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社説 政府、国会は東北を見捨てるか  災害復旧へ特別立法の制定を急げ

 三陸海岸を荒れ狂った大津波は
去ったが、残された傷口はあまり
にも大きく、痛々しい。一瞬にし
て百二十八人の人命と、多数の家
屋、船舶、漁業施設をのみ、道
路、堤防、港湾、工場を破壊した。宮城、岩
手、青森、福島四県下の被害総額は、二十六日
までにわかっただけでも二百三億円を越え、
中でも漁業関係被害は六十五億円の多きにの
ぼっている。この数字からみても、全国的な
被害の大部分が三陸地方に集中していること
は明らかである。のろうべき災禍、恐るべき
大自然の暴威。われわれは、なにがゆえに、こ
のような受難の歴史にさいなまれなければな
らないのでだろうか。被災者とその関係者に
深い同情を捧げるとともに、一日も早い立ち
上がりを祈りたい。
 すでに被災各市町村で涙ぐましいまでの救
援作業と復旧活動が、不眠不休で続けられて
いるが、これらの応急措置は、速やかに徹底
的に進めなければならない。この際、われわれ
がなんとしても憤激を覚えるのは、多数の被
災者を目の前にしながら、国会が一度も津波
対策を審議せず、最も緊急を要する救援活動
を放置している事実である。清瀬衆院議長は、
二十五日、自民、社会、民社三党に対し、緊
急対策を審議するため、衆院農林、建設、運
輸、社会労働の各常任委員会の開会を呼びか
けたが、野党側はこれに応ぜず、与党も単独開
会を避けたというのである。なんという没常
識な、非道な政治であろうか。審議回避の理
由が、たとえ一般の政治的情勢によるものだ
としても、それとこれとは全く別問題であ
るはずだ。非常災害の対策は、すべてに優先
し、一切のゆきがかりをすて、即刻審議しな
ければならない。そのような緊急性をあえて
承認しようとしない政治家は、人道の敵だと
いって差し支えあるまい。東方出身の国会議
員はなんのかんばせあって郷党にまみえるこ
とができるか。われわれは、東北住民ととも
に、声を大にして国会の反省を要求するもの
である。
 政府は二十五日、内閣に津波災害対策本部
を設置し、椎名官房長官を本部長とし、各省
次官をメンバーとして、応急・恒久の対策を
具体化するための第一歩を踏み出した。しか
しこの対策本部の構成を見ただけでも、政府
の熱意がいかに低調なものであるか察せら
れる。昨年九月の伊勢湾台風では、益谷副総
理を本部長とし、石原自治庁長官を本部長代
理とする対策本部を現地名古屋に三ヵ月間設
置し、政府各省の次官クラスを現地に駐在さ
せて、すべてを即決で次々に実行に移した
ため、一々東京に陳情に出向く必要はなかっ
た。このような協力現地本部は、三十二年の
狩野川災害、二十八年の西日本災害にも実例
がある。今回の津波被害で、集中的に被害の
あった東北地方に現地本部を置くのは当然で
ないか。かりに百歩を譲っても、現状のよう
に、形だけの対策本部では、はたして各省の
横の連絡が十分にとれて、統一ある緊急対策
が打ち出せるかどうか疑わしい。対策本部の
補強がなによりの急務である。その点、被災
地岩手の出身である椎名官房長官の善処を要
望せずにいられない。
 すでに着々実施させつつある救援・復旧対
策は、順序として被災者の衣食住の確保と傷
病者の救護、伝染病予防に全力が注がれてい
る。この段階で、地元駐とんの自衛隊が陸、
海、空から各種の活動をし、現地の救援体制
を力づけたことは、きわめて効果的であっ
て、その労を多としなくてはならない。衣
食住のうち、応急住宅の建設はまだ十分でな
いので、関係当局のいっそうの努力を望みた
いが、これにつづいて、被災者の生業を保証
することである。当面、定置網やノリ・カキ
施設、漁船などの貴重な生産施設を失った沿
岸漁民に対しては、低利長期の復旧資金を貸
し与えなければならない。また被災地の道
路、橋梁、港湾などの復旧事業には、被災者を
優先的に雇用し、生業対策の一助にすること
が必要であろう。その他、被害は、農林、商工
業など各産業にわたっているので、救援・復旧
も広範かつ総合的に進めなくてはならない。
 しかし先立つものは資金であり、その資金
調達を裏打ちするための特別立法である。さ
きの伊勢湾台風では、実に二十七の特別立法
が直ちに臨時国会で制定され、円滑な復旧の
原動力になったが、今回もこの措置は絶対必
要である。特に被災者の多くが零細漁民であ
るため、通常の融資体制では到底受け入れる
能力がなく、結局、政府の助成政策に待つと
ころが大きいと思われる。工業生産地帯の伊
勢湾に比べて、死傷者こそ少なかったが、被
害の範囲と立ち上がりの困難さにおいて、何
倍かの深刻さがあることを、政府、政党は認
識すべきである。
 恒久対策としても、防波建築、護岸工事、
津波予防林の設置、地震の予知・予報体制の
強化など、なすべきことが多いが、さしあた
り政府と与野党が真剣に本格的な救援・復旧
対策を展開し、その中軸としての特別立法を
超党派的に、一日も早く制定することであ
る。その実現のために、われわれは一致協力
し、組織的に、中央にぶつかろうではないか。
東北を見捨てるような政治に対し、断固たる
決意をもって、波状攻勢を開始しようではな
いか。

速やかに復 旧対策とれ  全国市会議長会で要望

全国市議会議長会は、二十六日午
前十時から東京九段の九段会館で
定期総会を開き、石原自治庁長官
も出席、都市行政の確立強化など
会長提出ⅷ議案を可決、東北部会
から出された地方財政の確立など
二十七議案を各部会に分かれて検
討した。
 また前日の理事会で畑仙台市議
 会議長が、仙台市議会の決議と
 して「チリ津波の被災地に対し
 政府はすみやかに救済策をはか
 り、復旧に万全を期してほしい」
 という要望書を緊急提案、決議
 されたが、総会の席上、満場一
 致の承認を受け、さっそく政府
 に要望書を提出した。

災害融資 弾力性を持たせよ  大蔵省、三財務局長に指示

 大蔵省は二十六日、津波被害の
 復旧資金および応急資金の適
 切な供給をはかるため、北海道
 東北、東海の三財務局長へ銀行
 局長通達を出した。災害復旧、
 および応急資金について、金融
 期間は当分の間、整備資金また
 は運転資金のとり扱いを優先順
 位にこだわらず、弾力的に貸し
 出しするようにというもの。
また生命、損害保険料の被災契約
者に対する払い込み猶予期間の延
長措置などについては、次のとお
り行なうよう通達した。
 ▽生命保険=猶予期間を含めて
 六ヵ月以内
 ▽損害保険=普通および月掛
 け火災保険については契約者か
 らの申し出にしたがい契約を解
 除、未経過保険料(月掛け火災
 保険については、保険料の割り
 増し分を含む)を返す。

ワクにとら われず融資  片岡理事、災害融資を語る

 中小企業金融公庫理事片岡亮一
 氏は、チリ津波災害に伴う商工
 業界の復旧融資について打ち合
 わせのため二十五日夜来仙、二
 十六日午前宮城県庁で「伊勢湾
 台風などの経験を生かし実情に
 即して弾力的に取り扱いたい」
 と次のように語った。
一、商工業界の実際の被害額や復
旧資金需要額もまだ全容がわから
ない。しかし公庫融資については
このさい“ワク”をいうような窮
屈な考え方をとらず、実情に則し
て弾力的に取り扱いたい。
二、すでに第一・四半期(四、五
六の三ヶ月)分一般貸出資金とし
ての公庫各代理店の配布ずみのも
ののうち、各代理店の手元に残っ
ているものは、このさい災害復旧
融資に優先的に振り向けてもらう
三、必要に応じ、第二・四半期(七
−九月)の貸し出しに予定してい
る資金を繰り上げて融資するよう
大蔵省と折衝したい。それでも手
が回らぬ時は政府に補正予算を要
請したい。
四、東北の各金融機関とも厳密に
連絡し、それぞれの分野で効果的
に資金が被災者に貸し出されるよ
う配慮する必要がある。
五、公庫資金の既利用者で被災し
た方には元利償還について期限延
長などの便宜をはかりたい。

災害融資の申 し込み第一号  福島県相馬郡新地村

福島県相馬郡新地村は二十六日、
福島財務部を通じて東北財務局に
チリ津波による災害つなぎ資金二
百万円の融資を申し込んだ。これ
は同局が準備したつなぎ資金二億
円に対する借り入れ申し込み第一
号である。

大水害のお見舞を申し上げます。

 この度のチリ地震津波の大水害で錦地方
面は時ならぬ大被害を蒙られましたことは
誠に痛恨に堪えません。とりあえず紙上を
借りまして衷心よりお見舞を申上げます。
 リッカーミシン株式会社仙台地方部
  仙台市空堀丁四一・電話③六三五二
 リッカーミシン株式会社仙台支店
  仙台市元寺小路五六・電話③一六七六
 (直営支店)岩沼、塩釜、古川、石巻、白石、気仙沼、志津川

被災地の 皆さまに 心から お見舞を 申しあげます

宮内庁御用達 野田醤油株式会社