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東西震災競べ

上、去る十日北米加州沿岸を襲った激震で倒潰したロサンゼルス郊外コムプトン(■府桑港間飛行便桑港より日本郵船秩父丸に托送廿七日午後八時横浜着)下、本県山田町震災の跡。

田老村に  チフス   厳重消毒す

(宮古電話)罹災地方の復興は其の後めざましい程進捗して居るが最も懸念されて居た伝染病患者の発生に関しては関係当局でも極力予防策を講じて居たところ田老村の重症患者田代キト(六三)を宮古町岡山医院に収容中二十四日腸チフスと決診され二十七日遂に死亡した。警察当局では狼狽し直ちに佐々木衛生主任が田老村に出張し保菌者の有無を検診せしめるに至った。尚同人の家族は今次の津波で全滅して居たものである尚其の後罹災地に於ける九名に上って居り今後の伝播が憂慮されて居る。

不安につけ入る  左翼分子   十名近く検挙した    特高課長談

後藤県特高課長は宮古署を降り出しに山田、釜石、さかり署下罹災地を八日がかりで視察し二十七日午後帰庁したが語る。
 医療同盟並に日本労農救援会関係の医師其の他十名近くの者を宮古、釜石、さかり三警察署で検挙して居ることは事実です。事件の内容は今言明出来ないが災害後の人心不安定の処に入り込んでプロレット、カルトしようとしたことは事実でしょう。然しまだ調べがついて居ないのです人心はまだまだ落着いて居ない三ヶ月位はこの状態を続けるそうだが山田町に泊った晩ラジオで津浪襲来の予報があったとて町民が町の高台の学校附近に焚火して夜を明かしたので自分は県庁を通じ真否を訊ねたがデマと判り之を町民に伝えたが町民は朝まで高台を去らなかった様な有様です。

義捐金を譲る  第二師団管下に送られた   二百円を盛岡区へ

第二師団では今回の沿岸大災に際し在郷軍人東京滝野川分会第十四班より管下出征軍人家庭罹災者救恤金として金二百十六円七十五銭の寄贈を受けたが同師団にて調査の結果、同師団は折柄内地凱旋し少数の出征軍人家族の被害も亦極めて僅少に済んだ事判明したので寄贈者たる郷軍分会班長美川辰四生氏と交渉の結果右金員を本県下出征軍人家族救恤金とし譲渡するに決し二十八日事情を具し前記金二百円を盛岡連隊区司令部に送附して来た。森連にては第二師団司令部のこの美くしい互譲の精神に深く感謝し喜んで譲渡を受けることとなった。

三陸海嘯

義捐金(三月廿八日迄本社扱)
衣類一包四ッ家 天主教会 金三十円岩手医学専門学校無名氏 金十円上閉伊郡上郷村上郷尋常高等小学校職員 金三円三十五銭東磐青年同志会菅原正外二十一名 金六円五十銭也岩手郡松尾鉱山普明堂高橋鉄真
小計金四十九円八十五銭 累計金三千三百一円九十一銭也

県扱い(二十八日)

十二円八十銭上郷村消防組 二百二十八円八十五銭名古屋逓信局管内従事員有志 二十四円三十五銭神奈川県秦野町婦人会、女子青年団 一円神奈川県秦野小学校生徒今井敬三 一円同東秦野村高橋光三郎 三円樺太公立蘭泊小学校職員児童 五十円市内四ッ家天主教会 三十五円十一銭大阪府阿部野警察署取扱の分 九円二十五銭朝鮮沙里院公立普通学校児童 十円北満派遣軍第十四師団第二十八旅団歩兵第十五連隊通信班藤生一等兵 八円三十三銭樺太公立長浜小学校児童 二円五十銭黒石村女子青年団 三十二円十銭老松村長 一円五十三銭 島根県赤江村小学校尋常科五六年女子生徒 一千三百二十六円三十九銭花巻警察署長取扱の分 十三円四銭神奈川県牧野小学校職員児童
日計一千七百六十八円七十九銭
累計二十六万九百九十一円九十銭