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被災地の衛生 チリ大津波

こんどの大津波は東北、北海道の太平洋岸各地に大きな被害をもたらしましたが、すぐ心配になるのは被災地の衛生問題です。関
係方面では目下大々的に当たっておりますが、この点について宮城県医務薬物課の高橋喜造さんに差し当たっての注意をい
ろいろ聞いてみました。
宮城県医務薬物課の高橋さんに対策を聞く

食物とくに水に注意  家具もよく日光消毒を

 ◇生水は絶対飲まないこと=第
一の問題は飲料水、炊事用水です
津波によって井戸も便所も一様に
洗われ、水道も導管にキ裂ができ
たりして汚水が混入しています。
生水の使用は絶対に避けましょ
う。水は必ずわかし、サラシ粉を
多目にし飲んだ時、匂うぐらいに
入れて用います。井戸は直ちにく
みかえてサラシ粉で消毒します。
 ◇食器、什器はよく洗って=多
少、匂っても差しつかえないもの
はクレゾールでよくふきます。匂
っては困るものは逆性石ケン、中
性石ケンで洗って使います。
 ◇食物もよく煮て=水をかぶっ
た食物はもったいないと思って不
注意にたべては危険です。米など
はよく真水で洗って乾燥させて使
いますが、時期がすぎるとカビな
どの雑菌が繁殖します。大抵の食
物はよく煮れば一応大丈夫ですが
化学変化を起こしたものは煮ても
有毒です。魚肉の加工品などは煮
ても毒素が残ります。食中毒の毒
■は細菌が死んでも残る場合があ
るから、古くなったもの、カビの生
えたものは食べない方が安全です
 ◇衣服や寝具の手入れ=衣服は
まずよく洗たくして日光にさらし
ます。寝具も差し当たり日光消毒
をします。
 ◇入浴の注意=ふろは一回熱く
わかして自然にさめたのを使いま
す。やたらにその辺の水でうめる
のは危険です。
 ◇家屋の跡始末=塩水のついた
ところはなかなかかわきにくいの
で、水洗いできるところは真水で
よく洗い、なるべく日光にあてま
す。さらにクレゾールでふくと理
想的です。床下浸水のところは床
板をはがし中の泥や塩気をかき出
し生石灰をまき風通しをよくして
かわかします。畳も日光消毒しま
す。
 ◇手洗いの励行=ひどい環境で
激しく働かなければならないので
身体、とくに手に細菌がつきます
食事、調理、用便の前後は必ず手
を洗いましょう。クレゾール、逆
性石ケンなどで洗えば最もよろし
い。
 ◇赤痢患者を出さないこと=起
こりやすい病気の中で一番こわい
のは赤痢です。潜在保菌者はどこ
にもおり、千人中三人はかかって
いるといわれています。その菌が
ばらまかれるので集団発生の恐れ
があります。ことに収容所や共同
炊事などで発生すると手がつけら
れなくなりますから前記のような
諸点をよく守ってくれぐれもその
防止に当たって下さい。
 ◇破傷風の注意=復旧作業でど
うしても小さい傷がつきます。そ
こから破傷風になると全身に毒が
回ります。急性なので手遅れにな
ればたちまち死亡します。作業に
はゴム長、ゴム手袋があれば最も
よろしいが、小さい傷でも油断せ
ず、傷薬などをつけて処置し、雑
菌の侵入、化膿を防いで下さい。
 ◇疾病の予防=過労が重なりま
すから病気を誘発しやすくなりま
す。少しぐらい身体の具合が悪い
ときでの放っておかないで医者の
診察、処置を受けましょう。こと
に結核の陽転者や、高血圧の人は
栄養、休養が不十分で病気が重く
なりやすいので気をつけて下さ
い。
 ◇地域、共同の問題=収容生
活、炊き出し、簡易、共同水道など
では、衛生問題がおろそかになり
がちですが、その管理には責任者
はもとよりお互いに一層注意をは
らうべきです。町全体で大掃除を
し湿地、窪地などに残っている塩
水を流れをよくして始末し、乾燥
させましょう。また各家庭から出
たゴミは川原や道路や野原などに
捨てたりするといろいろな障害が
残りますから、一ヵ所に集めて焼
き捨てます。またそういうところ
で子どもを遊ばせないよう気をつ
けて下さい。
 ◇関係者によく相談を=いろい
ろあげてきましたが、衛生部をは
じめ保健所、公立病院の救護班、自
衛隊など衛生関係者が多数出動し
ていますので、たとえば専門家の
管理給水した水は大丈夫ですか
ら、それを使うとか、また井戸が
えのとき、大きさや深さに対応し
た薬の量とか、持続効果をきくと
か、化学的変化に対策をたてるな
どよく相談して積極的に利用して
下さい。