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電灯、電話もつく 浜中村復興への足どり活発化 霧多布ー暮帰別間 イソ舟の通行始まる

[浜中村臨時支局発]津波の猛威にさらされた厚岸郡浜中村の被災地は、災害後二日目の二十五日午後からようやく人や車両の往来に
あわただしさをみせ、復興への足どりが活発になってきた。

この日午前は、まずイソ舟にロー
プを張り、霧多布市街地ー暮帰別
間の必死の通行からはじまった。
橋が流失して陸上交通がすっかり
途絶えていただけに、住民の喜び
は大きいが、大橋、潮見橋などの流
失箇所に、それぞれロープを張っ
て、三度も渡船を乗り換えるとい
うスローモーぶり。だから人こそ
往来はできるが、ちょっとした連
絡や救護物資の支給は、ともする
とにぶりがちだ。
 海面には当時の惨状を物語るよ
 うに、いまだに木材や衣類が一
 面に散乱し、漂っている。津波
 のおそれもやっと消えて、ホッ
 とした漁民たちだが、朝からイ
 ソ舟をあやつり、泥海にうき沈
 みする衣類を奪い合うように拾
 っている姿は、いちまつの寂し
 ささえ漂わせている。
想像をはるかにこえるツメ跡に、
霧多布の人たちはぼう然とした表
情だが、中でも乳のみ子をかかえ
た母親たちは、あまりのショック
に母乳がそろって止まるという気
の毒な状態が起きた。あわてた釧
路保健所では、二十人のミルク三
十日分を、二十五日夕刻に届けた。
釧路地方教育局からは、岩田局長
らが来村、学校の調査をしたが、
榊、霧多布両小をはじめ、村内九
つの小、中学校とも建物の被害の
まったくないことがわかり、不幸
中の幸いとホッとさせている。ま
たさきに行くえ不明を伝えられた
二人の児童、生徒もその後無事な
ことが明らかとなり、千二百八十
三人の児童、生徒の全員無事が確
認された。しかし、各学校とも被
災者の収容所として使われている
ため、開校などは思いもよらず、
いまのところ無期限の臨時休校。
それに教科書をなくした児童、生
徒も多いので、災害救助法による
教科書の無償配布を受けようと、
いまその必要数をとりまとめてい
る。
 交通、通信機関をみると、浜中
 ー霧多布間のバスも、車が霧多
 布に押し込められたままなの
 で、橋ができるまで当分運休だ
 が、近く浜中から榊町まで運転
 するといわれ、二十四日朝から
 停電していた霧多布市街には、
 二十五日夕刻から電灯がつき、
 午後六時からは浜中ー霧多布間
 に電話一回線も開通した。これ
 らは二十四日午後から暗黒現
 地にはいって復旧作業に当たっ
 た北電の電工さんたち五十人の
 働きによるもので、わがことの
 ように喜んでいた。
道路補修に乗り込んできた自衛隊
も、二十五日午後からは隊員と車
両をふやし、本部も榊町小から浜
中中に移して、二百三十人の隊員
が道路の補修に全力をあげてい
る。二十六日からは仮渡橋も仮設
してくれるという。被災地にもっ
ともおそろしい伝染病を防ごうと
釧路保健所員の防疫消毒の活動も
盛んで、自衛隊員二十五人の手助
けもえて、榊町、暮帰別地区の消
毒薬散布、井戸水の塩素滅菌など
が手早く行なわれた。浜中村郵便
局でも二十五日午後一時から榊町
法華寺の災害対策本部で、現金五
十万円を用意して臨時出張所を開
いたが、被災者たちは貯金、保険
などの払い出しどころか、身の回
りの整理にいっぱいで、局の窓口
は手持ちぶさた。局員もいささか
拍子抜けの様子だった。関係官庁
の視察もあいつぎ、二十五日も後
藤道民生部長、小林道開発局港湾
課長、浜田道警本部刑事部長、川
井道警釧路方面本部長らが来村、
視察や対策協議に走り回っていた
が、これら復興へのいろいろな面
への動きとともに、被災者の救済
対策も次第に進み、釧路市および
隣接町村からの食糧など救援物資
も海陸から続々とはいっている。
 二十六日には浜中村の議員協議
 会が開かれるが、被害があまり
 にも大きく、また十勝沖地震の
 痛手も残っているため、復興計
 画については、困難な問題が山
 積しており、とくに村が発表し
 た死亡者の名前は、濁流にさら
 われた者のうち、生存不明者を
 あげているが、二十五日夜まで
 に収容した遺体はたった四体。
 行くえ不明については、まった
 く手がかりもないありさまで、
 生死の問題は各方面の復興模様
 とは、ウラハラな姿を描いてい
 るようだ。

[写真]上 霧多布ー暮帰別間をイソ舟で渡る部落民
   下 霧多布市街地の災害跡片づけ


 津波にさらわれた
 老女の死体あがる
[広尾]二十五日午後一時ごろ、
広尾町オナオベツ浜に老女の水死
体が打ちあげられているのをコン
ブ拾いをしていた同町■■津白幡
吉春さん(四三)が見つけた。広尾署
で検視の結果、二十四日未明広尾
港内でノリ採り中津波にさらわれ
行くえ不明になった同町東通り五
丁目無職山岸モトさん(七二)とわか
った。

”災害危険地”にしたい 視察の道民生部長語る

[浜中]後藤道民生部長は浜中村
の災害状況を視察するため二十五
日午前十時十四分着列車で来村、
巡視船”かわぎり”で霧多布市街
にはいり、被災地を視察、鳥居浜
中村長らと復旧救助対策を協議し
たのち、釧路に向かった。同部長
は災害救助対策について「被害は
予想以上にひどい。できるだけの
ことはするが、海岸地帯の被害危
険地域の指定については、村の同
意があればやりたい」とつぎのよ
うに語った。
 被害戸数などは連絡を受けてい
 たので大体わかっていたが、海
 産干し場などもやられているの
 で予想以上のものだ。こんどの
 被災箇所は十勝沖地震でもやら
 れた危険なところで、ここを使
 用しているのはやむをえないも
 のと考えるが、復興計画には災
 害を避けるためにも村の同意が
 ありしだい、建築基準法によ
 り災害危険地域の指定をして住
 宅建築を禁止したい。

郵政省、被害地
に寄付金を支給

郵政省
では、
こんどの津波被害地にお年玉付き
年賀はがきの寄付金の一部を支給
することを決め、二十五日、道東
京事務所に配分申請を出すよう申
し入れがあった。配分対象は災害
救助法発動地区が原則で、道内の
場合は浜中村だけに限られてい
る。このため同日、道側が郵政省
と折衝した結果、救助法は発動さ
れないが、床上浸水被害の多い函
館市にも配分することになった。
 本道への配分額は二十万円程度
 の予定で救援物資購入費にあて
 られる。配分額算定の基準は全
 壊、流失住居は一戸当たり三百
 円、半壊、床上浸水はその四分
 の一となっている。

 災害地に内地米特配
食糧庁は二十五日、津波災害の著
しい市町村の消費者に内地米を臨
時特配する方針を決め、本道はじ
め十道県知事に通達した。これは
被災地のヤミ米の値上がりなどを
防ぐためで、知事がとくに指定し
た市町村の被災者に内地米一人当
たり二キロ・グラムずつ有償で特配され
る。この特別購入券(乙券)は関
係市町村役場で交付される。

死者、不明は百八十人 津波の全国被害集計

警察庁が二十五日午後十時までに
まとめた調査によると、チリ地震
津波による全国の被害者は死者九十
五人、行くえ不明八十五人、負傷
者八百五十四人、家屋の全壊二千
二、流失千二百十六、半壊二千一
戸となった。また田畑の流失は二
百五十九ヘクタール(二百五十九町歩)冠
水も千三百四ヘクタール、船舶の沈没百九
隻、流失九百九十三隻、破損八百
二十三隻、被災世帯は三万六千三
百九十二世帯、被災者は十七万二
千二百七十三人にのぼっている。
なお死傷者、流失船舶数はいまま
での調査と食い違っているが、こ
れは岩手、宮崎両県下などで調査
の手違いがあったためである。災
害の大きかった地域の状況つぎの
とおり。
 北海道 死者十、行くえ不明四
 十四、負傷者十五人。家屋全壊
 百七十二、半壊百六十二、流失
 二百四十八。床上浸水二千四百
 五十六、床下浸水八百二十二、
 田畑冠水四千五百六十五ヘクタール。木
 材流失六千三百五十立方メートル、船
 舶沈没六十三、流失三十二、破
 損七十八、被災三千二百五十四
 世帯。

 青森 死者一、行くえ不明三、
 負傷者三、家屋全壊二十四、半
 壊九十一、流失八。床上浸水千
 四百七十六、床下浸水二千四百
 九十。田畑流失、冠水八十八ヘクタール、
 船舶沈没、流失十九、破損三百
 四十二、被災五千三世帯。

 岩手 死者四十八、行くえ不明
 十九、負傷二百六、家屋全壊五
 百八十九、半壊七百七、流失六
 百九十、床上浸水三千五百六
 十、床下浸水二千二百三十二、
 田畑流失、冠水二百七十二ヘクタール、
 船舶沈没十三、流失二百五十
 三、破損二百二十、被災六千八
 百五十八世帯。

 宮城 死者三十二、行くえ不明
 十八、負傷者六百二十五、家屋
 全壊千二百六、半壊八百八十
 九、流失二百六十九、床上浸水
 七千七百四十八、床下浸水六千
 九十七、田畑流失、冠水八百四
 十五ヘクタール、船舶沈没四、流失六百
 九十、破損八十七、被災一万四
 千五十五世帯。

 三重 家屋全壊二、半壊八十
 五、流失一、床上浸水三千二百
 二、床下浸水二千八百九十、田
 畑流失、冠水四百十六ヘクタール、船舶
 沈没二、流失三、破損二十八、
 被災三千二百九十世帯。

チリでまた激震

[サンチアゴ二十五日発=UPI
=共同]チリ南部で二十五日ふた
たび四回にわたって激震が起こ
り、津波と火山爆発も起こってい
る。半世紀にわたって沈黙を続け
ていた九つの火山が煙りを吹き、火
山灰と溶岩がすでに広範囲な地域
に広がり、チリ史上最悪の地震の
状況を呈している。
 当局によると、四回の新しい地
 震がさきに地震に見舞われた地
 域を見舞った。このためふたた
 び巨大な津波が発生、チリの南
 部海岸沿いの村を全部破壊し
 た。
サンチアゴ地震観測所の記録によ
ると、二十五日の新しい地震の震
源地は、チリ南端タイタオ半島突
端南方約千六百キロの地点である。

 引き続き注意要す
   札管区気象台津波情報第十一号
札幌管区気象台は二十五日午後十
一時四十五分、津波情報第十一号
を出した。チリ地震の津波はその
後弱くなっているが、二十六日午
前二時ごろふたたび潮位が高くな
る可能性があるので、現在まで被
害を生じた地区は引き続き注意し
てください。

 心配はない
   気象庁津波情報
気象庁観測部は二十六日午前零時
二十五分「津波は一応おさまり、
心配はない」とつぎのような津波
情報を発表した。
 チリ地震津波は現在は一応おさ
 まった。チリではその後、二十
 五日午前八時二十分に激震があ
 ったが、日本に被害をおよぼす
 ような津波を起こすものではな
 く、心配はない。なお二十五日
 の津波の反射波が再び日本にく
 るとすれば二十六日午前二時ー
 五時ごろだが、これも心配はな
 い見込み。

「チリ地震津
 波」と呼称
気象庁は二十
五日午後三時
半、二十四日未明から本土太平洋
岸を襲った津波を「チリ地震津波」
と呼ぶと発表した。

 徹夜で津波の
 再来を警戒
   函館、上磯地方
[函館]生色を取り戻したのもつ
かの間二十五日夜ふたたび津波
が来襲するとの情報に函館、上磯
被災民はふたたび■■、避難した
まま一夜をあかした。
 札幌管区気象台では、二十五日
 午後十一時四十五分、津波情報
 第十一号を出したが、函館海洋
 気象台の話によると、二十六日
 午前三時二十分前後の満潮時
 で、平均水位より一メートル程度ふえ
 るとのことだったが、函館、上
 磯ではいち早く警戒体制にはい
 った。とくに前日の津波でもっ
 ともひどく痛めつけられた駅前
 マーケットの被災民のなかに
 は、早速避難するものも現われ
 た。
一方、函館中央■、函館消防本部
はパトカー、消防車を繰り出し岸
壁一帯をパトロール。また同じく
前日被害をうけた上磯町では、消
防車のサイレン警報に被災民が夜
具をかついで続々山に避難した。
しかし二十六日午前三時の状況で
は、平均水位を約六十センチふえた程
度で被害はなかった。

津波によるご被害を
慎んで お見舞い申し上げます

       精工舎

慎んで水害お見舞申し上げます

御地水害の実情を知り、何よりもまず
皆様のご安否のほどをお案じ申し上げて
おります。とりあえず紙上をもってお見
舞申し上げます。

  株式会社 富士銀行
    頭取 金子 鋭