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津波とこども 作文集 帰ったとうちゃん  宮城県志津川町磯浜小  三年 後藤妙子

 五月二十四日の朝、おばあさん
が「つなみから早くにげろ」と
いいました。わたしは、あんちゃ
んと弟をおこし、すぐかばんをも
ってうしろの畑ににげました。
 そのあとおばあさんがかけてき
て、「たいへんだ。とうちゃん
が、たなごあみをあげさいったま
まかえってこねえ」としんぱいし
ていました。わたしも、かず子
ちゃんの家のところまで行って見
ましたが、おとうさんの船はま
だ見えません。その中だれかが、
「*の河に小船がはいった」とい
うので、おばあさんとおかあさん
がかけていきました。
 わたしと弟は手をとったままふ
るゑて、なかなかとまりません。
その中、おかあさんががっかりし
てかえてきました。郡の宮にもと
うちゃんの船がいなかったそうで
す。そのとき、かず子ちゃんのお
じいさんが、「よし、おれがモー
ターでいって見るぞ」といってか
けだしました。
 モーターが波にのまれそうにな
っておきのほうにみえなくなりま
した。
 しばらくたって、大きな船と小
船がむこうに見えました。かず子
ちゃんの家の船と、おとうさんの
船です。
 わたしは「とうちゃんの船だ。
とうちゃんの船だ」といってさけ
びました。おばあさんは「ああ、
よかった」といってすわりまし
た。
 しおがひいたのをみて、みんな
が「それいまだ」といっておとう
さんの船をひきあげました。それ
からすてしおをみて、こんどはか
ず子ちゃんの家の船をひきあげま
した。
 おとうさんはあせをふきながら
「ああ、ひどいめにあった」とい
ってわらいました。わたしもわら
いました。
 家へかえると、きんじょの人た
ちがみんなきていて「よかったね
え」といいました。おとうさんは
みんなに、なんべんも「ごくろう
さん」といいました。わたしはほ
っとあんしんしました。