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予知できなかったか 不意打ち津波 経験を超えた奇襲

太平洋岸を総なめにした大津波は、本県沿岸の大船渡、宮古、
釜石、久慈地方にもさんたんたる被害を与えた。浪源がちょう
ど日本の裏側の南米チリだっただけに、わが国では全く地震が
感じられないまま、予告なしに
襲われた。三陸津波をこれまで
何回となく経験している本県で
さえも、この“前ぶれなしの大津波”は津波常識を完全にくつ
がえしたものでこの点、今後の津波対策の上に重大な問題を提
起している。

“予報”再検討の機 検潮儀は知っていた

便宜措置を通達 被災地の金融

三陸津波に対処して二十四日、日
銀盛岡事務所と大蔵省盛岡財務部
は、被害地の金融措置をつぎの要
項に従ってとるよう県内金融機関
に通達した。
一、預金証書、通帳を流出した場
 合でも確認でそれは払い出しに
 応ずる。
一、届け出印鑑を流失した場合は
 指印でもよい。
一、事情によっては俸給生活資金
 を限度に、定期預金、定期積金
 の期限前払戻しに応ずる。
一、よごれた紙幣は各金融機関で
 引き換える。
一、国債をなくした場合は日銀仙
 台支店または代理店で相談に応
 ずる。

自動車便で確保 郵便業務の態勢

【仙台支社発】仙台郵政局は二十
四日、津波対策を協議し、ヘリコ
プターなどで輸送確保と情報連絡
に当たるほか次のことを決めた。
▽郵便業務 臨時運送自動車便の
 開設で郵便輸送を確保、被害地
 でも一回は集配を行なう。
▽貯金業務 郵便為替、貯金など
 の非常時払いを実施して被害者
 の要求に応ずる。貯金通帳を紛
 失した者でも預金者と確認した
 時は適用する。
▽保険業務 災害死亡者に対して
 は保険金の倍額を支払う。加入
 者に対する非常即時貸し付けの
 特例を講ずるほか巡回診療班を
 特派する。

米軍救援機物資を運ぶ

【青森発】米軍三沢基地では被害
が大きかった岩手、宮城三陸沿岸
の被害地へ救援物資を送るため、
二十四日午後一時四十三分第一陣
として待機中の米軍輸送機「CI
46」二機がかん詰め五百箱を積ん
で岩手県宮古、宮城県気仙沼両市
に向け飛び立った。
〔写真は宮古市高浜地区に救援物
資を積み飛来した米軍ヘリコプタ
ー〕

心強い救援活動 一本木駐とん部隊 三地区に四六〇人

岩手郡滝沢村一本木の自衛隊岩手
駐とん部隊は二十四日午前六時に
藤沢駐とん地司令を対策委員■と
する津波救援対策委員会を設け、
部隊の総力をあげて救援活動にあ
たっている。午前八時に大船渡、
釜石、宮古、久慈四市に七人編成
の偵察隊を出発させたが、県の要
請で同十時半に松井中隊長を隊長
として六十人が宮古市に、同十一
時半には小林大隊長を隊長とする
三百人が大船渡市に出発、午後に
は一個中隊百人が下閉伊郡山田町
に出発し救援に当たっている。こ
のほか大船渡方面には宮城縣■岡
駐とん隊からも一〇三建設大隊が
救援にかけつけた。
 なお青森県の米軍三沢基地から
 災害対策本部にはいった連絡に
 よると、米軍がヘリコプターで
 大船渡市、陸前高田市、宮古市
 山田町、大槌町の五地区に食糧
 衣類などを投下した。

被災民を元気づける

釜石地方の津波災害復旧のため岩
手郡滝沢村一本木の自衛隊特■連
隊から松岡二尉指揮の一個中隊六
十五人がジープとジーゼル車四台
で二十四日夕刻釜石に到着、災害
に打ちひしがれたし民たちを元気
づけている。

“実害ない”と判断 無視されたハワイ情報

二十四日太平洋岸一帯を襲った大津波
は全くの“寝耳に水”だった。一番早
く警報が出されたのは札幌管区気象台
の午前五時、被害の大きかった三陸沿
岸を受け持つ八戸地方気象台では同五
時十九分予報を出した。ところが津波
の第一波は同二時四十七分に岩手県宮
古で観測され、同五時十四分には八戸
で最高の五メートルを記録した。

“意表をつかれた” 和達長官、ミス認める

和達気象庁
長官は二十
四日午後一
時半から気
象庁で記者
会見を行ない、同■の津波警報の
出し遅れについて「全く意表をつ
いたもので勉強不足というほかは
ない」と次のように語った。
 こんどのチリ地震である程度の
 影響があるとは思ったが、これ
 だけの■■のものとは考えなか
 った。明治二十九年のチリの大
 地震のときでさえ検潮儀に感ず
 る程度だったので、こんな規模
 の津波が来るとは予想しなかっ
 た。ハワイからの警報も南太平
 洋向けのものだった。地球の裏
 側の地震が、これだけの被害を
 出したのは地球物理学史上には
 ない。文献、観測経験の限界を
 越えたものだ。これをきっかけ
 に世界的な警報体制をつくろよ
 う努めたい。
警報の出遅れについて気象庁では
①地球の裏側からの津波による
災害はこれまでになかった②情
報が不足していた③気象業務法
による津波警報は、日本近海の
地震に対して出すことになって
いる。
などをおもな理由にあげている。
しかし、同庁には二十三日午前中
にハワイの津波情報センターから
情報がはいっていた。この情報が
かえりみられなかったことに、こ
んどの大被害の原因の一半がある
といってよいようだ。これまでの
気象庁の説明によると状況は次の
ようだ。
 津波情報については現在、国際
 的なデーター交換協定はない。
 しかし在日米軍がいる関係で、
 太平洋地域に津波警報を出す米
 国■■であるホノルル沿岸測地
 局からの情報は常時同庁にはい
 る。こんどの場合も半日以上前
 の二十三日午前十時二十分には
 「チリ地震で被害を伴う津波が
 あるかもしれない」との一方が
 入電、さらに同日午後六時五十
 七分、強さの程度は不明だった
 ■ハワイ諸島に対する津波到着
 予想時間を含めた情報がもたら
 されている。
ところが気象庁地震課ではいまま
でにチリ付近の地震で実害のある
津波を受けた経験がないため、警
戒態勢をとらなかったという。こ
のため、ハワイからの第二報は退
庁時間後であったため予報官の手
もとに届かず、この失態を演じて
しまったわけだ。

情報が不足だった

広野地震課長の話 関東大震災を
 上回る大きな海底地震だったた
 め、思わぬ大被害となった。経
 験、情報不足による技術の限界
 をついて“奇襲”された。

観測史上最大の地震

“寝耳に水”の大津波来襲で■日本各地にかなりの被害が出た。こんどの災害の問題点は、気象庁の
津波警報が遅れたことと。震源地までの距離が遠い割りに高い津波を押しよせたことにあるようだ。

第一非常配備解く

【塩釜発】第二管区海上保安本部
は、二十四日午後六時管内各保安
部、巡視船にたいし、第一非常配
備を解除した。なお塩釜、八戸、
釜石の各保安部は引き続き第二非
常配備に切りかえ、津波にそなえ
て一応の警戒体制にはいってい
る。

引き続き警戒を要する 仙台管区気象台発表

【仙台発】仙台管区気象台は午後
五時津波の余波は今後も続き二十
五日朝まで厳重な警戒が必要だと
発表した。午後四時の満潮時には
各地ともかなりの波高をしめし、
八戸では二・七〇メートルを記録した。
二十五日午前二時の満潮まではこ
でまで通り反対波が押し寄せるた
め、引き続き警戒を要する。

青函連絡船平常運行に

【函館発】高潮のため混乱してい
た青函連絡船は、客貨あわせて上
り七本、下り十本が運休していた
が、二十四日午後になって水位も
平常にもどったので、午後下り十
三便摩周丸(函館着十一時五分)
同十七便十和田丸(同十四時二十
分)の両船は、午後四時二十分か
ら相次いで着岸、旅客を下船させ
た。
 このあと、出港を見合わせてい
 た午後二時三十分発の上り一八
 便摩周丸は二時間三十分遅れて
 午後五時函館を出港、ついで同
 五時五十分函館発上り十四便十
 和田丸から平常ダイヤにもどっ
 た。また、貨物船も上り一五六
 便から平常にもどっている。

早くも救援金品

三陸一帯を襲った津波被害は刻々
その規模を広めている。本社は県
その他の団体と協力、津波災害義
援金を募集しているが、二十四日
岩手日報社に早くも義援金品がよ
せられている。
 ▽盛岡市大沢川原町会(会長佐
 藤亀一郎氏)同町大沢川原地区
 第一子供会(会長斉藤権次郎氏
 )同第二子供会は計五千円を寄
 託したほか早速、救援物資を集
 めて近く発送する。
 ▽盛岡市茶畑東北製綿株式会社
 (社長川村徳助氏)は二十四日
 敷布団百枚を寄託。

市民に協力要望 水沢も募金運動

水沢市から二十四日朝佐藤市長と
議会代表の鈴木良平氏が大船渡市
へ見舞いにかけつけた。水沢市で
は同日午後、佐藤市長からの連絡
で市内商店に呼びかけ原価で購入
した毛布、下着類、はきもの■な
ど約百点(三万円相当)をとりあ
えず陸送した。一方、市福祉事務
所は同日から義援金募集を開始、
市の有線放送を通じて全市民に協
力を望んでいる。

マヒ状態で放置 釜石無処置に非難の声

津波襲来の二十四日午前四時半ご
ろから同七時まで釜石市内の電話
はマヒ状態に近く、各公共機関と
の連絡をはじめ、加人者の通話が
大混乱した。釜石電話局が非常時
態にもかかわらず夜勤者六人に交
換をまかせ、非常召集の措置をと
らなかったためで、市民から非難
の声があがっている。石田釜石電
話局長は
組合があとで問題にする恐れが
 あったので非常召集をしなかっ
 た。組合を問題にしすぎて判断
 を誤った。非常時のさいは交換
 手たちも自主的に出てくるのが
 本当でないか
といっている。これに対して組合
では
 非常災害の場合には組合などと
 関係なく局長の権限で召集でき
 る。とんでもない話だ
と怒っている。

津波に依る御被害を謹んで
御見舞申し上げます
 五月二十五日
 ソニー株式会社
 ソニー商事株式会社