有米五百四十石の払下を受けて之が供給を為し其の地■■材料、野菜等の供給を為したのでありまして今日まで■■■助基金■り十四万余円の支出を見込んで救護に当らしめ、尚三月十一日県参事会に於て罹災救助の給与を最高限度まで支出し得るの議を経ると共に之に伴う罹災救助基金歳入出追加予算を拠出し更に七年度に於て救護警備等に要する諸費四万五千九十六円並に小漁船建造、耕地復旧、稚■共同飼育所設置等の費用に充当せしむる貸付金十七万九千六百円の議決を経て救護警備其の他応急施設を速進するに遺憾なきを期しました。
 以上は県として行いました応急施設の大要でありまするが県内は申すに及ばず全国より寄せられました同情は洵に甚大なるものでありまして陸海軍部は■敏速に衛生班の急派、道路、橋梁の修理、災害地現場の整理に当られ横須賀鎮守府司令長官は特に三日駆逐隊を急派されて救護に努められ五日には軍艦厳島に依て救恤品の分配を行われたのであります、医療救護の為には第二師団、赤十字支部、東北帝大、各地医師■員等が夫々救護班を組織して応急措置に遺憾なきを期せられ又宮内省其の他各方面より贈られたる救恤品は六千余梱に及び本県庁に於て受理致しました義捐金のみにても九万余円に達して居るのであります。
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 今回の震嘯災害善後予算の編成に当りましては第一に本県並に罹災地の現状は容易に自己資金の出資を見込み得ませんので能う限り国庫補助金を多額に配当を受くることを主■として事業を計画し、第二に■■■給又は国庫補助金以外の財源は総て大蔵省預金部の低利資金の供給を受くることとしこれが供給に当りましては成るべく利子補給に依る助成を求めたのであります第三に利子補給のありまするものは兎も角然らざる低利資金は矢張り将来の県民負担と相成りまするので復旧に必要にして且つ充分なる限度に止め、第四に将来再び海嘯等のありまする場合人名財産等に対する被害を予防する根本施設は罹災地百年の大計でありまして最も必要なるものと存じこれに要する費用の計上を熱望したのでありますが右に対しては政府は調査の上実施するを適当とせられまして内務、農林、文部の関係省において必要なる調査を■施せらるることになったのであります、尤も復旧計画と不可分にして何人もその必要を認むる住宅適地造成の如きはこの機会において断行することになったのであります、以上の方針によりまして出来得る限り完全なる復旧その他震嘯善後の措置を講ずると共にこれがために県並に県氏財政の将来に不安を残すことなきを期したのであります
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 斯くの如くにして決定致した復旧費並にこれに■■して必要と致しまする経費は合計二百七十七万九千三百三十五円でありまして、これが財源は国庫補助及び補給金百二万八千六百九十二円、貸付返納金三万七千八百二十九円、負債百六十六万九千八百円及び一般■費四万三千十■円となり■■にして利子補給のあるもの四十一万八千五百円利子補給のなきもの百二十五万一千三百円なのであります、この復旧費及びこれに関連する諸経費から歳入予算のみの追加更正となって居りまする県歳入欠陥補填の為にする県債五万三千円を除きましたものが、今回提案した予算総額二百七十二万六千三百三十五円となるのであります
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 震嘯災害復旧費は五十一万円でありましてこれによって道路に在りては十留護岸を石垣或は混擬土とし、橋梁に在りては能う限り鉄筋混擬十橋に架け換え、海岸堤防に在りては道路十留護岸同■石垣混擬土となす外重要の場所については天端及裏法面に張石を施し高さを高め将来海嘯に対する抵抗力を大ならしむることとしたのであります、本復旧費な八割五分の国庫補助及利子補給による低利資金をその財源としております
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 震嘯災害復旧助成費は五十八万円でその事業■総額は百十五万円となるのであります、その内訳は第一に町村土木復旧助成費五万七千円でありましてこの事■費は六万八千円となり即ち八割五分の補助、一万円の利子補給のある低利資金とを以て工事をなすのであります、これによって町村費所属の道路、橋梁、河川、河岸は県工事と同様の復旧をなすのであります
 第二は震嘯復旧助成費三万円でこれが事■費は五万三千円となり■■は低利資金となっております、全額の補助を以て罹災農家に対し自家食糧補給のために馬鈴薯の種苗を時季作付のために水稲、大豆等の種苗を配布することとし二分の一の補助を以て生産を営むに欠くべからざる農具の設備と農家経営上必要なる納屋及び肥料舎の建設をなさしむることとしたのであります第三は■■復旧助成費一万七千円でこれが事業費は三万四千円となり二分の一の補助と低利資金とを以て養■家に執って蚕作に最関係深き稚蚕飼育の安全を期するがため罹災地の養蚕実行組合をして稚蚕共同飼育所を設置せしむると共に養蚕家の■具購入をなさしむることとしたのであります
 第四に産業復旧助成費約二千円を■き同額の低利資金を合せて家畜の購入と資料の購入をなさしむることにしたのであります第五に水産業復旧助成費四十万八千円を置き低利資金を合して八十四万六千円の事業を行わしむることとしたのであります、造船復旧費は三十八万九千円で二分の一の補助を以て無動力漁船及び動力付漁船の復旧をなさんとするもので、漁具復旧費は八万三千円の補助と十四万三千円の低利資金とを合せて二十二万六千円でありまして、半額若は四分の一の補助を以て小漁具曳網類、施網類、沖合漁業用刺網及び定置漁業用漁具の復旧をなさんとするのであります、共同施設費復旧費は十六万円でありまして二分の一の補助を以て共同数■、共同製造所、共同倉庫及海苔養殖場、海苔■■場、牡蠣■■■■の共同■■■■の復旧をなさしむることとしたのであります、船溜船場揚復旧費六万円は四分の三の補助と四分の一の利子補給ある低利資金を以て案■復旧費九千円は半額宛の補助及利子補給ある低利資金を以て夫々沿岸各地に亘る被害箇所の復旧をなさんとするのであります
 第六に耕地復旧助成費二万六千円は低利資金及一般県■を合せ四万四千金を以て三郡十四箇町村に亘る被害地約八十町歩の復旧及これが■査指導を行い本年の収穫に違算なきことを期するのであります
 第七に商工業復旧助成費三万九千円を置き低利資金六万八千円を合せ十万七千円を以て約四百戸に及ぶ商工業者の工場店舗所設備及海運業者所有の罹災運送船の建造をなさしめんとするのであります、向上店舗の設備復旧費は九万円で四割の補助、運送船建造費は一万七千円で一割八分の補助であります
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 以上の諸事業の遂行に当りまして町村及その他の事業主体が自ら財源を捻出致しますことは今日の財政状態を以て素より望むことは困難でありまするので預貯金資金を県より転貸することとし更に国庫補給又は補助に依る助成はありませぬけれども復旧事業として進んで遂行致さねばならぬ、計画並復旧事業に伴って必要なる各種運転資金を同じく預金部資金より融通することとし是等に必要なる貸付金百五十三万円を計上したのであります、補助又は補給を伴わぬ貸付金の第一は罹災住宅復旧貸付金二十七万六千円であります、十五箇町村に亘る罹災住宅五百五十三戸は到底自力を以て復旧することは不可能でありまするので努めて経済的にして而も便利なる家屋を復旧せしめ各種の業態に応じて納屋肥料舎■室等を同時に建築して遺憾なからしめんとするのであります
 第二は住宅適地造成費十九万五千円でありまして之には利子補給があります、先般海嘯地各町村に臨時海嘯地家屋復興計画委員会を組織致し県庁においてもそれぞれ準備を進めているのでありまするがこの宅地造成に要する切崩費、番均費及道路の取付費等を計上したのであります第三に雄勝尋常高等小学校の復旧費四千円を計上し、校舎、教員住宅、■具類の復旧をなさしむることとしました
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 第四に町村歳入欠陥補填資金五万九千円ヲ置き被害二十箇町村の七年度及び八年度における各種租税の減免課税標準ノ減少に因る減収及び未納税金の徴収不能なるものの補填等に充てしめ以て町村財政に欠陥を生ぜしむることなきを期したのであります、此の資金の付てはりし補給が認めなれて居ります
 第五ハ■室復旧費九万円デアリマシテ■児の飼育に充分なる面積を得るが為住宅の復旧に併せて■室を作り相当多量の■立を可能にして以て現金収入に便ならしめんとするのであります
 第六は肥料資金三万二千円でありまして■■水田に施すべき堆肥を■えじめ流失、冠水に因り地力の減耗甚しき耕地の堆肥を充分ならしめんとするのであります
 第七に漁船復旧事業資金一万六千円を以て漁船の修繕及び動力付漁船の第一回出漁に要する燃料餌料等の着業資金に充てるの■あります
 第八は共同製造場復旧資金四万五千円でありまして東料、燃料等を購入せしめ事業資金の欠乏に因る困難を感ずることなく直に事業に着手せしめんとするのでありす
 第九に共同養殖設備復旧事業資金二万円を以て牡蠣養生場の復旧に伴い之に必要なる種牡蠣の購入費に充てしめ全国に冠たり本件の牡蠣養殖事業をして一日の遅緩無く益々進展せしめんことを期して居ります
 第十に個人製造場復旧資金十六万円を計上致しました、共同諸施設に依り共同事業の復旧が行われまするけれども県下多数の倒人製造家の製造場製造設備、乾燥場等の復旧は特に共の業態の小なるに鑑み之が資金の融通の要緊切なりを■むりのであります
 第一に工場、店舗運転資金六万円を以て工場、店舗の設備に伴い中小商工業者の営然運転資金に困難を感ずることを予想して之に充てしめることにしたのであります
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 以上を以て復旧所事業の大要とするのえありますが別に災害調査及び復旧事業の促進、救護、救援、救助及び警備に要する諸経費を計上致したのであります
 災害救護費四万二千円は嘱託四人を置き国費に依り人員の増加に伴い救護事務並復旧事務の特に多忙なる法面に活動せしめ其の他庁内官吏吏員の救護調査に要する旅費等に充てしむることにしたのであります、警察関係において災害警備費九千円庁舎修繕費一万九千円を置き災害後の各種警察施■並復旧事務の進行に伴い一層増大する警備事務に備え又被害地電話線路の改善及び架設に依り復旧計画上遺憾なからしめんとしたのであります。
 衛生関係に於きましては六千円の全額補助を得て診療班を組織し罹災各地の出張診療及廻診療を為し、傷病者の救療と防疫の徹底を■るのであります、教育費には要給食児童に対する食費及罹災貧困児■の被服費合計三千円を国庫補助を、財源として計上致しました更に利子補給ある県歳入欠陥補填資金五万三千円を、起債震嘯災に因る昭和七年度歳入欠陥額一万三千円を繰越金より減■し昭和八年度に於て本税免除に伴う減収、課税標準の減額等合計三万九千円を見込み地租、営業収益税、所得税各付加税、家屋税、営業税及雑種税を夫々更正減額して災害が本県財政を窮迫することなきを期したのであります、県の予算には現われて居りませぬが国費に依る災害善後人件費としまして属技手及これに伴う雇員その他を配当されることに決定して居りまするので県の施設と呼応し事務の遂行上完全を期することが出来ると信ずるのであります