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“津波県会”を招集 三十日復旧対策を審議

県は二十五日午後の緊急部長会議で津波災害の臨時県議会を三十日召集することにきめた。
現在予定されている提出議案は災害救助法による災害救助の追加更正予算と公共事業に対する應急災害対策関係の二件で財政当局は災害救助費については福祉課から
災害対策費は関係各課から二十六日中に予算要求を受け、二十八日までに阿部知事査定を終わる。公共事業関係の災害復旧費は国の災害緊急査定を待たないと補助額が
きまらないので遅れる見込み。なお会期は一日か二日間くらいの予定。

公共施設の被害16億

県の中間集計 三光の実習船が破損
県は二十六日夜小川副知事らが調
査資料を持って災害復旧対策の陳
情第一陣として状況するので二十
五日夜から徹夜で被害額の集計に
当たっている。二十五日午後十時
まで判明したところでは水産、農
林、土木、学校など公共施設の約
十六億円の被害を与えている。こ
れは個人住宅、商品、電気通信施
設、鉄道などをふくまないもので、
これらの調査が終われば相当被害
全額がふえる見とおしである。
▽水産関係 大型船が北洋漁業に
 出漁中だったほかカキ、ノリが
 ほとんど収穫を終わっていたた
 め水産関係被害は、漁港被害一
 億円を合わせ八億一千二百十一
 万円にとどまった。しかし夏漁
 最盛期を前に施設された大型定
 置網の四四%が破損流失、一億
 円の被害を出した。このほか種
 子カキを設置したばかりのカキ
 ダナが大半こわれ一億五千万円
 漁船が動力、無動力合わせて一
 億八千万円の被害を出すなど施
 設被害が目立っている。また県
 北沿岸のワカメ、コンブがかな
 り流失したと見られている。被
 害額次のとおり。
 ◇施設▽共同施設六十五ヶ所=
 三千三百六十万円▽非共同施設
 五百二十九ヶ所=七千四百五十
 万円◇漁船▽動力船五百六十九
 隻=一億四千十三万円▽無動力
 船千八百三十九隻=三千八百六
 十六万円◇養殖施設▽ノリヒビ
 二万一千四百三十八件=八千九
 十二万円▽カキダナ四千三百三
 台=一億五千七百四十五万円◇
 漁具▽大型定置網六十六ヶ統=
 一億五百四十万円▽小型定置網
 百五十六ヶ統=六千七十四万円
 ▽刺し網その他の漁具二百十一
 件=八百三十六万円
▽農林関係 水田面積は比較的少
 ないが、田植え期を迎えた苗代
 が塩水の冠水を受け植え付け不
 能となった。また大船渡地方は
 暖地栽培として野菜栽培が盛ん
 だが、イチゴ、タマネギ、ジャ
 ガイモなども塩水の被害が大き
 く、収穫時の生産被害を含むと
 五億円程度の被害額が見込まれ
 ている。
▽県教委関係 小学生十人が死亡
 したほか小学生十八人、中学生
 十二人、合わせて三十人が負傷
 住宅の全半壊流失、浸水の被害
 をうけた小、中、高校の児童生
 徒数は七千二百四十五人におよ
 ぶ。また教職員関係では小学校
 教員一人が死亡、住宅の全半壊
 流失、浸水被災教員は六十七人
 となっている。教育施設の被害
 は、宮古市高浜小学校校舎が半
 壊したのをはじめ久慈高校の実
 習船“久慈丸”(七トン)が中破
 二十万五千円の損害をうけたほ
 か宮古水産高校の実習船“鏡
 丸”(十九トン)が大破し三百万
 円の損害、また広田水産高校の
 実習船“広田丸”(三十三トン)
 も大破(損害額不明)するなど
 二十五日夕刻までにわかったも
 のだけで一千百五十八万二千円
 の被害額に達している。
大槌町は九億円の被害
上閉伊郡大槌町役場が二十五日ま
とめたところによると津波の被害
総額は九億五千五百四十三万一千
円に達することがわかった。被害
集計次のとおり。
 ▽家屋=倒壊三六世帯(三千万
 円)同流失四四世帯(四千八百
 三十万円)同半壊一八七世帯(
 九千二百九十万円)▽床上浸水
 六三九世帯(一億二千六百四十
 万円)同床下浸水三四五世帯(
 百三万円)▽土木関係=桟橋一
 防波堤決壊一、水門取り付け損
 傷一、埋め立て道路海岸決壊一、
 橋の流失一、手某道路決壊二(
 計千五百九十万円)▽農業関係
 =苗代九、九〇〇平方メートル(四十
 八万九千円)水田二七ヘクタール(百四
 十万円)畑四ヘクタール(五十万円)果
 樹園二ヘクタール(二十万円)(計三百
 九万円)▽漁船=動力船流失二
 〇、同大破二七、同中破三〇、
 同小破一〇、無動力船流失一四
 一、同大破五〇、同中破一六(
 計二千四百四十五万円)▽工場
 関係=十七ヶ所(四億七千七百
 二十七万円)▽建て網流失七ヶ
 統(千九百九十万円)▽養殖関
 係カキ、コンブ(百二十四万九千
 円)▽一般商店被害七五店(五
 千四百八十五万円)▽漁船具(
 三千四百万円)
大船渡は七億越す
大船渡市災害対策本部では、津波
被害額をまとめているが、施設、
生産設備被害だけで七億一千五百
万円と推定されている。
 ▽家屋全半壊一千戸(五億五百
 万円)▽船舶沈没破損十隻(二
 千万円)▽カキキカダ流失二千
 台(一億二千五百万円)▽ワカ
 メ流失(二千万円)▽田畑調査
 中(約二千万円)
釜石市は一億八千万円
釜石市災害対
策本部は二十
五日津波の被
害を集計したが、家屋関係を除い
た桟橋、道路、道路橋りょうなど
の被害総額は一億七千八百九十九
万七千円に達した。被害の■況は
次のとおり。
 ▽家屋全壊一三、同半壊一九▽
 床家浸水七六九▽床下同四三▽
 非住家同六三▽船舶の流失破損
 一〇八▽桟橋破損二三▽堤防決
 壊三▽橋りょう流失二▽道路決
 壊二。

県の災害復旧対策 小川本部長に聞く 応急策に仮設住宅 恒久策は中央と折衝

県は災害復旧対策に全力をあげ、二十五日は小川副知事(災害対策本部長)吉岡総務部長らが自衛隊ヘリコプターに分乗し、現地視察
を行なったが、二十六日は小川副知事が状況、政府や国会関係などに災害状況を訴える。被災者はようやく津波のツメ跡から復興に立
ち上がっているが、件の強力な復旧対策をのぞんでいる。そこで小川副知事と本部こんごの対策で一問一答した。
 問い ヘリコプターで災害地の
 生々しい実情を視察したわけだ
 が印象はうか。
答え まったくひどい惨状という
ほかない。宮古は高浜、赤浜を中
心に人家が倒れ、耕地がつぶされ
山田は折笠築の被害が大きい。
大槌は小■川沿いがいためられて
いるが、釜石の富士製鉄専用岸壁
が破壊されている。大船渡はゴッ
タ返していたが、陸前高田もかな
りの被害で、特に鉄道、道路の
被害がかなり大きいようだ。二十
五日中には各出先機関や関係方面
から集めた被害調査がまとまるの
でこの資料を基に恒久対策を検討
するが、応急対策は十分とってお
り、人心の不安動揺を来さないよ
う望んでいる。
 問い 水産関係の被害が実に大
 きいが、この対策はどうか。
答え 漁船の残がいや、ノリダナ
カキ養殖施設などまったく見るも
無残なほどこわされている。また
定置漁業の施設が流失しているが
これら漁具、資材を流失、破損し
た者に対する措置、カキダネの手
配など十分やりたい。
 問い 農産物はどうか。
答え 耕地面積が割合少ないので
水産にくらべると少ないが、田植
え時期に当たっていたので苗代に
海水の入った箇所は影響が大きい
ようだ。したがって苗の補給は内
陸部の協力を得て行ないたい。
 問い 伝染病予防は応急措置と
 してもっと必要ではないか。
答え 衣料対策は県のほか厚生省
自衛隊、日赤、国立関係病院など
の協力を得て実施している。医薬
品の手配は大船渡地区を除いて現
地調達が十分できる。自衛隊から
は災害復旧、交通確保などの作業
に積極的な協力を得ているが、衛
生班も二十五日は東北方面総監部
本馬衛生課長以下三十人の青森衛
生中隊が大船渡、陸前高田で活躍
している。また二十六日は自衛隊
衛生学校予防衛生中隊三十五人が
同地区で給水、防疫に当たるので
万全だ。さいわい伝染病、破傷風
の報告はない。厚生省からは社会
局施設課厚生事務官佐藤重智、公
衆衛生局防疫課厚生技官山本亘正
の両氏が二十五日来県、指導に当
たっている。
 問い こんどの災害は公共施設
 よりも一般住宅や商店などに大
 きかったでのはないか。その点
 住宅対策、金融対策でとくに配
 慮する必要があるのではないか
答え たしかに道路、港湾、漁港
などの公共施設より個人財産に対
する被害が大きかった。このため
調査にも苦労しているが、十分県
として手を尽くしたい。住宅では
とりあえず仮設住宅をつくるかど
うか検討しているが、尚明建設省
住宅建設課長、塚本■太郎住宅金
融公庫仙台支所長に二十五日大船
渡、陸前高田地区を視察してもら
った。跡片づけが終わり次第、班
を編成し被災地全部を回り、住宅
資金の関係を打ち合わせることに
なっている。また市中銀行に対す
る融資の道なども考慮したい。
 問い 救援物資は順調に送られ
 ているか。
答え 大船渡、陸前高田以外は現
地調達できるので地元では直接当
たらせている。物資は緊急にトラ
ックで送っているが、一般県民か
らの寄贈も多い。なお大船渡、陸
前高田はヘリコプターで輸送する
ほどの必要に迫られていない。
 問い 恒久対策はどうするか。
答え 二十六日に私が上京し。調
査資料を政府、国会などに提出し
援助を折衝する、そのあと各部長
がそれぞれぞれ関係各省と交渉す
ることになるが、具体的な要望事
項は二十六日の部長会議で決定す
る。

県国会議員の災害地視察日程

【東京支社発】津
波被害状況視察のため社会党は二
十六日から視察団を派遣、また自
民党もそれぞれ視察団を派遣する
ことになったが、本県関係事項の
県内視察日程次のとおり。
 ▽小沢佐重喜氏二十八日夜水沢
 着、二十九日大船渡、陸前高田
 方面を視察▽北山愛郎氏、田中
 吾郎氏、二十六日陸前高田、大
 船渡両市、二十七日釜石、宮古両
 市、二十八日盛岡市を経て青森
 へ向かう▽鈴木善幸氏 二十九
 日まで各被災地を視察▽野原正
 勝氏 二十七日夜七時半青森か
 ら盛岡着、二十八、九両日県内
 被災地を視察後宮城県に向かう
 ▽谷村貞治氏二十九日朝花巻着
 二、三日県内視察。

社説

風土計

この春いらい、しきり
に不気味な地震が続き
津波の前ぶれではない
かと不吉な予感をいだ
かせてはいたが、とう
とう本ものになった。
パリ頂上会談の決裂と
国際不安の増大、それに自民党の
安保気■い強行など、あっけにと
られることばかり続いたそのあげ
くに、寝耳に水の大津波襲来とき
ては、まったく悪夢の連続で、こ
のところ“日本列島の恐怖”状態
というところだ▼津波の被害は日
を追ってふくれあがっている。人
命、家屋の被害だけでなく。経済
関係の被害も大きい。被災者に対
しては慰めの言葉もない▼“風光
明媚(び)のリアス式海岸”—こ
れが三陸海岸観光の宣伝文句にな
っている。だが、このノコギリ歯
海岸が津波となると、ものすごい
波高を招いて荒れ狂う。こんどの
場合も昭和八年の大津波と同様、
その勵にもれない。あまり自慢に
もならぬリアス式海岸ではあるが
“整形手術”ということもできま
い▼それにしても津波警報の遅れ
は痛かった。気象庁も「まったく
の奇襲で……」などと泣きごとを
いっている。月世界旅行の宇宙科
学時代に、観測予報さえ満足にで
きないとは心細い。気象庁に手ぬ
かりのあったことは明らかだが、
世界的な観測警報体制の強化が望
まれる▼アメリカは日本に“気象
観測用”と称してソ連領空に侵入
した黒いジェット機と同じU2型
機を配備している。だが軍事目的
に使用する余裕があっても、こう
した科学目的に活用する余裕がな
いのだろうか。この例にかぎらず
世界が悪用の面に費やしている科
学のエネルギーを純粋な科学目的
に投じたなら津波の恐怖など一掃
されよう。科学利用の偏向がにく
らしい▼それはそれとして、打ち
ひしがれた沿岸民への援助を急が
なくてはならない。災害救助法は
適用されたが、スズメの涙でしか
なかろう。政府、県、関係市町村
の救援対策はもちろん急を要する
が、一般の助け合い運動が切望さ
れるときだ▼本社は県やラジオ岩
手、日赤県支部、県■■協、NH
K盛岡放送局とともに義援金品の
募集をしている。夫と愛児を失っ
て悲嘆にくれる母親、建てたばか
りの家を家財道具もろとも失って
路頭に迷う家族など、みんなの暖
かい救援を待っている。一刻も早
い復興を願って、一人でも多くこ
の金品募集に協力しよう。

災害お見舞
 申し上げます
  大和証券

不慮の災害を
 お見舞申上げます
  八欧電機株式会社 
   取締役社長 八尾 敬次郎
   取締役副社長 冨田 東作
   専務取締役  河崎 五郎