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東海岸災害地救済対策  復興助成方法に   追加予算の増額    応急救護から漁民の生業救助     内務大蔵両省協議

(東電)内務省では三陸地方の被害地に対し差当り応急救護措置としては各県の罹災救助金の支出、軍隊方面よりの救援その他の応急対策により一応十分と認めているが今後は至急港湾道路橋梁などの災害復旧工事、浸水後の防疫衛生生業の途を絶たれた漁民などの生業資金の貸与その他の復興助成の方法を講ずる必要あるを認め各関係局において立案の上近く三陸震災方地の救済に関する内務省議を開き大蔵省第二部予備金支出八年度追加予算の増額などを要求するはずである。

災害対策臨時 閣議

(東電)東北三陸地方に亘る強震に対しては各県当局に於て応急的処置に万遺漏なきを期し尽力中であるが政府としては該当局の諸般の情報並びに被害状況の判明を待って内務大蔵両当局に於て之が救済対策を開始し臨時閣議を開き決定をなし最善の処置を執る事になったので内務大蔵及び農林などの関係当局は急速に調査を急ぎ機是の処置を誤らざる様手配するところあった。

罹災民に対し 郵貯非常排出

(仙台電話)仙台逓信局では今回の震災について罹災民の郵便貯金預金者に三日より非常払出しを行うことになった。預金者には通帳があれば全額払いをなし若し通帳の焼紛失の場合でも郵便局の認定によって払戻しをなすもので昼夜を問わず行うと。

首相以下義捐 並低資協議

(東電)政府は四日午後二時院内書記官長室に於て臨時次官会議を開き柴田書記官長黒田大蔵次官以下各省次官出席三陸地方地震救済対策に就いて租税の減免、米穀の無償貸付け漁具買入れその他に要する低資の融通等につき種々協議し更に義捐金募集等に就いては同地の損害に鑑み総理三百円各官僚百円づつを拠金し各省官吏も従来の例により俸給月額の五分以下を拠金して罹災者救済資金にあてる事に決定した。

農業被害状況 視察 農林省

(東電)農林省農務局耕地及びその他の農業に関する被害状況視察のため左の通り派遣することになった。

岩手県 山北技師 田村技手 宮城県 柴戸技師

尚三氏は四日午後十時半上野駅発急行で出発した。

民政災害救済 対策協議

(東電)東北地方災害善後策に関し民政党の東北出身代議士は四日院内に会合し協議の結果左の如く決定しこれが実行について政府に考慮を求めることになった。
 救済委員内ヶ崎作三郎 村松久義 柏田忠一 工藤鉄男 比佐昌平 林平馬 鈴木寅彦 手代木隆吉 大島寅吉 清水徳太郎 救済策
一、災害救済方法は関東大震災の例による
二、政府米の給与廉価払下
三、住宅材料 農具 漁具等の給与又は廉価供給その他
四、被害地減税の件地租所得税営業所得税免除並に相続税の延期
五、復旧費の補助並に低資融通の件

衆議院交渉会  義金を醵出

(東電)衆議院各派交渉会は四日午後零時半から開会し
一、前例によい議長各派幹部発起の形式に依って義捐金を醵出すること(一人十円宛)
その他数件を決定して散会した。

震災被害地に 家畜保険支払

(東電)農林省では今回の三陸震災被害地の内家畜保険に加入している者あれば保険金額を支払う為請求されたき旨四日告示した。

丹羽長官視察

(東電)丹羽社会局長官は岩手及び宮城両県下の震災状況視察の為め小林事務官を従え四日午後十時三十分上野駅発列車で現場に赴き四五日に亘り各地視察の筈。

代議士宮古へ

(宮古電話)政民両派から災害地見舞の為め特派された本田大石両代議士は平井、新田両県議と共に四日午後六時半下閉伊支庁を訪い佐川支庁長より被害状況を聴取した。一行は五日田老村を訪う筈。

災害調査 四日午後九時現在 県警察部発表

▽備考−さかり遠野警察署電話不通のためさかり釜石救護支部の詳細なる状況判明せぬ。尚被害調査は大体四日午後六時報告の分を以て暫定的確定と見なし更に詳細に及ぶ方針である。
署名 町村名  流失   倒壊     焼失     浸水    死者  負傷者  行方不明
久慈 久慈町  二一    一      −      −     −    −     −
   野田村  五九    四      −      −     六    −     −
   種市村  五八    三      −      −    三七   二二    六四
   侍浜村   −    −      −      −     二    −     一
   中野村   二    四      −      −     二    −     四
   夏井村   −    −      −      −     一    −     −
   長内村   一    −      −      −     一    −     六
   宇部村   四    五      −      −     一    −     六
   計   一四五   一七      −      −    五〇   二五    八四
岩泉 小本村  八六    五      −     五〇    七五    七   一三八
   田畑村 一二一    三      −      −    三八    八    六五
   普代村  七二    六      −     四一    一八   一一   一一〇
   計   二七九   一四      −     九一   一三一   二六   三一三
釜石 釜石町 一八九  一六三    一七一  二、〇〇〇    一三    −     五
   大槌町 二九五  一九九      −  一、二〇〇    二七   一八    二七
   唐丹村 二四〇   二五      −    四〇〇   三七〇   三二     −
   鵜住居 一三五   九〇      −    四〇〇     七    三     −
   計   八五九  四七七    一七一  四、〇〇〇   四一七   五四    三二
宮古 宮古町   三   三九      −    一三四     二    二     −
   山田町 二二〇   八二      −    一六五     一    一     七
   田老村 四〇〇    −     四〇      −   五〇〇  一三〇    六〇
   重茂村  三六    −      −      −   一二〇    −     八
   津軽石村  二    二      −      六     −    −     −
   船越村 二〇一   二一      −      −     −    −     −
   崎山村   一    −      −      −     −    −     −
   大沢村   一   九二      −     七八     −    −     −
   磯■村  三六    −      −    一一六     一    −     三
   織笠村   二    −      −     二〇     −    三     −
   計   九〇一  二三六     四〇    五一九   六二四  一三六    七八
盛署 大船渡町 一七   二五      −    三四二     二    三     −
   高田町   二    二      −      −     二    二     一
   気仙町  四八    六      −      −    一七   一一     八
   米崎村  一〇   三〇      −     二八     五    八     二
   赤崎村  七五   三一      −    一四三    四六  一六二    三六
   吉浜村  一一   一六      −      五     三    −    一四
   越喜来  九四   九四      −     二八    二七   一〇    五九
   綾里村 二四〇    八      −    二四三    四四   一七   一一一
   広田村 一一九    五      −      −    四六    八    三〇
   小友村  三四    −      −     六六     九    −    二〇
   末崎村 一二七    七      −      −    三六   ■二    二一
   計   七七七  二二四      −    八五五   二三八   ■三   三〇一
   合計二、九六■  九六八    二一一  ■、四六五 一、四六〇  五〇四   八〇八

災害地救済復興に  万遺憾なきを期す   山本内相から議会に言明す    衆議院本会議(四日)

(東電)四日の衆議院本会議は午後一時四十三分開会劈頭三日払暁の三陸地方に於ける大震災被害に対し
△秋田議長 昨三日東北三陸地方が震災及び海嘯のため不測の大損害を蒙ったことは同情に堪えない而し死傷者は非常に多数に上ると聴く、茲に深く哀悼の意を表する次第である尚罹災者中には満州事変に出動中の将兵の家庭数百に上る由である。国民は宜しくこれを慰藉し出征将士をして後顧の憂いなからしむるよう力むべきである。
と満場拍手裏に懇ろに見舞の辞を述べ次いで山本内相登壇して内務省警保局の調査に基き震害地の災害状況、応急対策、警備状況などを各地方別に詳細に報告し災害地救済復興には万遺憾なきを期したいと述べ次いで日程に入り。
一、外国為替管理法案(政府提出)
一、米穀統制法案(政府提出)
一、米穀需給調節特別会計法中改正法案(同上)

陸軍省からも 慰問傍々調査

(東電)三陸地方災害地実地視察並に慰問の目的を以て荒木陸相は陸軍省軍事調査委員長長谷壽夫少将を代理として派遣した。同少将は井出少佐大久保大尉の両名を伴い四日午後十時三十分上野駅発宮城、岩手青森県地方に急行した。

救世軍慰問団

(東電)救世軍本営にては三陸地方震害の報に直ちに東北連隊長張田将校外数名の仕官を釜石地方に派遣して慰問運動を開始したが更に各支部をして古着其の他慰問品の募集をなさしめ一方五日より七日迄市の枢要な場所に社会鍋を出して慰問救護の義捐金の喜捨を請う筈である。

護国義勇団  岩手支部発会

護国義勇団岩手支部発会式は四日午後六時半より県公会堂大ホールに於て盛大に開催東京本部より特派の四王天延中将国士舘々長柴田徳次郎、同理事山田梯一氏、外田村子爵、上村高農校長、松本郷軍分会長、三田義正、柴内校長、中村助役、下杉教務課長各在郷分会長青訓生並に愛国義勇に燃ゆる男女中等校生約一千名出席。村井久太郎氏開会の挨拶を述べ次いで君ヶ代二唱あり。田村子爵恭しく教育勅語を奉読あり。終って田村子爵を支部長に林舘岡両大佐を副支部長に推戴し田村支部長の挨拶後来賓上村高農校長、松本郷軍分会長国崎連隊区司令官(中込副官代読)の祝辞あり。本部及び各支部からの祝電の披露あって一同起立両陛下の万歳を三唱後四王天中将柴田舘長山田理事三氏の公園で満場を感激させ同九時半盛会裏に閉会した。

救援連絡統制に  復興機関を設置   議会開会中に陳情    県議協議会で決定

四日の緊急県参閉会後三時から県会議長招請の県議協議会を開会佐々木議長以下議員二十余名県から石黒知事前田内務森部警察両部長出席し東海岸震災地救護状況並に復興方針について隔意なき意見の交換を行なったが多数意見は災害地復興機関を県に設置し事業の連絡統制を図ること復興資金及び生産資金の借入について議会開会中を機として政府上下両院に陳情を試み実現を期する等で復興資金に関しては村上議員から根本的対策を講ずるためこの際一億円程度を政府より融資をうけてはとの意見もあり資金に就いては二千万円乃至三千万円説等もあり災害地に対しては県会を代表し議員を特派し罹災民を慰問することとしその他諸般に亘っての対策を協議六時散会した。

県農会救助策

刻々と報導され来る三陸災害は予想以上であるので県農会では緊急措置として左の罹災民救助を行なった。
一、被害郡農会に対する指令
被害を受けざりし町村農会を督励し物資の義捐を勧奨して罹災民に配分すると共に郷土将兵に対し後顧の憂なからしむる様救護の徹底を期せられたき事
二、其他の郡市農会に対する指令前記の趣旨の下に町村農会を督励して義捐物資を夫々被害郡農会宛に送附する事
三、全国道府県農会に対する依頼帝国農会を通じて本県被害の惨状を詳報し県出身将兵に後顧の憂なからしむるべき国家的責任を喚起し義捐金品の募集を依頼せり
四、県農会は被害郡農会職員に対する応急救助として米穀味噌衣類等を送附せり

海嘯救助費は  追加二十七万円   緊急県参事会で決定

緊急県参事会は四日午後一時十分から開会石黒知事前田内務森部警察両部長等出席知事部長より詳細東海岸震災の状況と提案追加更正予算の内容を説明し満場一致左記原案を可決し午後二時半散会した。
△七年度県歳入歳出追加更正予算二百五十八万一千六百九十四円を二百五十九万二千二十六円に追加更正増額一万三百三十二円で震災警備費である。
△七年度県小学校教員恩給金歳入歳出更正予算三十六万七百四十五円を三十四万七千七百四十五円に更正一万三千円の減額
△七年度県罹災救助基金歳入歳出追加予算十一万百七十七円を二十六万九千百九十円に追加す東海岸海嘯救助費
尚罹災救助基金支出条例も可決された。

東海岸地方震災罹災者に県は罹災救助基金二十六万九千百十九円を流用するに四日決定を見た流用日目及び施設費は左の通りである。
一、避難所費    一、〇八〇円
二、食料費     八六、二五〇
 副食費及食器費等共 
三、寝具並被服費  七五、〇〇〇
四、治療費      七、三一〇
五、小屋掛費    三七、五〇〇
六、就業費     五〇、〇〇〇
七、学用品費     六、二五〇
八、運搬用器費    一、四四〇
九、人夫賃費       三六〇
十、埋葬費      四、〇〇〇
計        二六九、一九〇
一、避難所費    一、〇八〇円
 (一町村金三〇円ノ割三六ヶ町村分)
 被害町村
 気仙郡(一二)
 唐丹、吉浜、越喜来、綾里、赤崎、大船渡、広田、小友、米崎高田、気仙、末崎
上井郡(三)
 大槌、鵜住居、釜石
 下閉伊郡(一三)
 普代、田野畑、小本、田老、崎山、宮古、津軽石、重茂、大沢山田、船越、織笠、磯■
 九戸郡(八)
 種市、中野、侍浜、夏井、久慈宇部、野田、長内
二、食料費 八六、二五〇円(副食費及食器費等共)
 被害総戸数 八、六七九戸救済を要すべき戸数七、五〇〇戸
 一戸当五人平均)三七、五〇〇人内大人一八、七五〇人小人一八、七五〇人 二十日間づつ給するとせば
 大人延三七五、〇〇〇人十銭
 副食物三銭 四八、七五〇円
 小人延三七五、〇〇〇人 七銭
 同三銭 三七、五〇〇円
三、寝具並被服費七五、〇〇〇円
 被害総戸数 八、六七九戸此の人口四三、三九五人内被服を給すべきものは二五、〇〇〇
 大人一二、五〇〇人 一人当四、〇〇〇 五〇、〇〇〇円
 小人一二、五〇〇人 一人当二、〇〇〇 二五、〇〇〇円
四、治療費 七、三一〇円
 内訳
 入院費一、〇〇〇円 患者一〇〇人分 一人一日五〇銭二〇日分 一〇円(賓数二七六)
医師其の他傭料 三、七一〇円 医師一〇六人分(薬剤師看護婦等を含む)
 一人一日五円平坂各七日分 三五円
 薬品費 二、六〇〇円
 一斑 一〇〇円 二六班分
五、小屋掛費 三七、五〇〇円
 一戸平均 一五円 二、五〇〇戸分
 被害数 三、六三五戸
 内訳
 ■失 二、四五三戸 倒壊九七一戸 焼失二一一戸
六、就業費 五〇、〇〇〇円
 一戸平均 一〇円 五、〇〇〇戸分
七、学用品 六、二五〇円
 給与を要すべき罹児童見込 六、二五〇人(小人一二、五〇〇ノ半数)分一人平均一円
八、運搬費 一、四四〇円
 一町村 四〇円 六ヶ町村分
九、人夫費 三六〇円 一町村一〇円 三六ヶ町村分
一〇、埋葬費 四、〇〇〇〇銭 死亡者 一、〇〇〇人(実数一、三八〇人の内)分一人四円平均
県会では四日協議会を開いて協議の結果罹災地慰問のため宮古岩泉方面に下閉伊紫波盛岡郡市選出議員釜石に上閉伊稗貫和賀選出議員盛方面に気仙東西両磐選出議員久慈方面には二戸九戸両郡選出議員を夫々派遣するに決定慰問議員は五日一斉に出発し被害状況を詳細視察して復興資料を求める事になっている
県会では罹災地被害状況視察後再び県当局と打合せの上佐々木議長及び委員六名(政民各三名)を挙げて上京政府に復興資金借入の陳情を行なうことになったが委員は近く議長から指名の筈

和賀校長会議

和賀郡小学校長会議は四日午前九時半から黒沢尻小学校で開催左記件を附議決定したが午後一時からは下斗米視学佐藤社会教育主事の講演があった。
 六年度決算、八年度予算、社会教育に関する件、改正恩給法草案の件、基本金預金通帳処分の件、義捐金募集の件

畏し侍従御差遣  ゆうべ上野駅発宮城県庁で   五日御下賜金伝達

(東電)畏き辺りでは三陸地方大震災並に之に伴う津波火災の甚大なる旨を聴召され深く御軫念遊ばされ現状視察並びに罹災者御慰めの為侍従大金益次郎氏を同地方に御差遣の御沙汰あり。侍従は四日午後十時半上野駅発同地方に向う事になった。尚一方今明日中に 天皇皇后両陛下の御名を以て御救恤金を賜わる由である。
(東電)三陸地方の激震被害に対し畏き辺りでは大金侍従御差遣遊ばされる外特に多額の御救恤金を御下賜になったので湯浅宮相、牧野内府、鈴木侍従長以下側近者及び御傭員等職員一同は他省に率先し俸給中より義捐金を集めて送り又同時に衣類その他を取纏め罹災地に寄贈する事を四日決定の旨内務省に申出でる処あった。尚畏き辺りでは岩手宮城青森三県社会事業団体に対しても救援時事業の補助として賜金の御沙汰あらせられる御模様である。
(東電)三陸地方大震災地御慰問の思召しで御差遣の大命を拝受した大金侍従は野上属を従え四日午後十時半上野駅発午後午前七時仙台駅に着宮城県庁に於て御下賜金伝達の上震災各県当局と打合せを行い一週間乃至十日間の予定で三県下の震災状況を視察罹災地へ御慰問の聖旨を伝達して帰京し審に伏奏の筈。

拝受のため  前田内務部長  上仙

東海岸震災の被害激甚の趣畏くも天聴に達し本県に御内帑金三万円の御下賜と共に更に畏き辺りより大金侍従本県に御差遣の旨四日県に通達あったので石黒知事は青森県知事と仙台駅まで五日御出迎えする事になったが前田内務部長は拝受のため四日午後八時発上り列車で出発。尚侍従一行は二三日宮城県に滞在して宮城県の災害状況を視察した後本県に入り五日間にわたって詳細に視察せられる筈。

大金侍従  七日来県   本県下の視   察日程決定

畏き辺り御差遣の大金侍従は七日宮城県気仙沼町から来県され石黒知事の案内で気仙郡矢作、気仙米崎、小友、末崎、大船渡各町村八日赤崎、綾里、越喜来、吉浜、唐丹、釜石九日大槌、山田、宮古十日田老、十一日久慈、野田、中野種市の各罹災地を巡回具さに侵害の実況を視察することになった。尚丹羽社会局長官も随行震災地を視察する。

知事恐懼し  御礼言上   執奏方を乞う

四日午後宮内大臣より本県知事に
 本月三日管下強震のため被害少からざる趣聞召され御救恤として天皇皇后両陛下より金三万円を下賜せらる。
電報を以て恩命の伝達あったので石黒知事は恐懼し宮内大臣に御礼言上の執奏方を 乞うた。

発見した屍体  二百六十五箇   宮古にて 小森特派員発

 三日田老村を訪い四日下閉伊郡支庁に帰った小沢■は田老の惨状につき語る。
医者と共に陸路同地に赴いたところがキレイさぱりとなくなって海岸より三百米の家のあったところが一面砂浜と化し海面には舟の破片が沢山浮かんでいた駐在所の戸口調査■流失したので詳細の事は判明せぬが区長その他の話を綜合すると死者一千二百人以上に達して居る模様一家全滅は三十戸もあろうその中には五ツの女の子一人生き残って泣いて居るのもある屍体は今日迄二百六十五個発見されたが波が去った後砂浜から人の足が出たり手が出たりして居る一度波に浚われた家が打揚げられて火を発したその上に段々と家がうち上げられて押重なって火災を起した時は其火の中に七八十人位居たようで七八人の白骨が見られた駐在巡査はドテラのままで事務を取ったり救済に奔走して居る負傷者は百五十名で寺院に収用されて居るが何れも軽症で重傷者は波にすくわれたまま助からなかったのである。五日軍隊が来てバラックを樹てる事になって居る罹災者は気が抜けた様になって居て人の顔を見ると泣き出し何も聴く事が出来ない子供が老母にすがりついて泣いて居るなど悲惨な姿■沢山ある食糧は今の処間に合う位配給されて居るが交通不便の処だから見舞に行く人は自分の食う丈は持参する事だ。

軽鉄割引実施

(花巻電話)三陸震火災に際し釜石方面との唯一の交通機関である岩手軽鉄会社では罹災者に送るべき救恤品及び復旧建築材料運送の応急措置として左の如き規定で三日より当分の間取扱うことになった
一、品名 罹災者救恤用寄贈品を甲とす復旧建築材料を乙とす
一、発駅 社線各駅 着駅釜石遠野の両駅
一、取扱別 甲小荷物及各扱貨物乙各援貨物
一、賃金 甲 線釜石線及鉄索は無賃乙計線釜石線及鉄索五割減
一、荷受人 甲罹災地町村長又は遠野町乙一般
一、条件 イ乙に対しては県又は罹災地町村長に於て罹災者復旧建築材料たることを証明したる書類を提出すること ロ小荷物及特別小口扱貨物は集貨及配達を為さず
一、省線連帯 省線各駅より以上と同条件にて遠野仙人峠宛連帯輸送を為す(仙人峠駅着の上は直ちに釜石線へ直送の手配あり
一、臨時列車運転 三日より八日まで花巻駅発午前十一時五十分仙人峠駅着午後二時五十分臨時列車を運転し釜石線臨時列車に接続せしむ
一、救護事務 救護事務のため社線各駅より釜石駅に通行するものに対しては各市町村長または警察署長の証明あるものに限り当分無賃扱いとす
一、貨物運賃 釜石行商品に対しては社線及釜石線を通じて三割引とす

唐丹救援状況

四日午後一時半県警察部に到着せる気仙郡中最も悲惨を極めた唐丹村の罹災者救護状況左の如し
イ、小白浜部落は小学校に約二百名盛岩寺に約百名其他親戚に収容したり
ロ、本郷部落は花露部部落の親戚に収容せる者約二百名その他小白浜小学校に収容せり
ハ、華路部荒沢片岸の三部落罹災者は各部落親戚に収容せり
二、負傷者の措置
重傷者一三名は小白浜柴医院に収容手当中なり
三、罹災者救援状況
 イ、寝具衣類なき者九八七名
 ロ、食料品なき者三一〇〇名

益田軍医一行  田老重茂へ

宮古支局発)三日夜遅く宮古町に到着した。騎二四の益田軍医の救護班は同夜直ちに大半流失(家屋四百数十戸死者約五百)した田老方面に向い傷病者の応急手当を行ったが四日午後一時更に閉伊半島の寒村太平洋に面し殆んど海岸部落全滅した重茂村に向って急行したが同方面は交通不便にて徒歩連絡の外仕方なくために配給品も交附されずわずかに生き残った住民は殆んど飢餓と寒気のためいとど生色なく船を失って海岸方面の交通も杜絶しているが沿岸寒村はいずれも右同様の模様である。

沿岸被害調査  耕地整理課  総動員で

県耕地整理課では坂部課長を主体に課員総動員で沿岸被害地の復旧調査を行うことになった。復旧を要するものは田四百町、畑八百町合計一千二百町ある。四日次の通り調査隊を四班に分け出発した。
△第一斑 九戸郡、下閉伊郡内の普代村、露木技師三浦技手
△第二班 下閉伊郡北部(小本、田野畑、田老村の一部)佐藤与惣治技手
△第三班 下閉伊郡南部、芳賀技手
△第四班 上閉伊郡及気仙郡荒井技手、水城技手
費用は前の関東震災の例にならい全額国庫補助を申請する調査事項は次の通り
一、被害耕地反別及その程度
二、復旧工費(耕地保護施設費共)見込額
三、代耕地開発の希望の有無及その見込地
四、事業施行に関する手続

郵便局の  緊張振り   電話の殺到

盛岡郵便局では三陸地方震災突発後直ちに事務員十三名を岩泉田老普代、大槌、大船渡、方面へ派遣した。
 これに入代り仙台下り三人青森より五人 福島より三人 秋田より五人 黒沢尻一関方面より六人合計二十二人の手伝いを招いて事務を進めているが電報取扱い数は実に普断の十倍盛岡より出す物で普断の三〇〇に対し一六〇〇通盛岡より配達するものは普断の三五〇に対し一九〇〇という数を示している。
最も多忙を極めているのは東京方面よりの電報で奥羽六県新潟方面より来るもの青森北海道方面より海岸地方では釜石、山田、宮古より最も多く大槌地方は今の所全然音信不通だが目下工夫五六十名出張中なので五日頃からは開通されるものと見られている。
 係員一同今日で二日の徹夜だが非常な緊張振りで至急官報等は時間通りに送っている尚机上用紙整理のため十倍速力の自動機を五■具えて大いに能率を上げている

駆逐艦  投錨す   救護品を配給  宮古所長より四日午後県警察部に左の如く入電

第四駆逐艦秋風四日午前五時宮古入港艦長大井少佐、海軍大佐石戸勇一乗組、本日午前十一時四十分佐藤少佐外十三名当地に到着此の旨連隊区司令部工兵隊に通知ありたし。

更に駆逐艦派遣  毛布米等を積んで

(横須賀電話)横須賀鎮守府では三陸の罹災民に対し毛布三千枚米二百俵缶詰類二十貫を送る事となり四日夜駆逐艦に積んで横須賀を出発した。

日赤救護班普代へ

(久慈支局発)野田方面の被害甚だしきため日赤岩手支部病院より派遣の救護班は四日早朝久慈を出発更に普代方面に進出して罹災者の診療に当る筈であるが尚久慈郷軍分会青年団女子青年団等は救恤物資の輸送配給のため日赤救護班と同行した。