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南東閉伊気仙三郡方面
に向かいる日戸特派員
はすでに被害地にありて
第一回の報道は達した
り。鋭敏奇警なる観察力
に富みたる同氏の惨状
躍々の報道は爾今続々
至らん。而して本社はなお
これに満足せず。昨日更
に社員千葉丈之助を南
北九戸北閉伊三郡方面
に特派したれば被害地
全部満目凄その状況は
最も迅速に最も詳細に
報道することを得べし。大
方各位それこれを諒せよ。

明治二十九年六月二十日 岩手公報社

岩手県報

水災後衛生上の注意

海嘯後における疾病は土地家屋飲料水等より発生
するものなるは水の退くやまず第一に家屋を洗浄
して大気の流通を謀りこれを乾燥せしむべし。次て街
路庭園等に存在せる種々動?性の廃棄物を取り集め
これを屋傍その他において焼棄し土地の清潔を保つと同
時に居宅住地の乾燥を力むべし。而して汚泥塵芥等
の如きは遠くこれを安全の地に棄てる歎若しくは海中
に投する等のおよそ伝染病毒を醸成しまたはその媒介とな
るべきの害因は速やかにこれを除却するに尽力すべし。以
下事項を分けてその■領を左に示す。
一星傍の地面または溝渠等に残留する汚水は速やか
に疎通せしめまず第一にその沈澱したる汚泥
塵芥を掻き取るべし。
一飲料水は特に上自由を感ずるものなれば第
一に井戸を浚渫すべし。その浚方はまず近傍に
ある上潔の場所を掃除したる後取り掛かるべし。
一飲料水は当分必ず煮沸してこれを飲料に供す
べし。決して生水を飲むべからず。
一壁柱その他水に浸したる部分は石灰酸水また
は石灰乳(生石灰一合を水ニ升の割合にて
溶したるもの)を布に■して十分拭い床下
の汚泥はこれを掻き取りたる上生石灰を撒布す
べし。水に浸されざる部分といえども清水または湯
をもって洗浄すべし。特に居間厨房及び日用の道
具は丁寧に洗浄すべし。
一家の洗拭したりたるときは窓戸を残らず開放
し専ら大気を流通せしめまたは火力を借りて
乾燥することを務むべし。
一床板は一応これを剥がして洗いまた消毒を為し粗
塗りの壁は塗り替えるを可とす。その床板を剥がした
るときは■■塵芥等を集め火を焼くべし。
一面には家を乾燥し一面には他の塵芥をも
一時に焼燃するの便益あり。
一床下に溜まりたるきは現に上潔物を認めざる
もおよそ有害のものなれば必ず床板を剥がして
これを?出しその後泥土は掻き取りたる上生
石灰を撒布しこれを乾燥することを怠るべか
らず。
前項の清潔法乾燥法等を行うにあらざれば水の退
きたる後直ちにその家屋に起臥すべからず。その再に被
る所の災害は一箇月または二箇月を経て追々現れ来た
るものなれば家屋敷の掃除も行き届き湿気の全く除
きたるを待て帰住べし。
仮小屋に住ねる者は左の項を守るべし。
一仮小屋に在るときは可成多人敷同宿すべか
らず。
一敷物を厚くし湿気の身体に及ばざるように為
すべし。
一湿■したる衣?夜具は決して用うべからず。
一伝染病発生したるときは速やかにその病人を別所
に移し健康人と同宿せしむべたらず。
また仮小屋に住むこと能わずして水の退きたる後直ち
にその住宅に帰住するときは左の数項に注意すべし。
一各人の養生に注意すること。流行病あるときの
如く身体を温包し温暖な■飲食を用うべし。
一時に火を焚きて家内を乾燥しまた窓戸を開放し
て大気を流通せしむべし。就寝の前においては別
して必要とす。
一箪笥に棚具その他屋内の道具は壁際より一尺ばかりも
離し置き湿気の■散を妨げざるようにすべし。殊
に食物を貯うる器物は速やかに乾燥せしむべし。