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社告・社員特派

陸前(匹陸中(匹陸奥の東海岸に起りたる今回の海嘯ハ
實に非常の慘状を極めしものに付吾社ハ其實際の
情況を詳細報道せんがため特に社員横川
勇次をして一昨夜至急出發避難地方に向はし
めたり就てハ其避難の模様ハ同氏の通信に依り細
大漏らさず迅速精確に報道すべきなり

社告・海嘯遭難者義捐金募集

地震(匹洪水(匹火事(匹旱魃(匹孰か人生の災禍にあらざら
ん然れとも其尤も憫むべきハ海嘯の害より太甚し
きハなし何となれバ其來るや特に急劇にして而し
て遂に之を避くるの道あらされバなり抑々今回の
三陸東海岸に起りし大海嘯ハ電信不通の塲所もあ
りて未だ之を詳悉する能はずといへども現に判明
せしのみにても其家屋の流失人民の死亡實に夥し
き數にして近古未曾有の非常なる一大變災と謂ふ
べく此内辛くして危難を免れたるも忽ち衣食に窮
し悲愴慘名状すべからざるの不幸に陥りしもの
も極めて多からん此慘苦を視て一滴の涙なきもの
ハ人にあらざるなり吾社ハ乃ち此に世の大慈悲心
大義侠氣に富める有情者に訴へ汎く義捐金を募り
以て聊か遭難者救助の一部に充んとす其義捐金取
扱手續ハ左の如し
一義捐金ハ十錢以上に限る
一義捐金ハ必ず其住所姓名を明記し本社に送致
 せれるべし
一本社ハ義援者に対して一々其領取書を出すべ
 し
一義捐金募集締切期日弁に其配与方法手續等ハ
 追て報告すべし
明治廿九年六月十八日
村山合名東京朝日新聞會社

雜報・大海嘯續報

左に記すハ一昨日本誌締切後に接手して直ちに欄
外に掲げ或ハ之を掲ぐるに及ばざりしものにて欄
外の分も印刷中にて漏れたるもの多かるべきに依
り今一併に之を再録す

雜報・原因

今回の海嘯に依り其被害最も甚だしく慘状を極め
たらんと思はるヽ石巻以北の海岸ハ電信不通とな
国あり
☆☆☆爲め未だ其詳報を得るに由なく随て其原因
を究むるに困しむと雖も今中央氣象台員の話に依れバ
今回海嘯に伴ひ起りたる地震ハ十五日の午後
六時頃より十六日の午前迄に青森に卅三回東京
に廿六回福島に十五回甲府に十回山形に七回境に
二回彦根に二回宇都宮に二回函館(匹根室(匹新潟(匹銚
子(匹石巻の各所に一回宛の震動ありしが斯く數回
の多きに拘らず其震力頗る微弱にして感動區域
廣大なりしより考ふれバ蓋し陸上を距る甚だ遠き
海中に於て大隆起(陸上なれバ噴火の意味)若くハ
大地スベリありて其餘波遂に大海嘯となりしもの
ならんと云へり(以上前號欄外再記)

雜報・海嘯と電信

逓信省着の電報左の如し