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海嘯罹災者救恤義捐金募集広告

嗚呼明治二十九年六月十五日は如何なる凶日ぞや。本
県海岸挙げて海嘯に罹り同胞の死傷じつにその報を
得たるもの一万以上に達せり。その未詳に属するもの
を合わせばまさに幾万ぞや。加うるに家屋の流失財産の
蕩尽等惨状実に言うべかり。その僅かは万死を免れたる
ものといえども親子相分かれ夫妻相失し居るに家なく食
うに菜なく飢餓旦夕に迫り災後更に幾層の悲惨を
添え惟うに本県人士の仁慈にして義侠に富める先
年濃美の震害近県の水火災に対し大に奮て義捐金
を醵出せられたりき。今や本県内同胞のこの如き前
古未曾有の罹災に対しその如何の義侠心を発揮せら
れべきかはまた言うを要せざるを信ず。ただ不肖等本
県人士の便宜に供せんかためここに左の手続きを定め
もって義捐金募集の労に服せんとす。幸にこの挙を賛成
し相当の出金あらんことを切望す。敬白
明治二十九年六月十八日
発起人総代
服部一三
松橋宗之
本田時敏
鈴木愿治
入間川重遠
板垣政徳
一ノ倉貫一
新渡戸宗助
淺沼介助
津田壽昇
清岡等
一 義捐金額は多少を論せす各自の随意たるべき事。
一 義捐金は盛岡市役所内大森尹。南北岩手紫波郡
役所内松橋宗之。稗貫東西和賀郡役所内太田時
敏。謄澤江刺郡役所内鈴木愿治。西東磐井郡役
所内入間川重遠。気仙郡役所内板垣政徳。西南
閉伊郡役役所内一ノ倉貫一。東中北閉伊郡役所内
新渡戸宗助。南北九戸郡役所内淺沼介助。二郡
役所内津田壽昇において受領する事。
一 義捐金額の氏名は岩手公報をもって広告する事。
一 義捐金は随時県庁へ送付し便宜罹災者救恤の処
置を請う事。

岩手県海嘯罹災者救恤義 捐金額の氏名(第六回報告) (盛岡市の分)

金一円 七戸清常 金五十銭 中村留次郎
金五十銭 福井嘉七 金三十銭 原正助
金二十銭 下山英太郎 金七円 金田如春
金五円 石澤正 金三円 戸田内源次郎
金二円 長野又四郎 金一円五十銭 花坂吉身
金一円五十銭 梅木鐡郎 金一円五十銭 佐々木寅吉
金一円 川井源吉 金一円 山田耕哉
金八十銭 小笠原守衛 金十銭 中村善太郎
金十銭 松岡?二郎 金二十銭 高田芳五郎
金十銭 澁谷源吉 金十銭 藤島治八
金十銭 岡田省次郎 金二十銭 饗庭勝次郎
金十銭 藤村仁太郎 金二十銭 櫻田與助
金十銭 吉田勝次郎 金十銭 藤村専太郎
金十銭 田村權治 金十銭 北澤末吉
金五円 小林信貞 金二円五十銭 伊藤長七
金二円 興津吉衛 金一円五十銭 関定昌
金一円二十銭 畠山政共 金一円 藤澤拙蔵
金一円 上斗米高邦 金一円 久慈石次郎
金八十銭 沼山正太郎 金七十銭 多田正實
金六十銭 稻村正 金三円 梶田高八
金二円 梅内弓司 金二円 加藤重福
金一円五十銭 伊良子光信 金一円五十銭 一條牧夫
金一円二十銭 多羅間政輔 金一円十銭 杉村孝治
金一円中銭 板垣耕三 金一円 高濱賢次郎
金一円 中野政吉 金一円 内田祐蔵
金八十銭 古津藤吉 金二円三十銭 梶川鐵雄
金一円二十銭 工藤玄幹 金六十銭 池田熊太郎
金十五円 須田辰次郎 金十円 青山正夫
金五円 遠藤民次郎 金三円五十銭 近藤金次郎
金三円 太田七郎 金三円 相山明義
金三円 板垣源次郎 金三円 土岐やす子
金三円 工藤■治 金二円 大野貞吉
金二円五十銭 高木次雄 金一円五十銭 勝部偉太郎
金一円五十銭 葛巻佐太郎 金一円五十銭 眇田兵之助
金一円五十銭 今淵巌 金一円五十銭 上関とみ子
金一円 熊谷東之進 金一円 大江民治
金一円 中村貞 金五十銭 原勝多
金五十銭 野村定徳 金五十銭 斗ヶ澤吉治
金五十銭 菊池佐太郎 金五十銭 田鎖高吉
金五十銭 藤澤直治 金五十銭 大坂愛三
金三十銭 熊谷善太郎 金二十銭 八重樫由松
金二十銭 藤原金蔵 金二十銭 野川徳太郎
金二円 澤田定勝 金一円五十銭 榊原彌助
金一円二十銭 日下部次郎 金一円五十銭 山崎梓
金一円 糠塚由彌 金一円 福島幸吉
金五十銭 高橋吉資 金二円五十銭 三鬼鑑太郎
金六円 三輪属 金三円 島村属
金二円 金子属 金一円五十銭 中川属
金一円 福土属 金一円 佐々木属
金五十銭 桑原属 金二十円 多田綱宏
金十円 富田小一郎 金五円 加茂東作
金四円五十銭 葛親順 金四円五十銭 藤江■吉
金四円 田口小作 金三円五十銭 松本胤泰
金二円 佐藤総吉 金二円 駒ヶ岳忠行
金二円 海野融 金二円 猪川静雄
金二円 永原鉦作 金二円 藤田稔
金一円五十銭 一戸隆次郎 金一円五十銭 田丸欽哉
欽一円五十銭 一條基一 金一円五十銭 梅村胖
小以欽二百三十円六十銭
最初より合計金七千四百七十二円二十二銭二厘
総計金八千二百三十五円五十四銭五厘

今般三陸地方大海嘯の惨況に陥り刻下の窮状一報
は一報よりその悲凄を相増し来候。此場合に際し我
党有志の輩相議して此に応分の義財を投じ聊か同
胞瀕死の急を救わんと欲す。我党同士の士幸いに此
義挙を賛し左の募集の方法に因り多少の義捐あら
んとを切望の至りに不堪候■々敬具
一 送金は東京芝公園自由党本部内山田東次宛にて
送附するのこと。但為替は西久保郵便支局宛振込のと。
一 金銭受け取りの節は別に領収証を発せず金額及び氏名
を自由党々報と東京新聞に記載のこと。
一 金額募集期限は来七月十五日限りのこと。
六月二十三日 自由党有志

仙台市 東北新聞東北各浜古今未曾有の大惨状海嘯

被害の実況は東北新聞紙上詳細なる通信と綿密なる■■とによ
りて天下に訴えたる同胞罹災の実情を知らん
とする志士仁士請う看読せられよ。
東北新聞は軍事に精透せる有益の通信及び雑報あり外交上内
治上社会上実業上読んで面白く見て利益ある
記事論説多く東北新聞一種は少なくとも他新聞
ニ三種に相富すべし乞う続々御注文あれ。
東北新聞一ヶ月郵税共前金三十八銭
後金一切不送附郵便切手代用よろし。
仙台市国分町六番地 東北新聞社

今回の海嘯の節は早速御見舞い被下難有奉鳴謝候乍
略儀新聞紙上を以て右御厚禮申上候也。
陸中宮古 横坂權七
追って弊店儀海水の浸入を受けて屋内多少破壊有之候
得共幸に流失の難を免れ候に付既に修繕を加え従
前之通り営業仕候間倍奮御引立之程奉願上候。

去る十五日大海嘯の際拙者一人を除くの外家族八
名不残溺死且つ家宅流失に付寄寓慮を当分東閉伊
郡宮古町香安兵衛方に相定候此段辱知諸君に謹
告す。
東閉伊郡重茂村
明治二十九年六月二十日
田畑友二郎

死報

今泉 菊池仁丙
夫婦及び小児三名
濱田 吉田秀三郎
右唐丹小学校流失溺死々体無行方
末崎村駐在所詰
巡査 山口政成氏のみ生存
その他夫妻子皆溺死々体無行方
友誼上拙者より知己の諸君に報す。
今泉 上野英峻

無難

在宮古
大光寺忠恕
三井貞眞
中居源助
田中貞昌
澤田末蔵
岩渉誠三
佐々木辰實

六月二十六日七日眞宗本派法中会同海嘯変死者追吊
法要執行当日の懇志賽者一切を以て遺族者救恤に義捐致度候間有
志の諸士特に御参詣被下度此段広告候也。
盛岡市内十三日町 岩手教社本局

広告

赤十字社員医師 高橋元英
罹災患者救療事務所
右小友村字葉ノ木澤に設く。

実父陳越並に実弟永次郎儀去る十五日の一大海嘯
の為め死亡致候此段辱知諸君に謹告す。
気仙郡越喜来村浦濱尋常小学校内
明治二十九年六月二十一日 佐藤陳

精良蚕廉価販売
本紙六月ニ十五六日の広告欄
内を見よ海嘯罹災者へは特別ニ割引検査不合格の
ものあれば返金す。
七月五日
陸前国登米郡登米町
豊國舎主 杉田操