文字サイズサイズ小サイズ中サイズ大

田中舘博士  災害対策質問   きのうの貴院本会議

(東電)八日の貴族院本会議は午後一時四十分開会本日は斎藤内閣の生命とも云うべき二十二億の非常時予算が愈々両院を通過する日である大臣席には斎藤首相以下各閣僚の顔が揃う。議席も珍らしく九分通りの出席である直ちに日程に入り
一、昭和八年度歳入歳出総予算案並に昭和八年度各特別会計歳入歳出予算案
一、予算外国庫の負担となるべき契約をなすを要するの件
を一括して上程予算委員長柳沢保恵伯(研究)より委員会の審議経過を詳細報告あり柳沢委員長最後に政府案検討の内容を詳説し
 要するに政府の財政計画思想問題及び石油問題対策については相当これを危惧する意向があった。

旨を述べ満場これを傾聴する次いで質疑のため

▼田中舘愛橘君(無所属)今回の東北地方大震災惨禍を見るにつけ吾人は科学者としてその努力の足らざるを愧じるものである
と前提して地震の予知観測と災害防止の点より東北地方に於ける震害防止施設地形変化の調査町村復興に対する注意復興上留意すべき人口の分布等につき注意を与え更に政府の右に関する方針を賞して降壇
▼山本内相 被害町村に対しては市街地建築物法都市計画法等の趣旨により今後の災害防止に力めたい
▼鳩山文相 三陸地方の地震に対しては検潮所の設置その他の方法により政府も夫々処置を講じている

▼大角海相 地球の重心測定その他に潜水艦が必要なる場合には出来得る限り海軍としても助力したい

▼荒木陸相 地表面の変化測定については陸地計量部でも協力を惜しまない
と夫々答弁し代って
▼菊池武夫男(公正)登壇思想問題に関して我が国の古来の家族制度の美風を説き赤化教授を出すような大学は閉鎖する意思がないかと■し更に日満関係につき
 日満両国は姉妹国として互いに提携協力して進むべきであるのにそこに軍部の暗闘、利権屋の策動等忌わしい事実が伝えられているのは何事であるか満州に対する経綸は果して何処にあるのか
とて政府の無定見を責め統制経済社会経済の安定を力説して降壇
▼鳩山文相 我国固有の美風については同感であるが大学その他の廃止には同意出来ない若し矯激なる思想の伝播を為すが如きものがあれば法の適用により容赦なくこれを処分するものであるなお今後とも厳重に監督する
▼斎藤首相 日満両国の提携はいうまでもないことで不都合な点があれば今後大に改める
と答え質問を終了し討論に入り
▼前田利定子(研究)昭和八年度予算案は種々不満の点もあるが時局重大に鑑みやむなくこれに賛成する政府は今後財政計画につき■甚なる注意を加えられんことを望む
と前提し
 本予算案は収支の均衡を保ち得ずきわめて不完全なものであるいはばタガの緩んだ桶のようなものだこれ適当に引締めなければ桶はバラバラになって水は全部こぼれ出して仕舞うだろうこの大予算が日本の現状及び将来の発展に対して果して適切なりや否やは疑いなきを得ないこの点について政府は満足なる説明をしていない
と首相蔵相の説明は独りぎめで蜃気楼的説明であるとこき降ろし次いで連盟問題に転じて
 連盟に認識不足ありとはいえ我国の正当なる主張を理解せしめ得ないかったのは何といって外交の失敗である
と断じ今後の財政々策について或は外交政策について政府に対し深甚なる注意をし我国未曾有の大予算は両院を通過し成立した次いで
一、昭和二年法律第九号中改正法律案(政府提出)
を上程し小山法相の説明あり委員附託
一、通信事業特別会計法案
         (政府提出)
を上程高橋蔵相の説明あり委員附託次ぎに
一、宇品港域軍事取締法案
    (政府提出衆議院送附)
を委員附託
一、昭和五年歳入歳出総決算報告
一、同上各特別会計決算報告
一、同上国有財産増減表
につき決算委員長報告通り承認し柳沢予算委員長より国富調査国民所得の調査結果並びに方針につき質問し堀切法制局長官より答弁あり午後五時二十四分散会

協議会で決定した  震災復旧.復興費   総額三千七百三十五万四千円    県議は昨夜上京す

震災地復興に関する県会議員との協議会は八日午後一時から県公会堂に於て開かれたが佐々木議長外各議員出席前田内務部長其他各係から災害状況と之が復旧復興費につき説明二三質問あり取り敢ず。
 中村佐一、高橋栄次郎、佐々木順治、高瀬薪太郎、平井三郎、瀬川松次郎、村上順平、佐々木銀左衛門、新田六助、及川正己
の十氏が八日午後八時五十分発列車で県会を代表上京し各代議士と協力して復旧復興費の国庫補助並びに低資融通を政府に申請する事に決し五時散会した協議会に提出された復旧復興費額は左の如くである(単位円)
 種   別   県 事 業 費    町村その他補助   町村その他貸付金      計
 水産復旧費    一六、七四〇        ・・・  七、〇〇〇、〇〇〇  七、〇一六、七四〇
 産業組合     一〇、七六〇        ・・・  四、〇九五、〇〇〇  四、一〇五、七六〇
 復 旧 費
 商工復旧費     一、五〇〇        ・・・    九七、二〇〇〇    九七三、五〇〇
 水産復興費   二〇〇、〇〇〇        ・・・        ・・・    二〇〇、〇〇〇
 土木復旧費   六〇〇、〇〇〇  一、〇〇〇、〇〇〇        ・・・  一、六〇〇、〇〇〇
 同 復興費   九七九、〇〇〇        ・・・  五、二〇八、二〇〇  六、一八七、二〇〇
 山林復旧費 一、一〇五、六一三        ・・・        ・・・  一、一〇五、六一三
 同 復興費 五、四二三、九八〇        ・・・        ・・・  五、四二三、九八〇
 耕地復興費    二〇、〇〇〇  二、二三〇、〇〇〇        ・・・  二、二五〇、〇〇〇
 農産復興費       ・・・    三二七、五四三    三七三、六五五    七〇一、二〇八
 共同作業場       ・・・    二九四、四〇〇     九二、〇〇〇    三八六、四〇〇
 復 興 費
 畜産復興費       ・・・     七八、二〇〇    七〇四、一五二    七八二、三五二
 養■復興費       ・・・     一四、三七五    一七七、五〇〇    一九一、八七五
 社会事業        ・・・     一四、〇五二  一、九〇二、〇八〇  一、九一六、一二二
 復 興 費
 警 察 費    八八、三一五        ・・・        ・・・     八八、三一五
 衛生復興費       ・・・  一、七〇四、三九五        ・・・  一、七〇四、三九五
 教育復興費       ・・・        ・・・     二一、〇〇〇     二一、〇〇〇
 社会事業応急施設    ・・・        ・・・  二、七〇〇、〇〇〇        ・・・
計      八、四四五、九〇八  五、六六二、九六五 二三、二四五、五九七 三七、三五四、四七〇

三陸地震海嘯災害  救済会創立協議会   きのう六県代議士参集して    代表推戴を決定す

東電)政民■会派の東北六県選出代議士は八日午後院内に会合して三陸地震海嘯災害救済会創立に関し協議の結果政府とも緊密なる連絡を待って設置する事になり直ちに斎藤首相を院内に訪問して懇談を■け諒解を求めた上取敢えず代表者として徳川、秋田貴衆両院議長■東京商工会議所会頭、清浦新聞協会長を推戴する事に決定し事務所を■町の東拓ビル内に設置し東北地方選出代議士を実行委員に挙げ直ちに災害各県知事に状況を促し救済の具体策を練り速かに実現を期する事になった。

民政三陸海嘯 対策委員会

対策委員会
(東電)民政党の三陸津波対策委員会は八日午後一時から院内に開会協議の結果左の如く救済対策を決定党幹部に進言して政府をして実行せしむる事に申し合せて三時過ぎ散会した。
▽一応急対策 イ、漁船漁具船船■■場等の復旧ロ、住宅の復旧ハ、土砂埋没耕地関■■業関係の復旧ニ、道路、堤防、土木関係の復旧 右に必要なる長期返還低利資金の融通半額国庫補助ホ、所得税営業敢盆栽の一般的免除及び相続税の延期ヘ、飲料水の検査及び疫病の予防ト、船大工を各県より招集して船舶を急造する事
▽二、恒久対策 イ、防波堤の修築ロ、住宅地域の制限ハ、住宅の地盛りニ、漁村区■整理ホ、防風波林の設置ヘ、三月三日を津波記念日として三陸海岸の各小学校に於て津波に関する講演会を開き災害の記憶を新にし合せて津波避難訓練を行わしむる事ト、太平洋■流及び金華山沖に於ける津波の調査研究

災害地に於ける  休銀預金額調査   日銀の係員来盛して

三陸沿岸震害に依る本県金融経済事情調査のため日銀福島支店では釜石方面に藤松正憲、宮古方面に佐藤武夫両氏を特派し視察せしめていたが両氏は八日来盛、殖銀、勧銀、安田支店及び盛銀、九十銀岩銀の休銀を訪問し被害程度に関して聴取する処あり。尚休銀に対し罹災沿岸各支店における預金貸付金並に取引状況を答申せしめたが三休銀の報告に依れば其の預金高は五百七十七万円にして盛銀二百二十万円、岩銀二百二十万円、九十銀百三十万円の巨額に達して居り之等が全く払出し出来ず今回の惨害に依り再起困難とさえ見られる。漁村罹災者は三銀に対する怨嗟の声は又新たなる呪いであろう。貸付金は五百九十四万円に上り岩銀の三百二十万円が筆頭で盛銀百七十四万円、九十銀百万円を示し不況と震災で殆んど回収不能と見られ整理案作成に非常な支障来すではないかと云われている。銀行破綻、震災相次ぐ本県経済界の動乱の非常に際会ししある現状に至り休銀は速やかに覚醒し整理案を作り預金支払いを断行せよとの声は各方面より叫ばれている。

花巻線買収方  政府に陳情   関係町村長連署請願

岩手軽便鉄道では今次の海嘯大惨害に際し猶予なく釜石鉄道及び省線と連絡して救護員、救恤品及び復旧材料等の無料輸送を実施し更に臨時列車を運転して大いに地方鉄道としての機能を発揮し莫大なる旅客及び貨物を輸送しつつあるがこの非常災害に直面し釜石、花巻鉄道建設完成が如何に急を要するものであるかを痛感し此の度関係町村長等が連合して救済復興事業と共に是非実現を期すべく請願をなす事に決定した。

三陸海嘯 義捐金(八日本社扱)

食器四梱市内本町森徳商店、二十円東京市淀橋区下落合二ノ五高田太郎吉、一円東京神田区錦町飯塚方KK、一円紫波郡佐比内村一女性より、十円福島市栄町藤本ビルブローカー会社、十円前橋市細ヶ沢町奈良貞吉、五十円東京市京橋区築地台仙会、百円東京日本橋区馬喰町平尾賛平商店、五円花巻温泉電気鉄道会社、五円花巻温泉、二十円五十銭花巻温泉電鉄会社社員一同二十九円五十銭花巻温泉社員一同百四十五名、一円五十銭二戸郡荒沢村荒屋少年健児団員二十名、藁靴三百五十足市内青物町岡田三蔵、衣類一包二戸郡一戸町佐藤ヨネ、枕十ヶ市内十三日町藤原たき、衣類十点同川原小路平田みよ、一円宮城県中新田町久慈つね、二円九戸郡軽米町二同情者、二円市内三ツ割吉田きぬ、教科書学用品二千点櫻城小学校生徒一同、十円八十三銭盛岡商業学校大橋氏外二十九名学用品二十三点盛岡高等小学校衣類一包市内日影門阿部松太郎衣類二包同内丸花鳥園、学用品同小人町ユニオンホール、衣類外四十二点盛岡仁王小学校、三円市内六日町波多野研究所、五円盛岡郵便局集配手一同、衣類二包市内川原小路佐藤裁縫教授所生徒一同、三十円鍛冶町平六商店、十円長岡半兵衛、五円山崎亀太郎、五円井上徳治、三円熊谷長次郎、三円富岡吉右衛門三円上野喜四郎、三円長内貞忠三円菅村才七郎、三円平野亀太郎、二円吉田円次郎、二円高木豊助、二円親閲秋三、二円米内仁太郎、二円古舘国次郎、一円五十銭松下半治、一円阿部康蔵一円村井シゲ、一円後藤彦兵衛一円小野寺出張店、一円井上治郎、一円吉田■治、一円外山又次郎、一円千葉昌治、一円梅木留吉、一円佐藤市郎、一円芳野直吉、五十銭昆善武、五十銭高木仁、五十銭阿部松蔵、五十銭竹花新太郎、計九十二円五十銭 志家紙町十円村井昌八、七円下田五兵衛、三円小野徳次郎一円五十銭小林係義、一円有坂安太郎、一円大久保正路、五十銭中野庄一郎、一円村井リエ、計金二十五円也
日計三百九十四円八十三銭
累計一千五百九十六円九十五銭
花巻支局扱 十五円花巻中央自警団△衣類四百点同

県扱い(八日午後三時)

三〇円四五盛農学校職員 五円厨川村土淵小学校職員六七銭 同校児童有志 一五円同郡松尾村松野小学校職員児童 八四円一七銭岩手郡中野村外五円休 一、五〇〇円松尾鉱業株式会社一五〇円同社員一同一四四円四九銭盛岡中学職員 一〇〇円盛岡富田小一郎 一円五〇 滋賀県立工業学校職員 三〇〇円福島市 一五円福島市連合女子青年団 六〇円福島市連合青年団一一八円七一岩手県師範学校連合員 一〇〇円函舘毎日新聞社 五〇円前橋天理教群馬、栃木、長野、新潟教務支庁 一〇〇円東京久保豊四郎 一九円一九銭福岡中学校職員 五〇円東京交親会古谷健三外廿七名 六円長崎目良秀吉 一〇円東京池田和吉 三円 同店員一同 六円高崎市塚沢小学校五年宮下澄枝、二年宮下孝子 一円五〇秋田伊勢重市 一円八銭 福島県石川郡浅川小学校尋六三湯浅兄弟 五円新潟誠文会 二円静岡神谷みさお、松浦きぬ 二円秋田三浦かね 五円福島県遍照講小名浜市部 五円茨城県荒川沖南区青年会一同 一〇円神奈川県鎌倉郡玉■村第十六区長代理海老塚辰五郎 三円静岡■増之男 一円五〇群馬県来女村下淵名日曜勤労部員須永大太郎外五名 七円五〇 無名氏 五〇円二戸郡田山村扱ノ分 三四円五九銭黒沢尻高等女学校職員 七九円五四銭盛岡高等女学校職員 一〇円福岡市本田泰 一一円七六知事官房統計係 一〇〇円盛岡無■株式会社 二〇六円和賀郡笠間村(村役場扱) 八〇円岩手郡雫石村(同) 八〇円水沢農学校職員生徒 五〇円晴山村長 七〇円平泉村長 一五円五〇岩手郡平舘小学校職員児童 一一六円二五銭 九戸郡江刈村(村役場扱)四〇〇円三重県伊藤紀兵衛 七円胆沢郡白山小学校職員児童 一〇円稗貫郡新堀小学校職員児童 三〇円横須賀海軍水雷学校第五十四期高等科水雷術機雷練習生一同 一〇円長野市丸山勝太郎 三〇〇円神奈川県三崎町長(罹災漁業組合へ配分と指定)五八円四一銭岩手郡川口村(役場扱)三六円七六銭紫波郡徳田村(役場扱第二回分)九〇銭盛岡市杜陵学園内名久井駿三五〇銭西村ハル 八〇円三四銭盛岡商業学校職員 五円新潟県棚橋栄次郎 二円五〇銭京都阿部武子 五〇円横須賀海軍工廠内岩手県人同交会一同 四一円五七銭和賀郡江釣子村(役場扱)一〇〇円大野村 四三円二七銭千葉県■会代表松崎重郎 四三円三七銭水沢警察署員一同 二一円水沢商業学校生徒一同 五円宮城県尾島区自警団 一〇円愛知県足助町共同救護社 一〇円静岡県■■局見付出張所職員■工一同 一八円四九銭東磐井郡舞川村(役場扱) 一〇円東京府西多摩郡西多摩村青年団東支部 一〇円宮城県渡辺まつ 一〇一円八〇銭兵庫県名田広一 一五円石鳥谷小学校職員生徒 一三円一七銭東磐井郡■田村中川小学校職員児童 一七円三七銭胆沢郡■城小学校職員児童一同 二〇円同郡南郡田青年団 一二円四〇銭和賀郡湯田村湯本小学校職員児童一同 一五円稗貫郡宮野目小学校職員児童一同一二円二〇銭盛岡女子商業学校職員生徒 五円青森県尻内郵便局長外一同 五円和賀郡飯豊村成田小学校職員生徒一同 五円稗貫郡大迫町男子青年団 一円五〇銭名古屋菊地京蔵 五円江刺郡玉里村青年会第二支部 一〇円千葉県神門福神会代表者小出保 三円紫波郡志和町一心会五円胆沢郡小山郵便局従業員一同 二五〇円仙台市伊沢平左衛門 二〇円福岡町高木■■ 一〇円東京市天沼研究室 四円五〇銭稗貫郡新堀村 (役場扱) 三〇円青森弁護士会長三上直吉五円東京市久保宗人
 日計 五、七八五円五七銭
 累計二七、五二五円八四銭

市扱い千九百余円

三陸罹災民救援の声は全市に■き起り市役所に到着する慰問品は連日山の如く達しているが八日迄の義捐金は一千九百十七円十四銭