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中央に対策本部を設置  政府きょう津波被害で協議

政府は二十五日午前十一時から首相官邸に各省次官を
集め太平洋沿岸を襲った津波の被害対策を協議するが、
現地の状況をみて中央に『災害対策本部』を設置する方
針である。椎名官房長官は『被害もかなり大きいようだ
し、中央災害対策本部をおく必要がある』と語っている。
政府は二十四日午後三時から永田町の官房長官官舎に
建設、農林、運輸、厚生など関係各省次官会議を開き、対
策を協議した。この会議では被災地との通信、交通が円
滑にいかないため被害状況の実態がよくつかめないの
で、警視庁、厚生、建設、農林、運輸など関係各省の係官
を現地に急派し、被害状況を見きわめることにきめた
が、中央災害対策本部設置については二十五日の次官会
議で改めて協議することにした。

東北財務局 つなぎ融資を準備

大蔵省は太平洋岸津波の災害対策
として二十四日、東北財務局に二
億円のつなぎ融資を準備するよう
指示した。
東北財務局の報告では、差し当た
ってつなぎ融資の対象になるのは
宮古(岩手)、釜石、気仙沼、大船
渡、志津川(以上宮城)地域の市
町村になる見込み。つなぎ融資は
運用部資金をあて、金利は年六分
三厘、年度内償還の条件で、融資
申し込みが三陸沿岸以外にもふえ
れば、さらに増額する方針。同省
はいまのところ補正予算を組む必
要はないとみている。

所得税など減免  仙台国税局

仙台国税局にチリ津波の被災者に
対して、税金の減免、徴収猶予措
置を■することになり、たまたま
二十四日から同局で開会中の東北
六県税務署直税課長会議の出席者
のうち、仙台南、塩釜、石巻、気
仙沼、大船渡、宮古、釜石、久慈
八戸、平、相馬など沿岸税務署の
直税課長が同会議からぬけ、ただ
ちに六千六百枚の徴収猶予、還付
申請書を持ち帰った。被災者はこ
の申請をすれば、五十万円以下の
所得者は、一月一日から徴収され
た源泉所得税がもどり、今年度中
の徴税が猶予される。また五十−
八十万円の所得者は、こんご六ヵ
月間、八十−百二十万円の所得者
は三ヵ月間、それぞれ納税を猶予
される。

自治体に応急 資金貸し出し  東北財務局

東北財務局はこんどの津波で被害
を受けた自治体に災害応急資金を
貸し出すことをきめ、各県の災害
対策本部に通知した。対象団体は
災害救助法を適用された団体はも
ちろん、その他の市町村でも被害
を受けたところの申しこみを受け
つける。原則として貸しつけ期間
は三ヵ月、利率は日歩一銭七厘三
毛だが、返済不能の場合は借りか
えを認める。

予備費で 間に合う  大蔵省方針

大蔵省は東北、北海道の津波被害
について、災害復旧費のねん出方
法を検討しているが、まだ建設、
農林など関係者の被害報告や、災
害復旧のための概算要求がでてい
ないし、政府の復旧対策が立てら
れていないので、具体的作業には
いれないでいる。
しかし同省は、現在、予備費が七
十八億七千三百三十二万円あるの
で、災害復旧のための補正予算を
組む考えは全然なく、予備費だけ
で間に合わせる方針のようだ。い
まのところ、各省の概算要求が一
件もでていないので、二十六日の
次官会議までに予備費支出の計数
整理が終わるか疑問で、決定は来
週に持ち越される公算が大きい。

被災者に貸し 付け期間延長  国民金融公庫

国民金融公庫(中村健城総裁)は
二十四日臨時役員会を開き、太平
洋岸を襲った津波の緊急災害融資
方針として
 ①同公庫の融資を受けている者
 が被災者である場合は、元利の
 返済納期間を三ヵ月ないし六ヵ
 月猶予する②応急貸し付けとし
 て今後被災者に貸し付ける場合
 は、元金の返済を六ヵ月間据え
 置き、貸し付け期間を二、三年
 から四、五年程度延ばす
ことを決め、ただちに十八都道府
県二十四支所に通達した。

津波対策で本会議を  川島幹事長段

自民党の川島幹事長は二十四日夕
の記者会見で、津波災害につき「被
害状況を調査して、救済立法措置
が必要ならば野党に呼びかけて本
会議を開きたい。また、被災地には
党から議員を派遣する。しかしこ
れを国会正常化のきっかけにする
のではなく、これだけ切り離して
やるつもりだ」と語った。

現地に視察 議員を送る  自民、津波対策

政府、自民党は東北、北海道の大
津波について二十四日、とりあえ
ず次の対策を決めた。
一、自民党は実情調査と被災地の
見舞い、激励をかねて衆院二人、
参院一人の視察議員団を派遣、人
選にかかった。視察団は両一日中
に現地へ向かう。
一、二十五日の衆院議運委理事懇
談会で社民党の出席の有無にかか
わらず、本会議を開く話し合いを
始め、本会議で被害報告をきき、
被害程度によっては緊急立法化を
すすめる。
一、自民党政議会は二十五日、農
林、建設、運輸各関係部会を開い
て対策をたてる。

社党も被害調査

社会党は二十四日の中央執行委員
会で東北、北海道地区の津波被害
問題を取り上げ、対策を検討した
が、被害が東北、北海道を中心に
太平洋岸全般にわたり、とくに零
細漁民の被害が大きい点を重視、
全員一致で太平洋岸津波対策特別
委員会設置を決め、早急に被害調
査のための議員団を派遣すること
になった。

民社党も対策協議

民社党は東北、北海道の津波被害
について、竹谷源太郎代議士(宮
城)らが中心となり、被害状況の
資料を集めているが、二十五日午
前、国会対策委員会を開き、協議
する。具体策はこの席上で決まる
が、特別委員会を設置するものと
みられ、調査団派遣とその人選も
行なわれるもよう。

被災地に災害査定官を派遣  建設省河川局

建設省河川局は二十四日、岩手、
宮城両県と北海道の津波被害を調
べるため、災害査定官を派遣する
ことに決めた。北海道は芦沢、岩
手県が関、また宮城県は有泉各査
定官が担当、同夜、それぞれ現地
へ向かった。

自民党主流派 党内各派に調整工作

岸首相、川島幹事長ら政治、自民党首脳は事態収拾のため二十四日は反主流派の三木武夫、河野一郎両氏と個別に会見、安保批准に協
力方を要請するとともに、政局混乱の打開策について意見を求めた。これに対し、両氏から「協力する」という言質はえられなかった
が、川島幹事長は党内各派実力者の意見調整を終えたとして二十五日朝、七役員会議を開き、一両日中に顧問、相談役会議、そのあと衆
参両院議員議会の段取りを決め、安保批准への党内体制を進める方針である。また、福永国会対策委員長らは二十四日早朝、太平洋沿岸
を襲った大津波被害を重大視し、災害立法などの堅牢を開始、早急に本会議開会を社会、民社両党に呼びかける考えで、自民党はこの災害を機会に空白状態を続ける国会審議を軌道に乗せたい考えだ。

“安保”に体制固む  津波対策で空白打開も

岸首相は二十四日午前、院内で川
島幹事長とともに三木武夫氏と会
見、混乱を続ける政局収拾につい
て三木氏の意見を求めたが、三木
氏は「保守党のため大きな転換策
を講ずる必要がある」を抽象論を
述べただけで具体策にふれなかっ
た。
また午後、首相は帝国ホテルで河
野一郎氏と会談、河野氏は党内一
本化、国会の議事運営も大切だが
それよりも国会周辺などのデモは
放っておくと大事にいたるので、
激化しないような措置が必要であ
ることを強調した。三木、河野両
氏との会談を通じて安保批准に全
面的な協力の確約はえれれなかっ
たが、また両氏とも岸退陣によっ
て政局の収拾をはかれという意見
も主張せず、物別れに終わった。
 しかし川島幹事長らは池田通産
 相を通じて松村謙三氏、石井総
 務会長を通じて石橋湛山氏を説
 得したことで党内実力者たちに
 対する一応の説得工作を終わっ
 たとしている。また同日午後の
 総務会では「党内一致結束して
 批准を期せ」と申し合わせた。
 こうして党内各派の調整が終わ
 ったので、顧問、相談役会、両院
 議員総会を開いて党内結果を固
 め、社会、民社両党に対し、国
 会審議再開をよびかけるととも
 に、きょうにも参院本会議で会
 期延長の議決を行なう方針であ
 る。
一方、自民党は太平洋沿岸の大津
波が北海道をはじめ岩手、宮城な
ど広範囲に被害が増大しているこ
とを重視し、二十四日夕刻、衆院
当局に建設、農林水産、社労、運
輸四委員会と議運委の開会手続き
をとった。これらの委員会で災害
救助の立法措置が必要かどうか検
討を始める方針である。
 これに対し社会党は行政措置で
 十分だと、委員会開会には反対
 の態度をとっている。しかし自
 民党は立法措置が必要なら、単
 独審議でも立法化する構えをみ
 せている。また参院では自民党
 の安井幹事長が各派幹部と会
 見、会期延長と、災害対策のた
 め本会議開会を要求したが、社
 会、民社両党は国会が正常化し
 ない限り応じないと反対した。
 同志クラブは書き延長には応じ
 るが、安保審議には反対、また
 無所属クラブは即答を保留し
 た。
このように自民党は津波対策で国
会の空白打開の機会をつかもうと
しているが、社会、民社両党はこ
れに反対の態勢なので、早急に国
会審議か軌道に乗るとはみられな
い。結局自民党は、党内一本化が
終われば、参院審議の促進をはか
り、同志会、無クの協力をえて安
保審議を社会、民社両党の欠席の
まま開始する構えである。

解散、総辞職 せず政局収拾  首相、閣議で決意表明

 岸首相は二十四日の閣議でとく
 に発言、今後の政局収拾と国会
 正常化について「解散も総辞職
 も行なわず政局を収集したい」
 と次のように決意を表明、各官
 僚の協力を要請した。
新安保条約を成立させることはわ
れわれの使命である。十九日の衆
院における新安保条約の単独強行
採決は違法ではなく、安保阻止勢
力に絶対屈してはならない。自民
党内には新安保衆院通過について
いろいろ批判を聞くが、新安保の
承認はすでに党議で決定しており
その取り扱いは執行部に一任され
ている。今回の衆院通過もこの基
本線にしたがって行なわれたもの
である。また国会内の問題は議長
の職権に属することであり議長独
自の信念で行なったものである。