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きょうの本会議に上程  衆院 津波災害対策九法案

チリ津波災害の特別立法について政府は十三日の閣議で、新たに追加された市町村職員共済組合の組合員に支給する災害見舞い金の額
の特例に関する法案と、中小企業者に対する資金の融通に関する法案の二件を決定、これで津波の特別立法は津波対策事業、地方
公共団体の起債の特例、天災融資法、水産業施設の災害復旧事業、特に漁業施設の設置、小型漁船の建造、公営住宅法の特例の九案件
が出そろった。衆院では十三日午後三時から自民党議員ふだけで**を理事会を開いて競技した結果、十四日の本会議に災害関係九法案
を一括上程、提案理由の説明を行ない、田口長治郎議員(長崎)が総括質問を行なったあと、ただちに各常任委員会に付託、十六日の本
会議で可決することを決めた。

漁業被害対策に重点  個人補償に救済の道開く

チリ地震津波対策の特別立法法案は
十三日九議案が出そろい、十四日
の衆院本会議に上程されることに
なったが、今回の災害法案は伊勢
湾台風特別措置法二十七件と比べ
 ①重点的に掌握された点。
 ②零細漁業者など個人補償に救
 済の道を開いたこと。
 ③恒久対策として国が審議会を
 設けて防潮堤などの計画を立案
 すること。
などが大きな特色となった。被害
が少なかった公共土木施設復旧の
補助を引き上げなどがオミットさ
れた半面、法案の数を限定、被害
が大きかった漁業施設、漁港、漁
船などに重点的にしぼりあげてい
る。とくに東北の強い要望をいか
した自民党案に対しては、大蔵省
を中心とする関係各省が、被害額
僅少の理由から難色を示し、大づ
めまでもみにもんだ。いったん水
産施設の災害復旧法案から除外
されたノリ、網、漁具、水産物干し
場施設再建を拾いあげて、特定漁
業施設再建に五割補助をうたった
別法案をつくるなど、党案のほと
んどが復活された。また中小企業
者への融資法案は大蔵省が強く反
対したが、十三日になってついに
借り入れ限度百万円を五十万円に
落とすことで日の目をみた。
 またとくに注目されていた津波
 対策事業特別措置法案は、恒久
 事業をねらいとしたもので、今
 回は被害を受けた津波被害地帯
 に限定して海岸、河川、堤防、
 港湾、防潮林の改良と新設につ
 いて国が計画を立案、実施する
 ことを内容としている。その他
 経済企画庁内に各省の総合調整
 のため「チリ地震津波対策審議
 会」を設置(伊勢湾台風では協
 議会)。事業計画は審議会を経て
 閣議決定に持ち込み、明年度か
 ら実施することになった。津波
 対策九法案の内容は次のとおり
 ▽被災地域の津波対策事業に関
する特別措置法案=津波補助の目
的から海岸防潮堤などの改良と新
設について国が計画をたて実施促
進する。
 ▽被災地方公共団体の起債の特
例に関する法律案=被害額地方公共
団体の歳入欠陥と災害対策に通常
要する経費に対し起債を認める。
 ▽被災市町村職員共済組合員に
支給する災害見舞金特例に関す
る法律案=住居または家屋に損害
をうけた組合員の見舞金は給料の
二ヵ月分のワク内で規約の定める
月数分を法定額に割り増す。
 ▽天災融資暫定措置法の一部改
正法案=伊勢湾に*じ漁船の取
得、真珠、カキなど養殖に必要な
経営資金の貸し付け限度を引き上
げる。
 ▽被災水産業施設の災害復旧事
業に関する特別措置法案=被害激
じん地の真珠、カキの養殖施設と
漁業共同利用施設復旧に九割補助
 ▽災害をうけた特定の漁業施設
の設置に関する特別措置法案=激
じん部落におけるノリ、網、漁具、
水産物干し場、その他共同利用施
設について漁協組の取得または建
造するものについて五割の補助を
する。
 ▽被害をうけた漁業者の共同利
用に供する小型漁船の融資に関す
る特別措置法案=無動力漁船と五
トン未満の動力漁船の再建について
一隻対一隻の復旧を原則として
国三分の一、県三分の一の補助を
する。
 ▽中小企業に対する資金の融
通に関する特別措置法案=被害激
じんの業者に限度五十万まで三
年間に限り年利六分五厘で融資す
る。
 ▽公営住宅の特例に関する法
律案=地方公共団体の建設する第
二種公営住宅に対し減失数の五
割以上について激じん地は建設費
用の四分の三、その他三分の二を
国が補助する。

 関係県は好感  要求の重点と り入れられた

チリ津波被害対策特別立法案の閣
議決定に対し、被災県はいずれも
要求の重点がほとんど取り入れら
れたと好感をしめしている。これ
について被災一道十七県の代表と
して運動をつづけてきた東北自治
協議会会長の三浦宮城県知事は次
のように語った・
 政局騒然たる中で短期間のうち
 にこれだけ重点的に取り入れて
 もらったのはうれしい。小さな
 要求が落ちたのはやむをえまい
 とくに漁業者に対しては伊勢湾
 でも不可能だった個人被害が認
 められ、主張が大幅に通った。
 恒久対策も審議会ができればよ
 り的確なものとなるだろう。た
 だ被害激じんの認定、対象、基
 準などすべて政令にゆだねられ
 ているので大蔵省反政により
 後退しないよう十分監視すると
 ともに要求したい。

九法案の成立に全力  全国知事会 政令実施を監視

 全国知事会議はチリ地震津波対
 策法案が大詰めにきた十三日
 午前十時、再び全国被災一道十
 七県知事議長合同会議を緊急招
 集、東京平河町の都道府県会館
 で三浦宮城県知事を議長に対策
 を協議した。
会議には自民党津波対策本部を代
表して田口長治郎(長崎)、来田正
文(参院・全国)両氏が出席、特
別立法党案決定までの経過と内容
を説明した。これに対し北海道、岩
手、三重など各道県から「被害
激しん部落の水産物干し場には九
割補助にしてほしい」「小型漁船
の再建補助対策基準を緩和してほ
しい」など多くの要望書が出され
た。しかし各法案が逐次閣議決定
となり十四日衆院上程の運びとな
っている現在、もりだくさんな要
求を出すことは不適当だという理
由から予定された九法案成立に全
力を尽くすこととにして、対政府事
情も取りやめた。
 これらの各法案は大づかみのも
 ので細部をあげて政令にゆだね
 ているため、今後の運動方針と
 しては政令に対する監視と要望
 を織り込むとともに新たに設置
 される審議会がとくにこれら恒
 久対策のかなめとなるので審議
 会構成に関係道県の意見が十分
 反映できるよう、この二点を中
 心とした要望をつくり直すこと
 に決定、要旨次の要望書を作成
 した。
①津波対策の恒久策立案のため設
置される審議会は、各道県の意見
が反映できるよう構成を考慮、国
庫補助は三分の二以上を保護する
とともに。伊勢湾高潮対策対象地
域からもれた地域も含めること。
②特別立法で政令にゆだねられた
部分については、公営住宅の補助
*に段階差をつけた場合も三分の
二以上つけること、小型漁船の補
助対象基準を緩和すること、激じ
ん部落の復興補助率は最低五割と
すること、除塩、沈船除去の補助
率は三分の二を下らないよう考慮
する。