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昭和八年三月三日の未明、三陸地方を襲へる津浪は我が岩手県に於て最も殘暴を逞しうし、轉瞬の裡に許多の人命を簒ひ鉅萬の財富を空しうす。比年漁農の不况に艱める沿岸三十六町村の罹災民は、今復た住家を流亡し父母骨肉を喪ひ、斷礎廢圃の間に竚みて食ふに糧無く著るに衣無く唯凍餒の悲しみに哭くのみ、その慘憺眞に言辭に絶したり.
皇上畏くも罹災蒼生の上を御軫憂あらせられ、震災の直後御内帑金を頒ち且つ侍從を遣はして親しく慰恤せさせ給ひ皇后宮いたく傷病者並に孤獨を衿みて被服を賜はり皇王族各宮殿下亦厚く御賑恤あらせ給ふ。天恩の鴻大皇室の御仁慈洵に惶懼窮り莫し。
政府當局は滲害の劇甚なるに深く同情し直ちに復舊の對策を樹てられ、貴衆兩院は之を賛して即日其の豫算案を議決せらる。又陸海軍、各府県、公私各種團體を始め満洲國其の他海外より絶大なる救援を寄せられ、以て危急に應じ得たるは県民の永く感謝措かざる所なり。
県民は即ち皇室の殊寵に感孚し同胞の匡勵に奮起し心を一にし力を戮せて罹災の同胞を激勵し、克く艱難缺乏に耐へて一意復興の事に臥薪嘗膽の努力を效すこと茲に一年、舊容略々回復し復興の画策亦既に其の緒に就き新興繁榮の地たるを得んこと將に邇きに在り、之を往日百里の海濱一切を滅却して荒涼に歸し鬼果啾々轉た斷腸の思ひありたるの慘状と相比すれば感慨寔に深し。
想ふに本県は往昔より津浪の慘禍を蒙ること頻りにして就中明治二十九年に於ける津浪はその慘虐遙かに今次に超え當時奇蹟に生くる者は善く自ら警めて不時の災變に處するの用意ありしも、時の遷るに隨ひて漸く人心の緩怠を馴致せり。是れ實に今次の殃災をして其の損害を愈々大ならしめたる因由なりとす。爰に震災第一周年を迎ふるに方り被害の情况、應急善後の措置、復舊計画等の大要を纂緝して本書を成せる所以は、永く皇室の御仁慈を肝銘し同胞の友情を記念すると共に、史實を後世に遺して將來の鑑戒と爲し県民臼警の規範たらしめんとするの微意に他ならず。
方今世情愈々多難にして倍々県民の淬勵刻苦を要するの秋常に往年の辛酸を想起して荒怠を戒め、自彊自奮、速に復興の
實績を擧げ防災の施設を完備し以て斯かる慘禍を貳びせざらんことは、予の切に冀ひて已まざる所なり。
昭和九年三月
岩手県知事石黒英彦


御沙汰書寫
岩手県
今般其管内震災ノ爲損害不尠趣被聞食思召ヲ以テ
天皇
皇后兩陛下ヨリ御救恤トシテ金參萬圓下賜候事
昭和八年三月四日
宮内省
皇后陛下御下賜品目録寫
一 衣服地 百五拾壹人分
一 裁縫料金 百五拾壼圓
岩手県下震災ニ付罹災傷病者並六十歳以上十四歳
未満ノ孤獨者
告諭第一號
今曉三陸沿岸二於ケル強震二伴ヘル海嘯並火災ハ被害甚大ニシテ往年ノ慘害ヲ想ハシムルモノアリ之力罹災同胞ノ救援二就テハ各方面二於テ同胞共済ノ精紳二基キ至大ノ努力ヲ致サレツツアリト信スルモ此ノ際特二県民心ヲ協セ萬難ヲ排シ罹災同胞ノ救済並被害地町村ノ復興二當ラルヘシ時恰モ郷土將兵ハ熱河掃匪ノ爲盡忠報國ノ至誠ヲ輸シツッアリ希クハ忠勇ナル出動將兵ヲシテ後顧ノ憂ナカラシムルニ努メラルヘシ
昭和八年三月三日
岩手県知事石黒英彦
告諭第二號
三陸沿岸ヲ襲ヘル震災海嘯ノ被害甚大ナルヲ被聞召畏クモ天皇
皇后兩陛下ニ於カセラレテハ深ク御軫念遊ハサレ特ニ優渥ナル御沙汰ヲ賜ヒ侍從ヲ遣ハサレテ親シク罹災民ヲ慰メ御内帑ヲ開キ給ヒテ救恤ノ資ヲ御下賜アラセラル
聖慮鴻大
天恩無窮誠ニ恐懼感激ノ至ニ堪ヘス
惟フニ今次ノ災害ハ稀有ノ慘事ナリト雖県民ハ不撓不屈相勵ミ相助ケ鋭意復興ニ力ヲ輸シ進テ將來ノ計ヲ樹テ以テ聖恩二對へ奉ランコトヲ期スヘシ
昭和八年三月五日
岩手県知事石黒英彦


岩手県告諭第一號
昨春津浪ノ災禍以來罹災民並ニ一般ノ県民ハ上皇室ノ惠撫賑恤ノ殊寵二感孚シ下全國同胞ノ慰恤匡勵二奮起シ協心戮力萬難ヲ排シテ夙二復興ノ計ヲ樹テ今當ニ更生善後ノ事功著シキモノアルハ喜ビニ堪ヘザルナリ
然リト雖モ災餘ノ民力未ダ恢復セズ復舊ノ經營モ其ノ一階梯二達セルニ過ギス夫ノ災禍ノ日居ルニ家無ク求メテ食無キノ慘苦ヲ忘レ敢テ今日ノ小成ニ安ンズルヲ容ルサザルナリ
茲ニ震災第一周年ヲ迎へ具ニ往時ヲ回想シテ感慨無量ナリ宜シク弔祭ノ禮ヲ惇クシテ靈魂ヲ弔ヒ県民倍々相警メ相勵マシテ復興ノ實績ヲ擧ゲ進ンデ本県富力ノ伸暢ニ努メ以テ上聖明ニ對ヘマッリ下同胞ノ懇誠ニ報イムコトヲ期セラ ルベシ
昭和九年三月三日
岩手県知事石黒英彦

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写真 罹災地御慰問の大金侍從(其一)(氣仙郡氣仙町)
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写真 罹災地御慰問の大金侍從(其二)(氣仙郡小友村)
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写真 罹災地御慰問の大金侍從(其三)(氣仙郡越喜来村)
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写真 罹災地御慰問の大金侍從(其四)(上閉伊郡釜石町)
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写真 罹災地御慰問の大金侍從(其五)(上閉伊郡大槌町)
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写真 罹災地御慰問の大金侍從(其六)(下閉伊郡山田町)
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写真 罹災地御慰問の大金侍從(其七)(下閉伊郡田老村)
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写真 罹災地御慰問の大金侍從(其八)(九戸郡長内村)
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写真 罹災地御慰問の大金侍從(其九)(九戸郡中野村)
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写真 罹災地御慰問の大金侍從(其十)(九戸郡種市村)
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写真 大槌町の惨状復旧状況御視察の東久邇第二師團長宮殿下(其一)(氣仙郡唐丹村片岸)
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写真 大槌町の惨状復旧状況御視察の東久邇第二師團長宮殿下(其二)(上閉伊郡釜石町)
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写真 大槌町の惨状復旧状況御視察の東久邇第二師團長宮殿下(其三)(上閉伊郡鵜住居村)
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写真 罹災地視察の陸軍大臣代理谷少將(氣仙郡唐丹村小本濱)
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写真 罹災地巡視の丹羽社會局長官(上閉伊郡釜石港)
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写真 滿洲出征兵の家族を慰問する石黒知事(下閉伊郡山田町)
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写真 >三陸地震記象(初動部上下動)(盛岡測候所記録)
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写真 三陸地震記象(初動部水平動)(盛岡測候所記録)
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写真 全滅に近き氣仙町長部の惨状
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写真 復舊成れる氣仙町長部部落
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写真 悲惨なる小友村の倒壊家屋
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写真 漁船復舊せる小友村唯出港
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写真 廣田村泊濱の惨状
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写真 廣田村の高地住宅適地完成
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写真 荒涼たる末崎村の海岸
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写真 末崎村の高地住宅適地完成
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写真 復舊したる延縄出漁準備の末崎村細浦港
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写真 米崎村脇ノ澤の漁業組合共同倉庫復舊
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写真 惨たる大船渡港の倒壊家屋
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写真 復興途上の大船渡港
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写真 赤崎村惨状の一部
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写真 漁船復舊せる赤崎村
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写真 赤崎村漁業組合の牡蠣處理場
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写真 復舊せる赤崎村小學校
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写真 兇浪に洗ひ去られた綾里村港
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写真 綾里村港船揚場の復舊
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写真 越喜來村の溶解家屋
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写真 越喜來村の漁船及船揚場の復舊
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写真 荒耕廢地の復舊成れる吉濱村
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写真 跡方もなき唐丹村白濱の惨状
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写真 防潮堤及耕地の復舊せる唐丹村
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写真 唐丹村白浜の復舊
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写真 津波直前の釜石港(南半)罹災地指圧の後藤農林大臣一行(氣仙郡廣田村)
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写真 釜石町の倒壊家屋
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写真 津浪直前の釜石港(北半)
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写真 津浪と火災に襲はれた釜石町(仲町附近)
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写真 復舊成れる釜石町の一部
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写真 復舊せる釜石町魚市場
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写真 鵜住居村の惨状(其一)
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写真 鵜住居村の惨状(其二)
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写真 鵜住居村の護岸工事
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写真 漁船の復舊を急ぐ鵜住居村雨石
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写真 大槌町吉里吉里の破船の集積
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写真 大槌町の惨状
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写真 動力漁船の復舊したる大槌町
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写真 完成せる吉里吉里共同製造倉庫
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写真 船越村田の濱の惨状
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写真 船越村の稚蠶共同飼育所(右)と漁船(左)の復舊
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写真 復舊せる織笠村の海苔養殖場
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写真 復舊せる織笠村海苔乾燥場
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写真 山田町の惨状(其一)
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写真 山田町の惨状(其二)
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写真 山田町の街路復旧工事(其一)
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写真 山田町の街路復旧工事(其二)
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写真 大槌村の住宅復舊
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写真 復舊せる重茂村の採鮑場
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写真 磯鷄村の共同製造所復舊
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写真 磯鷄村の海苔養殖場復舊
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写真 中央部を破壊された宮古橋
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写真 復舊工事中の宮古橋(左方は應急仮設の假橋)
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写真 復舊成れる宮古町の一部
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写真 悲惨。全滅の田老村
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写真 纔に惨禍を免れた田老小學校
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写真 雄々しし盛岡少年團の活動(田老村)
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写真 住宅の復舊なれる田老村
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写真 田老村の街路復旧工事
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写真 烏有に歸せる小本濱
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写真 小本濱漁船の復舊
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写真 殆ど全滅せる田野畑村島ノ越
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写真 復舊せつ田野畑村羅賀
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写真 普代村大田名部の惨状
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写真 復舊成れる普代村
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写真 野田村轟橋附近の惨状
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写真 野田村下の町附近の惨状
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写真 野田村内濱の防潮林造成
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写真 復舊せる野田村船揚場
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写真 更生の意氣に勇む宇部村久喜部落
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写真 復舊成れる宇部村小袖濱の船揚場
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写真 倉庫及漁船復舊せる夏井村
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写真 漁船及共同倉庫復舊せる夏井村
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写真 災後の久慈公營所附近
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写真 津波襲はれた久慈公營所
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写真 倒壊せる久慈町小坂製材工場
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写真 復舊せる久慈濱の遠望
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写真 侍濱村の築礎工事
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写真 中野村小子内の魚粕共同製造場復舊
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写真 種市村八木の惨状
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写真 八木澤附近の鐵橋破壊
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写真 更生を目指す種市村
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写真 住宅の復舊成れる種市村
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写真 県廳の救護物資輸送状況(其一)
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写真 県廳の救護物資輸送状況(其二)
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写真 罹災地に到着した県の救護物資(釜石町)
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写真 吸恤品を齋せる横須賀海軍救援隊(大槌町)
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写真 救護品配給に殺到する罹災民(釜石町)
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写真 救護品配給に殺到する罹災民(野田村)
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写真 日本赤十字社岩手支部救護班の活動(其一)
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写真 日本赤十字社岩手支部救護班の活動(其二)
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写真 愛國婦人會岩手県支部の活動(其一)
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写真 愛國婦人會岩手県支部の活動(其二)
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写真 目覺しき消防組の活動(船越村田の濱)
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写真 青年團の救援(盛岡驛出發)
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写真 避難の罹災民(釜石町石應寺)
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写真 避難の罹災民(釜石小學校)
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写真 釜石地方救護本部
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写真 防災施設講究の本田(林)今村(理)兩博士(於県廳正廳)
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写真 罹災の子供達(小白濱郵便局前)
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写真 漂流物の取締(其一)
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写真 漂流物の取締(其二)
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写真 救援の警察官
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写真 津波遭難者追悼會(於県公會堂)
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写真 津浪一周年追悼會
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写真 津浪一周年慰霊祭
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写真 罹災地視察の後藤農林大臣一行(氣仙郡廣田村)

大津浪記念歌 岩手県撰

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大津浪記念歌 岩手県撰

復興の歌

大津浪くぐりてめげぬ
雄心もていざ追ひ進み
參ゐ上らまし

慰靈の歌

亡靈は千尋の海に
鎭もりて榮え行く代の
柱たるらむ

第一編總記

第一章敍説

鳴呼、昭和八年三月三日!
春淺きみちのくは三月二日の日も嚴しい寒さのうちに暮れ、都會も、山村も、漁村も、樂しい團欒の語らひ果てて人々は圓かなる夢路を辿りつ、寒星の光きびしく冴えまさる午前二時三十一分、倏忽として大地も崩るるかと思ふ激震が發生した。四十年來嘗て無き強震である。人々は夢も半ばに駭いて起き出で、或は陰慘の空を仰いで、或は晦冥の海を望んで、天災地變の到るなきかを懸念した。しかし、暫くして餘震はをさまり天地は再び聞寂に歸つた。やうやく胸を緩んじて、復た慍かき臥戸に入りまどろみかからうとする時、海上遙かに洶湧した津浪は、凄まじき黒波を揚げつつ我が三陸浩岸地方を襲うた。
見よ!ほのぐと明けはなれ行く曉の光の下に展開された慘たる光景を。僅かに宵前、帆柱林立し船端を摩して停泊せる大小一萬の船舶は、今やその片影さへ留めない。蜑舍軒を連らねて朝に夕に漁歌賑ひし村落は、ただ一望涯なき荒寥の砂原である。亘長八十里、長汀曲浦の眺め豊かな海濱には、あはれ辜なくして死せる人々の骸が累々として横たはり、六親を奪はれ家なく食なき人々の悲しい號哭の聲が充ち滿ちた。
今友にその被害を概觀せんか、残虐なる災禍の爪牙にさいなまれた地域は、氣仙・上閉伊・下閉伊・九戸の四郡に亘り、沿海三十六町村の中その難を免れたるもの一も無く、人命の損傷、住居の流失並に倒壊、動産・耕土、及び各種施設の被害を擧げなば、當にその計量の繁に堪へない鉅額に達するであらう。
而して有らゆる被害の中、最も悲慘を極めたのは人の死傷であつた。不慮の狂濤に浚はれて貴き命を殞せる者は二千六百七十一人を算し、内一千二百餘の人々は蒼渺たる魔海の底に沈んでその空しき骸さへ探し索むる由がなかつた。叉自らの難を遁れようとして、或は人の難を救はうとして傷痩を負へる者は八百五人に上り、之にやうやく身を以て危急を免れた者を加ふれば、罹災の總數は實に三萬六千九百七十八人の多數であつた。之に次ぐ住居の被害は、斷礎敗瓦も剰さず激浪に流亡せるもの二千九百六十九、倒壊せるもの一千百十一を算し、殊に上閉伊郡釜石町の如きは津浪の混亂の中火災を發し、恰も燎原の勢を以て二百一戸を焼燼するに至`り、是等流燒失及び倒壊に浸水を加ふれば被害の住家は總數六千三百五十七戸に及び、叉非住家の被害は總數四千五百七十三棟に及んだ。
斯くて津浪の直後には、警察專用電話も公衆電話電信も悉く不通となつて、海岸地方と内陸部との聯絡が全く絶たれてしまつた。しかし幸に、杜絶の瞬前に於て下閉伊支廳長及び宮古・釜石兩警察署長の發した最初の情報が県廳に到達した。県は直ちに救護本部を設置して應急の措置を講じ、既にその日の夕刻には救恤物資が配給され、又陸軍其の他の救援隊、醫療救護班等も相踵いで到り、恨み深き海上には衣糧を滿載した大湊及び横須賀の艦艇數隻が舳艫を銜んで投錨した。襲ひ來る饑寒と恐怖に幾んど生ける色なき數萬の人々は、此の陸より海より豊かに惠まるる救恤の資に始めて蘇生の思ひをなし、命を護り得た幸運を喜び合ふのであつた。
事畏くも叡聞に達し、いたく宸襟を悩ませられて御内帑の鉅資を下し賜ひ、且つ侍從を東海の邊陬に遣はして親しく罹災の蒼生を慰恤あらせ給ひ、やがて慘禍の状況が全國に傳へらるるや國民の同情は歙然として集注され、義捐の金品は忽ちのうちに麕至山積した。噫、此の至仁の皇恩に、博き同胞愛に、誰かは感激の涙に咽ばざる。心なき山川草木も亦その形容を新たにして厚き恩遇に對へまつつた。
飜つて當時の我が県の情勢を顧みれば、罹災の町村は孰れも一般經済界の不振に件なつて商況萎靡し、しかも前年來銀行の破綻に依つて金融梗塞し且つ連年の不漁の爲疲弊の極に沈淪しつつあつた時で、今次の災厄は罹災民の生活を根柢より破摧し、一時は再起の望みも絶えて寧ろ死して憂無き人々を羨むのであつた。
加之、此の時に方つて我が郷土の將兵は滿洲事變に徴されて遠く熱河の異域に出征し、匪賊の掃蕩に身命を捧げつつあるのである。「罹災民の救護は我等の手にー。忠勇の將兵に後顧の憂あらすなー。」百萬県民は自らの困憊を忘れて決然救護の爲に奮ひ起つた。その聲に慮じて四萬の罹災民は、恰も一朝の凶夢より目覺めた如く空拳を固く握つて雄々しくも更生の途上に立つた。
斯くて罹災民並に一般の県民は協力一致、畏き聖慮を奉體し政府と國民の熱誠なる助援の下に、その復舊に邁進すること一年、春波穩かに寄せては返る濱邊には、新らしい憩ひの家が立ち並び新らしい漁船が輻輳して、今や往年にまさる平和な商津漁村の再建は、その半ばの功を竣ふるに至つた。
見よ、昨日の悲しみを他所に溢るる希望の光に輝きつつ、孜々として復興に勤しむ雄々しの姿をー。
聞け、新裝の漁船に棹さして大漁の歌も賑やかに、海原かけて漕ぎ行く櫓の音をー。

第二章過去に於ける地震及津浪

第一節本県の地質地形と津浪との關係

本県は廣袤實に九百八十七方里を擁し、西域には奧羽山脈が南北に連亘し奧・羽の分水嶺を劃してゐる。又那須火山脈の弱線帯に沿うて處々に火山が噴出して居り、東半北上山脈との間には北上・馬淵の二大川があつて一は南流し一は北流し、その流域は所謂本邦中央凹地帯の一部を爲してゐる。
県の過半を占めてゐる北上山脈は、北は馬淵河口に沒し南は牡鹿半島に連なる紡錘状の山彙で、太平洋は此の山脈の尾端部を被うて居り、沿岸は我が國でも稀に見る小屈曲の多いリヤス式海岸を形成し、岸を距ること二百粁餘でタスカロラ海溝に臨み海底は急傾斜を爲してゐる。此の小屈曲に富んだ海岸の小灣は北上山脈の支脈に依つて造られた横谷に海水が入り込んで出來上つたもので、悉く外洋に向つてV字形に開け灣口は廣く深く灣奥は狹く淺くなつてゐる。故に一旦海水が外洋より灣内に漲流する時は忽ち津浪を發生して陸上に氾濫する虞れが多く、之が爲本県の沿岸地方は古來幾度か其の慘害を經驗し巨億の生命と財産を喪つてゐるのであるo
更に本県の地質を見ると、北上川地は大部分古生層から成つて居り、南邊から牡鹿半島に至る間は中生層で出來て居り、山脈中には所々に花崗岩や各種の舊火山岩の迸出を見、又第三紀凝灰岩を主とする奥羽山脈との問の河川流域には第四紀沖積層が發達して居る。斯様に本県の大部分は古生層や堅盤で蔽はれてゐるため地震の震度は比較的弱く、昭和六年十一月四日の北上山脈中小國川上流域に發生した強震に於ても、叉今回の如く大規模な地震に於ても、沿岸叉は河川流域の冲積土の一部に強震を感じた程度であつて、一般に震害として見るべきもののなかつたことは、東海岸の地形と對比しその一短一長を相殺し得るものと言へよう。

第二節既往に於ける三陸津浪の記録

有史以來文献若しくは口碑によつて殘きれて居る三陸地方の地震・津浪は貞觀十一年、天正十三年、慶長十六年、元和二年、慶安四年、延寳五年、貞享四年、元祿二年、同九年、同十六年、寳暦元年、安政三年、明治元年、同二十九年、同三十年、大正四年、昭和八年等十七度の襲來を受けて居るが、之に關する記録は明治二十九年を除く外概ね闕失して當時の状況を詳細に知り得ないのは寔に遺憾なことである。

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三陸地方津波一覧

第三節 明治二十九年の津浪

明治二十九年六月十五日(陰暦五月五日)午後八時に發生した津浪は我が國の史上に於ける最大の津浪であつて、本県は南は氣仙郡より北は九戸郡に至る沿岸一帶の地方は悉く劇甚の損害を被つた。沿海三十六町村百七十部落の大半は宛ら颶後の砂漠の如く殘礎すらもとどめぬまでに洗ひ流され、幸に蕩盡を免れたものも家屋は破壊し耕地は荒廢した。海岸は到る處算を亂して横たはる死屍と悲叫して救ひを求むる傷者とに充ち、僅かに生命を拾つた人々は一草一木無き荒凍の廢址を彷徨して終日終夜我が身の窮命に泣き暮れた。而して此の津浪の犠牲となつた死者は實に二萬二千五百六十五人を算し、負傷者は六千七百七十九人、流失家屋は六千百五十六戸であつた。その發生は夜問のこととて精細な測定を得なかつたが、凡そ午後七時五十分前後で最初の地震より約十八分の後と推定されてゐる。即ち強震の後幾くもなく午後八時頃海水が増嵩し霎時にして一旦減退したが八時七分頃に至つて遠雷の如き昔響を伴なひつつ襲來し爾後八時十五分、同三十二分、同四十八分、同五十九分、九時十六分、同五十分の六回に亘つて襲來したが共の勢力は第三回以後漸次減衰した。而して最も殘暴を逞しうしたのは第二回の津浪で約十分問に於て八回を往復し、共の最大波高は灣内に於て一丈五六尺であつた。
此の津浪發生の基因は地震に由るもので震源は海岸を距る三十里乃至三十五里、震央は宮古測候所より東南凡そ東經百四十五度・北緯三十九度に位し、地震の性質及びタスカロラ海溝の關係等より考察して海底に發生した地辷りと斷定されてゐる。

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被害一覧表

第三章 觀測

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昭和八年津波ニヨル死者、家屋流失倒壞圖

第一節 県内各地の觀測

一、地震

三月三日午前二時三十一分に三陸地方を襲つた強震並に津浪は、その地震規模の大だつたことは大正十二年九月三日の關東大震に勝るとも劣らないと言はれて居るが、その震央は遙かに太平洋底にあつたため幸に震害は極めて輕微にとどまつた。然し震後襲來した津浪はその慘害言語に絶し、本県のみでも死者行方不明者を合せて二千六百餘名、家屋の被害は七千五百餘であつて、恰も明治二十九年六月十五日の三陸大津浪の慘状を彷彿せしめた。

一主震の觀測


盛岡測候所の實動強震計及びウィーヘルト地震計に依る觀測要素を學ぐれば
發震時午前二時三十一分三十九秒○
初期微動}三十五秒三
繼續時問}
總震動三時問五十分
最大全振幅三十五粍
同週期二秒六
最大加速度百二十八粍/秒2
初動
水平動南西へ一五、○ミクロン
北西へ二三、八ミクロン
上へ一六、七ミクロン
震度強震(弱い方)
性質緩
記事人體感覺時間約四分中激動部二分問、地震中南方に青自色幕電樣の發光現象を認め二時五十八分東空に遠雷の如き音響を聞く


前記地震計記象の驗測要素より推すと、震央は本県釜石の東方約二百粁餘の太平洋底であり、此の附近の水深は五千五百米以上の深海底でタスカロラ海溝に臨み、所謂本邦外側地震帶主脈上に位して居り、本邦中地震發生回數が最も多く、毎年十回以上の地震を發生する地域である。地震記象及び其の他より推測すると其の震源は極めて淺く或は海底面に大地變の想像を許さるべきもので、從つて沿岸地方の津浪の虞れが充分に推知された。仍て同測候所は直ちに県廳並に一般に對し電話をもつて警戒の速報を發した。尚ほ県内各觀測所における地震觀測は左の通りである。

二 前驅的地震及餘震


大地震には其の數日以前叉は數十日以前より前驅的な地震があつて後に主震があるものと、何等前震を示さず突發的に大震の發現するものとあるが、然し其の小地震は果して大震の前驅的に發生せるものであるか否かを判定することは極めて困難である。
今次の地震に關し其の數箇月前に溯つて盛岡測候所の地震計觀測に就き檢討するに、本年(昭和八年)一月四日午前零時二十七分に宮古の東北東百九十粁の地点に稍顯著な地震を續發し、超えて同七日午後一時七分に略同地点にまた顯著な地震を發現し、引續き餘震を續發して月末迄二回の有感覺地震と百十八回の無感覺地震があつた。
尚ほ今次の強震は其の震源淺く發震規模が大きかつた爲に本震後生じた餘震も其の數夥しく震央距離二百六十粁餘りの盛岡で觀測した餘震回數は五月末日迄に實に千三百餘回に上つたがその遞減状態は極めて順調な經過を示し、人體に感じたものは三十八回で、三月に九百六十八回四月に二百三十二回、五月に百一回であつて、今盛岡地方の一箇年の平均地震回數を四百四十回とすれば、今次の強震に伴なふ三箇月問の餘震は實に平年に於ける三箇年の量に匹敵する回數であつた。

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県内各觀測所における地震觀測
二、津浪

一 襲來の時刻と波高


宮古測候所の觀測に依ると、強震の直後には海水に何等の異状を見なかつたが、午前三時ニ分沖鳴りを聞いて灣内を注視すると棧橋に繋留してあつた發動機船が減水のたあ著しく傾斜しあるを發見した。即ち海水は三時以前に於て既に六尺を減退したものの如く、同三時八分に至つて烈風の吹き荒れるに似た音とともに津浪が外洋より宮古灣口の中央部に向つて一直線に襲ひ來るのを暗中に認めたが、是より四分を經て三時十二分藤原須賀に到達した。
尚ほ県内各地に於ける津浪襲來の時刻及び波高は左の通りである。


二 津浪の經過


宮古測候所の觀測に依れば、宮古灣に於ける最初の津浪は午前三時十二分に襲來し、第二回は同二十三分、第三回は同三十五分、第四回は同四十五分であつて、三時五十分に至つて小波となり四時十分やうやく灣内鎭靜した。即ち十分乃至十二分の週期で波浪が襲來したのである。廣田港・大船渡港は津浪の第一波より約五分後に第二波襲來し、其の後も五分間置き位に第三波と第四波と襲來したものの如く、其の週期は著しく短く午前六時頃灣内鎭靜した。綾里灣・越喜來灣・吉濱灣・唐丹灣は十五六分置きの週期で第二・第三波が襲來し、午前五時乃至六時に至り灣内鎭靜し、釜石灣・大槌灣・川田灣は約十分の週期を以て激浪を繰り返し、船越灣は週期短く五分乃至十分で繰り返した。閉伊半島重茂村沿岸では第一波と第二波問は五分乃至七分を要し、第二波と第三波問は十分を要した。其の他外洋に面した沿岸北部では概して週期長く第一波と第二波間は平均十八分を要した。而して各地とも波浪の襲來は三回以上で六回位迄繰り返した所もある。

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津波高(最大浸水高)
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津波襲來時刻(昭和八年三月三日)
三、雜象

一 強震及津浪に伴ふ音響


県内觀測所並に町村役塲等の報告を綜合すると、強震後大砲或は遠雷の如き音響を聞いた所が多い。其の時刻は詳かでないが、大略廣田灣より山田灣迄は強震後平均十六分、沿岸北部では平均二十三分後であつた。又内陸地方に於てはニ十七分乃至三十分を要した所が多い。其の方向は地形等によつて多少の相違はあつたが、大體東寄りの所多く稀には南東或は北東の方向に聞いた所もある。盛岡測候所の觀測にょれば午前二時五十八分(即ち張震後ニ十七分)屋外で「ドーン」と云ふ音響を聞いた。方向は東の空稍高く(地平と約三十度の角度)餘韻はなく瞬時で止み、底力のある音響であつたが割合に弱かつた。


二 強震及津浪に伴ふ發光現象


午前二時三十三分即ち地震の最中、盛岡測候所では遙かに南方花卷方面に當つて發光現象を認めた。地平より上空に向つて「ポヵッポヵッ」と幕電のやうな廣幅で光を放ち、色は淡青色で光度は弱い方であつた。尚ほ盛町・氣仙町・湯口村・淨法寺村等でも發光現象の報告があり、時刻は孰れも強震の最中で方向は内陸地方は南寄り、沿岸地方は東寄りであつた。

第二節 全國各地の觀測

全國各地測候所の報告による各地の震度及び其の觀測値は左の通りである。
強震
宮古石卷仙臺福島會津柿岡
強震(弱い方)
盛岡水澤青森凾舘浦河釧路小名濱水戸筑波山熊谷前橋横濱甲府
弱震
山形秋田根室帶廣室蘭銚子札幌宇都宮旭川新潟東京三島沼津
八丈嶋父島紗那箱根山靜岡網走壽都横須賀
弱震(弱い方)
長野富崎輪島松本飯田濱松
微震
高田 富山 伏木 岐阜 名古屋 彦根津 大阪 松江

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各地測候所の強震觀測値表

第二編 被害並應急措置

第一章 人及住宅船舶の被害

第一節 人

津浪に依る有らゆる被害の中最も悲慘なのは夥しい人の死傷であつた。地震並に津浪の襲來が時恰も人々の熟眠中であり、又強震に目覺めて一旦起き出でた者も寒氣が嚴しく且つ餘震の終息に心を安んじて再び寝に就いたため、俄に不慮の津浪に襲はれて避難の遑がなく遂に無慙な死を見るに至り、波に浚はれた者の中には夜明方の凛烈な寒氣に冐されて死に抗する氣カを失ひ哀れにも凍死した者が尠くなかつた。
而して死傷は四郡を通じて死者一千四百八名、行方不明者一千二百六十三名、重傷者百七十名、輕傷者六百三十五名を出だし、之に辛うじて死傷を免れ身を以て避難した者を加へると罹災の總數は實に三萬天千九百七十八名に達してゐる。
更に罹災三十六箇町村の中に就いて最も被害の多かつたのは下閉伊郡田老村と氣仙郡唐丹村とで、田老村は死者五百二十名・行方不明者四百五十二名・重傷者二十六名を出だし、唐丹村は死者百三十五名・行方不明者二百二十四名・重傷者七十六名を出だした。之に次いで氣仙郡
綾里村は百八十一名、下閉伊郡重茂村は百七十五名、小本村は百五十六名、普代村は百三十四名、九戸郡種市村は百十六名の死者(行方不明者を含む以下同じ)を出だし、氣仙郡赤崎村・越喜來村、上閉伊郡大槌町、下閉伊郡田野畑村は各五十名以上、氣仙郡氣仙町・小友村・廣田村・末崎村・吉濱村、上閉伊郡釜石町は各五十名以下、氣仙郡高田町・米崎村・大船渡町、上閉伊郡鵜住居村、下閉伊郡船越村・織笠村・山田町・大澤村・津輕石村・磯鷄村・宮古町、九戸郡野田村・宇部村・長内村・夏井村・侍濱村は各十名以下の死者を生じ、全く死者並に行方不明者の無かつたのは僅かに下閉伊郡崎山村、九戸郡久慈町・中野村の三箇町村であつた。

遭難死亡の官公吏等


官吏


岩手県農林技手
(木炭檢査所小本出張所主任) 阿部清七 四十歳 本籍江刺郡廣瀬村廣瀬
岩手県道路技手兼土木技手 渡邊政太郎 三十歳 本籍福井市老松下町
下閉伊郡普代郵便局長 大村謙三 三十三歳 本籍下閉伊郡普代村


公吏


下閉伊郡田野畑村長 小田喜代八 五十四歳
同郡田老村助役 牧野與惣治 六十七歳
氣仙郡綾里村收入役 澤田芳泊郎 五十一歳


其他


氣仙郡唐丹村會議員 米山初太郎 四十八歳
同郡唐丹村區長 佐々木三内 五十五歳
下閉伊郡岩泉町會議員 藤島俊明 五十八歳
同郡普代村會議員 藤島與助 六十歳
同 大村宗三 五十一歳
同 大村文三 五十一歳
同郡田老村會議員 前川善平 五十三歳
同 鳥居仙平 五十九歳

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人の被害表
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死傷者行方不明者體性別

第二節 在營兵及在郷軍人

震災の當時罹災四郡出身の在營兵七百八名は概ね滿洲國熱河に出動し匪賊の掃蕩に身命を捧げつつあつたが、其の家族の罹災は派遣兵百九十四戸・留守隊兵五十三戸で死亡の家族は六十名、家屋の流燒失及び倒壊は九十六戸を算した。
又在郷軍人は七千六百九十八人の内七十七名の死者を出だし、家族の死亡は五百八十四名、家屋の流燒失及び倒壊は一千六十戸であつた。

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在營兵及在郷軍人の被害表

第三節 住宅

不測の津浪のため多くの家族を失ひ又は傷害された罹災民は、更に團欒の住宅を奪はれて全く家無く食無き悲慘の境遇に陷つた。
其の被害は四郡を通じて流失二千九百六十九戸、燒失二百一戸、全壊四百九十七戸、半壊六百十四戸、浸水二千七十六戸、此の總戸數は六千三百五十七戸に及んでゐる。就中被害の最も多かつたのは下閉伊郡で流失一千三百十五戸・全壊百十一戸・半壊百九十七戸を出だし、上閉伊都の流失六百三十八戸・燒失百九十九戸・全壊百七十三戸・半壊二百三十戸、及び氣仙郡の流失八百九十三戸・燒失二戸・全壊二百十一戸・半壊百七十戸が之に次ぎ、九戸郡は最も少く流失百二十三戸・全壊二戸・半壊十七戸であつた。
而して罹災三十六箇町村の中下閉伊郡田老村は被害最も甚だしく五百戸を流矢し、之に次いで上閉伊郡釜石町は流失百八十八戸・倒壊百五十四戸を出だし且つ津浪とともに火災を發したが倒壊家屋と浸水のため消防に從ふ事が出來ず遂に百九十九戸を燒失するに至り、同郡大槌町は流失三百九戸・倒壊二百二十八戸、氣仙郡唐丹村は流失二百四十五戸・倒壊十七戸、同郡綾里村は流失ユ百四十四戸・倒壊十戸、下閉伊郡船越村は流失二百戸・例壊十八戸、同郡山田町は流失百九十七戸・倒壊百三十戸を出だし、氣仙郡廣田村・末崎村、上閉伊郡鵜在居村、下閉伊郡田野畑村は各百戸以上、氣仙郡赤崎村・越喜來村、下閉伊郡小本村・普代村、九戸郡野田村・種市村は各五十戸以上を流失し、全く流失戸數の無かつたのは氣仙郡高田町・米崎村、九戸郡侍濱村の三箇町村であつた。
尚ほ右の中家族の悉く死亡したものは下閉伊郡田老村の六十六戸三百三十五名を首めとし、氣仙郡唐丹村・下閉伊郡小本村各十三戸、下閉伊郡重茂村七戸、氣仙郡綾里村五戸、同郡吉濱村・九戸郡種市村各四戸、下閉伊郡普代村三戸、氣仙郡越喜來村・上閉伊郡釜石町及び大槌町各二戸、下閉伊郡田野畑村・九戸郡長内村各一戸、總數百二十三戸を出だし其の家族は五百九十九名であつた。

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世帶の被害表 其の一 (戸數)
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世帶の被害表其の二(人口)
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建物の被害表
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職業別被害世帶表

第四節官公衙其他

津浪及び火災に依る官公衙其の他之に準ずべきものの被害は、村役塲の流失一倒壊一、警部補派出所・巡査駐在所・水上派出所等の流失三倒壊三、郵便局(取扱所)の流失五倒壊一、木炭檢査所の流失四、土木管區の燒失一、財務出張所の燒失一、築港工營所の流失三、區裁判所出張所の流失一、鐡道建設事務所の流失二、漁業組合關係(事務所・共同販賣所・共同製造所鮭鱒孵化塲)の流失二五倒壊八、信用組合の流失一、銀行支店の流失二等が其の主なるものであつた。
而して是等の被害の中官公衙銀行支店等は各主管廳又は本店に於て直ちに應急の措置を講じて執務に支障なからしめ、郵便局・漁業組合・信用組合等は概ね低利資金の融通を政府に仰いで街奮した。尚ほ県の主管に屬するものの中最も被害の多かつた警察官署の復舊に就いては、一千二百八十五圓を以て三派出所を修繕し、一千九百二十圓を以て三駐在所を新築した。

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官公衙等被害表

第五節 船舶

本県の海岸線は南北八十里に亘り且つ良港灣が多いので、運輸交通用及び漁業用の船舶に富み常時八千隻内外の大小船舶が碇繋きれてゐたが、津浪に依つて其の殆どを流失又は破壊されてしまつた。即ち流失全壊は小舟が六千五百三十七隻、發動機船二百三十一隻、一部破損は小舟が一千百四十六隻、發動機船が三百七十隻、此の總數八千二百八十四隻に上り、災後は何れの濱何れの港も唯荒凉として殆ど完き船影をとどめざるに至り、人命の救助、漂流物の拾収、救護物資の輸送等一刻を爭ふ救難作業も船舶なきため空しく袖手傍觀するの巳むなき状態であつた。

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船舶の被害表

第二章 産業上の被害

第一節 農業及養蠶業

一 農家

震災に因る農家の被書は、流失倒壊を合はせて下閉伊郡六百七十一戸、氣仙郡五百二十三戸上閉伊郡三百六戸、九戸郡七十七戸、總戸數一千五百七十七戸に上り、家族の被害は四郡を通じて死亡者及び行方不明者一千二十六人、負傷者百五十一人を出だし、更に是等の農家に附屬する作業塲・倉庫・納屋・堆肥舎・及び農用器具機械・貯藏穀物・種苗等の損害推定額は五十一萬七千六百三十圓の巨額に上つてゐる。

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農家の被害表
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農用建物の被害表
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農具の被害表
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種苗の被害表
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貯藏農産物の被害表
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肥料の被害表
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諸材料の被害表
二 耕地

震災地域に於て海水の氾濫に由る損害を被つた耕地は、田五百三十八町八段歩、畑五百四十三町四段歩、此の總地積一千八十二町二段歩であつた。即ち田の被害は下閉伊郡の二百四十二町四段歩を最とし、氣仙郡の百九十八町二段歩、上閉伊郡の八十九町一段歩が之に次ぎ、九戸郡は僅かに九町一段歩にとどまり、畑は下閉伊郡の百九十三町一段歩を最とし、上閉伊郡の百八十七町八段歩、氣仙郡の百四町七段歩が之に次ぎ、九戸郡は最も少く五十七町八段歩であつた。
又田畑の外家屋の敷地及び宅地に附屬する菜圃等の被害は、氣仙郡六萬四千六百四十三坪、上閉伊郡五萬三千百八十坪、下閉伊郡四萬四百三十一坪、九戸郡一萬一千坪、此の總地積十六萬九千二百五十四坪に達し、田・畑・宅地を通じた被害の總額は四郡を合はせて實に八十萬一千餘圓と推定されてゐる。
而して被害の状態は砂礫運積と單なる浸水と略同比率を以て總被害地積の九割五分を占め、耕土の流失は僅かに五分であつたが、今次の津浪が明治二十九年の滿潮時に於けると異なり、干潮時に近く發生したこと及び地表凍結の時期にして永く海水が潴溜するも地表下一寸以内の浸潤にとどまり、其の被害を著しく輕減し得たのは不幸中の幸とする所であつた。
耕地に運積した土砂礫は下閉伊郡田老村青砂里に於ける八寸乃至一尺一寸の厚層を異例として、畑は概ね二分乃至一寸を普通とし、田は概して畑より低位にあるため其の堆積が稍厚く且つ畦畔に接する部分は通例三寸乃至七寸の堆積を見、其の他農用道路・畦畔・溜池・灌漑排水溝等の破壊或は埋没に依る被害が夥しく、是等の被害に對しては極力土砂礫の排除と灌漑排水溝其の他の復舊に努め、田畑ともに概ね被害地積の六割乃至七割の耕作を爲すに至つた。

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田畑及宅地の被害表
三 農作物

震災の當時に於ける農作物は主として畑作たる麥と果樹とで水田作物は唯氣仙郡吉濱村の紫雲英だけであつた。隨つて其の被害は悉く畑の作物で其の中麥は總作付段別の九割強を占め、蔬菜は之に次ぎ果樹は極めて僅少てあつた。
即ち大麥は下閉伊郡百十四町一段歩、上閉伊郡四十四町歩、氣仙郡四十町三段歩、九戸郡十三町八段歩で、小麥は下閉伊郡四十四町一段歩、上閉伊郡十八町歩、氣仙郡十四町三段歩、九戸郡十一町三段歩、ライ麥は氣仙郡四町三段歩、又蔬菜は上閉伊郡十二町二段歩、氣仙郡五町七段歩、果樹は氣仙郡に於て四段歩であつた。
而して時季は嚴寒の節であつて是等の作物は未だ休眠の状態にあり且つ耕地の土性は多く砂質輕鬆土で鹽分の害毒を強烈に受くることが少なかつたので、農作物の生育に及ぼした影響は割合に少く其の總損害額は一般作物五萬四千九百八十四圓、果樹百十圓と推算されてゐる。

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農作物の被害表
四 養蠶業

震災地域に於ける養蠶戸數は三千三十八戸で、其の中流失全壊は五百戸に達し、蠶具・肥料・蠶種等の損害は三萬八千四百餘圓に上つた。又桑園の被害は總地積一千三十六町歩の中百三十町歩に及び其の損害額は二萬五千七百餘圓と推算されてゐる。

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養蠶及桑園の被害表

第二節 畜産業

罹災地方は概ね漁家と小農家及び商家で、畜産を業とし或は牛馬等を飼養するものは極めて少かつたから、其の被害は四郡を通じて牛四十九頭、馬六十六頭、豚二百九十九頭、鷄二千六百四十一羽、山羊一頭、兎二十八頭にとどまり、又飼料の被害は藁・大豆・粃・大小麥・皴・米糠・稗等を合はせて一萬一千三十五圓と推算されてゐる。

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家畜家禽の被害表(斃死)
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畜舎及飼料の被害表

第三節 水産業

震災地方は漁撈採藻を以て生業と爲す者が全住民の大半を占め、隨つて漁業・製造業・養殖業等水産關係の被害は諸般の被害の中最も巨額に上つてゐる。
即ち漁業總戸數七千八戸の内罹災戸數は二千九百九十六戸を算し、その内下閉伊郡は一千百八戸、氣仙郡は一千四十七戸、上閉伊郡は七百六十三戸、九戸郡は七十ニ戸で、家族の死傷は死者行方不明者一千九百三十二人、負傷者二百二十九人を出だした。斯くて是等多くの漁民は一朝にして生計の資源たる漁船・漁具等を悉く奪はれ、ただ空しく蒼海を望んで身の薄倖に泣く悲慘の境遇に陷つたのである。
即ち県は先づ被害者に小漁船を與へ沿岸漁業に從事して生計を營ましむるを最も緊要と爲し、義捐金中より三十萬圓を漁業組合に融通して迅速に建造せしむる方途を講じたが、當時県内に於ける船大工は拂底し斯かる大量の造船能力なき爲專ら青森地方職業紹介事務局並に大日本水産會の斡旋に依つて、県外より二百四十五名を雇ひ入れ之を各地方に配置して就勞せしめ、又小漁船用櫓・櫂・腕木等の漁具は罹災地の購入希望數量を取り纒め農林省水産局並に帝國水産會を介して東京市關口安五郎商店に注文し、製作の成るに隨ひ水産局に於て檢査を爲し順次送付の取運びを爲したので、災後僅か二箇月にして本県沿岸に二千九十一隻の新らしい船影を見るに至つた。
是に先だち農林省中尾事務官一行は三月五日來県して被害状況を調査し、之れに基づき沿岸四郡の水産會と協力し其の地域内に適切なる復舊計画の樹立に關し指導研究を途げ總括的復舊計画の樹立に努めたが、更に之が計画の進行に伴なひ船材・發動機・漁網等の斡旋を必要とし船材に就いては県内に於ける需給關係を調査し九戸・下閉伊・上閉伊の三郡は大體地元に於て自給し得る見込がついたが氣仙郡は七八千石の不足を告ぐる状態であつた。仍て全國各地の木材同業組合又は木材商等に照會し所有石數につき調査せるに、價格餘りに高く更に山林課より係員を派遣して東京・名古屋方面を調査せるも依然高價なるを以て購買を斷念し、青森營林局に交渉し氣仙郡横田村佐沼國有林材六千五百石を拂い下げ之を氣仙郡内漁業組合に供給した。
又發動機は農林省の奔走に依つて製造販賣業者問に於ける價格の協定を見三百二十一臺壷、(四千七百六十五馬力〉を購入し、漁網類は日本漁網・東亞製網各株式會社及び膽澤製網販購組合等に交渉斡旋した。又資金は砦手殖産銀行と連絡し五十萬圓を限度として一時融通を圖り、更に區々の船型を統一するの要を認め農林省及び大日本水産會の配意に依り船型圖を作成し各漁業組合に頒布して統制ある漁船の建造を勸奬した。

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遭難水産業者表
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漁船被害表 (流失破壊行方不明等全損ノ分)
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漁船被害表 (幾部破壊等分損ノ分)
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漁具被害表
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漁業關係建築物被害表ノ一
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漁業關係建築物被害表ノ二
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漁業關係建築物被害表ノ三
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水産養殖被害表ノ一
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水産養殖被害表ノ二
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共同販賣所其他の被害表

第四節 商業及工業

津浪と火災に因る商業及び工業の被害の中、商業に於ては流失七百三十五戸、倒壊及び全燒百六十八戸、半壊及び半燒六百三十四戸、總數一千五百三十七戸を失ひ、店舗・機械器具・商品等の損害は三百五十八萬五千三百七十三圓に上り、又工業に於ては流失百七十三戸、倒壊及び全燒十六戸、半壊及び半燒百三十五戸、總數三百二十四戸を失ひ、工塲・機械・材料等の損害は五十一萬二千三百八十四圓であつた。尚ほ運送を營業とするものの船舶の被害は流失二十六隻、全壊九隻、半壊四十一隻、總數七十六隻であつた。
而して罹災地域内に於て工塲法の適用を受くる工塲は、氣仙郡一二・上閉伊郡一八・下閉伊郡二五・九戸郡四・總數五十九工塲あり、其の中損害を被つたのは四十二工塲で、從業員三百七十名の内死亡一名負傷六名を出だした。
損害高は三陸水産冷藏庫(釜石)の四萬圓を最とし、染谷製材所(宮古)の二萬七千圓、共立製材所(宮古)の二萬五千圓、石万鐵工塲(釜石)の二萬圓等之に次ぎ、太洋製氷工塲(釜石)・水野製材工塲(釜石)・境谷製材所(越喜來)・佐幸製材所(赤崎)・釜石製材所(釜石)等は孰れも一萬圓以上の損害を受け、其の總額は二十三萬八千餘圓に達してゐる。
而して被害工塲の中損害が輕微で事業の繼續に支障の無いものは、概ね數日乃至十數日を経て操業を開始し、又被害の大なるものも四月頃には大抵復舊して操業するに至つたが、小本村の一工塲は資金難の爲に遂に營業を廢止した。

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工場の被害表

第五節 林野及林業

津浪に依る林業關係の被害總額は四郡を通じて四十一萬六百九十圓に上り、其の内最も巨額を占むるのは木材の流失推定額二十一萬八千二百九十圓で、木炭倉庫の五萬五千六百圓、製材所の四萬八千六百十九圓、炭窯の四萬二千九百二十四圓、木炭の三萬八千四百二十一圓が之に次ぎ、其の他林道の三千三百八十圓、海岸砂防造林の一千二百六十一圓、保安林の一千百二十一圓、木炭檢査所の六百二十六圓、造林地の五百二十圓等であつた。

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林業關係被害表
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木材被害表
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製材所被害表
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木炭倉庫被害表 一、低利資金借入ニ依リ建設シタルモノ
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木炭倉庫被害表 二、自己資力ニ依リ建設シタルモノ
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炭窯被害表ノ一 (沿岸地方)
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炭窯被害表ノ二 (内陸地方)
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木炭被害表
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海岸砂防造林被害表
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保安林被害表
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材道被害表
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造林地被害表

第六節 産業組合

震災に依る産業組合關係の被害は、組合自體の分六萬六千四百三十八圓、役職員の分五十九萬八千七百五十五圓、組合員の分四百七十八萬三千三百五十四圓、此の總額は五百四十四萬八千五百四十七圓に達し、其の外組合の貸付金六萬三千圓及び魚粕に對する假渡金五千二百五十圓の債權は回收不能となつた。
而して組合員個人の被害中住宅の被害は、住家百六萬一千四百六十一圓、非住家四十三萬六千三百三十四圓、家具四十二萬三千九百二十八圓、耕地の被害は十八萬二千四百九十六圓、宅地の被害は十二萬二千五百十二圓と推算されてゐる。

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産業組合被害表ノ一
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産業組合被害表ノ二
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産業組合被害表ノ三

第七節 電燈及電力

震災地域一帶の電燈・電力は概ね盛岡電燈株式會社・氣仙水力電氣株式會社・九戸水力電氣株式會社の供給にかかり、需用者の中津浪若しくは火災のため流燒失及び倒壊したものは二千三百十六戸であつた。而してその配電區域は強震に依つて到る處電柱は傾斜倒壊し送電線路が斷絶して全く暗黒世界となり、恐怖の感に怯えてゐる最中思ひがけない狂浪の襲來に遭ひ人々は狼狽し暗中を探つて避難したが、歩行捗らず或は其の方向を誤つて哀れにも波に浚はれた者が多く、又救ひを求める悲鳴を聞くも其の所在が判明せず遂に生命を失ふに至つた者は數知れなかつた。
三會社の被害額は工作物に於て六萬九千六百六十圓、電燈貸付器具其の他に於て二萬二千四百八十九圓、總額九萬二千百四十九圓に上り、其の復舊に就いては各社とも災後直ちに技術員並に工夫を派遣して極力之に努力し、宮古・山口・千徳・磯鷄、及び釜石町只越以西は三月三日午後五時に点燈し、九戸郡は三月四日、氣仙郡は三月十日、最も僻遠の地である田老村十二日、小本村十四日、田野畑村十七日を以て全部の復舊点燈を完了し、尚ほ各會社は罹災者に對し十燭光一燈の取付工料及び三・四兩月分の料金を全免した。

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電燈及電力被害表
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電燈及電力復舊状况

第八節 金融機關

震災にょる被害の銀行は岩手殖産銀行釜石支店と第九十銀行大槌支店釜石出張所の二行にと どまり、その内殖産銀行釜石支店(借家)は燒失に遭つたが銀行としての被害は尠少であり、第九十銀行(當時臨時休業中)大槌支店釜石出張所では附屬住宅燒失し營業所の一部燒失及び浸水に遭ひその被害見込額は二千二百圓であつた。震災の直後に於ける殖産銀行釜石支店及び第八十八銀行盛支店の營業状況は左の通りである。

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預金受入高
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貸出高

第三章 社寺及名勝舊蹟の被害

震災に因る神社の被害は、上閉伊郡釜石町鎭座郷社尾崎神社の炎上倒壊を始め總數十二社であつた。之を社格に依つて別けると郷社一・村社八・無格社三で、其の中社殿の流失五・燒失一・倒壊一、參籠所の倒壊一、鳥居の流失四であつて、其の總損害高は約十一萬圓に達し、復舊には約六萬五千圓を要する見込である。
本県は震災の直後、罹災神社の神職並に關係町村長に對して「整理復興に盡力し、無格社はなるべく産土神社に合祀すること」を通牒し、又県神職會からは県社八幡宮社司宮崎道郎・県社櫻山神社社司大川秀雄兩氏を派遣して罹災の神社を慰問し、且つ被害の調査と清祓祭御復興宣誓祭の執行に當らせた。
尚ほ被害の神社は左の通りであるが、寺院及び名勝舊蹟には幸ひ被害が無かつた。

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神社被害表

第四章學校の被害

第一節 中等學校

災害地帶に於ける公立中等學校は、高等女學校一・實科高等女學校四・實業學校三・總數八校であつたが孰れも校舎に被害がなく、僅かに久慈農學校の職員生徒に各一名の負傷者と釜石實科高等女學校の職員に一名の住宅燒失者を出だしたのみであつた。
又県内中等學校の職員生徒の家族で遭難したのは家屋の流失八三・倒壊六六・燒失一七、家族の死亡三七であつた。

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中等學校職員生徒被害表

第二節 小學校

災害地帶の小學校は總數六十二校であつたが、其の中校舎並に附屬物の被害は、上閉伊郡鵜住居小學校兩石分教塲・氣仙郡越喜來小學校玄關並に教員住宅・同郡廣田小學校附屬水産實習塲・下閉伊郡船越小學校所有實習船等の流失が主なものであつた。
災害地の小學校に在職の教員で遭難死亡したものは氣仙郡一名・下閉伊郡三名・九戸郡二名總數六名で、就學兒童の死亡は氣仙郡一三八・上閉伊郡一一・下閉伊郡二五〇・九戸郡一〇總數四百十名であつた。その最も悲慘なのは下閉伊郡田老小學校の兒童百六十四名が翌くる日の樂しい學課の夢を永遠に秘めて死んでいつたことで、氣仙郡小自濱小學校の六十七名が之に次ぎ、同郡綾里・蛸浦、下閉伊郡小本・重茂・普代の各小學校が孰れも二十名以上の兒童を喪つた。
本県學務部は右の情報に依つて即日奥田教育課長・八木澤教育課屬を氣仙郡に出張きせ、次いで木村視學を上閉伊郡に、遠山視學を下閉伊郡にそれぞれ派遣して被害状况を調査させた。又県教育會は四日鈴木主事・菅野理事・教員互助會森書記等を罹災四郡に派遣し、罹災教員の救護に任じた。
被害の多かつた地方の小學校は、概ね罹災民の收容所・救護所・假諸事務所等に充てられたため、其の地方の實情に依つて上閉伊郡箱崎小學校の一日を最少とし、氣仙郡綾里・上閉伊郡安渡・下閉伊郡田老・同郡普代・九戸郡小袖各小學校の十日を最多とし臨時休業を行つたのが二十一校に及んだ。罹災兒童は殆ど通學用の被服を始め教科書文房具等を失つてしまつたが、是等可憐の兒童に對する世人の同情は殊に厚く、義捐金・被服・學用品等が県内外の小學校並に全國民から寄贈されて、恩師や肉親を喪ひ學友と別れた悲しみの裡にも喜び勇んで登校することが出來たのであつた。
斯くて四月七日に至り文部大臣より罹災學齡兒童救済費として三萬六千九百五十一圓を交付されたので、県は兒童一人に付學用品費二圓、被服費四圓三十三錢四厘九毛、給食費八圓八十錢の割合を以て、五月十日別表の如く罹災地町村長に交付した。????164〜165??????

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遭難死亡教員
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小學校被害表
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罹災學齡兒童救済國庫交付金配分表

第三節 實業補習學校

災害地域に於ける町村立實業補習學校は氣仙郡一三・上閉伊郡二・下閉伊郡一三・九戸郡七總數三十五校であつたが、其の中被害は氣仙郡廣田校附屬水産加工塲並にボート一隻、下閉伊郡島ノ越校附屬傳馬船一隻、同郡大澤・船越各校附屬牡蠣養殖塲を孰れも流失した。又專任教員三十二名の中十名罹災し、生徒總數二千百六十二名の中死亡二十名・罹災四百六名を出だした。

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實業補習學校被害表

第五章 交通通信機關の被害

第一節 鐵道及航路

震災當時に於ける海岸地方の鐡道は、盛岡より山田に至る線が川内にとどまり、一關より大船渡に至る線が上鹿折にとどまり、海岸に沿うてゐるのは唯八戸より久慈に至る線だけであつた。而して八戸線八木驛近傍の線路は津浪の爲若干の決壊を生じ一時運轉不能となつたが、直ちに應急修理を施し四日早朝に至って開通した。尚ほ工事中の大船渡線米崎村沼田の未成線路も輕微の破損を見た。
又地震に依る被害は國有鐵道及び地方鐵道・軌道とも格別の被害を見なかつたが、唯山田線淺岸區界間第一第三兩隧道の側壁挟部數箇所に水平垂直龜裂及び押出しを生じ、又盛岡・瀧澤・大釜・區界各驛官舎十四戸の壁が四〇〇平方米、日詰・瀧澤・大釜・區界各驛本屋の壁が二八平方米孰れも剥落し、東北本線花巻驛本屋煉瓦造煙筒の上部が崩落し天井屋根に小破損を生じた。
尚ほ津浪の直後は孰れの港灣も流出家屋・木材等の漂流物に塞がれて船舶の出入航行を阻礙し且つ船舶は殆ど流失若しくは破損した爲就航することが出來ず、海岸地方に於ける唯一の交通運輸機關たる航路は全く杜絶するに至つた。

第二節 道路橋梁及河川

被害 道路橋梁河川等の被害は地震に起因するものは稀で、その大部分は津浪に依つて破損されたものである。從つて海岸に接近した低地部に在るものに損害が甚だしく、又道路は災害の最も甚だしかつた下閉伊郡田老村及び船越村の如きは殆ど原形をとどめね程に損害を被つた。
又主要道路では氣仙郡末崎村細浦の道路が家屋倒壊の爲不通となつたが、六日辛うじて開通し、同郡唐丹村では海岸寄りの道路が殆ど洗ひ流されたが七日に至つて辛うじて開通した。その他の町村道の被害は擧げて數ふるに遑ない状態である。
河川も道路橋梁と同じく津浪の爲非常な災害を蒙り運輸或は灌漑等に多大の支障を來たした。而してその箇所は四十五箇所に及び修理に要する工費は五十一萬三千八十圓の多額に達した。
應急施設 災害の報に接した県土木課及び罹災地土木管區に於ては、道路橋梁棧橋等の應急修理に力を注ぎ地元町村長と協力して材料の蒐集に奔走したが、慘害は豫想外であつて被害地域の住民は何れも身をもつて難を免れ、やうやくその家族の行方捜索に專念するにとどまり工事に應招する者がなかつたが、三日午後には他土木管區や軍隊を始め各種團體の應援隊が陸續として集まつた爲、これ等の各團體と協力して修理に着手した。その中盛岡工兵隊は満洲派遣中で留守隊の人員少き折柄最大限度の人員を救援隊として派し、第一班小粕大尉以下三十八名は鵜住居村方面に、第二班佐藤少尉以下十三名は宮古方面に活動し、電信電話線・道路橋梁等の應急修理をなし交通その他に多大の便益を與へた。
尚ほ災害應急県工事費並に町村工事費は別表の如く昭和七年度分だけでも二萬圓を要し、之に八年度分五萬圓を合算すれば七萬圓の多額に上つてゐる。
而して災害土木復舊県工事費は四拾六萬四千七百六拾九圓で、道路八十六箇所橋梁三十箇所に付工那費の八割五分を國庫補助に仰いで施行し、別に県限工事として道路百三箇所橋梁三十一箇所の復舊工事を施行することとした。
又同町村工事費は百二十二萬八百三十一圓で道路六十五箇所、橋梁四十三箇所、河川護岸三十五箇所、港灣・船溜塲・船揚塲・海岸等四十九箇所に付工事を施行し、工事費の八割五分を県より補助し且つ県に於て設計し監督することとなつた。又街路復舊事業費は十萬圓で釜石町外五六箇町村の市街地區の整理、街路の復舊を計画し被害市街地面積二十萬四千七百坪、街路面積約六千坪に付被害地町村に事業を施行せしめその工事費の八割五分を県より補助することとなつた。

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震災應急工事管區別表
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震災應急工事個所別表
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町村震災應急工事管區別表

第三節 郵便及電信電話

一、被害

郵便 津浪氾濫地帶の郵便局で損害を被つたものは十一局(内取扱所一)に上つてゐるが、その内細浦・綾里・田老・平井賀・八木の五局は流失し、廣田局は倒壊し、大船渡・赤崎・越喜來・釜石・安渡の五局に浸水し、局舎並に官金の損害は田老局三千圓(外官金流亡一千十二圓五十七錢二厘)平井賀局一千五百圓(同十八圓七厘)越喜來局一千三百圓・細浦局一千一百圓(官金流亡四十圓八錢七厘)八木取扱所一千六十圓(同四十一圓七十九錢)綾里局八百圓(同三十四圓六十七錢六厘)泊濱局七百圓・赤崎局三百二十一圓・釜石局百七十六圓・大船渡局百圓等總額一萬一千五百餘圓に及び、從業員並に其の家族の遭難は局員の死亡七・同負傷四、局長家族死亡一四・同負傷二、局員家族死亡二七・同負傷三總計三十七名、郵便物の被害は通常郵便物に於て田老局一八○・綾里局一五〇、特種郵便書留小包に於て各局を通じ六三總計三百九十三件の流失を出だし、又濕潤は通常郵便物に於て越喜來の三○○、特種郵便物及び書留小包に於て三一總數三百三十一件を出だした。


電信電話 罹災地方の電信並に長距離電話は激震に依つて到る處に電柱の傾斜・拔上・轉倒・折損等を出だし線條の切斷も多かつたが、更に津浪に依つて流失其の他の被害夥しく、電柱の損害二五〇二本、線條の切斷は一二六箇所に及び、宮城県境より青森県境に亘る沿岸地帶の線路亘長二二五、六五九、線條延長一二四二、八二二の内故障無きものは僅かに高田以南及び野田宇部問、末崎細浦問だけで、一時は沿岸地方相互の聯絡も内陸部との通信も全く杜絶の状態であつた。又市内電話線の被害は同時に津浪と火災との慘禍に襲はれた釜石町に最も多く加入者の通話不能となれるもの總數三五七の中一〇六に及び、山田の四七、大槌の二五、細浦の一九、宮古の一〇等は之に亞ぎ、電柱の流燒失折損、線條の切斷、器具機械の損害等は巨額に上つた。

二、應急措置

局舎 災害の激甚なるに伴なひ通信事務輻輳し一刻の猶豫を許さぬに鑑み、流亡或は倒壊した郵便局は直ちに假局舎の設置を急いだ。即ち綾里局は小學校を、泊濱局は國枝醫院を、細浦・田老・平井賀・釜石各局並に八木取扱所は民家を以て局舎に充て、越喜來局は應急修理を施し・一斉に同日午前八時を期して一般事務の取扱を開始するに至つた。


電信及電話 電信及び電話の復舊は最も急施を要するので、仙臺遞信局では災害の判明するとともに急遽盛岡駐在技術官を派遣し、次いで工務課員を以て情報係・回線障碍状况係・對本省及對課外係・應援吏員及雇傭人手配係・各地被害状况並手配状况等圖示表係・復舊豫算作成資料蒐集係・應急工事所要物品手配係の七班に部署し、仙臺青円森兩郵便局の應援に依つて多数の工手を派遣し、一方應急工事材料の手配を講じ現塲員を督勵して應急工事を急いだ結果、最も被害の甚だしかつた釜石は當日午前七時三十分に電信復舊し同十時には電話交換事務を開始し、細浦、平井賀・泊濱各局は三日、綾里・越喜來兩局は四日孰れも電信電話ともに開通し、最も僻遠不便の地である田老局における電話四日午後五時、電信五日午後一時の復舊を以て全地域の通信機關の復舊を完了した。

第四節 警察電話

震災の被害に依り東海岸地方の警察署と本廳とを聯絡する警察專用の電話は全く通話不能となりし爲、直ちに警察技手一名電話工夫二十三名を以て警察通信係を編成し變災の中心地たる釜石警察署に急派して罹災地域内の被害調査を行はしめたが、斷線・倒壊・流失等意外に夥しく且つ廣範に亘るを以つて更に多數の人夫を増派し、一方盛岡工兵第八大隊に請うて將兵の派遣、線條・電話器の供給を得て鋭意應急修理に當り、釜石署と本廳間は三日午後復舊し其の他も漸次開通を見最遠線路たる岩泉署線も十日を以て復舊し、茲に漸く全管内の完通を見辛うじて通話する事を得たが、根本的に復舊するには相當の期間を要するを以て右復舊に要する豫算を左の通り計上し工事を執行することとした。

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警察電話復舊費表

第三編 救護應援

第一章 聖恩

第一節 御内帑金下賜

岩手・宮城・青森の三県に亘る慘禍の情報一たび天聽に達するや天皇・皇后兩陛下には深く御軫念あらせられ、畏くも罹災民賑恤の思召を以て三月四日御内帑を開かせ給ひ、且つ侍從差遣の御沙汰を賜はつた。
即ち侍從大金益次郎氏は聖旨を奉じて三月四日午後十時三十分東京上野驛を發し五日午前七時仙臺驛に御到着、午前九時宮城県廳正廳に罹災三県の知事を召して優渥なる叡旨並に御内帑金を傳達し更に親しく災害の状況を聽取せられたが、本県よりは内務部長書記官前田愼吾知事代理として出頭し御内帑金三萬圓を拜受した。
石黒知事は聖恩の宏大に感激し、三月五日左の告諭を發布し畏き殊寵を肝銘せしむるとともに、鋭意力を復興に致し速かに聖慮を安んじ奉らむことを訓諭した


告諭
三陸沿岸ヲ襲ヘル震災海嘯ノ被害甚大ナルヲ被聞食畏クモ
天皇
皇后爾陛下ニ於カセラレテハ深ク御軫念遊バサレ特ニ優渥ナル御沙汰ヲ賜ヒ侍從ヲ遣ハサレテ親シク罹災民ヲ慰メ御内帑ヲ開キ給ヒク救恤ノ資ヲ御下賜アラセラル
聖慮鴻大
天恩無窮誠ニ恐懼感激ノ至ニ堪ヘス
惟フニ今次ノ災害ハ稀有ノ慘事ナリト雖県民ハ不撓不屈相勵ミ相助ケ鋭意復興ニ力ヲ輸シ進テ將來ノ計ヲ樹テ以テ
聖恩ニ對へ奉ラムコトヲ期スベシ


而して御下賜金は定むる所の標準に據り、三月十四日午前十時一斉に高田・盛・釜石・山田・宮古・小本・久慈の七箇所に於て罹災地町村長に對する頒賜の式を行ひ、各町村長は聖慮を畏み五日以内に之を管内罹災民に傳達した。
頒賜の標準
一、死亡者及行方不明者 一人 金七圓
二、負傷者 同 金三圓
三、住宅全燒流失及倒壊 一世帶 金一圓
四、罹災世 帶 同 金一圓
五、出動將兵の罹災世帶 同 金一圓

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御下賜金頒賜表

第二節 侍從御差遣

御内帑金傳達並に罹災民慰問の仰せを拜した侍從大金益次郎氏は、三月五日宮城県廳に於ける傳達式終了の後直ちに同県下災害地の視察に向はせられ、七日午前八時四分氣仙沼驛を發して同八時五十五分本県矢作驛に御到着、石黒知事の御先導に依り高等警察課長加藤警部、盛警察署長目黒警部其の他を從へて氣仙郡より順次北進し、上閉伊・下閉伊・九戸の四郡に亘り、嚴しき春寒を凌き難行の險路を冒して夙夜精を勵まされ、親しく優渥なる聖旨を傳へて罹災蒼生の慘苦を慰撫せられ、十日九戸郡種市村を最後に四日に亘る八町二十七箇村(氣仙郡綾里村を除く)の御視察を終へ同日午後四時二十六分八木驛を發して青森県に向ひ、同県下を御視察の上十一日午後六時十七分盛岡驛御通過御歸京あらせられた。


大金侍從御動靜
三月七日 午前八時五十五分大船渡線矢作驛着ニテ御來県、自動車ニテ氣仙郡氣仙町長部部落御視察ノ後同郡高田町ニ御着、高田實科高等女學校ニ於テ石黒本県知事ヨリ災害状况言上、午前十時三十分同所御發同郡小友村唯出部落・末崎村細浦部落及大船渡町ヲ御視察、同町小學校ニ於テ午餐ヲ召サレ午後一時三十分早池峰丸ニ御乘船對岸ノ赤崎村ヲ御視察、初メ釜石町マデハ海路ニ依リ僻遠ヲ推シテ慘害甚ダシキ綾里村ヲモ御視察ノ豫定ナリシモ風浪激シキ爲赤崎村ヨリ引返シ、大船渡町ヨリ陸路自動車ニテ越喜來・吉濱・唐丹ノ各村ヲ御視察ノ後午後八時四十分上閉伊郡釜石町ニ御着、同町鈴子族館ニ御宿泊


三月八日 午前八時御族館御出發、陸路自動車ニテ釜石町・鵜住居村兩石部落・大槌町吉里吉里部落・下閉伊郡船越村田の濱部落ヲ御視察ノ後同村役塲ニ於テ御晝餐、午後二時御出發織笠村・山田町・大澤村・津輕石村・宮古町鍬ケ崎ヲ御視察ノ後午後六時宮古町熊安族館ニ御宿泊


三月九日 午前八時御旅館御出發、宮古港ヨリ發動機船ニテ同郡重茂・田老・小本・田野畑・普代及九戸郡野田・宇部(船上ヨリ御視察)ノ各村ニ御上陸罹災現地ヲ御視察ノ後午後九時久慈町ニ御着、同町本宮旅館ニ御宿泊


三月十日 午前十時御旅館御出發、九戸郡長内村・久慈町久慈湊部落御視察ノ後午後零時四十一分夏井驛御發、車中ヨリ侍濱村御視察、午後一時三十一分八木驛御着、同郡中野村小子内部落・種市村八木宿戸兩部落ヲ御視察、午後四時二十六分八木驛御出發青森県ニ向ハセラレ午後五時三十七分八戸市鮫驛御着御宿泊


三月十一日 青森県下ノ罹災地御視察ノ後午後六時十七分盛岡驛御通過御歸京

第三節 皇后陛下衣服地下賜

天皇・皇后兩陛下には曩に畏くも鉅額の御内帑金を下し賜はつたが、皇后陛下に於かせられては更に罹災傷病者並に孤獨の老幼に對して御憐愍を垂れさせられ、四月一日衣服地百五十一人分裁縫料百五十一圓を御下賜あらせられた。
県は即ち「三週問以上就床又は安靜加療を要する傷病者並に六十歳以上十四歳未満の孤獨者」三百五十人に付一人衣服地一着分裁縫料五十錢を頒賜の標準と定め、愛國婦人會岩手支部及び市内女子中等學校生徒等の奉仕によつて裁縫し之に裁縫料を添へ、四月十七日午前十時一斉に盛・釜石・宮古・小本・久慈の五箇所に於て罹災地町村長に對し頒賜の式を行ひ、各町村長は篤き御坤徳を奉體し三日以内にそれぞれ拜受資格者へ傳達した。


傳達式ニ於ケル知事ノ訓示
今般畏クモ皇后陛下ニ於カセラレテハ這般ノ本県震災ニ付深ク御心ヲ惱マセ給ヒ罹災傷病者並ニ孤獨ノ老幼者ニ對シ特別ノ思召ヲ以テ衣服地及裁縫料ヲ御下賜アラセ給フ深キ御惠ニ浴シ感激ノ臻ニ任へズ本日茲ニ其ノ傳達式ヲ舉行シ御下賜品ヲ頒賜ス仍テ拜受者一同ニ對シ克ク御趣旨ノ存スル所ヲ示達シ永ク御仁慈御坤徳ヲ仰ギ奉ラシムべシ

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御下賜品頒賜表

第四節 各宮家の御救恤

秩父・高松兩宮殿下を始め各皇族に於かせられては震災の慘禍に對しいたく御同情遊ばされ、七日午前十時より宮内省宗秩寮に各宮家の別當・事務官會議を開いて慰問の方法を協議の結果、秩父・高松・閑院・東伏見・伏見・山階・賀陽・久邇・梨本・朝香・東久邇・北白川・竹田の各宮家及び昌徳宮・李鍵・李鍋の王公家より罹災民御救恤の爲金二千圓を御下賜に決定し、三月九日當番北白川宮家より内閣を經て一道三県に傳達され、本県には金一千五百圓を頒賜された。仍て石黒知事は三月十三日之を拜受し直ちに各宮家王公家に御禮言上の電信を發し、次いで左の如く罹災地町村長に之を傳達した。

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宮家王公家御救恤金頒賜表

第五節 知事震災状况奏上

昭和八年四月地方長官會議に列した石黒知事は、同月二十一日全國府県知事とともに宮中豐明殿に於て御陪食を仰付けられ次いで茶菓を賜はつたが、其のみぎり畏くも陛下の御前に召され内務大臣山本男爵侍立のもとに震嘯の被害並に災後の情態に就いて委曲奏上し奉つた。陛下には特に御豫定の時問を延ばさせられていと御熱心に、雄々しく復興に勤しむ県民努力の状况を御聽取遊ばされた。


御沙汰書
岩手県
今般其管内震災ノ爲損害不尠趣被聞食思召ヲ以テ
天皇
皇后兩陛下ヨリ御救恤トシテ金三萬圓下賜候事
昭和八年三月四日
宮内省


宮内大臣電報 (三月四日午後二時三十三分受信)
本月三日管下強震ノ爲被害尠カラザル趣被聞食御救恤トシテ天皇皇后兩陛下ヨリ金三萬圓
下賜セラル
宮内大臣
岩手県知事宛


知事禮電(三月四日發信)
今般畏クモ御内帑ヲ開ヵセラレ罹災者御救恤ノ資トシテ御下賜金ノ御沙汰ヲ拜シ聖恩鴻大
感激ノ至ニ堪ヘズ誓ッテ聖旨ニ副ヒ奉ラムコトヲ期ス
右御禮言上ノ執奏方御取計ヲ希フ
岩手県知事
宮内大臣宛


知事電報 (三月十四日午後六時四十分發遣)
本日県下七箇所ニ於テ罹災地町村長ヲ招集シ知事代理トシテ各課長ヨリ謹ミテ優渥ナル聖
旨ヲ傳へ御下賜金ノ頒賜ヲ了シタリ
岩手県知事
宮内大臣宛


宮内大臣電報(三月四日午後三時五十分受信)
其ノ管下震災ノ爲被害不勘趣被聞食思召ヲ以テ侍從大金益次郎ヲ差遣ハサル同侍從ハ本日
午後十時三十分ノ上野驛發ニテ明五日午前七時仙臺驛着ノ豫定ニ付同所ニテ宮城県知事並ニ
青森県知事ト萬事打合セアリタシ
宮内大臣
岩手県知事宛


知事禮電 (三月四日午後五時發遣)
畏クモ思召ヲ以テ侍從御差遣ノ趣ヲ拜シ感激ニ堪ヘズ尚御下命ノ件ハ謹ミテ拜承ス
岩手県知事
宮内大臣宛


社會局社會部長電報(三月四日受信)
三月三日震潮害ノ被害状况視察ノ爲大金侍從御差遣アラセラル侍從ハ本日午後十時三十分上
野發五日午前七時仙臺驛御着ノ上宮城県廳ニ於テ貴県並ニ青森宮城兩県ニ對シ御下賜金傳達
アラセラルルニ付貴官又ハ代理官拜受ノ爲五日午前七時迄ニ宮城県廳ニ出向セラレタシ
社會局社會部長
岩手県知事宛


社會局社會部長電報(四月一日午後四時四十五分受信)
這般貴管下震災ニ付罹災傷病者並ニ六十歳以上十四歳未満ノ孤獨者二對シ
皇后陛下ヨリ衣服地並裁縫料下賜アラセラル衣服地ハ宮内省ヨリ裁縫料ハ當局ヨリ夫々送付
ス委細交
社會局社會部長
岩手県知事宛


社會局長官通牒(四月四日受付)
發社第五三號
昭和八年四月一日
社會局長官
岩手県知事殿
皇后陛下ヨリノ御救恤品下賜ニ關スル件通牒
這般ノ震災ニ依ル罹災者ニ對シ別紙目録寫ノ通リ皇后陛下ヨリ御下賜相成候ニ付傳達方可
然御取計相成度
追而現品(衣服地)ハ宮内省ヨリ裁縫料ハ當局ヨリ夫々送付相成ベキニ付御了知相成度


(目録寫)
岩手県下震災ニ付罹災傷病者並六十歳以上十四歳未満ノ孤獨者
一 衣服地 百五十一人分
一 裁縫料 金百五十一圓


知事禮電 (四月三日發信)
今般畏クモ皇后陛下ニ於カセラレテハ本県下震災ニ付罹災傷病者並ニ孤獨ノ老幼者ニ對シ
御救恤品ヲ御下賜アラセラル深キ御惠ニ浴シ感激ノ臻ニ任へズ直ニ傳達ノ手續ヲ採リ謹テ御
趣旨ニ副ヒ奉ラムコトヲ期ス
右御禮言上ノ執奏方御取計ヲ希フ
岩手県知事
皇后宮大夫宛


知事電報 (四月十七日發遣)
本日県下五箇所ニ於テ罹災地町村長ヲ招集シ知事代理トシテ各課長ヨリ謹ミテ思召ヲ傳へ御
下賜品ノ頒賜ヲ了シタリ
岩手県知事
皇后宮大夫宛


社會局社會部長電報 (三月九日午後七時十五分受信)
各宮家ヨリ震災ニ付御救恤金御下賜相成タルヲ以テ貴県ニ對シ金一千五百圓送付ス
社會局社會部長
岩手県知事宛


同通牒
發社第三一號
昭和八年三月九日
社會局社會部長
岩手県知事殿
震災御救恤御下賜金ニ關スル件通牒
今般各宮家ヨリ三陸地方震災ニ付御救恤トシテ別紙目録寫ノ通御下賜相成候ニ付貴県ニ對シ
金一千五百圓也別途送付候條御査收ノ上御禮言上並分配方可然御取計相成度


(目録寫)
金二千圓
右三陸地方震災ニ付御救恤金トシテ御下賜
秩父宮
高松宮
閑院宮
東伏見宮
伏見宮
山階宮
賀陽宮
久邇宮
梨本宮
朝香宮
東久邇宮
北白川宮
竹田宮
昌徳宮
李鍵公家
李鍋公家


知事禮電 (三月三十日午前十一時發遣)
管下罹災民ニ對シ御救恤金御下賜アラセラレ感激ノ至ニ堪ヘズ誓テ思召ニ副ヒ奉ラムコトヲ
期ス御禮言上方宜敷御取計ヲ願フ
岩手県知事
各宮家別當(事務官)宛


知事電報 (三月十三日午前十一時發遣)
各宮家ノ御下賜金本日有難ク拜受ス各宮家へ御禮言上ノ取計セリ
岩手県知事
社會局社會部長宛

第二章 政府の救護援助

第一節 内閣及各省

一内閣

政府は三陸地方大震災の公報に接して甚だ其の成行を重視し、各省をして先づ第一に關係被害の状况を調査せしめ、其の結果並に罹災地方長官の詳報を待つて救済の方法を講ずることとしたが、時の内閣総理大臣斉藤子爵は特に郷關たる本県の被害の激甚なるを深憂し三月三日夜親ら左の手書を石黒知事に寄せて慘禍を悼み且つ復興に付激勵する所あつた。


(斉藤内閤総理大臣の手書)
拜啓今曉の地震に於て何れにか大震ありしことに想像罷在候處午前八時頃新聞號外にて三陸地方海嘯の報を見て驚入り候次第に有之續々貴県其他よりの入電にて詳報を悲み居る次第に御座候
此悲慘なる現場に御盡力被下候儀感謝の至に奉存候政府に於ても出來得る限り救済に努め候樣協議中に有之明日は夫々具體的方法相立ち候儀と存候先づは御見舞旁々不取敢得貴意度如斯に御座候匆々
三月三日夜 實
石黒岩手県知事閣下


而して政府は翌くる四日臨時閣議を開いて應急對策に關し協議し、同日の帝國議會本會議の席上斉藤首相は被害の状况を報告するとともに、罹災民の救済並に復興に付最善の努力を爲すべき旨を言明し、且つ議會の協賛援助を要望した。
又同日午後二時臨時各省次官會議を開き租税の減免、米穀の無償貸附、漁具買入其の他に要する低利資金の融通等に付協議し、更に總理大臣三百圓、各省大臣百圓、各省高等官同待遇者俸給月額二百分の一、同判任官任意の標準に依つて義捐金を醵出し、之を岩手県八二・二、宮城県一五・八・青森県一・三、北海道○・七の比率に依つて送附することに決定した。
次いで政府は本県における被害甚だしく救護及び復舊に關し巨額の經費を要すべきに鑑み、國庫より二十一萬八百九十九圓を、交付して救護・警備・救療諸費に充てしめ、又災害復舊に關する諸施設に對し四百二十四萬二千三百八十七圓を補助し、六百七十一萬九千圓を低利を以て融通するに決し、更に五月一日勅令第八十二號を以て地方事務官一人、屬四人、技手六人の專任職員を設置して震災事務に鞅掌せしめた。

二 内務省

内務省は罹災地長官の公報に依り三日朝直ちに被害調査の爲警保局事務官石井・増田兩氏を罹災地に急派し、次いで同日午後二時堀田社會局事務官を、同午後十時進藤・谷口兩土木局事務官及び鈴木・長久保兩土木局技師を派遣した。
即ち先發派遣の命を受けた石井・増田兩事務官は、三日午前八時日本航空輸送會社別仕立の放客機に搭乘して羽田飛行塲を發し午後零時仙臺市に到着、石井事務官は是より汽車にて宮城・岩手兩県下の罹災状況を視察調査し、増田事務官は更に飛行機にて罹災地方を視察の上、兩氏は同日午後八時半飛行機にて東京に歸還した。仍て内務省は右の情報に依つて直ちに省内に三陸地方震害對策協議會を開き警保・土木・社會・衛生各局長以下參會し救済對策の大綱を左の如く決した。


一、地方税の減免
國税の減免に伴なひ地方税の減免を行ふこと


二、衣食住等物資の供給
罹災地救済基金法を適用し各被害地方長官を督勵して救助金を支出せしめ、一方全國府県に依囑して義捐金を募集し食糧・衣服の配給に全力を盡くすこと


三、治安維持
死者の收容、負傷者・病者の保護手常等は地元道県に於て軍隊・青年團・赤十字社等と協力して之を行ひ、又警備・流言蜚語取締等治安の維持に努むること


四、復舊工事
倒壊家屋及び道路・河川等の災害復舊工事は急速に實行すること、宮古・釜石兩港灣の改修工事に就いては災害復舊國庫補助を支出し且つ道県支辨に依る修築を行ふこと


五、防疫
罹災地方長官の電請あり次第防疫醫並に防疫官吏の増員を行ひ被害地の防疫衛生の萬全を期すること
斯くて内務省は罹災民の救護並に被害の復舊に就き非常なる同情を以て斡旋盡力し、社會局は直ちに義捐金の募集を開始するとともに長官丹羽七郎氏(前岩手県知事)は小林事務官を隨へて三月五日來県し、山田線に依り宮古町に出で田老村以南の被害地を視察の上七日宮城県に向ひ、尋で四月九日内務政務次官斉藤隆夫氏は鈴木・本田兩土木局技師を隨へ大船渡線に依つて來県し、宮古以南の罹災地を視察して盛岡に出で十日歸京した。
又内務省は本県の要求に依り國費事務費豫算を三月四日四千圓、同三十一日五千圓を配付し、更に救護費警備費救療費其の他復舊事業に對する國庫補助額並に低利資金融通額を左の通り内定した。
國庫補助額 一、七三二、四九九圓
低利資金融通額 一、七七四、○○○圓

三 農林省

農林省は震災地方に於ける食糧の需給状况調査の爲三日午後十時米穀部伊藤事務官を派遣し、次いで四日水産被害調査の爲水産局中尾事務官及び徳久・十川兩技師等を二班に分つて被害三県に派遣した。
即ち其の一班たる中尾事務官・十川技師等の一行は、即日東京を發して來県し本廳を訪問の後直ちに釜石に向ひ、農林省監視船新知丸に搭乘して各港を經由し詳細被害の状况を調査して歸京した。又四日午後十時耕地及び農業被害状况調査の爲山北技師を派遣し、更に五日午前九時同省監視船白鳳丸は自米・食糧品等を積載して月島を發し、釜石・田老等に寄港して之を罹災民に配給した。
是に先だち政府は保管米二千五百俵(一俵四斗入)を拂下ぐるに決し、四日午後二時農林省深川倉庫より汐留驛に運搬し貨車十一輛に積載して同日午後九時五十分本県知事に宛て發送し、尋で同月七日に至り更に五千俵(四斗入)を拂下げた。
斯くて先づ應急救護の方法を講ずるとともに、曩に被害地へ派遣せる事務官・技師の調査結果に基づいて左の如く産業復舊に對する國庫補助額及び低利資金融通額を決定し、次いで農林大臣後藤丈夫氏は戸田水産局長・田淵會計課長・橋本秘書官等を伴なひ三月三十日東京を發して仙臺に降車し、俊鶻丸に依つて海路宮城県下を視察の上翌くる三十一日本県に入り、廣田・釜石・大槌・山田・宮古・田老の各地を視察し四月一日青森県に向つた。
尚ほ農林省は左の如く國庫補助額並に低利資金融通額を決定配付し、更に四月七日二千五百叺(四斗入)、六月十四日四千九百三十六袋(六斗入)を拂下げて罹災民に對する食糧米の配給を潤澤ならしめた。
國庫補助額 二、五五八、八四五圓
低利資金融通額 四、五六六、○○○圓

四 商工省

商工省は震災の直後山本事務官等を派遣して被害の状况を調査せしめ、其の結果に基づき工塲・店舖及び運送船建造に要する資金に關し大藏省と屡次折衝を重ね左の如く決定配付した。
國庫補助額 一一八、○○○圓
低利資金融通額 三七九、○○○圓

五 遞信省

遞信省は四日大臣代理として郵務局三宅書記官を罹災地へ派遣したが、仙臺遞信局長安光元一氏は三宅書記官と同道にて五日來県し、県廳を訪問の後罹災地を視察慰問して歸還した。
又仙臺遞信局は罹災預金者に對し郵便貯金の非常確認拂の必要を認め、三月三日より罹災地域の郵便局に於て之を開始したが、其の取扱ひは特に寛大と迅速を旨とし、晝夜の別なく通帳所持者には即時全額を拂ひ戻し通帳亡失者には局員の確認に依つて拂ひ戻した。而して三月三十一日迄の拂戻總額は九百二十九口、二萬九千九百六十九圓であつた。
之と前後して簡易保險局は罹災契約者に對し保險金及び貸附金の非常局待拂を爲すに決し、三月七日越喜來・田老兩局を魁に地方の實情に依り一日乃至四日の日程を以て順次十四局に及び三月十八日を以て打切つたが、支拂ひたる保險金の總額は二百八十九口、三萬六千八百二圓、貸附金の總額は二百八十四口、九千八百六十三圓であつた。
尚ほ盛岡郵便局では震災の直後事務員十三名を岩泉・田老・普代・大槌・大船渡等罹災地域の郵便局に派遣し通信事務を援助した

第二節 陸海軍の救援

一 陸軍

一、陸軍省
陸軍省は本県沿岸地方慘禍の情報に依り、三日直ちに恤兵部より金一萬圓を盛岡聯隊區司令官に交付して満洲派遣兵遺家族罹災者賑恤の資に充て、叉被服本廠より毛布及び外套(第二装)七千着を交付し、次いで四日には陸軍大臣の代理として陸軍少將谷壽夫氏を派遣し宮古並に釜石地方の被害状况を視察せしめた。


二、第二師團
第二師團司令部は氣仙郡地方の被害甚だしく且つ四日午後に至るも第八師團の救援及ばざるを知り、宮城県氣仙沼地方に派遣中の第二救護班に對し赴援を命じた。即ち班長陸軍一等軍醫鈴木時定以下七名は五日早朝氣仙沼を發して氣仙郡高田町に至り、警察官署と連繋を執り氣仙町長部部落並に米崎・小友・廣田の各村を巡回して罹災患者の救療に從ひ、同日午後六時廣田村に於て第八師團救護班と會し引繼を了して歸還した。


三、第八師團留守司令部
第八師團留守司令官(陸軍中將原田敬一)は盛岡聯隊區司令官の報告並に本県知事の電請に依つて、直ちに盛岡衛戍司令官をして所要の兵力を罹災地方に派遣し救護に任ぜしめ、一方弘前・盛岡兩衛戍病院をして救護班を編成し即日現地に急行せしめた。次いで四日司令部附歩兵中佐福田峯雄氏を盛岡市及び罹災地方に派遣して全般の統制・連絡に任ぜしめ、又別に本県知事の要求に依り被服及び糧食品を送附し、且つ師團管下の各隊に於ける罹災地出身將兵に對し食糧三日分を携帯歸郷を許可し災害善後の處置に當らしめた。


四、盛岡衛戍司令部
盛岡衛戍司令官たる騎兵第三旅團長市瀨少將(源助)は即日臨時司令部を本県非常警備司令部に移して相互の連繋を密にし、先づ五班の將校斥候に糧食・寢具・衛生材料等を携帶して罹災地に急行せしめ、更に満洲派遣兵遺家族の被害調査並に物資配給状况調査の爲將校を長とする五班の調査隊を派遣し、電信電話線の復舊、道路橋梁の補修等の爲工兵隊を二班に分ち被害劇甚の地方に派遣した。


五、盛岡聯隊區司令部
盛岡聯隊區司令官國崎大佐(登)は三日午前六時三十分本県知事の招請に依つて県廳に出向し県當局並に衛戍司令官と被害状况の調査及び救済の方法に就いて愼重協議を重ね、午前七時陸軍省並に第八師團留守司令官に概况を報告し且つ救援を要請した。次いで午前八時宮原中佐以下職員五名を罹災地に派遣して救護と調査に任ぜしめ、更に被害地に隣接せる町村の在郷軍人に總出動を命じ、管内を五區に分つて各々第一線・第二線の二班に編成し司令部職員並に中等學校配屬將校をして其の指揮官たらしめ、第一線班は衣糧の配給、死者の捜索收容、負傷者の救護、交通路の復舊、破壊家屋の整理及び警備に任じ、第二線班は後方に在つて救恤義捐金品の蒐集輸送、第一線出動員の斡旋等に任じた。


六、派遣部隊の活動
(一)騎兵斥候班
第一乃至第五各斥候班は三月三日午後九時より四日朝の間に於て各々擔任地區に到着し、地方官民及び在郷軍人等を督勵して救恤品の配給其の他諸般の統制に任じ殊に交通杜絶し被害の劇甚なる寒村僻地の救済に努力したが、是等の地方には未だ各種團體の活動が開始されなかつたので地方民は狂喜感激して之を迎へ、各班員亦必死の活動を爲し概ね三四日を以て其の任務を終了し、又斥候班に屬する醫療救護班は他の救護班に先だちて僻遠の罹災地に到り負傷者の治療に任じ三月九日を最後とし順次孰れも歸還した。
(二)工兵隊
工兵第八大隊の大半は満洲派遣中で留守の兵員は極めて少かつたが、被害の激甚に鑑みて最大限の兵力を出動するに決し、小粕大尉以下三十八名を以て第一班とし佐藤少尉以下十三名を以て第二班とし、第一班は鵜住居村を中心とする地方に第二班は宮古町を中心とする地方に派遣し、各班員は夜を日に繼いで電信電話線・道路橋梁等の應急修理に努力し通信及び交通上に多大の利便を寄與して十日歸還した。
(三)救護班
盛岡衛戍病院は軍醫二・看護長四・將校四・下士官兵五二を以て、弘前衛戍病院は軍醫一・準士官一・下士官兵二〇を以て各々救護班を編成し即日罹災地に向つて救療に從ひ、盛岡班は八日弘前班は十日それぞれ任務を終了して歸還した。

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出動部隊編成表
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救護班編成表
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罹災者救護用品交付表 陸軍省
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罹災者救護用品交付表 第八師團
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出動部隊所要經費表 第八師團 一、出動ノ爲要セシ費用
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出動部隊所要經費表 第八師團 二、携行兵器衛生材料復舊費
二 海軍

一、横須賀鎭守府
横須賀鎭守府司令長官(中將野村吉三郎)は三陸沿岸地方の災害激甚の情報及び本県知事の救援要請に依つて、直ちに第一驅逐隊の野風・沼風・神風及び第六驅逐隊の稻妻・雷の各艦に被服・糧食等を積載して急遽罹災地に向はしめた。即ち各艦は舳艫を銜んで一路北進し、翌くる四日午前十一時前後には濛々たる黒煙を空高く曳きつつ大船渡・釜石・宮古・久慈の各港に入りて投錨、饑寒の苦しみに生ける心地も無い罹災民の、遙かに其の勇姿を望み狂喜して迎ふる中を凛々しい白脚絆姿の水兵はモーターボートに依つて上陸し、既に到着の大湊要港部第四驅逐隊員と協力して救恤品の陸揚を爲し、次いで六日早朝には軍艦嚴島が管内將校下士官の義捐にかかる救恤品(白米三〇〇俵、砂糖三〇俵、醤油一〇〇樽、罐詰二、四〇〇個、漬物二〇〇樽其他)及び毛布・軍衣袴・襦袢・雨衣筆を積載して釜石に入港し更に北航して宮古に至りそれぞれ救恤品を配給して歸還した。
尚ほ横須賀鎭守府司令長官は罹災地出身の海軍兵に歸郷を許可し災害跡の整理其の他に當らしめた。


二、大湊要港部
大湊要港部司今官(少將河野董吾)は三陸沿岸地方一帶に亘る被害の激甚なるを憂慮し且つ本県知事の救援要請に依つて、直ちに前日來陸奧灣に出動訓練中の第四驅逐隊を招致して救難準備を完成せしめ三日午後零時五十分より同五時二十五分に至る問に於て逐次災害地に向け派遣し、其の後の情報に依り主として救難物資(建築材料)輸送の爲更に特務艦大泊を増派するの必要を認め、午後十一時之を八戸港に出動せしめた。即ち第四驅逐隊の秋風・太刀風・帆風・羽風の四隻は、翌くる四日午前六時三十分秋風の宮古入港を始めとし各艦孰れも豫定の配備地点たる八戸・山田・大槌・釜石等に到着し、横須賀鎭守府より派遣の第一・第六各驅逐隊と協力して專ら海上の捜査並に救護作業に從事した。而して六日に至り罹災地の秩序略々回復し且つ各方面の救護措置が行き渡り殆ど艦船に依る救難を要せざるに至つたので、同日午前九時釜石に入港した軍艦嚴島搭載の海軍救恤品の配給作業を以て任務を終了し七日午後五時大湊に歸還した。又特務艦大泊は四日午後零時八戸港に到着し釜石方面に輸送すベき建築材料を積載して午後十時出港、難航を續けて翌くる五日午前七時釜石に到着し陸揚を完了して六日午後二時大湊に歸還した。


三、航空隊
霞ケ浦海軍航空隊は三日午前九時本県知事の發した「砦手県東海岸大海嘯アリ、被害甚大ノ見込、飛行機派遣状况偵察頼ム」との電信に依つて直ちに出動を命じ、之と前後して館山海軍航空隊も亦出動を命じ、四機の偵察機は銀翼を列ね西十八米の烈風を冐して北進し、午前十一時早くも本県海岸の上空に機影を現はした。夜の明くるとともに意外に慘憺たる災禍の光景を眼の邊りにし、飢と寒さとに戰慄恐怖してゐた三萬四千の罹災民は、皆其の勇ましい轟昔を聞いて蘇生の思ひを爲し、救援の近く至るべきを察して漸く愁眉を開くを得た。

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横須賀海軍軍需部救恤品
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大湊要港鄙救恤品
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陸軍海軍應援配置圖 三月七日現在

第三節 鐵道及汽船運賃の減免

仙臺鐵道局盛岡運輸事務所は震災の當日より罹災民救護用物資は無料を以て復舊建築材料は五割減を以て取扱ふ旨を公表し、又県の要請に依つて是等物資材料の輸送に要する車輛の配備に就き全能力を盡くし各驛は一般貨物に先んじて迅速に其の輸送に從つたが、更に鐵道省は三月六日告示第五十六號を以て右物資に對する運賃減免の恩典を公布し、次いで八日及び十一日の二回に亘り其の範圍を擴大した。
即ち罹災者救恤用寄贈品は三月四日より五月三日迄省線及び岩手輕便鐵道・三陸汽船航路を無賃とし、復舊建築材料は三月四日より七月三日迄同じく省線及び岩手輕便鐵道・三陸汽船航路を五割減とし、復舊建築材料は初め木材・竹・瓦類・煉瓦類・セメント・セメント製品・ブリキ及トタン類・針金類・釘類・建具・敷物類・疊・板硝子の十四種を指定したが、十一日に至り之に杉皮を追加して十五種とした。而して盛岡運輸事務所管内各驛に於て無賃輸送の取扱をなしたのは左の通りである。


又盛岡運輸事務所は救療の爲罹災地へ赴く醫師・看護婦に對し三月四日より二十日に至る期問無賃乘車の取扱をなし、震災地整理に關し勞力奉仕の爲に出向する十名以上の團體にして県知事又は市町村長發行の證明書を所持するものに付、三月七日より二十日に至る期問無賃乘車の取扱をなしたが其の人員は左の通りである。


尚ほ岩手輕便鐡道株式會社は震災の當日より罹災者救恤品及び復舊材料の無賃或は割引輸送を開始し、且つ救護の爲県・市町村長・警察署長等の證明書を所持し社線各驛より釜石驛に往復する放客に對して無賃輸送の取扱をなし、三月六日よりは總べて鐵道省の取扱に準じた。
又三陸汽船株式會社は津浪のため自ら莫大な損害を被つたが、鹽釜港經由に依り罹災地に配給すべき本県救護物資の輸送に關し、非常なる犧牲を拂ひ全能力を擧げ無賃を以て其の運送に從び、配給計画の遂行に多大なる貢献を爲した。


○鐡道省告示第五十六號(昭和八年三月六日)
三陸沿岸震火災及海嘯罹災者用救恤品及復舊建築材料ニ對シ左記ニ依り運賃減免ス
一、品名 甲、罹災者救恤用寄贈品
 乙、復舊建築材料
 木材、竹、瓦類、煉瓦類、セメント、セメント製品、ブリキ及トタン板、針金類、釘類、建具、敷物類、
 疊、板硝子
一、發驛 省線及連帶線各驛
一、著驛 仙臺、盛岡、鹽釜、石巻、千廐、氣仙沼、陸前矢作、平津戸、八戸、湊、種市久慈各驛、仙人峠、遠野、三
陸汽船會社各取扱所
一、扱種別 甲、小荷物及各扱貨物
乙、各扱貨物
一、賃率 甲、省線及岩手輕便鐵道内無賃
乙、省線及岩年輕便鐵道内五割減
一、荷受人 甲、岩手、宮城県知事又ハ岩手県九戸、下閉伊、上閉伊、氣仙郡、宮城県本吉、桃生、牡鹿郡下各町村長
一、期間 甲、昭和八年三月四日至昭和八年五月三日
乙、昭和八年三月四日至昭和八年七月三日
一、條件 イ、甲ハ集貨及配逹ヲ爲サズ
ロ、乙ニ對シテハ岩手、宮城県知事又ハ岩手県九戸、下閉伊、上閉伊、氣仙郡、宮城県本吉、桃生、牡鹿郡下
各町村長ニ於テ震火災又ハ海嘯罹災者用復舊材料タルコトヲ證明シアル書類ヲ提出スルコト


○鐵道省告示第六十號(昭和八年三月八日)
昭和八年三月鐵道省告示第五十六號三陸沿岸震火災及海嘯罹災者用救恤品及復舊建築材料ニ封スル運賃減免ニ關スル件中左ノ通改正シ昭和八年三月六日ヨリ之ヲ適用ス
著驛ノ項ヲ左ノ如ク改ム
甲、仙臺、一ノ關、盛岡、沼宮内、古間木、下田、鹽釜、石巻、千廐、氣仙沼、陸前矢作、平津戸、八戸、湊、鮫、階上 種市久慈間各驛、仙入峠、遠野、米谷淺水、三陸汽船會社各取扱所
乙、一ノ關、沼宮内、古間木、下田、鹽釜、石巻、氣仙沼、陸前矢作、平津戸、八戸、湊、鮫、階上、種市久慈間各驛、 仙人峠、遠野、米谷淺水、三陸汽船會社各取扱所
賃率ノ項ヲ左ノ如ク改ム
甲、省線、仙北鐵道、岩手輕便鐵道及三陸汽船會社航路無賃
乙、省線、仙北鐵道、岩手輕便鐵道及三陸汽船會社航路五割減
荷受人及條件ノ各項中「宮城県」ヲ「宮城、青森県」ニ「各町村長」ヲ「各町村長、青森県、百石町長、市川三澤各村長』ニ改ム


○鐵道省告示第六十四號(昭和八年三月十一日)
昭和八年三月鐵道省告示第五十六號三陸沿岸震火災及海嘯罹災者用救恤品及復舊建築材料ニ對スル運賃割引ノ件中左ノ通改正ス
品名ノ項乙復舊建築材料中「木材」ノ次ニ「杉皮」ヲ加フ


O勞力奉仕團體證明書案(半紙)
救療醫師看護婦ノ證明書樣式モ右ニ準ズ

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無賃輸送の取扱
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無賃乘車の取扱をなしたが其の人員
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勞力奉仕團體證明書案(半紙)

第四節 租税の減免

政府は震災被害者に對する租税の免除又は猶豫を行ふに決し、當時開會中の帝國議會に法律案を提出して貴衆兩院の協賛を經、三月二十五日法律第十三號及び同月二十七日大藏省令第六號を以て其の恩典を公布した。
即ち被害著しき者の昭和七年分第三種所得税第四期分は之を免除し、著しく利用を妨げられた土地に就いては宅地三年以内、田畑等五年以内其の地租を免除し、又三月二日以前にかかる第一種所得税・法人營業收益税・相續税・酒造税・清凉飮料税等は被害地域全般に亘り昭和八年十二月乃至同九年四月を限り徴收を猶豫することにした。
而して右法令に依つて免除又は猶豫の恩典に浴したものは左の通りである。


○法律第十三號(昭利八年三月二十五日)
第一條 政府ハ震災(昭和八年三月三日ノ震災及之ニ伴フ火災又ハ海嘯ヲ含ム以下同ジ)ニ因ル被害者ノ震災地ニ於テ納付スベキ昭和七年第三種所得税第四期分ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ免除スルコトヲ得


第二條 政府ハ震災ニ因リ著シク利用ヲ妨ゲラレタル土地ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ地租ヲ免除スルコトヲ得


第三條 政府ハ震災地ニ於テ納付スベキ昭和八年分ノ第三種所得税、個人ノ營業收益税及乙種資本利子税ニ限リ課税ニ關スル申告及申請並ニ課税標準ノ決定ニ關シ命令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得


第四條 政府ハ震災地ニ於テ昭和八年三月三日以後ニ納付スベキ租税ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ徴收ヲ猶豫スルコトヲ得


第五條 第一條、第三條及前條ノ震災地ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム


第六條 第一條又ハ第二條ノ規定ニ依リ免除セラルル租税ハ法令上ノ納税資格要件ニ關シテハ免除セラレザルモノト看做ス


前項ノ規定ハ北海道地方税及県税ニシテ震災ニ因リ減兔セラルルモノニ付之ヲ準用ス


附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス


○大藏省令第六號(鈔録)(昭和八年三月二十七日)
第一條 昭和八年法律第十三號第五條ノ規定ニ依リ震災地ヲ左ノ如ク定ム
岩手県
九戸郡 種市村、中野村、侍濱村、夏井村、久慈町、長内村、宇部村、野田村
下閉伊郡 普代村、田野畑村、小本村、田老村、崎山村、宮古町、磯鷄村、津輕石村、重茂村、大澤村、山田町、織笠村、船越村
上閉伊郡 大槌町、鵜住居村、釜石町
氣仙郡 唐丹村、吉濱村、越喜來村、綾里村、赤崎村、大船渡町、末崎村、廣田村、小友村、米崎村、高田町、氣仙町


第二條 震災(昭和八年三月三日ノ震災及之ニ件フ火災又ハ海嘯ヲ含ム以下同ジ)ニ因り自己(同居ノ戸主又ハ家族ヲ含ム)ノ所有ニ係ル其ノ住宅若ハ家財又ハ其ノ漁業ニ必要ナル漁船及漁具ニ付著シキ損害ヲ受ケタル者ノ震災地ニ於テ納付スベキ昭和七年分第三種所得税第四期分ハ之ヲ免除ス


前項ノ規定ニ依ル免除ヲ受ケントスル者ハ被害ノ状况ヲ記載シタル申請書ヲ昭和八年五月三十一日迄ニ所轄税務署ニ提出スべシ
被害ノ事實顯著ナル者ニ付テハ前項ノ申請ナキ場合ト雖モ税務署長ハ其ノ認ムル所ニ依リ第一項ノ規定ニ依ル免除ヲ爲スコトヲ得


第三條 震災ニ因リ著シク利用ヲ妨ゲラレタル土地(荒地ト爲リタル土地ヲ除ク)ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ至リタルモノニ付テハ被害ノ實况ニ應ジ宅地ニ在リテハ昭和八年ヨリ三年以内、其ノ他ノ土地ニ在リテハ昭和八年ヨリ五年以内其ノ地租ヲ免除ス
一 水路若ハ溜池ノ破壊又ハ井戸ノ湧水涸渇等ニ因リ灌漑又ハ排水ノ便ヲ失シ收穫ヲ減損スルニ至リタル田畑
二 地下ノ變動等ニ因リ水持ヲ害シ又ハ濕地ト爲リ収穫ヲ減損スルニ至リタル田畑
三 建物ノ過半ガ滅失又ハ倒壊シタル宅地
四 其ノ他震災ニ囚リ著シク利用ヲ妨ゲラレタル土地
前項ノ規定ニ依ル免除ヲ受ケントスル者ハ土地一筆毎ニ被害ノ状况ヲ記載シタル申請書ヲ昭和八年六月三十日迄ニ納税地ノ市町村ヲ經由シテ所轄税務署ニ提出スベシ


第四條 震災ニ因リ荒地卜爲リタル爲昭和八年六月三十日迄ニ免租年期許可ノ申請ヲ爲シ其ノ許可ヲ受ケタル土地又ハ前條ノ規定ノ適用ヲ受クル土地ノ地租ニ付テハ昭和八年三月一日以後ニ開始スル納期分ヨリ其ノ地租ヲ徴收セズ


第五條 震災ニ因リ所得額著シク減損スベシ卜認メラルル者ノ震災地ニ於テ納付スベキ昭和八年分第三種所得税ニ付テハ所得税法第十四條第一項第六號ノ所得ハ豫算ヲ以テ之ヲ算定ス


第六條 自己(同居ノ戸主又ハ家族ヲ含ム)ノ所有ニ係ル其ノ住宅、家財又ハ所得ノ基因タル家屋其ノ他ノ築造物、船舶、機械、器具等ガ震災ニ囚り滅失又ハ毀損シタル損害ノ見積金額ハ震災地ニ於テ納付スべキ昭和八年分第三種所得税ノ所得金額(同居ノ戸主又ハ家族ノ分トノ合算額)ヨリ之ヲ控除ス
前項ノ塲合ニ於テ同居者一人毎ノ控除額ハ各其ノ所得金額ニ案分シテ之ヲ計算ス
同一人ニシテ山林ノ所得ト山林以外ノ所得トヲ有スル塲合ニ於テハ前二項ノ規定ニ依ル控除ハ先ヅ山林以外ノ所得ニ付之ヲ爲シ不足アルトキハ山林ノ所得ニ及ブ


第七條 震災ニ因リ營業ノ純益著シク減損スベシト認メラルル者ノ震災地ニ於テ納付スベキ昭和八年分個人ノ營業収益税ノ純益金額ハ豫算ヲ以テ之ヲ算定ス


第八條 營業ノ用ニ供スル自己所有ノ家屋其ノ他ノ築造物、船舶、機械、器具等ガ震災ニ因リ滅失又ハ毀損シタル損害ノ見積金額ハ震災地ニ於テ納付スべキ昭和八年分個人ノ營業收益税ノ純益金額ヨリ之ヲ控除ス


第九條 第六條又ハ前條ノ規定ノ適用ノ結果所得金額千二百圓(同居ノ戸主又ハ家族ノ分トノ合算額)ニ満タザルニ至リタル者又ハ純益金四百圓ニ満タザルニ至リタル者ニハ所得税又ハ營業收益税ヲ課セズ


第十條 震災地ニ於テ納付スベキ昭和八年分乙種資本利子税ニ付テハ資本利子金額ガ第六條ノ規定ノ適用ノ結果ニ依ル山林所得以外ノ所得額ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ資本利子金額ヨリ之ヲ控除ス


第十一條 震災地ニ於テ納付スべキ所得税、地租、營業収益税、相續税、酒造税及清凉飮料税ニ付テハ左ノ期限迄其ノ徴収ヲ猶豫スルコトヲ得


一 所得税
昭和八年三月二日迄ニ絡了シタル事業年度分ノ第一種所得税 昭和九年四月十五日限
昭和七年分第三種所得税 第四期分昭和九年四月十五日限
二 地租
北海道


昭和七年分宅地租以外ノ地租第二期分昭和九年四月十五日限


北海道以外ノ地方
昭和七年分田租第三期分昭和八年十二月十五日限
昭和七年分田租第四期分昭和九年四月十五日限


三 營業収益税
昭和八年三月二日迄ニ終了シタル事業年度分ノ法人ノ營業收益税昭和九年四月十五日限
四 相續税
昭和八年三月二日迄ニ開始シタル相續ニ對スル相續税(延納年賦金ノ年割額ヲ含ム)昭和九年四月十五日限
五 酒造税
昭和六酒造年度分酒造税第四期分昭和九年四月十五日限
六 清凉飮料税
昭和八年二月分清凉飮料税昭和八年十二月十五日限


第十二條 震災ニ因リ地租名寄帳ノ滅失シタル町村内ノ地租ニシテ納付未済ニ係ルモノ及地租名寄帳改調迄ニ納期ノ開始スルモノニ付テハ其ノ改調後一年以内ニ於テ税務署長ノ適當卜認ムル時期ニ之ヲ徴收ス


第十三條 第一種所得税、法人ノ營業收益税、相續税、酒造税及清凉飮料税ニ付第十一條ノ規定ニ依リ徴收猶豫ヲ受ケントスル者ハ納税告知書ヲ受ケタル日ヨリ十五日以内(本令施行前納税告知書ヲ受ケタル者ニ在リテハ本令施行後十五日以内)ニ申請書ヲ所轄税務署ニ提出スベシ
前項ノ申請書ニハ税目、税額及被害ノ状况ヲ記載スベシ


第十四條 震災地ニ於テ納付スベキ第三種所得税、個人ノ營業收益税及乙種資本利子税ニ關シ昭和八年三月十五日迄ニ爲スベキ申告及申請ニ付テハ其ノ提出期限ヲ昭利八年四月三十日トス
震災地ニ於テ納付スベキ昭和八年分ノ第三種所得税、個人ノ營業收益税及乙種資本利子税ニ關シ本令施行前ニ爲シタル申告及申請ニ付本令ニ依リ變更ヲ來シタル場合ニ於テハ前項ノ期限迄ニ之ガ更正ノ申告及申請ヲ爲スベシ
第六條又ハ第八條ノ規定ニ依リ控除ヲ受クべキ損害見積金額ハ所得ノ申告又ハ純益ノ申告ニ之ヲ附記シテ申告スべシ


第十五條 石巻、志津川、盛、遠野、下閉伊、久慈、野邊地、八戸及浦河ノ各税務署所轄内所得調査委員會ニ付テハ所得税法第五十一條ノ期限ヲ昭和八年ニ限リ六月三十日トス


附則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

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一、徴收猶豫の部
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二、免租及免税の部

第三章 衆議院及各政黨

震災の當時恰も會期中であつた衆議院は議長及び各派幹部の發起に依つて議員一人十圓の義捐金を醵出して罹災一道三県に送附し、又各政黨は震災見舞の爲所屬代議士を派遣するに決し政友會は大石倫治・永田良吉・上野基三・金井正夫の四氏を、民政黨は本田彌市郎・小山倉之助・佐藤與一・大島勇吉の四氏を、國民同盟は小池仁郎氏を派遣、一行は三日午後十時三十分東京を發して現地に向つた。
次いで東北地方選出の政友會所屬代議士は四日午前十時緊急會議を開き震災地方の應急對策に就き協議し
一、罹災民の應急救護施設として米・衣類・副食物・寢具類の急速十分なる配給
二、住宅材料の配給
三、道路港灣の復舊速成
四、県財政特に被害最も激甚なる岩手県財政の再建
五、罹災地に於ける諸税の減免猶豫法律案の急速なる提出に付政府を督勵すること
の五項を決定し其の實行委員として岩手県の全代議士及び宮城県宮澤・佐々木、秋田県鈴木・小山田、青森県藤井・梅村、福島県佐藤・鈴木、山形県松岡・高橋、北海道松尾・林(路)の各代議士を擧げ、又同じく東北地方出身の民政黨所屬代議士は四日衆議院内に災害善後に關する協議會を開き救済委員に内ケ崎作三郎・村松久義・柏田忠一・工藤鐵男・比佐昌平・林平馬・鈴木寅彦・手代木隆吉・大島寅吉・清水徳太郎の諸氏を擧げ
一、救済方法は關東大震災の例に依る
二、政府米の給與及び廉價拂下
三、住宅材料・農具・漁具等の給與又は廉價供給
四、被害地租税の免除叉は徴收猶豫
五、復舊費の補助並に低利資金融通
等に就いて協議し其の實現を政府に要望した。
而して政友會本部特派の大石・永田兩代議士及び民政黨本部特派の本田・小山の兩代議士は四日午前十一時來県して石黒知事を訪ひたる後、大石・本田兩氏は宮古に、永田・小山兩氏は釜石に向ひ具さに罹災地方を慰問し、又國民同盟本部特派の伊禮代議士(肇)は五日來県し宮古・釜石地方を視察慰問した。尚ほ本県選出の衆議院議員田子一民・八角三郎・熊谷巖・廣瀨爲久・志賀和多利・小野寺章・高橋壽太郎の諸氏は震災の應急施設其の他に關し一致協力して政府並に議會に對し斡旋盡力し、且つ八角代議士は政友會所屬本県選出代議士を代表して三月七日來県し罹災地方を慰問した。

第四章 県の臨機應急措置

第一節 本廳の緊急處置

餘震のいまだ熄まぬ午前二時四十分、警務躁長中野警視・保安課長斉藤警部・警察教習所長阿部警部等は急遽相前後して登廳し、直ちに電話を以て県内各警察署長に對し地震に因る被害の調査を命じたが、三時二十二分に至り全管下に被害の無いことが判明したので初めて意を安んじ、其の旨を内務省に報告した。同三時半警察部長森部書記官登廳す。幾くもなく下閉伊支廳長及び宮古警察署長より「津浪襲來の徴候あり、目下警戒中、町民を避難せしめつつあり」との報告あり、尋で釜石警察署長より「地震後津浪襲來し、同時に釜石町に火災を發し勢猖獗なるも消火に從事すること能はず、鎭火の見込立たず」といふ報告を接受した。而して本廳と海岸地方の警察署とを聯絡する警察電話は、僅かに宮古、釜石兩署の報告あつた後斷線し普通公衆電話も亦全く不通となつた爲被害の詳細な情報を知ることが出來なかつたが、沿岸一帶に亘り激甚の被害あるベきを想察して直ちに非常警備計畫に據り警察部及び警察教習所職員全員に對し非常召集命令を發した。
次いで午前四時石黒知事の登廳を俟つて、石黒知事、前田内務・森部警察・湯本學務各部長櫛田官房主事、及び警察部各課長等警察部長室に集つて緊急會議を開き、非常警備司令部を設置し警察部長を其の司令官に充て警戒警備に任ぜしむることにした。
午前四時三十分、罹災地所轄警察署以外の警察署に對し非常召集命令を發して各受命署に待機させ、同時に内務・學務各部の職員を招集し待機させた。斯くて午前六時に至り岩泉警察署長から「官下に相當の被害あり、救護の爲警察官至急派遣ありたし」との要請あり、茲に於て應援警察官の派遣部署を定め、警察部・警察教習所各勤務員、及び盛岡警察署長以下八警察署長に對し逐次應援命令を發して午前七時迄に八十六名を出動せしめ、一方罹災地を五區に分ち次節に述ぶる如く湯本學務部長以下事務官警視等七名を現地に派遣し應急救護に當らしむることとし、是等派遣員は午前七時三十五分盛岡發下り列車にて北方へ向つたものを殿りとし一斉に罹災の現地に急行した。
又慘害の判明するに及び、衛戍司令官たる騎兵第三族團長、及び盛岡聯隊區司令官に通報し且つ救援の爲兵員の出動と物資の供給を請ひ、更に午前七時横須賀鎭守府司令長官並に大湊要港部司令官に對し救援を電請し、次いで廳内協議會を開いて救護に關する方策を凝議し事務分擔を左の如く決定した。
情報接受及通達 警察部
庶務並對外的應接 社會課・庶務課
物資蒐集及配給 農務課・商工水産課・山林課・土木課
義捐金接受 會計課
救療 衛生課
次いで、曩に國防後援並に銃後の慰問救恤等に關し統制を期する爲県下各種團體を網羅して組織した國防後援統制委員會の活動に俟つを緊要と爲し、午前十時之を本廳に招集して罹災應急救助計畫を定め、内務・警察兩部長並に盛岡聯隊區司令官を常任委員に選任し、委員會に隷屬する各團體は県の指示に依り統制ある行動を執ることとなり、直ちに罹災地近接の町村長に對し其の管内諸團體を督勵して救援に努力するやう指示を發した。


罹災應急救助計畫
一、機關
県に本部を置き各地方中心地警察署に支部を置く、官公衙各團體は協力して分擔活動のこと
二、救助實施方法
各罹災地必須の物資は第一次的に地方支部に於て供給計畫を樹て、不足分は状勢に應じて本部より供給のこと
三、救助實施計畫
(1)被服
イ 呉服商と協議すること(反物)
ロ 女子中等學校・女子各種學校に仕立を依頼すること
ハ 夜具準備の手配をすること(軍隊より毛布を借入れること)一二、五○○枚
二 下着・シヤッ・ヅボン・外套は愛國婦人會・男女青年團・在郷軍人等を總動員し蒐
集せしめ送付すること、各一、二五○着宛
ホ 最寄町村の活動を促すこと
(2)食糧
イ 農務課に於て手配方依頼せしむること(米・味噌・醤油類の輸送)
ロ 焚出は最寄町村に依頼すること
(3)救療班
衛生課に救療班の派遣を依頼すること
(4)避難所
各小學校寺院等を充てること
(5)死者埋葬
罹災地に於て適宜處置すること
次いで石黒知事は告諭を發し、罹災同胞の救済並に被害地町村の復興に關し県民を擧げて之に當り、且つ遠く満洲の異域に忠誠を勵みつつある罹災地方出身の將兵に内顧の憂無からしむベき旨を訓諭した。


告諭
今曉三陸沿岸ニ於ケル強震ニ伴ナへル海嘯並火災ハ被害甚大ニシテ往年ノ慘害ヲ想ハシムルモノアリ之カ罹災同胞ノ救援ニ就テハ各方面ニ於テ同胞共済ノ精神ニ基キ至大ノ努力ヲ致サレツツアリト信スルモ此ノ際特ニ県民心ヲ協セ萬難ヲ排シ罹災同胞ノ救済並被害地町村ノ復興ニ當ラルヘシ時恰モ郷土將兵ハ熱河掃匪ノ爲盡忠報國ノ至誠ヲ輸シツッアリ希クハ忠勇ナル出動將兵ヲシテ後顧ノ憂ナカラシムルニ努メラルヘシ
昭和八年三月三日
岩手県知事石黒英彦


岩手県國防後援統制委員會規程


第一條 本委員會ハ岩手県國防後援統制委員會ト稱シ國防ノ後援ニ關シ統制ヲ圖リ併セテ後援ニ必要ナル措置ヲ講スルコト
ヲ以テ目的卜ス
本委員曾ハ岩手県廳内ニ置ク


第二條 本委員會ハ前條ノ目的ヲ達スル爲左ノ事業ヲ行フ
一 後援各機關ノ連絡統制
二 出動將兵傷痍軍人並遺家族ノ慰藉後援ニ關スル方法ノ講究
三 其ノ他本會ノ目的ニ適應スル事業


第三條 本委員會ハ委員長及委員若干名ヲ以テ之ヲ組織ス
委員長ハ岩手県知事ヲ推シ委員ハ別記各後援機關ノ代表者及委員長ノ囑託セルモノヲ以テ之ニ充ッ


第四條 本委員會ニ幹事若千名ヲ置キ委員長之ヲ囑託ス
幹事ハ庶務ニ從事ス


岩手県國防後援統制委員會委員(順序不同)
岩手県内務部長 岩手県警察部長 岩手県學務部長
岩手県會議長 盛岡市長 騎兵第三族團長
盛岡聯隊區司令官 騎兵第二十三聯隊長 騎兵第二十四聯隊長
工兵第八大隊長 盛岡憲兵分隊長 盛岡衛戍病院長
帝國在郷軍人會盛岡支部長 帝國在郷軍人分會盛岡市聯合分會長 岩手県町村長會長
帝國軍人後援會岩手支會長 日本赤十字社岩手支部長 愛國婦入會岩手県支部長
岩手県消防義會頭 盛岡商工會議所會頭 岩手県青年團體聯合會長
岩手県聯合女子青年團長 岩手県教育會長 岩手県神職會長
岩手県佛教會長 岩手県聯合婦人會長 岩手県醫師會長
岩手県藥剤師會長 岩手日報社長 岩手毎日新開社長
東京朝日新聞社盛岡通信部長 東京日日新聞社盛岡通信部長 報知新聞社盛岡支局長
讀賣新聞社盛岡通信部長 時事新報社盛岡支局長 河北新報社盛岡支社長


同幹事(順序不同)
岩手県社會課長 岩手県社寺兵事課長 岩手県教育課長
岩手県地方課長 岩手県警務課長 岩手県庶務課長
騎兵第三族團副官 盛岡聯隊區副官 盛岡聯隊區司令部々員
盛岡市教務課長 岩手県囑託武官 日本赤十字社岩手支部主事
愛國婦入會岩手県支部主事 帝國在郷軍人會盛岡聯合分會副會長 盛岡警察署長


社會號外
昭和八年三月三日
内務部長
警察部長
學務部長
各課長殿
東海岸罹災救助應急的措置分擔ノ件
今曉本県海岸一帶ヲ襲ヒタル海嘯ノ罹災救助應急的措置ノ爲左記の通リ不取敢當分ノ問事務分擔ヲ定メタルニ付關係各課ト密
接ナル連繋ノ下ニ萬遺憾ナキ樣御取計相成度



東海岸罹災救助應急的措置事務分憺表
分憺事務 課名
情報接受及通達 警察部
庶務並對外的應接 社會課、庶務課
物資蒐集配給 農務課、商工水産課、山林課、土木課
義捐金接受 會計課
救療 衛生課

第二節 救護事務開始

寒威凛烈の眞夜中に、倉皇纔に身を以て難を免れた三萬四千の罹災民に對して、最も急を要するのは被服と食糧との配給であつた。即ち県は其の全力を是等救護物資の調達並に配給に傾注し、三日早朝救護總本部を本廳内に置き、盛・釜石・宮古・岩泉・久慈の各警察署に地方救護本部を設け、更に湯本學務部長・櫛田官房主事、及び高瀨商工・戸田庶務・中野警務・奥田教育・久尾地方各課長等を罹災主要地に派遣して其の聯絡統制に任じ且つ救護配給事務を指揮統督せしめ、是等の派遣員は急遽惡踏を冐して強行し、其の日の午後三時乃至六時には孰れも目的地に到達しそれぞれ所定の部署に就いた。


救護總本部は斯く廳員を現地に派遣するとともに直ちに配給物資の調逹に着手し、盛岡市に於て百二十三俵、花巻及び遠野に於て七十五俵の白米を得之に味噌・漬物・毛布其の他日用品等を配し午前十時各支部に對する第一回輸送計畫を樹てたが、此の輸送計畫の實施に當つて圖らずも積雪にょる自動車不通等輸送系統の支障に當面した。
仍て更に交通運輪の状態を愼重に考慮し、盛・釜石方面は貨物自動車に依つて盛岡より直送し、宮古方面は盛岡・平津戸問は鐵道に依り平津戸以東は貨物自動車を以て輸送したが、岩泉方面は盛岡・沼宮内間自動車不通の爲、又久慈方面は八戸線八木驛近傍の鐵道破壊の爲、直接盛岡よりの輸送は不可能となつたので午後零時半廳員を急派し、岩泉方面行の物資は沼宮内町に於て調達し自動車を以て、又久慈方面行の物資は青森県八戸市に於て調達し初めは自動車に依り尋で八戸線復舊開通(三日夜)の後は汽車に依つて、それぞれ迅速に地方救護本部に輸送した。
而して各地方救護本部は陸續として救護總本部より到る物資の配給に關し復た非常なる困難に直面した。即ち罹災地方は概ね交通機關備はらず日常生活必需品の輸送は隘路駄馬にょるか或は海上船舶にょるの外に殆ど途無き不便の地尠なからず、積雪若しくは津浪の爲交通を阻害された自動車路線は直ちに應急復舊工事を施して輸送し、又自動車の通じない不便の地方に就いては物資多量にして到底駄送に依り難く而も唯一の運輸機關たる船舶は概ね流失せるを以て、纔に破壊を免れた小舟の徴發と八戸市長等の斡旋にかかる傭船に依つて辛うじて輸送並に配給を完了した。


救護總本部は更に午後四時及び午後十二時の二回に亘り、夜を徹し難路を冐して衣糧其の他の輸送を行つたが、三日夜に入りて八戸線鐵道復舊し、尋で道路橋梁の障害も亦殆ど常態に復して地方救護本部との聯絡はやうやく順調となつた。
而して本廳に於て慘禍の情報を接受してより二十二時間以内に輸送配給を了した救護物資は左の通りである。


斯かる間に政府の拂下米一千石を始め大量の物資集注し、県内外の慰問救恤品殺到するに及び、是等の夥しい物資を迅速に處置する爲本廳に配給品取扱本部を特設し、井上農務課長を主任に任じて其の總指揮に當らしめ、更に五日一關町に配給品取扱支部を置き鈴木農林技師を主任とし、又物資の海上輸送の爲宮城県鹽釜港に中繼配給所を設置し、次いで配給本部の隷下に五兵站部を設けて物資配給の完壁を期した。


斯くて県に於て調達した救恤品及び日を逐うて全國各地より殺到する寄贈救恤品の輸送は、鐡道當局並に三陸汽船會社の無賃扱ひ等に依つて迅速に行はれ三月末日を以て其の大半を終了し、罹災民は孰れも飢寒の憂を免れて陽春四月に入るとともに全く氣力を回復し、雄々しくも復興に向つて其の全力を竭すこととなつた。
尚ほ之に先だち救護總本部は三月七日復興事務局の新設に伴なひ局の一部たる救護部となり、鹽釜中繼配給所は四月十六日、一關配給支所は五月十五日限り之を廢止し七月十日を以て一旦救護の事務を終了したが、救護事務開始以來四箇月餘に亘つて配給された救恤品は左の通りである。


而して右配給品の内県に於て調達した食糧・被服・庖廚用具・日用品等の總額、及び配給事務に關する諸費並に發送に要した諸費は左の通りである。

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三月三日 同四日 廳員派遣表
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救護品配給表(三月三日午後三時半現在)
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救護品配給表(於二十二時問内)
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物資配給事務分擔表
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兵站部表
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救恤品配給表(七月三日現在)
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物資調達配給費調 (七月十日現在) 一、配給事務費
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物資調達配給費調 (七月十日現在) 二、救恤品調達費
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物資調達配給費調 (七月十日現在) 三、救恤品發送諸費

第三節 復興事務局設置

災害救護に關する諸般の應急處置は、官民一致の努力に依つて順調に進捗し人心もやうやく平靜に歸したので、三月三日以來急に應じて設定された諸制度を統整して系統的機關を設置するの要を認め、七日本廳に復興事務局を設置し事務分擔を決定した。即ち局を總務部・救護部・警務部・復興部の四部に分ち、局長には前田内務部長を充て、總務部長に櫛田官房主事・救護部長に湯本學務部長・警務部長に森部警察部長・復興部長に前田内務部長(兼攝)を任じ、各部を更に若干の係に分つて各課長を係長・副係長に充てた。


復興事務局職制並事務分擔(三月七日通牒抄録)
局長 内務部長
總務部
部長 官房主事
罹災地警察署長、出先官吏、市町村長其ノ他各方面トノ連
係長 地方課長 絡ニ關スル事項
庶務係 副係長 高等課長 見舞客ノ應接、接待、見舞文書ノ處理其ノ他儀禮的事項
震災記録調製ニ關スル事項
他係ノ主管ニ屬セザル事項


經理係 係長 庶務課長 罹災地復興ニ關スル各般ノ經理ニ關スル事項
副係長 會計課長 祉會課長(兼)


救護部
部長學務部長


係長 社會課長 御下賜金ノ傳達ニ關スル事項
義損金品係 副係長 教育課長 社兵課長 義捐金品ノ募集ニ關スル事項
視學官 會計課長(兼) 義捐金ノ接受及配給ニ關スル事項



係長 農務課長
物資係 副係長 商工課長(兼) 山林課長(兼) 保安課長(兼) 物資ノ調達及配給ニ關スル事項
教育課長(兼) 衛生課長(兼) 社會課長(兼) 義損物品ノ接受及配給ニ關スル事項


警務部
部長 警察部長


係長 警務課長
警備係 副係長 刑事課長 巡査教習所長 警戒警備ニ關スル事項

情報係 係長 特高課長 情報蒐集及發表ニ關スル事項
副係長 保安課長 高等課長(兼) 刑事課長(兼) 高等通報ニ關スル事項


救療係 係長 衛生課長 救療ニ關スル事項
副係長 健康保險課長 保健防疫ニ關スル事項


復興部
部長 内務部長(兼)

係長 商工課長
規劃係 副係長 山林課長 農務課長(兼) 庶務課長(兼)
耕整課長 土木課長(兼) 教育課長(兼) 罹災地ノ復興計劃ニ關スル事項
地方課長(兼) 保安課長(兼) 社會課長(兼)
工營係 係長 土木課長 復舊工事及復興工事ニ關スル事項
副係長耕整課長(兼)山林課長(兼) 其ノ他各般ノ技術的作業ニ關スル事項


備考
1、震災善後措置ニ關シテハ其ノ他各般ノ事務存スべキモ夫々處務細則ニ定ムル各課分掌事務ニ從ヒ處理スベキモノトス
2、局長、部長不在ノ時ハ夫々其ノ事務ニ關スル主務部長、主務係長其ノ事務ヲ代決シ係長不在ノ時ハ副係長(副係長二又ハ二以上アル時ハ係長ニ於テ代決者ヲ指定ス)之レヲ代決ス
3、右ノ分掌事務ハ係長、副係長ノ下ニ屬スル課員ヲシテ補佐セシムルヲ原則トスルモ事務ノ繁閑ニ隨ヒ適宜他ノ課長ト協議ノ上其ノ課員ヲシテ補佐セシムルコトヲ得
4、震災善後處理關係文書ニハ總テ震ノ印ヲ押捺シ特ニ迅速ニ處理スベキモノトス


次いで國の豫算に於て震災善後事務に從事せしむる爲、本県に事務官一名、屬・技手數名を増員することとなつたので、其の官制の公布に先だち四月六日職制を改正し復興事務局に新に總務課を設け、事務官たる專任課長一名・屬七名・農林主事補一名を置き、廣汎且つ複雜多岐に亘る復舊計畫の連絡統制を圖るとともに復舊事業の指導督勵に當らしむることとなつた。而して總務課の構成は左の通りである。


總務課長 地方事務官 久尾啓一
屬 伊藤正
農林主事 補西條七郎
屬 西洞一郎
屬 大平彌六
屬 川村正雄
屬 岩崎平治
屬兼書記 成田愼吾
屬 佐竹武美


復興事務局規程(四月六日訓令丙第三號)


第一條 震災地救護復舊及復興ニ關スル事務ヲ處理スル爲臨時ニ復興事務局ヲ置ク


第二條 復興事務局ニ總務課及左ノ四部ヲ置ク
庶務部、救護部、警務部、復興部
各部ニ左ノ係ヲ置ク
庶務部 庶務係 經理係
救護部 義捐金品係 物資係
警務部 警備係 情報係救療係
復興部 規劃係 工營係


第三條 復興事務局ニ局長ヲ置キ課ニ課長、部ニ部長、係ニ係長ヲ置ク
局長ハ知事ノ指揮ヲ承ケ局内ノ事務ヲ管理ス
課長及部長ハ局長ノ命ヲ承ケ課、部内ノ事務ヲ掌理シ、係長ハ上司ノ命ヲ承ケ事務ヲ分掌ス


第四條 總務課ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 局内部係ノ事務ノ連絡統制ニ關スル事項
二 廳内各主務課ニ於テ計畫實施スル復舊、復興ニ關スル事業ノ連絡統制ニ關スル事項
三 町村ニ於ケル復舊、復興計畫並事業ノ指導督勵及監督ニ關スル事項
四 支廳長、罹災地警察署長、出先官吏、町村長其ノ他各方面トノ連絡ニ關スル事項
五 他ノ主管ニ屬セザル事項


第五條 各部ノ係ニ於ケル分掌事務左ノ如シ
庶務部
庶務係
一 應接、接待其ノ他儀禮的事項
二 震災記録編纂調製ニ關スル事項
經理係
一 罹災地復興ニ關スル各般ノ經理二關スル事項
救護部
救護係
一 御下賜金品ノ傳達ニ關スル事項
二 義損金品ノ募集ニ關スル事項
三 義損金ノ接受配給及處分ニ關スル事項
四 其ノ他救助ニ關スル事項
物資係
一 物資ノ調達及配給ニ關スル事項
二 義損物品ノ接受及配給ニ關スル事項


警務部
警備係
一 警戒警備ニ關スル事項
情報係
一 情報ノ蒐集及發表ニ關スル事項
二 高等通報ニ關スル事項
救療係
一 救療ニ關スル事項
二 保健防疫ニ關スル事項


復興部
規劃係
一 復舊及復興計畫ニ關スル事項
工營係
一 復舊及復興工事ニ關スル事項
二 其ノ他各般ノ技術的作業ニ關スル事項
第六條 本規程ニ定ムルモノヲ除クノ外岩手県廳處務細則ハ復興事務局ニ之ヲ準用ス


八秘第一八五號
昭和八年四月六日 岩手県知事官房主事
廳内各課長殿
下閉伊支廳長殿
各廨長殿
各警察署長殿
警察教習所長殿


復興事務局規程ニ關スル件依命通牒
復興事務局規程本日別途訓令相成候處右ハ復舊復興事業ノ整備統制ヲ圖ル目的ニ出デタルモノニ有之事業ノ具體的計畫ハ各主務課ニ於テ立案ノ上復興事務局總務課ニ回付シ同課ニ於テ之ヲ總括檢討シ主務課ト協議ノ上決裁ヲ經タル後主務課ハ其ノ回付ヲ受ケテ實行ニ移シ又町村ニ於ケル此等事業ノ執行ニ關シテハ總務課ハ各町村ニッキ事業計畫ニ參與シ指導シテ統制ヲ圖リ其ノ事業ノ實施ノ促進督勵ニ當リ又事業特ニ曾計經理等ニッキ嚴重監督ヲ勵行スルコトト相成候條此ノ点充分御留意ノ上事業執行上萬遺憾ナキヲ期セラレ度此段依命及通牒候
追テ三月七日附通牒復興事脇局設置ニ關スル件ハ右訓令ニ依リ自然消滅ト相成候處事務局職員ノ組織ニ付テハ新ニ總務課ヲ設ケ總務部ヲ庶務部ニ改メ尚本日總務課長及規劃係長任命セラレ且左ノ一部變更若ハ追加セラレタルモノノ外ハ三月七日附通牒相當ノ部、係長又ハ副係長ニ任命セラレタルモノト御了知相成度

一 庶務係副係長ニ秘書課長、統計課長及文書課長ヲ加フ
一 物資係副係長ニ水産課長(兼)ヲ加フ
一 規劃係副係長ニ經済更生課長、商工課長及水産課長ヲ加フ
一 工營係副係長ニ農務課長(兼)商工課長(兼)經済更生課長(兼)水産課長(兼)ヲ加フ


參考
局長 内務部長
總務課長 久尾事務官
庶務部
部長 官房主事
庶務係長 地方課長
同副係長 高等課長 秘書課長
統計課長
文書課長
經理係長 庶務課長
同副係長 會計諜長 社會課長(兼)


救護部
部長 學務部長
義捐金品係長 社會課長
同副係長 教育課長 社寺兵事課長 視學官
會計課長(兼)
物資係長 農務課長
同副係長 商工課長(兼) 水産課長(兼) 山林課長(兼)
保安課長(兼) 教育課長(兼) 衛生課長(兼)
社會課長(兼)


警務部
部長 警察部長
警備係長 警務課長
同副係長 刑事課長 警察教習所長
情報係長 特高課長
同副係長 保安課長 高等課長(兼) 刑事課長(兼)
救療係長 衛生課長
同副係長 健康保險課長


復興部
部長 内務部長(兼)
規劃係長 久尾事務長(兼)
同副係長 經済更生課長 商工課長 山林課長(兼)
農務課長(兼) 庶務課長(兼) 耕地整理課長(兼)
土木課長(兼) 教育課長(兼) 地方課長(兼)
保安課長(兼)社會課長(兼) 水産課長
工營係長 土木課長
同副係長 耕地整理課長 山林課長 農務課長(兼)
商工課長(兼〉經済更生課長(兼) 水産課長(兼)

第四節 食糧の配給

県は罹災民の救護に就き食糧の配給を第一の急務と爲し、其の調達は原則として先づ地方救護本部に於て行ひ、爾後地方の實情に應じて救護總本部より補給するの方針を執つたが、罹災の直後は地方の物情混亂し大量の調達の困難なるべきを考慮して、盛岡・遠野・花巻・沼宮内各地、及び青森県八戸市等に於て調達し之に盛岡衛戍各隊並に一般市民の寄贈品を合せ、三月三日午後三時三十分第一次の輸送を開始し、翌くる四日朝に至る約二十四時問内に於て前後三次に亘り左の如く配給を了した。


而して主食料たる米は四日夕刻更に二百六十一俵、五日二百三十五俵を配給し、六日には曩に有償拂下を申請した政府保管米一千石が到着したので、之に本廳に於て調達した分を加へ釜石へ一千七十一俵、宮古へ七百二十九俵、盛へ五百五俵、久慈へ百五十九俵、岩泉へ二百七十八俵を配給した。斯くして三月三十一日迄一日平均二百十九俵づつ總數五千四百七十三俵を配給したが、三月末現在の米其の他の食料品配給量は左の通りであつた。


而して三月三日より同三十一日に至る二十九日間の食糧は罹災救助基金を以て配給したが、四月一日以降は義捐金品を以て配結することとし且つ救助の範圍を縮小して眞に已むを得ぬ者のみに止め、左の如く各地方救護本部の米配當量を決定し配給の方針を指示した。


米配當量
九戸地方救護本部 三〇石(七五俵)
下閉伊地方救護本部 三三六石四斗(八四一俵)
釜石地方救護本部 四〇五石二斗(一、〇一三俵)
盛地方救護本部 二五二石八斗(六三二俵)


米配給方法
一、食糧給與者の範圍は左に依ること
イ 流失・燒失・倒壊等の罹災に依り困窮する者
ロ 家族の死傷に由り困窮する者
ハ 前二號に該當せざるも漁船の流失破損等に由り困窮する者
二、罹災が単に家屋の浸水に止まるものにして從來配給しつつありしものは三月末日以降配給を打切るべきこと、但し浸水程度及び困窮甚だしき者は此の限にあらず
三、第三項該當者なるも他に資力を有するか又は親類緑者等に扶養せらるるものは之を除くこと
四、救済事業着手又は就業開始等に依り食糧を自給し得るに至りたる者は之に對する給與を打切ること
以上の外食糧給與者範圍は出來得る限り縮小するやう努むベきこと
五、與給者範圍の縮小は三月末日以降五日目毎に調査して之を爲し、食糧給與の名簿に其の給與打切月日を記入し置くべきこと
六、食糧給與人員の異動は其の度毎に町村長より地方救護本部に報告すベきこと
七、其の他間接的に食糧給與者の範圍縮小に努むる爲左の方法を執るべきこと
イ 罹災地物資の移入を圓滑ならしむる爲輸送能力及び商取引の恢復・購買組合の發達等に努むること
ロ 主として罹災者中の要給與者に町村内罹災復舊上の勞役收入を得せしむる方法を講じ食糧給與を打切るべきこと
ハ 町村としての復舊工事・救済工事等は出來得る限り急速に着手すベきこと


県は右の如く就業の促進に依り食糧給與の減少に努めたが生業の資本たる漁船漁具等を悉く喪失した罹災民は俄に生活を支ふる收入の途を得るに至らず、其の困窮者に對しては尚ほ救護の必要を認め更に政府米三千石を拂下げ之に副食品等を加へ、四月一日以降七月十日救護事務を廢止するに至る百日問に於て左の如く配給した。

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自第一回至第三回 食糧品配給表
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三月中食料品配給表
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自四月一日至七月十日 食糧品配給表

第五節 被服の配給

時恰も嚴しい残寒の折とて、県は罹災民に對する被服の配給を最も緊急と爲し直ちに罹災救助基金を以て之を調達する方針を執つたが、急速に大量調達の困難なるべきを慮り軍部に對して配給方を要請し、即日盛岡衛戍司令官より毛布三千三百五十枚・古外套一千五百五十着・襦袢一千枚を交付された。仍て救護總本部は之に県の調逹に依るものを加へ震災發生後二十四時間内に左の如く配給した。


次いで陸軍省より毛布並に外套七千着、盛岡衛戍司令部・歩兵第三十一聯隊・騎兵第八聯隊野砲兵第八聯隊・輜重兵第八大隊等より外套二千四百九十着、冬襦袢三千百七十枚、冬袴下四千七十枚、毛布一千二百六十枚を配給され、又大湊要港部の軍艦は四日早朝毛布一千六百四枚を、横須賀鎭守府の軍艦は同日午前十一時及び六日に毛布八千七百十・軍衣袴二萬六千六百六十・襦袢六千六百七十・雨衣二千・被服梱七百五十七を沿岸の要所に配給し、又其の頃より県内外同胞の寄贈にかかる被服類は夥しい數に上つたので、県は專ら蒲團の調達に主眼を置き罹災救助基金を以て一萬六千五百十一枚の蒲團並に毛布・足袋・手袋等を調達して配給したが、三月三日より七月十日迄に救護部に於て配給した被服品の總數は左の通りであつた。

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自第一次 至第三次 被服品配給表
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自三月三日 至七月十日 被服品配給表

第六節 建築材料の配給

不測の津浪と火災の爲一瞬の裡に樂しき團欒の住家を失つた四千三百戸、二萬六千の罹災民にとつて、衣糧に亞ぐ急要は住居の問題であつた。仍て県は三月三日食糧調達の計畫を樹てるとともに氣仙・上閉伊・九戸の三郡及び下閉伊郡普代村に對する假小屋建築材料の配給を山林課に命じ、山本課長は直ちに課員を以て左の如き部署を編成した。


總務 山林課長地方技師 山本清治
金物材料調査係 地方農林技師 戸川定太郎
木材材料調査係 同 末松猿吉
貨車配給係 同 河原崎忠五郎
材料配給計畫係 同 佐久間善喜
廳中聯絡係 屬 田中熊太郎
廳外聯絡係 農林技手 加藤英吉


次いで課員を盛岡市、及び県内樞要の木材集散地たる盛岡・沼宮内・福岡・花卷・摺澤・千廐・金田一・水澤・門崎・遠野・一關・好摩等に急派して在荷量を調査した結果約一千二百二十戸に對する材料供給の可能なるを確かめ、被害地の状况を參酌して第一次配給計畫を決定した。
〔第一次配給計畫〕罹災地に輸送する假小屋建築材料の第一次配給計畫は盛岡市及び近接町村に於て調達した材料を東北本線に依り、一は青森県八戸驛に輸送し更に大湊要港部派遣の特務艦大泊に託し、一は宮城県鹽釜港に輸送し民問運送船に依り、又遠野町に於て調達した材料は自動車に依つて直送することとし、先づ以て三月三日午後十時盛岡市秋田屋木材店より板百四十五坪を購求し自動車二臺に搭載して釜石に發送した。
材料の配給に當つては各地共適量の貯材に乏しく且つ製材能力に限りがあり大量の調達に少からぬ困難を感じたが、特に最も焦慮したのは輸送能力の薄弱な事であつた。初め県は第一次の計畫に基づき三月三日午後十一時半河原崎農林技師を盛岡運輸事務所に派し、盛岡驛に無葢十五噸車十九輛、上盛岡驛に無葢十五噸車六輛有葢八噸車二輛、仙北町驛に無葢十五噸車五輛、好摩驛に無葢十五噸車四十輛の配置を要請したが、當時管内にかかる多數の豫備車輛が無かづた爲此の要請は容るる所とならず、且つ特務艦大泊の積載量が少いので豫定の輸送計畫を改め各驛に於ける配車を左の如く協定し、やうやく四日午後二時を以て輸送を開始するに至つたが之に先だち運送船荷積準備の爲戸川農林技師・工藤農林技手・金谷技手を青森県八戸港に、米田・跡部兩農林技手を宮城県鹽釜港に派遣し、又荷受及び配給準備の爲佐々木農林技手・照井農林技手補を釜石町及び唐丹村に派遣した。


盛岡驛 八戸行 十五噸車六輛
鹽釜行 八噸車一輛、一三噸車一輛
仙北町驛 八戸行 八噸車一輛、十噸車一輛、十五噸車一輛
鹽釜行 十三噸車一輛、十五噸車一輛
上盛岡驛 鹽釜行 八噸車二輛、十五噸車一輛
好摩驛 鹽釜行 十五噸車六輛
而して第一次計畫に於ける輸送量は左の通りであつた。


斯くて第一次の計畫は鐵道當局の斡旋と県係員の盡力とに依つて、八戸行は四日午後二時、鹽釜行は同七時、孰れも多量の建築材料を搭載して家無き人々の爲に救済の第一歩を進めた。而して仙北町驛を始發した八戸行貨物列車は途中更に車輛を加へて翌五日午前五時三十分青森県鮫驛に到着し直ちに岸壁に輸送したが、此の旧は朝來風浪烈しく午前十時稍靜まるを待つて特務艦大泊に積込を開始し午後七時に至つて漸く完了、同十時曩に運輸連絡の爲出張滯在中の戸川農林技帥が便乘して八戸港を發し、難航を續けて六日午前七時釜石港に入港した。
又鹽釜行の貨車十五輛は五日十一輛、六日四輛到着し之を三陸汽船株式會社の好意提供に依るやよひ丸・新東北丸・天祐丸の三船に分ち六日午後五時舳艫を銜んで出帆し、七日午前九時前後新東北丸は釜石港に、やよひ丸・天祐丸は大槌港に入港した。


〔第二次配給計畫〕三月五日に至り氣仙・上閉伊兩郡の内要建集戸數の最も多い大槌・綾里・唐丹・釜石・鵜住居・末崎・廣田の各町村に對する建築材料供給豫定量基礎計畫を樹て之に基づいて即日第二次の配給を開始し、八戸港經由板七千六百六十坪・樌七千五百五十本(合計三百二十噸一千二百八十一石)、鹽釜港經由板三千二百坪(百四噸四百十七石)を輸送し、次いで第三次配給方法を決定した。


〔第三次配給計畫〕第三次配給計畫は第一次及び第二次に比して其の材量多きを以て、先づ三月六日盛岡木材同業組合の幹部を県に招致して其の盡力を要請し、組合は慘害著しきに鑑み進んで之に應じ一週問の期限を以て板二萬八百坪・樌一萬梃・小丸太一萬本・杉皮一萬把を供給すべきことを約した。又佐久問農林技師以下の課員を福岡・好摩・花巻・水澤・一關・門崎、及び青森県八戸市に派遣して木材の調達に當らしめ、而して是等の木材は調達の成るに隨ひ最寄の驛より鹽釜・八戸兩港經由若しくは八戸線八木・久慈兩驛行を以て順次輸送し四月十三日に至つて之を終了した。


斯くて第一次乃至第三次の計畫に依つて配給を了した建築材料は鹽釜港經由のもの一千八百九十一石、二百八十三戸分、八戸港經由のもの八千六百六十石、一千二百九十七戸分、總計以一萬五百五十一石、一千五百八十戸分で之に要した經費は材料費五萬八千百五十五圓、運搬費一萬一千九百五十五圓であつた。
而して県の配給に依る假小屋は概ね一戸に付間口奧行各二間のもの四戸一棟若しくは五戸一棟の規準に據らしめ、且つ一戸平均の所要額を材料費運搬費を合して四十圓以内に限定し二千七戸を建築する豫定であつたが、地方の實情に依り現金の交付を便宜とするものあり又罹災町村に於て自給したものもあつて、結局県の配給に依る建築戸數は一千六百十四戸であつた。

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第一次配給表 八戸港經由の分
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第一次配給表 鹽釜港經由の分
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第一次配給表 於遠野調達發送の分
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供給豫定量基礎計畫
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第二次配給表 八戸廻シ
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第二次配給表 鹽釜廻シ
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第三次配給豫定表(湊廻シ)
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罹災救助小屋掛材料配給表
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罹災救助小屋掛材料代金及運搬費表

第七節 木炭の配給

震災の當日及び其の直後の數日は氷点下七・八度乃至一七・一度(攝氏)の寒冷を持續し採暖に要する燃料の供給は最も急であつたので、地方救護部及び派遣官は地元若しくは近傍町村より調達して早急配給の途を講じたが、三月五日に至り県は更に木炭の大量配給を山林課に命じた。仍て山林課は二月十五日現在に於ける県内各移出地在庫量に基づいて先づ遠野より二萬五千俵を次いで花巻より一萬六千俵を輸送の計畫を樹て豫め兩町の當業者へ其の準備を命じた。斯くて同日午前十一時に至り釜石救護所より八千四百俵の要求があつたので、直ちに島田農林技手を遠野に派遣し其の日やうやく一臺の貨物自動車を徴發して之に八十俵を積載し、又岩手輕便鐵道株式會社の厚意に依つて貨物車三輛に六百俵を積載して輸送し、・爾後三月十五日迄に左の如く八千六百五十俵を輸送配給した。

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燃料の配給

第八節 警備

東海岸一帶に亘つて津浪が襲來し、且つ釜石町は猛火猖獗を極め殆ど全滅に瀕すとの情報に接し、県は前叙の如く曩に制定の非常警備計畫に基づき、三日午前三時三十分警察部及び警察教習所勤務職員全員を本廳に招集し、次いで臨時警備司令部を設置し森部警察部長を其の首班に任じて警戒警備に關する諸般の措置を統轄せしめた。
斯くて午前四時三十分を以て一斉に非常召集を令せられた罹災地所轄外の警察署員は迅速召集に應じて各署に待機し、是等の各署員並に警察部、警察教習所勤務の職員等總ベて八十六名は午前六時より七時に至る間に於て、逐次其の部署に從つて出發した。而して罹災地警察署と應援警察署とは距離遠隔し且つ道路險惡にして交通極めて困難であつたが、警備と救護の重任を負ふ全派遣警官は概ね自動車に依つて數十哩の難路を踏破し、早きは午前九時罹災の現地に到達し、盛岡より三十哩を距り交通最も不便な下閉伊郡田老村に於ける午後六時の到着を最後として悉く豫定の配置を了し、在郷軍人・消防組員・青年團員等を督勵して徹宵災害地の警備と罹災民の救護とに從事した。


臨時警備司令部は三日午前六時乃至七時の第一次非常應援命令に於て八十六名の警官を派遣したが、其の後の情勢に依り更に増遣の要を認め同日中に十九名を派遣し、次いで四日三名、五日三名を派遣した。
即ち總數百十一名の派遣警官はそれぞれ所轄警察署長の鷹下に隷屬し、第一日の三日は慘憺たる災禍の巷にありて保安の回復、罹災者の救済、衣糧の配給等に全力を注ぎ、四日以降は概ね死者の檢視、行方不明者の搜索、罹災者及び被害家屋の調査等に從ひ、傍ら各種團體の應援に依り、事變に伴なつて行はれる無智の流言蜚語を防遏し、被服・食糧等物資の缺乏に乘じて暴利を圖る不正商人の横行並に人心の不安に乘じて不穩の言動を爲し治安を攪亂しようとする不逞の監察と、盗難・漂流物横領等犯罪の豫防警戒に任じ、斯くて罹災地方の恟々たりし人心は次第に綏んじ物情やうやく平靜に復するに至つた。
尚ほ曩に本廳に招集した警察部職員約百名の中三十名は各警察署員とともに罹災地へ派遣したが、約七十名は臨時警備司令部に在レ連日夜を徹して情報の蒐集、動員令達、救護事務の聯絡統一等に從ひ、又派遣警官には六千五百餘圓の放費を現送し、五日には司令部より警部・警部補等五名を罹災地警察署下に派遣して警備並に救護の實況を監察せしめ且つ聯絡統一に任じ
其の實效を舉ぐるに就き遺憾無きを期した。

震災の發生以來五日に亘り、警備及び救護に關する諸施設の中樞となつ允臨時警備司令部は、三月八日本廳内全般の事務を統整すべき復興事務局の新設とともに形態を新たにして復興局の一部たる警務部となり、之を警備・情報・救療の各係に分ち概ね從前の部署に依つて警備と救護の事務に任じた。
而して震災地へ派遣の警官は、三月中旬震災地方に於ける警備及び救護の状態やうやく順調となるに及び漸次歸還を命じ、新たに少數の警官を涙遣して之に交替せしめ、三月二十六日よりは左の如く三十五名を配置し六月二十七日に至つて全員を歸還せしめた。

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應援警察官氏名表(昭和八年三月四同)
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警察官 兵站部  救護班分担区域 配置圖
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警備状况一覽表(三月二十六日現在)
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應援警察官配置表(昭和八年三月二十六日現在)

第九節 下閉伊支廳の應急措置

三月三日未明に發生した地震は宮古地方に於て特に強烈を感じ、佐川下閉伊支廳長は豫め津浪のあるべきを慮り電話を以て之を本廳に報告し、次いで津浪の直後再び其の状况を本廳に報告するとともに當時宮古町澤田族館に逗留中の本県庶務課長戸田地方事務官にも其の旨を報じた。
斯くて午前四時前後には支廳員悉く登廳し、戸田庶務課長も之に加はりて救護の方法を講じ、午前五時罹災地に派遣すべき廳員の部署を左の如く決定し、而して佐川支廳長は宮古地方戸田庶務課長は山田地方に於ける救護事務の指揮統制に任じた。


普代・田野畑 県書記 畠山貞作
小本村方面 同 工藤千代治
(本廳ヨリ出張中)


県屬 富野壽助
田老村 同 腹子政七
同 小澤三雄


重茂村 県書記 小野寺庸夫


津輕石・大澤
織笠村 県屬 坂本政吉


船越村 県書記 近江清藏
次いで午前九時田老村長より「一村殆ど全滅す、至急救援を請ふ」旨の報告を接受し始めて
被害の劇甚なるを知り直ちに救護品の調達に着手し、偶々寄港せる宮城県の漁船に託して左の如く田老村へ配給し、更に醫師一名看護婦二名を同地へ派遣した。
白米(四斗入)三〇俵 鹽鱒一〇俵 鹽一〇俵 味噌一〇俵 鍋二〇〇個 バケツ五〇〇個
五徳二〇〇個 毛布八○組 足袋一、五〇〇足 食器類三、○○○個 蝋燭及提灯若干
澤庵漬三、○○○本 シヤッ三、○○○着 タオル一、○○○本
斯くて第一次配給を了した後、更に食糧並に小屋掛材料等の供給に全力を傾注したが、支廳の執つた措置の概要は左の通りである。
一、食糧品の供給
支廳に於ける食糧品の直接供給は田老村を主とし、田野畑村忙白米を又船越村に食鹽を供給した外は悉く本廳の配給品及び義捐品を以て之に充てた。
二、小屋掛材料
三月四日先づ以て田老村に對する百戸分の小屋掛材料を宮古町に於て調達し翌くる五日發送を了へ、次いで順次左の如く罹災の町村に配給し總數三百四十戸を建築せしめた。


田老村一五五戸 小本村 五〇戸 田野畑村 四八 戸
重茂村 二九戸 山田町 二○戸 大澤村 一二戸
船越村 二六戸


三、義捐金の處分
支廳に於て直接受理した義捐金は總額一千百三十九圓八十錢で之を左の如く配分した。
宮古町 二三、七三〇円 山田町 二一一、六○○円
崎山村 九四〇 田老村  三九六、六一○
小本村 七五、三九○ 田野畑村 八六、二八○
普代村 六五、八六○ 磯鷄村 二一、三○○
津輕石村 四、〇四〇 重茂村 五二、八八○
大澤村 五八、二八○ 織笠村 九、五二〇
船越村 一三三、三七〇


四、救助費の總額
支廳に於て食糧品・食器類・薪炭・小屋掛材料・橋梁材料・藥品等の購入、及び運搬船・自動車等の借上に要した經費の總額は二萬四千百餘圓であつた。

第十節知事及内務部長の視察

石黒知事は災後五日を經る三月七日畏くも罹災地方御慰問の爲宮中より御差遣の大金侍從を御案内申し上げて氣仙・上閉伊・下閉伊・九戸各郡下に於ける罹災の概况を視察し、次いで前田内務部長は三月十九日より同二十六日に亘り罹災地方を視察したが、更に石黒知事は再び左記日程に依り罹災四郡を一巡して罹災民を慰問し且つ復興に就き激勵する所あつた。

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石黒知事視察日程表

第十一節 罹災救助基金運用

震災の發生は恰も會計年度の末に當り剩す所一箇月に過ぎず救護の爲に運用すべき県豫算額は甚だ少なかつたが、石黒知事は罹災民救護の一刻を空しくすベきに非ざるを慮り、英斷を以て災後直ちに救恤に要する諸物資の調達配給を命じ、翌くる四日は臨時県參事會を招集して取敢へず罹災救助基金中より二十六萬九千百九十圓の支出を議決し、六日其の配當額及び給與方法を決定して各罹災地町村長へ通知した。


社會第三六五號
昭和八年三月六日
岩手県内務部長
岩手県學務部長
各被害地町村長殿
罹災救助基金ノ給與ニ關スル件
今次ノ罹災者ニ對シ救助費トシテ県罹災救助基金ヲ支出スル事ニ決定相成候ニ付テハ不取敢
左記ノ通配當候條別記事項御了知ノ上出來得ル丈調査ヲ進メラルルト同時ニ右配當範圍ニ於テ必要物品ハ地方又ハ他方面ヨリ購入手配相成等迅速給與ノ方途ニ出ラレ度
追テ現金給與ヲ適當トシ且急速是ガ現金ノ必要アルニ於テハ各費目別給與額(正確ヲ得難キ場合ハ見込額)ヲ(電報電話ニテモ可)御申出相成度



氣仙郡
大船渡町 金二、〇六七圓 高田町金二四八圓
氣仙町 金二、一三〇圓 米崎村金七七四圓
赤崎村 金五、七七五圓 吉濱村金八○三圓
越喜來村 金五、二一〇圓 綾里村 金一〇、七七四圓
廣田村 金五、八七三圓 小友村 金一、七三九圓
末崎村 金一〇、六八六圓 唐丹村 金一〇、九四五圓
上閉伊郡
釜石町 金三八、一〇四圓 大槌町 金二九、六三二圓
鵜住居村 金一一、八五七圓
下閉伊郡
宮古町 金一、九六五圓 山田町 金一二、三四九圓
船越村 金九、一八四圓 田老村 金二〇、九九三圓
重茂村 金一、六二六圓 津輕石村 金二二七圓
大澤村 金三、六二五圓 織笠村 金一六三圓
崎山村 金一一八圓 磯鷄村 金一、五五五圓
小本村 金四、七四四圓 田野畑村 金五、二四九圓
普代村 金三、五二二圓
九戸郡
久慈町 金九五六圓 野田村 金三、○八四圓
種市村 金二、七四三圓 侍濱村 金〇七〇圃
中野村 金三三五圓 夏井村 金二〇二圓
長内村 金一二六圓 宇部村 金四五〇圓


(別記)
(一)救助金ノ給與方法
一、避難所費
罹災者ヲ收容スル爲借家又ハ臨時避難所ヲ設ケタル塲合災害後十日以内ニ要スル借家料、器具、消耗品費其ノ他ノ實費ヲ支出スルコト
二、食料費
イ 焚出ハ一人一日白米○、六瓩(四合)(年齡十歳未満ハ三分ノ二)以内其ノ給與日數十 日以内タルコト
ロ 食料米ハ前項同様ニシテ焚出給與共通算シテ二十日以内タルコト
尚本食料費中ニハ食器又ハ炊爨用品ヲモ含ムモノトス
三、被服費
被服又ハ寢具費トシテ六歳以上ノモノ一人ニ付四圓六歳未満ハ二圓ノ範圍内タルコト
四、治療費
傷痍疾病者ニ對スル治療費ハ十日間以内ニテ左ノ割合ヲ以テ支出ノコト
醫師傭料 一日 金二圓以内
看護人 一日 金五十錢以内
入院料 一日 金五十錢以内
      車馬賃 四粁 金二十五錢以内
醫師日當  汽車賃 一粁 金四錢以内
      船賃 一浬 金五錢以内
醫師日當(旅行中ニ限ル) 一日 金五十錢
醫師宿泊料(旋行中ニ限ル) 一日 金一圓
藥價 實費
療養上ノ必要品費 實費
五、小屋掛費
一戸當十五圓以内ニテ建設又ハ材料ヲ給與スルコト
六、就業費
一戸當金十圓以内ニテ左ノ割合ヲ以テ給與ノコト
イ種穀ハ耕作反別ニ應ジ適宜之ヲ給與シ種穀以外ノ資料ニ在リテハ其ノ業態ニ應ジ給與
ロ農具、工具、漁具等ノ器具ニ在リテハ從業者ノ數ニ依リ給與ノコト
ハ種穀其ノ他ノ資料ト器具トヲ併給スル塲合ニアリテハ通ジテ一戸當金十圓以内タルコ

七、學用品費
教科書及其ノ他ノ文房具通ジテ一人一圓以内タルコト
八、運搬用具費
船車馬其ノ他運搬用具ノ借入ニ對スル實費ヲ支出ノコト
九、人夫賃
救助ノタメ人夫ノ傭入ヲ爲シタル塲合ハ實費ヲ支出ノコト
一〇、埋葬費
死亡者一人ニ付四圓ノ範圍内タルコト
(二)救助金給與取扱手續
一、調査書類ハ明治三十二年十二月一日訓令甲第七十號罹災救助墓金規則施行手續樣式ニ依ルコト但シ埋葬費ハ左記樣式ニ依ルコト
二、食料費中ヨリ食器又ハ炊爨用品ヲ給與シタル塲合ハ調査書類中「食料及副食物給與見込調書」ノ「副食物給與價格」欄ノ下ニ「食器又ハ炊爨用品」欄ヲ設クルコト
三、今回ノ救助金交付ハ貴職ニ一切ノ支出ヲ委任スルヲ以テ交付簿ハ被交付者ノ捺印等ハ之ヲ要セザルニ付御含置相成タシ
四、調査ノ結果配當金ニ不足ヲ生ズルトキハ速報ノ上指揮ヲ請フコト
尚配當金ニ萬一不足ヲ生ズルモ義捐金品ヲ以テ充ッル等可成配當金ノ範圍内ニテ措置相成
タキコト但シ事情許サザル塲合ハ此ノ限ニアラズ
五、調査書類作成ノタメ出來得ル丈県官ノ應援派遣ヲ爲ス見込ナルモ全部ノ御希望ニ添ヒ兼ヌルヤモ難計ニ付最寄町村吏員ノ應援ヲ求メラルル樣セラレ度


然るに其の後、罹災地町村の實情に依つて罹災救助基金の給與を増給するの要を認め、三月二十三日曩の給與方法を左の如く改め次いで同三十一日の県參事會に於て更にニ十五萬二千四百五圓の追加を議決し、合計五十二萬一千五百九十五圓を支出することとなり町村配當額を別表の如く決定した。


罹災救助基金支出方法(三月廿三日部課長會議ノ結果)
一、避難所費
一ケ町村三〇圓ノ範圍ニテ實費ヲ支拂フコトトシ町村長ヲシテ支拂ヒヲ爲サシムルコト
二、食料費
二十九日分(三月三十一日迄)ヲ限度トシテ給與ノコト但シ既ニ県ヨリ現品ヲ配給セルヲ以テ本基金ハ右代金ニ充當シ町村長ニハ交付セザルコト
三、被服費
大人五圓小人二圓五十錢ノ半額ハ県配給ノ布團代ニ向ケ殘ル半額ハ現金ヲ以テ町村長ニ配當ノコト尚布團代右ノ充當額ヲ超過シタルトキハ義捐金ヨリ支拂フコト
四、治療費
本費ハ県ヨリ派遣セル救療班及救療ニ從事セシメタル地元町村醫並開業醫ノ費用ニ充テ町村長ニハ配當セザルコト
右ノ中地元町村醫又ハ開業醫ヲシテ救療ヲナサシメタル費用ニ在リテハ其ノ町村長ヲシテ請求書ヲ取纒メ廻付セシムルコト
五、小屋掛費
要建設戸數中県ニ於テ建築材料ヲ供給セルモノニ對シテハ本費ハ配當セズ其ノ他ノモノニ對シテハ四十圓宛交付スルコト
六、就業費
一戸當十五圓ヲ現金ヲ以テ町村長ニ配當シ一應町村長ニ於テ保管セシメ就業ノ資財ニ對シテ政府ノ補助アル塲合等ヲ考慮シ努メテ有利ナル費途(例ヘバ船ノ建造資金等)ニ充當セシムルコト尚漁船流失ノミノ罹災者ニ對シテハ考慮スルコト
七、學用品費
一人當リ三圓ヲ現金ヲ以テ町村長ニ交付シ町村長ハ小學校長ヲシテ準備セシメ各兒童ニ夫々配付セシムルコト
八、運搬用具費
一ケ町村五十圓ノ範圍ニテ賓費ヲ支拂フコトトシ町村長ヲシテ支拂ヲ爲サシムルコト
九、人夫賃
一ケ町村三十圓ノ範圍ニテ實費ヲ支拂フコトトシ町村長ヲシテ支拂ヲ爲サシムルコト
二○、埋葬費
一人當四圓ヲ町村長ニ交付シ町村長ヲシテ經理支拂ヲ爲サシムルコト

附 豫算不足ノ科目ニアリテハ流用ノ上支出セリ
運搬用具費及人夫賃ノ現品交付額ハ県ニ於テ雇上ゲタル車馬、人夫ニ對スル經費ノ支拂額トス

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埋葬費見込調
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埋葬費支出簿
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埋葬費調書
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罹災救助基金支出額科目別表
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罹災救助基金支出額町村別表

第十二節 県税の減免

県は震災被害者に對する県税の免除等に關し、四月八日開會の臨時県會の議を經同月十五日條例第九號を以て之を公布した。
即ち、流失燒失若しくは倒壊家屋の所有者が再建築を爲し或は新に取得した家屋の税は昭和九年度分迄、又著しく毀損した家屋の税は昭和八年度分を免除し、流失した船の所有者が再建造を爲し又は新に取得した船の税は昭和九年度分迄、著しく毀損した船の税は昭和八年度分を免除した。
又滅失若しくは毀損した車・水車・電柱・金庫の所有者が新に取得した同一物件の税、斃死若しくは行方不明となつた牛馬の所有者が新に取得した牛馬の税、漁船・漁具を流失毀損し或は漁塲を破壊された者の漁業税は孰れも昭和八年度分を免除し、流失燒失倒壊に依る家屋の復舊の爲昭和十年度迄に新に取得した住宅地及び家屋の不動産取得税は悉く免除し、且つ課税標準の著しく減損した者の營業税の課税標準は豫算を以て之を算定することとした。
而して國税の附加税及び特別地税に就いては三月二十五日法律第十三號及び同日大藏省令第六號に準據し、税務署の免税決定額に基づいて之を措置することとし、又震災の爲納税困難となりたる者の出願に依り、昭和九年三月三十一日迄徴收を延期したものは人員三千六百二十五人、税額二萬三千五百八十三圓七十七錢であつた。


震災被害者ニ對スル県税免除等ニ關スル條例(昭和八年四月十五日條例第九號)


第一條 震災(昭和八年三月三日ノ震災及之ニ伴フ火災又ハ海嘯ヲ含ム以下同ジ)ニ因ル被害
者ニシテ震災地ニ於テ納付スベキ県税ノ免除等ニ關シテハ本條例ノ定ムル所ニ依ル


第二條 前條ニ於テ震災地ト稱スルハ左ノ町村ヲ謂フ
氣仙郡 唐丹村、吉濱村、越喜來村、綾里村、赤崎村、大船渡町、末崎村、廣田村、小友村、米崎村、高田町、氣仙町
上閉伊郡 大槌町、鵜住居村、釜石町
下閉伊郡 普代村、田野畑村、小本村、田老村、崎山村、宮古町、磯鷄村、津輕石村、重茂村、大澤村、山田町、織笠村、船越村
九戸郡 種市村、中野村、侍濱村、夏井村、久慈町、長内村、宇部村、野田村


第三條 家屋税ニ付テハ左ノ區分ニ依リ之ヲ免除ス
一 震災ニ因リ滅失倒壊シタル家屋所有者ニ於テ再建築ヲ爲シ又ハ新ニ取得シタル家屋ニ付テハ昭和九年度分迄
二 震災ニ囚リ著シク毀損シタル家屋ニ付テハ昭和八年度分


策四條 震災ニ因リ課税標準著シク減損スベシト認メラルル者ノ營業税ノ課税標準ハ豫算ヲ以テ之ヲ算定ス


第五條 雜種税ニ付テハ左ノ區分ニ依リ之ヲ免除ス
一 震災ニ因リ滅失シタル船ノ所有者ニ於テ再建造ヲ爲シ又ハ新ニ之ヲ取得シタル船ニ付テハ昭和九年度分迄
二 震災ニ因リ著シク毀損シタル船ニ付テハ昭和八年度分
三 震災ニ因リ滅失又ハ毀損シタル車・水車・電柱・金庫ノ所有者ニ於テ新ニ取得シタル同一 物件ニ付テハ昭和八年度分
四 震災ニ囚リ斃死又ハ行方不明トナリタル牛馬ノ所有者ニ於テ新ニ取得シタル牛馬ニ付テハ昭和八年度分
五 震災ニ因り滅失倒壊シタル家屋所有者ニ於テ家屋復舊ノ爲昭和十年度迄ニ新ニ住宅地及家屋ヲ取得シタルトキノ不動産取得
六 震災ニ囚り漁船漁具ヲ滅失毀損シ又ハ漁塲ヲ破壊セラレタル者ノ漁業税ニ付テハ昭和八年度分


附則
本條例ハ昭和八年度分ヨリ之ヲ適用ス


八庶第二一三號
昭和八年四月二十四日岩手県内務部長
震災地町村長殿
下閉伊支廳長殿
遠野、二戸財務出張所長殿


震災被害者ニ對スル県税免除等ニ關スル件依命通牒
標記ノ件二關シ四月十五日條例第九號ヲ以テ公布相成候處本條例設定ノ趣旨並納税猶豫等ニ關シ便宜ノ方法ヲ以テ一般被害者ニ對シ周知セシメラレ度尚之ガ適用ニ關シテハ特ニ左記事項御留意ノ上御借置相成度


記(抄)
一、家屋税、營業税及雜種税(漁業税ヲ除ク)ニ付テハ條例第三條乃至第五條ニ依リ夫々免除セラルベキモ特ニ左ノ事項ニ付注意スルコト
(一)家屋税、及雜種税ニ於テ條例ノ定ムル所ニ依り免除セラルべキ者ニ付町村畏ハ其ノ町村ニ於ケル被害ノ程度ニ付一人別調査ヲ爲シ置クコト
(二)家屋及其ノ他ノ物件ニシテ滅失顯著ナルモノニ付テハ納税義務消滅届書ヲ徴シ處理スルコト
(三)震災ニ因リ毀損シタル家屋及船、車、金庫等ニ付テハ修理ヲ爲シ使用ニ堪ユル程度ノモノト雖モ昭和八年度分課税セザルコト
(四)免除ノ申請ハ條例第三條及第五條第一號乃至第五號ニ依リ新ニ物件ヲ取得シタルトキニ限リ納税義務發生ノ日ヨリ十五日以内ニ別記第一號樣式ニ依ル申請書ヲ支廳長又ハ財務出張所長ニ提出スルコト但シ船、車、水車、金庫及牛馬ノ所有者
ニシテ免除ヲ受クル者ハ昭和七年度ニ於テ課税セラレタル者ニ付之ヲ適用スルコト
支廳長又ハ財務出張所長ニ於テ前項ニ依ル申請書ヲ受理シタルトキハ之レガ適正ヲ審査シ免除ヲ承認スルト共ニ第二號樣式ニ依ル其ノ結果ヲ其ノ月分ヲ翌月五曰迄ニ知事ニ報告スルコト
二、漁業税ニ付テハ左記ニ依リ措置スルコト
(一)條例第五條第六號ニ該當スル定置漁業、區畫漁業、特別漁業、專用漁業タル免許漁業ハ漁業權者ヨリ釣漁ニ付テハ町村長ヨリ許可漁業及其ノ他ノ漁業ニ在リテハ漁業者ヨリ昭和八年度分漁業税ノ免除申請ヲ爲スコト
(二)前項ニ依ル免除申請書ハ別記第三號樣式ニ依リ各納期開始前ニ所轄財務出張所長、支廰長ヲ經由シ知事ニ申請ヲ爲サシムルコト但シ四月及五邦納期ニ係ル分ハ五月十五日迄ニ之ヲ爲スコト
三、震災地ニ於テ被害者ノ納付スベキ県税ニ付昭和七年度分及昭和七年度以前ノ未納者ニシテ納税猶豫ヲ乞ハントスル者ハ昭和八年五月二十日迄ニ別記第四號樣式ニ依ル納税猶豫願ヲ所轄財務出張所長、支廳長ヲ經由シ知事ニ願出ヅルコト
(一)前項ニ依ル県税未納ニ對シテハ既ニ滯納報告済ナルベキヲ以テ猶豫願調製ニ際シテハ支廳財務出張所ト事務打合ヲ爲シ遺漏ナキヲ期スルコト但シ自ラ進ンデ納税ヲ爲サントスル者及猶豫願出ノ希望ナキ者ハ之ヲ除クコト
(二)支廳長及財務出張所長ニ於テ前項ニ依ル納税猶豫願ヲ受理シタルトキハ各町村毎ニ税目別、實人員、七年度及過年度分ニ區分合計ヲ附シ尚郡集計表ヲ添へ之ヲ一括シ意見ヲ付シ五月末日迄ニ必ズ提出スルコト

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第一號樣式(用紙美濃紙) 県税免除申請書
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第二號樣式 県税免除ノ結果報告
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第三號樣式(用紙美濃紙) 漁業税免除申請書
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第四號樣式(用紙半紙) 県税納税猶豫願

第十三節 罹災地町村長招集

県は罹災地町村長に對し屡々救護の完きを期するとともに復舊に就き全力を致すべき旨を指示督勵したが、六月六日初めて罹災地三十六町村長を盛岡に招集し災害善後に關する諸般の指示及び義捐金分配方法に付協議し、其の席上石黒知事は左の如き訓示を爲した。


知事訓示
去ル三月三日本県海岸地方ニ突如襲來シタル津浪ハ各位ノ骨肉二千七百有餘ノ生命ヲ一瞬ニシテ奪ヒ去リ傷病者亦數フルニ算ナク其ノ他家屋ノ流失倒壊、田畑漁塲ノ荒廢、漁船漁具ノ流失、道路橋梁港灣ノ破壊等其ノ慘禍ハ廣汎ニシテ且ッ深刻ヲ極ム生存者ト雖僅ニ身ヲ以テ免レタルニ過ギズ罹災町村ハイヅレモ金融梗塞其ノ他一般經済界不况ノ影響ヲ受ケ連年ノ不漁ト相俟ッテサナキダニ疲勞困憊ノ極ニ在リナガラ今回ノ災厄ニ際會ス其ノ窮况言語ニ絶シ寔ニ沈痛ノ至ニ堪ヘザルナリ各位ガ災害突發以來殆ド寢食ヲ忘レテ救護ニ復舊ニ復興ニ寧日無ク盡力セラレツツアルハ予ノ深ク多トスル處ニシテ各位ノ勞苦深謝ニ堪ヘザル次第ナリ今次ノ災變一度天聽ニ達スルヤ畏クモ天皇皇后兩陛下ニ於カセラレテハ被害ノ甚大ナルヲ御軫念遊バサレ特ニ優渥ナル御沙汰ヲ賜ヒ侍從ヲ遣ハサレ親シク罹災民ヲ慰メ御内帑ヲ開キ給ヒテ救恤ノ資ヲ御下賜アラセラル聖慮鴻大恐懼感激ニ堪ヘズ県ハ聖旨ヲ奉體シ御下賜金ハ直ニ町村ヲ經テ罹災者ニ頒賜傳達スルト共二之ニ關シ県モ亦告諭ヲ發シ此ノ際県民斉シク不撓不屈相勵ミ相扶ケ鋭意復興ニ力ヲ輸シ進ンデ將來ノ計ヲ樹テ以テ聖慮ニ對へ奉ラムコトヲ期スベキ旨ヲ訓告スル所アリタリ又皇后陛下ニ於カセラレテハ罹災傷病者並老幼ノ孤獨者ノ身上ヲ深ク御憐愍アラセラレ衣服地及裁縫料ヲ御下賜アラセラル県ハ御趣旨ヲ奉體シ愛國婦人會岩手支部ヲシテ之ガ調製ニ當ラシメ町村ヲ經テ之ヲ傳達シ併セテ拜受者ヲシテ御趣旨ノ存スル所ヲ體シ永ク御仁慈御坤徳ヲ仰ギ奉ラシムベキ旨ヲ訓諭シタリ又各宮家ヨリモ種々御手厚キ御沙汰ヲ拜戴セリ今次ノ震災ニ際シ皇室ノ御仁慈ハ寔ニ海ヨリモ深ク山ヨリモ高シ我等復舊復興ノ任ヲ荷ヘル者等シク恐懼感激ニ堪ヘザル所ナリ之ヲ以テ特ニ曩ニ各位ニ示達シタル處ヲ反覆シテ各位ノ一層ノ努力ト罹災町村ノ人々ノ發奮ヲ望ム所以ナリ震災以來政府各關係當局ヲハジメ全國各方面ヨリ救護ノ爲絶大ナル同情ヲ寄與セラレタルハ各位ト共ニ感謝ニ堪ヘザル所ナリ又陸軍ニ於テハ盛岡駐屯ノ旅團、聯隊及弘前師團ヨリ震災即日多數ノ將兵ヲ現地ニ急派セラレ物資ノ供給其ノ他救護ニ付極メテ敏速ナル措置ヲ講ゼラレ更ニ又道路橋梁破壊シ爲ニ物資ノ供給ニ多大ノ不便ヲ感ジツツアリタル時工兵隊ヲ派遣セラレ應急之ガ改修ノ工事ヲ施行セラル海軍ニ於テハ横須賀鎭守府及大湊要港部ヨリ食糧其ノ他ヲ満載セル多數艦艇ハ風雪ヲ犯ジ全速力ヲ以テ難航ヲ續ケ震災即日及翌日ニ亘リ震災地ニ着シ陸路ノ交通杜絶シタル地方ニ對シ多量ノ食糧衣服ヲ配給セラレ且應急建築ニ必要ナル用材ノ運輸ニ努メラル罹災地方ハ孰レモ僻陬ノ地ニシテ而カモ海岸ニ於ケル重要道路橋梁ハ殆ド破損シ物資配給、醫療救護ニ県ガ慘憺タル苦心ヲ甞メッツアル時軍部ノ此ノ機宜ヲ得タル來援ハ罹災民ヲシテ正ニ蘇生ノ思アラシメタルモノニシテ當時ヲ回想シテ感激更ニ改マルヲ覺ユ更ニ県下町村長ヲ始メ在郷軍人會、日本赤十字社岩手支部、愛國婦人會岩手支部、青年團、消防組其他県下各方面ノ活動亦其ノ宜シキヲ制シ適時適切ノ處置ヲ講ゼラレ又全國各府県、帝國水産會、大日本水産會、水難救済會、赤十字社、愛國婦人會、済生會、束京府及東京市其他公私各種團體、各新聞社等ノ援助モ迅速ヲ極メ効果洵ニ甚大ナリ斯クシテ全國同胞ノ共助ト各位ノ献身的努力ト相俟ッテ今ヤ應急救護ノ措置ハ略々遺憾無ク之ヲ講ズルコトヲ得タルハ實ニ感謝ニ堪ヘザル所ナリ予ハ曩ニ復舊並復興ニ關スル諸般ノ計畫ヲ畫策シ之ガ具體案ヲ携ヘテ急遽上京政府當局ト折衝ヲ重ネタルガ當時帝國議會ノ會期切迫シ之ヲ議會ニ提案スルコト殆ド不可能ナル折柄ニ拘ラズ總理大臣及各省大臣ハ県情ニ深キ關心ヲ拂ハレ各關係當局亦連日不眠不休ノ努力ヲ以テ審議セラレ遂ニ復舊事業ニ關スル各費目ノ上程ヲ見ルニ至リ貴衆兩院異常ノ熱意ヲ以テ之ヲ支持セラレ茲ニ昭和八年度豫算ニ於テ四百四十餘萬圓ノ國庫助成ヲ認メラルルニ至ル政府及貴衆兩院ノ絶大ナル同情ト特ニ本県關係ノ兩院議員諸氏ノ努力トニ對シテハ只々感謝ノ至ニ堪ヘザルナリ斯ノ如クシテ成立シタル計畫ハ單ニ復舊事業ニ止メ復興事業ハ他日ニ譲ルコトトナレリ蓋シ政府ノ方針ハ復興ノ事タル其ノ内容複雜多岐ニ亘リ短時日ヲ以テシテ之ガ審議ヲ遂グルコト到底不能ナルヲ以テ之ヲ留保スルコトトシ八年度豫算ニ於テハ内務省及農林省ニ各二萬圓ノ調査費ヲ計上シテ之ガ調査研究ヲ遂グルコトトナリタリ各位ハ今回ノ復舊事業ガ斯カル事業ノモトニ成立シタルモノナルヲ常ニ念頭ニ置キ此ノ復舊事業ノ速カニ完成スル樣益々力ヲ竭サレムコトヲ切望ス此ノ際罹災地ニ在リテ直接事業ノ實施並督勵ノ衝ニ當ルベキ各位ニ要望スベキ數項アリ特ニ一言シテ以テ各位ノ深甚ナル留意ヲ促サムトス
第一ハ事業計畫ガ正確ナルコトヲ要ス則チ事業計畫ガ當ヲ得ザルトキハ成功ノ見込ナキノミナラズ補助金ノ交付ハ勿論資金ノ融通ヲモ受ヶ得ラレ難シ假令今次ノ復舊事業ガ救済ヲモソノ目的ノ一トナスト雖成功見込ナキモノヲ援助スベキ何等ノ理由ナキノミナラズ今回政府ガ補助金、貸付金ヲ支出スルニ當リ特ニ事業計畫ノ正確ナルコトヲ主要要件トナスニ徴スルモ明ナリ
第二ハ事業ノ連絡統制ヲ圖ルコトヲ要ス復舊事業ハ廣汎ナル土木事業ヲ含ミ産業ノ各部門ニ亘リ其ノ他教育衛生杜會施設等複雜多岐ヲ極メ之ガ事業實施ノ衝ニ當ル者亦一ニシテ止マラザルノミナラズ復舊事業中ノ重要事項ニシテ且ツ統制アル事業計畫ヲ根幹トセル村落計畫ノ如キニァリテハ本統制連絡ノ必要ナルコトハ喋々ヲ要セズ而シテ此ノ間ニ處シテ克ク事業ノ統制擔當者ノ連絡ヲ期スルハ之ヲ統轄スル各位ノ責務タリ各位ハ曩ニ通牒シタル處ニ從ヒ既ニ復興委員會ヲ設ケテ之ガ勵行ヲ期セラレツッアルベキモ尚一層此ノ点ニ意ヲ須ヒラレムコトヲ望ム
第三事業ハ合同ノ力ニョリ計畫實行スベシ各個人個々別々ナルトキハ企業能力薄弱ニシテ到底事業ヲ行フニ適セザルガ故ニ各位ハ須ラク合同ノ力ヲ以テ當ルベク常ニ配慮セラレムコトヲ望ム之レ只ニ資金融通ノ途ヲ得ルノ方便ニ止マラズ産業振興ノ根本義タリ
第四ハ借入金ノ償還ニ關スル事項ナリ政府ハ豆相並奧丹後ノ震災善後措置ニ關スル貸付金ノ償還成績ニ徴シ今回供給ノ低利資金償還ノ將來ニ關シ深ク憂慮セラルル處アリタルモ予ハ本県罹災地ガ水産業ヲ以テ主要産業トシ其ノ國民ノ日常消費生活ト密接不可分離ノ關係ニアル特異性ニ照ラシ之ガ合理的經營方法ニ基キ振興ノ根本對策ヲ樹立シ且ッ之ヲ實行スルニ於テハ資金ノ償還ハ決シテ難事ノ業ニアラザルベキヲ具陳シタル次第ナルガ各位ハ今後事業ノ基礎ヲ確實ナラシメ自餘ノ施設經營ヲ筍モセズ償還ノ手續ヲ嚴重詳細ニ定メ以テ償還ノ實施ヲ嚴行シ斷ジテ遅滯スルガ如キ結果ヲ招致セザル樣充分ノ配意アラムコトヲ望ム
第五ハ會計經理ニ關スル事項ナリ、今後復舊事業ニ伴ナヒ多額ノ資金ノ流通ヲ見ル其ノ額ノ大ナル蓋シ既往ニ其ノ例ヲ見ザル處ナリ萬一之ガ經理ノ當ヲ缺キ甚ダシキハ不正行爲ヲ敢テシテ刑辟ニ觸ルルガ如キ事態ヲ惹起スルァラムカ地方復興ノ將來ニ重大ナル暗影ヲ投ズルニ到ルベク公器ニ任ズル者ノ最モ怖レ且ッ愼マザルベカラザル所ナリトス、各位ハ會計經理ニ嚴ニ注意シ資金ノ使途其ノ宜シキヲ得テ違法錯誤等ノ事絶無ナルヲ期セラルル樣切ニ各位ノ戒心ヲ促シテ止マザル次第ナリ
第六最モ重要ナルハ自力更生ノ精神振作ニ關スル事項ナリ、今回國家財政多端ノ秋甚大ナル苦痛ヲ忍ビツッ多額ノ經費ヲ支出セラルル所以ノモノハ罹災地ノ切實ナル現状ニ即シ之ニ暫ク必要ナル施設ヲ講ジテ地方民ノ自奮自勵ヲ促シ産業ノ再建ニ努力セシムルノ意ニ外ナラズ、若シ夫レ之ヲ契機トシテ徒ニ他力ニ依ル保護救済ニノミ倚頼セムトスルノ趨向ヲ馴致スルガ如キコトアラムカ政府今次ノ施設モ全國同胞ノ同情モ其ノ意義ヲ沒却スルノミカ今後永久ニ地方更生ノ端ヲ啓クコト能ハザルニ至ルベシ、各位ハ地方民ニ先ヅ以テ自助的精神ヲ鼓吹シ自營力行ノ意氣ヲ旺盛ナラシメ地方振興ノ基礎ヲ築クノ氣運ヲ釀成スルニ力ヲ竭サレムコトヲ望ム
第七將來ノ災厄ニ備フル爲必要ナル施設及ビ措置ヲ講ズベシ、共済組合ノ結成衣服穀類ノ貯藏醫藥ノ準備或ハ備荒林ノ設置貯金ノ奬勵ノ如キハソノ事例ナリ、而シテ復舊事業ノ完成迄ハ臥薪嘗膽ノ堅キ決心ト覺悟トヲ以テ之ニ當リ斷ジテ弛緩ノ行爲アルベカラザルナリ第八ハ町村内民心ノ融合ヲ圖ルベシ、罹災地方ノ町村ノ間ニハ從來往々ニシテ部落感情、對人的感情又ハ黨弊ニョリ部内民心統一ヲ缺キ町村民ノ公私生活ニ惡影響ヲ及ボセルモノアリ、各位ハ此ノ絶好ノ機會ニ於テ惡弊ヲ一掃シ民心ノ融合統一ヲ促シ一ハ以テ復舊事業ノ促進ヲ圖リ他ハ以テ一般町村治ノ改善ニ資セラレムコトヲ望ム
惟フニ今次ノ災害ハ稀有ノ慘事ナリト雖、予ハ各位ノ熱意ト努力ニ信頼シ各位ト協力一致シ復舊ノ事業ニ精進スルト共ニ地方百年ノ長計ニ向ッテ渾身ノカヲ傾注セムトス冀クハ予ノ決意ヲ諒トセラレ心ヲ碎キ力ヲ悉シテ相共ニ罹災地方振興ノ爲努力セラレムコトヲ

第十四節 軍事救護法適用

県は傷痍疾病軍人の家族若しくは遺族、及び現役兵の家族若しくは遺族の中震災に由り著しい損害を蒙り生活すること困難な者に對し、軍事救護法に依り臨時扶助を爲すに決し左の如く五十六家族に對し一千五百圓を交付した。

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軍事救護法施行令第六條ノ臨時生活扶助支出表

第五章 県會の災害善後措置

津浪に依る人及び住宅の被害甚しく、其の應急救護の措置は一日の等閑を許さぬ急迫の状態なるに鑑み、県は直ちに罹災救助基金中の救助費を以て罹災民の糧食・被服・小屋掛材料・學童用品等の費に充てようとしたが、震災當時に於ける救助費既定豫算高は僅かに三千六百二十一圓に過ぎず、而も措置急を要し県會を招集して追加豫算の議決を求むる暇が無かつたので、三月四日午後一時臨時県參事會を開き通常豫算に於て警備費及び救療費一萬三百三十二圓三陸沿岸海嘯被害地調査費三千九百圓、罹災救助基金豫算に於て救助費二十六萬九千百九十圓を追加議決した。


議第七四號
昭和七年度岩手県歳入歳出追加更正豫算
歳入
經常部
第十二款 國庫下渡金 金拾萬八百九拾六圓
第一項 警察費下渡金 金拾萬八百九拾六圓
經常部計 金參百七拾參萬九千九百參拾圓
歳入合計 金九百八拾九萬四千參百貳圓


歳出
經常部
第四款 警察費 金五拾四萬參千貳百九拾五圓
第一項 俸給及諸給 金四拾七萬四千六百貳拾七圓
第二項 廳費 金五萬九千百拾七圓
第五款 警察廳舎修繕費 金壹萬參千五百八拾貳圓
第一項 修繕費 金壹萬參千五百八拾貳圓
第八款 衛生及病院費 金參萬七千四百五拾八圓
第三項 衛生諸費 金貳萬四千貳百八拾圓
經常部計 金貳百五拾九萬貳千貳拾六圓


臨時部
第十二款 特別會計編入金 金參拾參萬貳千四百五拾八圓
第二項 小學校教員恩給金補充費 金參拾參萬貳千四百五拾八圓
第二十九款 三陸沿岸海嘯被害地調査費 金參千九百圓
第一項 三陸沿岸海嘯被害地調査費 金參千九百圓
臨時部計 金七百參拾四萬九千六百八拾九圓
歳出合計 金九百九拾四萬千七百拾五圓
昭和八年三月四日提出
岩手県知事 石黒英彦


議第七六號
昭和七年度岩手県罹災救助基金歳入歳出追加豫算


歳入
第四款 基金繰入金 金貳拾六萬九千百九拾圓
第一項 基金繰入金 金貳拾六萬九千百九拾圓
歳入合計 金貳拾六萬九千百九拾圓


歳出
第一款 救助費 金貳拾六萬九千百九拾圓
第一項 救助費 金貳拾六萬九千百九拾圓
歳出合計 金貳拾六萬九千百九拾圓
昭和八年三月四日提出
岩手県知事 石黒英彦


次いで三月三十一日再び臨時県參事會を開き罹災救助基金豫算に於て二十五萬二千四百五圓
を追加議決した。


議第七八號
昭和七年度岩手県罹災救助基金歳入歳出追加更正豫算


歳入
第四款 基金繰入金 金四拾五萬五千八百參拾參圓
第一項 基金繰入金 金四拾五萬五千八百參拾參圓
歳入合計 金五拾六萬六千拾圓


歳出
第一款 救助費 金五拾貳萬五千貳百拾六圓
第一項 救助費 金五拾貳萬五千貳百拾六圓
第二款 積立金 金貳萬八千八拾圓
第一項 積立金 金貳萬八千八拾圓
第三款罹災救助資金補助 金五千六百六拾四圓
第一項 罹災救助資金補助 金五千六百六拾四圓
第五款 豫備金 金千圓
第一項 豫備金 金千圓
歳出合計金五拾六萬六千拾圓
昭和八年三月三十一日提出
岩手県知事 石黒英彦


斯くて県は罹災民の救護に關し再度の臨時県參事會の議決に依つて臨機應急の措置を講じたが、更に災害地の復舊、災害の防止、産業の復興等に付規模大なる恒久的施設を行ふの必要を感じ、四月八日臨時県會を招集し震災費一千二十四萬四千七百八十二圓の歳出豫算並に県債五百六十萬八千圓の起債を提案した。


即ち此の日議員は佐々木議長以下三十二名出席し午後四時に至つて開會されたが、石黒知事は前田内務部長以下の參與員を隨へて臨塲し開會の挨拶を述べ、次いで提出議案(第一號乃至第十三號)を配付の後、總員起立の裡に皇室並に各宮家の御救恤に對する御禮言上の電文を満塲一致を以て可決し、上閉伊郡選出議員澤田權左衛門氏は災害地四郡を代表して県官民の救護に關する努力を感謝し、次いで石黒知事は其の提案にかかる震災費豫算に付左の如く説明した。


石黒知事説明要旨
提案ニ付テ御説明致シマス
先ヅ以テ提出豫算ノ編成方針ニ關聯致シマシテ一言申述ベタイト存ジマス熟々今回ノ地震津浪ニヨル災害ノ善後策ニ付テ攻覈致シマスルニ第一ニハ所謂復舊ニ關スル事業ヲ擧ゲナケレバナリマセン第二ニハ災害防止ノ施設ヲ講ズルコトデアリマス如何ニ數千萬圓ヲ投ジテ復舊事業ヲ行ヒマストモ一朝海嘯ノ禍ガ至ルトキハ一切ヲ擧ゲテ又々空ニ歸スルコトトナルガ爲メデアリマス第三ニハ所謂復舊事業デアリマス則チ單ニ復舊施設ニ止ルコトナク反テ大ニ罹災地方ノ産業ヲ進メ道路ノ改修交通ノ便ヲ開キテ其ノ地方ノ富力ノ増進ヲ圖ルコトハ其ノ生活ノ安定向上ヲ期スルハ勿論政府當局等ニ於テ最モ懸念サルル復舊費等ノ借入金ノ返還ヲ期スルニッキ緊要ノ事ト考フルノデァリマス
然ルニ罹災地方ハ素ヨリ県モ亦等シク財政窮乏ノ際デアリマスルノデ自力決行ノ實力ヲ備ヘナイノデアリマスルカラ政府ノ同情アル援助ヲ仰ギ是等施設ノ實現ヲ期スルコトノ止ムナキ實情ニ置カレテアルノデアリマス而シテ既ニ御承知ノ如ク當時政府ニ於カレテモ特ニ深甚ノ同情ヲ拂ハレマシタガ種々ノ事情ノ爲其ノ助成ハ單ニ復舊事業ニ止ムルコトトナリマシタ唯ダ災害防止ニ關スル施設ニッキマシテハ内務農林兩省ニ夫々二萬圓ノ豫算ヲ編ミ迅速ニ研究調査ヲ遂ゲ後日之ガ完成ヲ期スルコトト相成リマシタコトハ將來ニ至大ノ關係ヲ有スルモノトシテ特ニ御記憶ニ止メラレタイノデアリマス而シテ復興事業ニッキテハ假令今日政府ノ補助其他財的援助ナクトモ復舊事業及災害防止ノ施設ト離ルベカラザル關係ヲ有スルモノデアリマスルカラ今後県ハ各種團體等ヲ支援シテソノ事業促進完成ニ協力致シタイト存ズルノデアリマス
以上ノ理由ニョリマシテ今回ノ震嘯災害ノ豫算ハ復舊費ニ止メマスルト同時ニ本豫算ノ編成ニ當リマシテハ第一ニ本県ノ財政状態並罹災地ノ現状ニ鑑ミ自己資金ノ出資ニ依リテ復舊ヲ圖ルコトハ到底不可能ノ状態ニアリマスノデ能フ限リ國庫補助ヲ多額ニ受クルコトヲ主眼トシテ事業ヲ計畫シ第二ニ國庫補給又ハ國庫補助金以外ノ財源ハ總テ大藏省預金部ノ低利費金ノ供給ヲ受クルト共ニ之ガ供給ニ當リマシテハ成ルベク利子ノ補給ヲ仰ギ負擔ノ輕減ヲ圖ルコトトシ第三ニ利子補給ノアリマスルモノハ格別然ラザル低利資金ハ將來県民ノ負擔ト相成リマスルノデ復舊ニ必要ナル限度ニ止メタノデァリマス
今回提案致シマシタ震災費豫算總額ハ千二十四萬四千七百八十二圓デアリマスガ其ノ財源ハ國庫補給金及補助金四百三十七萬七千五百八十九圓、寄附金九萬八千五百九十四圓、県債五百六十萬八千圓、貸付金收入十五萬四千二百九十三圓、県費編入金六千三百六圓ト相成リマス今該豫算中主ナル事項ニ付テ大體ノ御説明ヲ致シマス
第一 救護費ニ於テ二萬二千二百八十二圓、警備費ニ於テ五萬九千四百九十一圓、救療費ニ於テ二萬九千九百二十五圓ヲ計上致シマシタノハ救護ノ事務ハ七年度限リ之ヲ打切ル事ガ出來得ナイ状態ニアリマスノデ引續キ之ニ要スル旅費其ノ他ノ費用ヲ計上シ警備費ニ於キマシテハ現在ノ定員ヲ以テハ震災地ニ於ケル各般ニ亘ル警備ノ充實ヲ圖ルコトガ不可能ナル實情ニアリマスノデ從來ノ警察官吏ノ外新ニ警部補一名巡査四名ヲ増員シテ之二當ラシムルト共ニ震災ノ被害ヲ受ヶタル警察電話ノ復舊ヲ圖ルコトトシ之ニ必要ナル經費ヲ計上致シマシタ又救療費ニ於キマシテハ震災地傷病者ノ療養並地震海嘯ニ囚スル内外的健康ノ障害並罹災地ニ於ケル消化器系其ノ他傳染病患者發生ノ豫防ヲ必要トスルヲ以テ之ニ要スル經費ヲ計上致シマシタ
第二 災害土木復舊費ニ付テ申上ゲマスレバ御承知ノ如ク今回ノ震嘯ノ爲メ道路ノ欠壊、橋梁ノ流失、護岸ノ破壊等土木ノ被害ハ洵ニ激甚ナルモノガアリマス依テ之ガ復舊ハ県民ノ安寧ヲ保チ福利ヲ増進スル上ニ於テ一日モ忽諸ニ附スベヵラザルヲ思ヒ県工事ニ屬スル橋梁六十一ケ所此ノ工費二十九萬四千六百十一圓、道路百八十九ケ所此ノ工費百九十萬七百五圓ヲ計上スルノ外町村ニ於ケル道路橋梁等ノ復舊ヲ助成スル爲百十二萬二千八百三十一圓ノ補助金ヲ計上致シマシタガ町村ニ對シテハ此ノ外尚街路復舊事業助成費八萬五千圓ト之ガ調査竝住宅適地造成調査費トシテ四萬一千三百十圓ヲ計上致シマシタ
第三産業復舊費ニ付テハ二百六十六萬六千九百七十五圓ノ補助ト貸付金四百ニ十萬六千圓ヲ計上致シマシタガ之ヲ事業毎ニ説明致シマスレバ先ヅ蠶絲業復舊費デアリマメ不完全ナル急造家屋ニ據ル蠶作ノ不安ヲ緩和スル爲メ被害激甚ナル氣仙、上閉伊、下閉伊ノ三郡内八ケ所ニ助成金ヲ交付シテ稚蠶共同飼育所ヲ設置セシメ尚破損蠶具ノ復舊並蠶種ノ購入ヲ容易ナラシムル爲
三萬九千七百七十五圓ノ助成金ト三萬圓ノ貸付金ヲ計上致シマシタ次ニ罹災農家ニ於ケル食糧ノ自給ト生活ノ安定ヲ期スルタメ馬鈴薯、水稻、大豆、其ノ他農作物ノ種苗農具ノ購入費、納舎並肥料舍建設資金及肥料資金トシテ助成金十三萬六千四百二十三圓貸付金二十萬四千圓ヲ計上致シマシタ次ニ畜産ノ復舊デアリマスガ交通ノ不便ナル被害地ノ現状ニ照シ又農業經營上畜力ノ利用ト云フ点カラ見テ之ガ復舊ハ極メテ緊要ト認メマスルガ故ニ家畜並家禽飼料ノ購入費ヲ助成スル爲之ガ助成費トシテ二萬二千五百七圓同貸付金二萬三千圓ヲ計上致シマシタ次ハ耕地復舊費デアリマス被害耕地ハ田四百町歩畑八百町歩合計千二百町歩デアッテ之ガ復舊ハ焦眉ノ急務デァリマスノデ助成金トシテ三十四萬五千百六十五圓同貸付金二十四萬三千圓ヲ計上致シマシタ次ハ炭材購入資金貸付金デアリマス今回ノ災害ニ依リ製炭業者ニシテ資産ヲ失ヒ製炭ニ就業シ得ザルモノガ少クナイノデアリマス依テ之等ニ對シ炭材購入資金トシテ低利資金ヲ貸付スル爲メ該金額十三萬四千圓ヲ計上致シマシタ次ハ商工復舊費デアリマスガ罹災商工業者ノ數ハ商業千二百八戸同工業三百七十一戸合計千五百七十九戸ニ上ッテ居リマス尚此ノ外運迭船ノ流失破損セルモノガ約六十艘アリマス而シテ之ガ復舊ハ極メテ急ヲ要スルモノデアリマスガ全部自力ヲ以テスルコトハ甚ダ困難ナル實情ナルヲ以テ復舊事業費ニ對スル助成金トシテ十一萬八千圓同貸付金トシテ三十七萬九千圓ヲ計上致シマシタ次ハ水産復舊費デアリマス罹災者ノ大部分ハ漁民デアリマシテ從テ漁船、漁具等ガ殆ド流失破損シタルノミナラズ住家ハ勿論製造塲倉庫等ニ至ルマデ流失破損ノ慘事ニ遭遇シ罹災漁民ノ殆ド全部ハ生業ヲ失ヒ路頭ニ迷フノ實情ニアリマスノデ之ガ復舊ニ付テハ將ニ焦眉ノ急務ニ迫ラレテ居リマス依テ漁船漁具ノ復舊、漁業組合、共同購賣所、購買所、製造塲、倉庫及養殖塲等ノ復舊竝ニ船溜、船揚塲、築磯ノ復舊ニ要スル助成金トシテ二百五萬百五圓、同貸付金トシテ三百十九萬三千圓ヲ計上致シマシタ其ノ他水産試験塲復舊費トシテ一萬二千圓ヲ計上致シマシタ
第四 住宅復舊費貸付金トシテ百五萬四千圓ヲ計上致シマシタ漁民住家ノ復舊ニ付キマシテハ此ノ一轉期ニ於キマシテ進ンデ漁村部落ノ改善ヲ期シタイト存ジマシテ夫レニハ單ニ住宅ノ復舊ノミニ止ラズ浴塲、作業塲、倉庫、集會塲、水道、託兒所等ノ共同設備ヲ建設セシメ産業經營ニ將又生活改善ニ合同ノ力ヲ以テ之ニ當ラシメタイト云フ趣旨ヨリ住宅組合及公營住宅ノ外産業組合ヲシテ住宅ノ建設ヲ圖ラシムルコトト致シマシタ
第五 兒童就學奬勵費デアリマスガ今回ノ震災ニ依ル罹災兒童數ハ實ニ六千二百有餘名ノ多數ニ上リ内死亡四百十名負傷十八名ノ多キヲ算シテ居リマス之ガ救護ニ付キマシテハ取リ敢へズ各
方面ノ教育關係有志ヨリ寄贈セラレマシタ教科書及學用品ヲ配給致シマシテ教育上遺憾ナキヲ期シツツアル次第デアリマスガ尚今回豫算ニ計上致シマシタ四萬三千九百四十二圓ヲ以テ是等兒童ニ對シテ主トシテ食料並被服ヲ給與シ就學上支障ナキヲ期シタイノデアリマス
第六復舊事業調査監督費トシテ四萬圓ヲ計上致シマシタ之レハ震災地復舊事業ノ計畫調査並指導監督ニ要スル人件費及其ノ他ノ經費デアリマスガ政府ニ於テハ本事業ノ助成ヲ圖ルノ趣旨ヨリ國費ヲ以テ別ニ事務官以下屬、技手、雇員若干名ヲ配置セラルル豫定ニナッテ居リマス
第七養老育兒院建設費デアリマスガ之ハ扶養義務者ヲ失ヒ孤獨トナリタル者及測ラザル災害ニ因リ癈人トナリタル所謂天下無告ノ民ヲシテ天壽ヲ完フセシメ或ハ希望ニ充テル幼者ヲシテ元氣アル生涯ニ入ラシムル爲メ県下適當ノ地ヲ撰ミ是等老癈人及幼者ヲ收容シ得ル養老育兒院ヲ設置スルコトトシ其ノ經費トシテ八千圓ヲ計上致シマシタ
第八歳入缺陷補填金トシテ十八萬二千圓ヲ計上致シマシタ之レハ七年度及八年度ニ於ケル各種県税ノ減免課税標準ノ減少ニ依ル減收及未納税金ノ徴收不能ナルモノノ補填ニ充當シ県財政ニ缺陷ヲ生ぜシムルコトナキヲ期シタノデアリマス
以上ハ震災費豫算ニ關スル大體ノ説明デアリマスガ此ノ外本豫算ヲ經由セズ直接町村ニ貸付ケラルベキ資金即チ町村歳入缺陷補填金五十六萬三千圓小學校舎復舊資金五千圓教員住宅復舊資金六萬四千圓街路復舊資金一萬五千圓住宅適地造成資金三十四萬五千圓町村災害土木復舊資金十八萬三千圓合計百十七萬五千圓ト云フ巨額ノ低利資金ガ町村ニ直接貸付ニナルノデアリマスガ該資金ニ對シテハ何レモ國庫ヨリ利子ノ補給ガアルノデアリマス
以上ヲ以テ震災費豫算ノ大體ノ説明ヲ了シマシタガ次ハ時局匡救豫算ニ付テ簡單ニ御説明ヲ致シマス本豫算ニ付テハ既ニ昨年通常県會ニ於テ土木費以外ノモノニ付テ御協賛ヲ得タノデアリマスガ土木事業ニ付キマシテハ本省ノ豫算ガ確定致シマシタノデ今回提案致ス事ニ致シマシタガ其ノ内容ヲ申上ゲマスレバ國道改良費二十五萬圓ニ對スル國庫納付金八萬三千三百三十四圓ノ外県事業トシテハ道路二十八ケ線工費六十萬圓、河川四ケ川工費七十二萬圓、港灣二ケ所工費二十二萬圓、漁港二ケ所工費七萬五千圓、砂防四ケ川工費十萬圓デアリマス又町村事業補助トシマシテハ道路八十五萬ニ千圓、河川七萬五千圓、港灣及防波設備二萬五千圓トナッテ居リマス尚右土木關係以外ノ事業費ニシテ新ニ計上致シタモノハ炭窯構築奬勵費四萬二千四十四圓林道開鑿奬勵費二十萬千九百二十六圓、畜産事業奬勵費十五萬五百六十圓デアリマシテ其ノ他ハ既ニ御決議ヲ得タルモノニ對シ國庫補助ノ増額等ニ依リ追加致シタモノガ御座イマスガ要スルニ七年度ニ引續キ之ガ匡救事業ノ實績ヲ擧グルニ努メタイト思ヒス
以上ハ震災費並時局匡救豫算ノ概要デアリマスガ詳細ノ点ニ付キマシテハ適當ノ機會ニ於テ夫々參與員ヨリモ詳細御説明申上グルコトト致シマス
何卒愼重御審議ノ上御協賛アランコトヲ切望致シマス


第一號議案
昭和八年度岩手県震災費歳入歳出豫算
歳入
第一款 國庫補給金 金拾參萬五千貳百貳圓
第一項 國庫補給金 金拾參萬五千貳百貳圓
第二款 國庫補助金 金四百貳拾四萬貳千參百八拾七圓
第一項 國庫補助金 金四百貳拾四萬貳千參百八拾七圓
第三款 寄附金 金九萬八千五百九十四圓
第一項 寄附金 金九萬八千五百九拾四圓
第四款 県債 金五百六拾萬八千圓
第一項 県債 金五百六拾萬八千圓
第五款 貸付金收入 金拾五萬四千貳百九拾參圓
第一項 利子收入 金拾五萬四千貳百九拾參圓
第六款 県費編入金 金六千參百六圓
第一項 県費編入金 金六千參百六圓
歳入合計 金千貳拾四萬四千七百八拾貳圓
歳出
第一款 救護費 金貳萬貳千貳百八拾貳圓
第一項 救護費 金貳萬貳千貳百八拾貳圓
第二款 警備費 金五萬九千四百九拾壹圓
第一項 警備費 金參萬四千百四拾八圓
第二項 警察電話復舊費 金貳萬五千參百四拾参圓


第三款 救療費 金貳萬九千九百貳拾五圓
第一項 救療費 金貳萬九千九百貳拾五圓


第四款 災害土木復舊費 金百七拾參萬六千百九拾四圓
第一項 道路橋梁費 金五拾壹萬四千七百六拾九圓
第二項 市町村災害土木助成費 金百九萬五千百拾五圓
第三項 街路復舊事業助成 金九萬五千圓
第四項 町村住宅適地造成調査費 金參萬千參百拾圓


第五款 産業復舊費 金六百八拾八萬四千九百七拾五圓
第一項 産業復舊費助成 金貳百六拾六萬六千九百七拾五圓
第二項 産業復舊費貸付金 金四百貳拾萬六千圓
第三項 水産試験塲復舊費 金壹萬貳千圓


第六款 住宅復舊費貸付金 金百五萬四千圓
第一項 住宅復舊費貸付金 金百五萬四千圓


第七款 兒童就學奬勵費 金四萬參千九百四拾貳圓
第一項 兒童就學奬勵費 金四萬參千九百四拾貳圓


第八款 復舊事業調査監督費 金四萬圓
第一項 復舊事業調査監督費 金四萬圓


第九款 養老育兒院建設費 金八千圓
第一項 養老育兒院建設費 金八千圓


第十款 歳入缺陷補填金 金拾八萬貳千圓
第一項 歳入缺陷補填金 金拾八萬貳千圓


第十一款 県債費 金拾六萬四千五百壹圓
第一項 県債利子 金拾六萬四千五百壹圓


第十二款 事業助成交付金 金壹萬九千四百七拾貳圓
第一項 事業助成交付金 金壹萬九千四百七拾貳圓


歳出合計 金千貳拾四萬四千七百八拾貳圓
昭和八年四月八日提出
岩手県知事石黒英彦


第三號議案
起債及償還方法
第一條 震災復舊土木費ニ充ッル爲昭和八年度ニ於テ金拾貳萬圓ヲ起債ス但シ工事ノ進捗ノ都合ニ依リ起債額ノ全部又ハ幾部ヲ翌年度ニ於テ借入又ハ起債額ヲ減少スルコトヲ得
第二條 県債ハ大藏省預金部ヨリ借入レ県債證券ヲ發行スルモノトス
県債證券發行ノ樣式其ノ他證券發行ニ必要ナル事項ハ知事之ヲ定ム
第三條 県債ノ利率ハ年三分二厘以内トシ毎年度九月一日及三月一日ニ於テ各其ノ日迄六箇月分ヲ支拂フモノトス但シ發行又ハ償還ノ際ニ於ケル一期ニ満タサル端數期間ノ利子ハ發行ノ際ハ現金拂込ノ翌日ヨリ償還ノ際ニハ支拂當日迄日割計算ニ依り支拂フモノトス
第四條 県債ノ元金ハ昭和八年度ヨリ昭和十二年度迄五箇年間据置キ昭和十三年度ヨリ昭和二十七年度迄十五箇年間ニ於テ別紙償還年次表ニ依リ之ヲ償還ス但シ財政ノ都合ニ依リ全部又ハ幾部ヲ繰上ケ償還シ若ハ低利借替ヲ爲スコトヲ得
第五條 県債ノ償還元利金ハ一般県歳入ヲ以テ之ヲ支辨ス
昭和八年四月八日提出
岩手県知事石黒英彦


第四號議案
起債及償還方法
第一條 震災産業復舊費轉貸資金ニ充ツル爲昭和八年度ニ於テ金四百貳拾萬六千圓ヲ起債ス
県債ハ金参萬圓ヲ蠶糸業復舊資金、金貳拾萬四千圓ヲ農業復舊資金、金貳萬參千圓ヲ畜産復舊資金、金貳拾四萬參千圓ヲ耕地復舊資金、金拾參萬四千圓ヲ炭材購入資金、金參拾七萬九千圓ヲ商工復舊資金、金參百拾九萬參千圓ヲ水産復舊資金トシテ町村ニ轉貸スルモノトス
第二條 県債ハ大藏省預金部ヨリ借人レ県債證券ヲ發行スルモノ卜ス
県債證券發行ノ樣式其ノ他證券發行ニ必要ナル事項ハ知事之ヲ定ム
第三條 県債ノ利率ハ年三分二厘以内トシ毎年度九月一日及三月一日ニ於テ各其ノ日迄六箇月分ヲ支拂フモノトス但シ發行又ハ償還ノ際ニ於ケル一期ニ満タサル端數期間ノ利子ハ發行ノ際ハ現金拂込ノ翌日ヨリ償還ノ際ニハ支拂當日迄日割計算ニ依リ支拂フモノトス
第四條 県債ノ元金ハ昭和八年度ヨリ昭和十二年度迄五箇年間据置キ昭和十三年度ヨリ昭和二十七年度迄十五箇年間ニ於テ別紙償還年次表ニ依リ之ヲ償還ス但シ財政ノ都合ニ依リ全部又ハ幾部ヲ繰上ケ償還シ若ハ低利借替ヲ爲スコトヲ得
第五條 県債ノ償還元利金ハ貸付償還金及一般県歳入ヲ以テ之ヲ支辨ス
昭和八年四月八日提出
岩手県知事石黒英彦


第五號議案
起債及償還方法
第一條 岩手県水産試驗塲震災復舊費ニ充ツル爲昭和八年度ニ於テ金壹萬貳千圓ヲ起債ス
第二條 県債ハ大藏省預金部ヨリ借入レ県債證券ヲ發行スルモノトス
県債證券發行ノ樣式其ノ他證券發行ニ必要ナル事項ハ知事之ヲ定ム
第三條 県債ノ利率ハ年三分二厘以内トシ毎年度九月一日及三月一日ニ於テ各其ノ日迄六箇月分ヲ支拂フモノトス但シ發行又ハ償還ノ際ニ於ケル一期ニ満タサル端數期間ノ利子ハ發行ノ際ハ現金拂込ノ翌日ヨリ償還ノ際ニハ支拂當日迄日割計算ニ依 リ支拂フモノトス
第四條 県債ノ元金ハ昭和八年度ヨリ昭和十二年度迄五箇年間据置キ昭和十三年度ヨリ昭和二十七年度迄十五箇年間ニ於テ別紙償還年次表ニ依リ之ヲ償還ス但シ財政ノ都合ニ依リ全部又ハ幾部ヲ繰上ケ償還シ若ハ低利借替ヲ爲スコトヲ得
第五條 県債ノ償還元利金ハ一般県歳入ヲ以テ之ヲ支辨ス
昭和八年四月八日提出
岩手県知事石黒英彦


第六號議案
起債及償還方法
第一條 震災住宅復舊費轉貸資金ニ充ッル爲昭和八年度ニ於テ金百五萬四千圓ヲ起債ス
県債ハ金七拾貳萬七千圓ヲ産業組合住宅資金金參拾貳萬七千圓ヲ住宅組合又ハ公營住宅資金トシテ町村ニ轉貸スルモノトス
第二條 県債ハ大藏省預金部ヨリ借入レ県債證券ヲ發行スルモノトス
県債證券ノ發行ノ樣式其ノ他證券發行ニ必要ナル事項ハ知事之ヲ定ム
第三條 県債ノ利率ハ年三分二厘以内トシ毎年度九月一日及三月一日ニ於テ各其ノ日迄六箇月分ヲ支拂フモノトス但シ發行又ハ償還ノ際ニ於ケル一期ニ満タサル端數期間ノ利子ハ發行ノ際ハ現金拂込ノ翌日ヨリ償還ノ際ニハ支拂當日迄日割計算ニ依リ支拂フモノトス
第四條 県債ノ元金ハ昭和八年度ヨリ昭和十二年度迄五箇年間据置キ昭和十三年度ヨリ昭和二十七年度迄十五箇年間ニ於テ別紙償還年次表ニ依リ之ヲ償還ス但シ財政ノ都合ニ依リ全部又ハ幾部ヲ繰上ケ償還シ若ハ低利借替ヲ爲スコトヲ得第五條 県債ノ償還元利金ハ貸付償還金及一般県歳入ヲ以テ之ヲ支辨ス
昭和八年四月八日提出
岩手県知事石黒英彦


第七號議案
起債及償還方法
第一條 震災復舊事業調査監督費ニ充ツル爲昭和八年度ニ於テ金參萬圓ヲ起債ス
第二條 県債ハ大藏省預金部其ノ他ヨリ借入レ県債證券ヲ發行スルモノトス
県債證券發行ノ樣式其ノ他證券發行ニ必要ナル事項ハ知事之ヲ定ム第三條 県債ノ利率ハ年六分以内トシ毎年度九月一日及三月一日ニ於テ各其ノ日迄六箇月分ヲ支拂フモノトス但シ發行又ハ償
還ノ際ニ於ケル一期ニ満タサル端數期間ノ利子ハ發行ノ際ハ現金拂込ノ翌日ヨリ償還ノ際ニハ支拂當日迄日割計算ニ依リ支拂フモノトス
第四條 県債ノ元金ハ昭和八年度ヨリ昭和十二年度迄五箇年間据置キ昭和十三年度ヨリ昭和二十七年度迄十五箇年間ニ於テ別紙償還年次表ニ依リ之ヲ償還ス但シ財政ノ都合ニ依リ据置期間中ト雖全部又ハ幾部ヲ繰上ケ償還シ若ハ低利借替ヲ爲スコト ヲ得
第五條 県債ノ償還元利金ハ一般県歳入ヲ以テ之ヲ支辨ス
昭和八年四月八日提出
岩手県知事石黒英彦


第八號議案
起債及償還方法
第一條 養老育兒院建設費ニ充ツル爲昭和八年度ニ於テ金四千圓ヲ起債ス
第二條 県債ハ大藏省預金部ヨリ借入レ県債證券ヲ發行スルモノトス
県債證券發行ノ樣式其ノ他證券發行ニ必要ナル事項ハ知事之ヲ定ム
第三條 県債ノ利率ハ年三分二厘以内トシ毎年度九月一日及三月一日ニ於テ各其ノ日迄六箇月分ヲ支拂フモノトス但シ發行又 ハ償還ノ際ニ於ケル一期ニ満タサル端數期間ノ利子ハ發行ノ際ハ現金拂込ノ翌日ヨリ償還ノ際ニハ支拂當日迄日割計算ニ依 リ支拂フモノトス
第四條 県債ノ元金ハ昭和八年度ヨリ昭和十二年度迄五筒年間据置キ昭和十三年度ヨリ昭和二十七年度迄十五箇年間ニ於テ別 紙償還年次表ニ依リ之ヲ償還ス但シ財政ノ都合ニ依リ全部又ハ幾部ヲ繰上ケ償還シ若ハ低利借替ヲ爲スコトヲ得第五條 県債ノ償還元利金ハ一般県歳入ヲ以テ之ヲ支辨ス
昭和八年四月八日提出
岩手県知事石黒英彦


第九號議案
起債及償還方法
第一條 県歳入欠陷補填金ニ充ツル爲昭和八年度ニ於テ金拾八萬貳千圓ヲ起債ス
第二條 県債ハ大藏省預金部ヨリ借入レ県債證券ヲ發行スルモノトス
県債證券發行ノ樣式其ノ他證券發行ニ必要ナル事項ハ知事之ヲ定ム
第三條 県債ノ利率ハ年三分二厘以内トシ毎年度九月一日及三月一日ニ於テ各其ノ日迄六箇月分ヲ支拂フモノトス但シ發行又 ハ償還ノ際ニ於ケル一期ニ満タサル端數期間ノ利子ハ發行ノ際ハ現金拂込ノ翌日ヨリ償還ノ際ニハ支拂當日迄日割計算ニ依 リ支拂フモノトス
第四條 県債ノ元金ハ昭和八年度ヨリ昭和十二年度迄五箇年間据置キ昭和十三年度ヨリ昭和二十七年度迄十五箇年間ニ於テ別 紙償還年次表ニ依リ之ヲ償還ス但シ財政ノ都合ニ依リ全部又ハ幾部ヲ繰上ケ償還シ若ハ低利借替ヲ爲スコトヲ得第五條 県債ノ償還元利金ハ一般県歳入ヲ以テ之ヲ支辨ス


昭和八年四月八日提出
岩手県知事石黒英彦
而して本県會は悲慘なる四萬罹災民の窮乏を匡救し且つ罹災地方の再起復興を助成すべき重大の議事とて、石黒知事は異常の緊張を以て會議に臨み全議員も亦満腔の至誠を披瀝して愼重審議し、第一日たる八日は午後五時散會した。
翌くる九日は議案審議の爲休會し、十日は午後一時五十五分開議、議員三十二名出席、此の日県は第十四號議案(震災被害者ニ對スル県税免除等ニ關スル件)を提出し石黒知事の説明あり、議案全部の審査を全員委員に附託するに決し午後二時散會した。


第十四號議案
震災被害者ニ對スル県税免除等ニ關スル條例ノ件


震災被害者ニ對スル県税免除等ニ關スル條例左ノ通定ムルモノトス
昭和八年四月十日提出
岩手県知事石黒英彦


震災被害者ニ對スル県税免除等ニ關スル條例
第一條 震災(昭和八年三月三日ノ震災及之ニ伴フ火災又ハ海嘯ヲ含ム以下同ジ)ニ因ル被害者ニシテ震災地ニ於テ納付スベキ県税ノ免除等ニ關シテハ本條例ノ定ムル所ニ依ル
第二條 前條ニ於テ震災地ト稱スルハ左ノ町村ヲ謂フ
氣仙郡 唐丹村、吉濱村、越喜來村、綾里村、赤崎村、大船渡町、末崎村、廣田村、小友村、米崎村、高田町、氣仙町
上閉伊郡 大槌町、鵜住居村、釜石町
下閉伊郡 普代村、田野畑村、小本村、田老村、崎山村、宮古町、磯鷄村、津輕石村、重茂村、大澤村、山田町、織笠村、船越村
九戸郡、種市村、中野村、侍濱村、夏井村、久慈町、長内村、宇部村、野田村
第三條 家屋税ニ付テハ左ノ區分ニ依リ之ヲ免除ス
一震災ニ因リ滅失、倒壊シタル家屋所有者ニ於テ再建築ヲ爲シ又ハ新ニ取得シタル家屋ニ付テハ昭和九年度分迄
二震災ニ因リ著シク毀損シタル家屋ニ付テハ昭和八年度分
第四條 震災ニ因リ課税標準著シク減損スベシト認メラルル者ノ營業税ノ課税標準ハ豫算ヲ以テ之ヲ算定ス
第五條 雜種税ニ付テハ左ノ區分ニ依リ之ヲ免除ス
一震災ニ因り滅失シタル船ノ所有者ニ於テ再建造ヲ爲シ又ハ新ニ之ヲ取得シタル船ニ付テハ昭和九年度分迄
二震災ニ因リ著シク毀損シタル船ニ付テハ昭和八年度分
三震災ニ因リ滅失又ハ毀損シタル車、水車、電柱、金庫ノ所有者ニ於テ新ニ取得シタル同一物件ニ付テハ昭和八年度分
四 震災ニ因リ斃死又ハ行方不明トナリタル牛馬ノ所有者ニ於テ新ニ取得シタル牛馬ニ付テハ昭和八年度分


五震災ニ因リ滅失、倒壊シタル家屋所有者ニ於テ家屋復舊ノ爲昭和十年度迄ニ新ニ住宅地及家屋ヲ取得シタルトキノ不動産取得
六震災ニ因リ漁船漁具ヲ滅失、毀損シ又ハ漁塲ヲ破壊セラレタル者ノ漁業税ニ付テハ昭和八年度分
附則
本條例ハ昭和八年度分ヨリ之ヲ適用ス


四月十二日は午後二時十分開議、議員三十三名出席、先づ龜島全員委員長よう委員會の經過報告ありて議事に入り、日程並に議員關口松太郎氏外二十八名より提出の政府米拂下に關する意見書案を議決し午後三時散會した。


意見書
左ノ事項ハ知事ニ於テ專決處分スルモノトス
一、震災地町村ニ於テ政府所有米拂下ノ代金ヲ一箇年以内延納セントスル塲合必要アル時ハ県ニ於テ拂下米數量一萬石ヲ限リ之ガ保證ヲナスコト
ニ、政府ニ於テ拂下米ノ代金延納ヲ認メザル時ハ震災町村ニ於テ拂下米購入資金借入ニ付必要アル塲合左ノ限度ニ於テ県ハ之ガ保證ヲナスコト
借入金額 金二十萬圓以内
借入利率 年八分以内
据置期問 一箇年以内
償還期間 二箇年以内
昭和八年四月十日提出
提出者 關口松太郎
外 二十七名


四月十四日は午後四時五分開議、議員三十四名出席、議事日程及び議員關口松太郎氏外三十名より提出の震災地復舊並に復興に關する意見書案を議決して議事を終了し、石黒知事は會期中に於ける各議員の勞を謝し午後十二時閉會した。


意見書
震災地復舊並復興ニ關シ左記事項速ニ御措置アラムコトヲ要望ス
一、政府ニ於テハ這般ノ三陸地方震嘯ニ鑑ミ之ガ防止ニ關スル調査研究ヲ爲シ後日完成ヲ期スル計畫アルヤニ仄聞ス右速ニ實現セラレタシ
二、災害地復興ニ關シ將來尚國庫ヨリ多大ノ助成ヲ仰ギタシ
三、曩ニ御決定ノ災害地復舊費ニ充テ御融資ノ大藏省預金部低利資金ニ對シテ償還終期迄ノ利子補給ヲ仰ギタシ


理由
這般ノ三陸地方ニ於ケル震嘯被害地ノ應急並復舊ニ要スル費用ニ付テハ國庫ヨリ多大ノ助成金ト低利資金ノ御融通ヲ受クルコトニ夫々御決定ノ趣ナルモ罹災者ノ多數ハ元來資力極メテ薄弱ナルノミナラズ打續ク經済界ノ一般的不况ト海産物ノ輸出杜絶並県下銀行破綻ノ影響ヲ蒙リ極度ニ疲弊セル折柄偶々今回ノ災禍ニ遭遇シ其ノ慘状洵ニ見ルニ忍ビザルモノアリテ御決定ノ助成金並低利資金ノミニテハ復舊復興ノ萬全ヲ期スルコト能ハザルニ付前述ノ如キ御措置ヲ請ハントスル所以ナリ


右府県制第四十四條ニ依リ意見書提出候也
昭和八年四月十四日
岩手県會議長佐々木保五郎
内閣總理大臣子爵 斉藤實殿
内務大臣男爵 山本達雄殿
大藏大臣 高橋是清殿
農林大臣 後藤文夫殿
商工大臣男爵 中島久萬吉殿
文部大臣 鳩山一郎殿
右及提出候也
昭和八年四月十四日
提出者 關口松太郎
外 三十名


出席議員氏名
副議長龜島重治 後藤廣
上館市太郎 關口松太郎
澤田權左衛門 立野新精
三浦榮五郎 荻田甚助
瀨川松次郎 柴田半左衛門
菊池和太郎 高橋榮次郎
高橋清 佐々木謙之助
千葉小平太 三船米藏
議長佐々木保五郎 新田六助
吉田耕一郎 細川久
千葉需 平井三郎
中村佐一 佐々木銀左衛門
高瀨新太郎 及川正巳
佐々木碩治 千葉庄八
澤藤幸治 中村四郎
村上順平 佐藤勝三郎
小川善治郎 坂本勝三


參與員氏名
書記官 前田愼吾
同 森部隆
同 湯本二郎
地方事務官 櫛田文男
同 井上文介
同 高瀨五郎
同 奧田良三
同 久尾啓一
同 戸田吉


同 大森新陸
地方視學官 佐藤熊三郎
地方警視 中野四郎
地方技師 上野節夫
同 東海林豊治
同 山本清治
同 坂部重遠
同 一ノ瀨福巳
道路主事 村里長太
屬 伊藤正
同 水野駒太郎
同 鈴木菊男


提出議案件名
第一號議案 昭和八年度岩手県震災費歳入歳出豫算
第二號議案 昭和八年度岩手県歳入歳出追加更正橡算
第三號議案 起債及償還方法
第四號議案 起債及償還方法
第五號議案 起債及償還方法
第六號議案 起債及償還方法
第七號議案 起債及償還方法
第八號議案 起債及償還方法
第九號議案 起債及償還方法
第十號議案 起債及償還方法
第十一號議案 起債及償還方法
第十二號議案 起債及償還方法
第十三號議案 自昭和七年度至昭和九年度 岩手県時局匡救費繼續年期及支出方法變更ノ件
(以上四月八日提出)
第十四號議案 震災被害者ニ對スル県税免除等ニ關スル條例ノ件


(四月十日提出)
第十五號議案(省略)
第十六號議案(省略)
第十七號議案(省略)
第十八號議案(省略)
第十九號議案 起債及償還方法
第二十號議案 起債及償還方法
第二十一號議案(省略)
(以上四月十二日提出)


會議録抄
○石黒知事開會挨拶(四月八日)
唯今ヨリ臨時県會ヲ開會致シマス今回御集リヲ願ヒマシタノハ震災ニ依ル復舊費ノ豫算及時局匡救ニ關スル豫算並ニ是ニ關聯シテ居リマスル諸案件等ノ御審議ヲ御願ヒ致シタイト存ジマスルノデ此ノ機會ニ於キマシテ一言申上ゲテ置キタイト存ジマス過般海岸一帶ニ渉リマシテ未曾有ノ災害ヲ來シマシタニ就キマシテハ天皇陛下皇后陛下ニ於カセラレマシテ痛ク御軫念遊バサレマシテ即時侍從ヲ御差遣ニ相成リマシテ災害地各地ニ就テ親シク實状ヲ視察セシメラレ且御仁慈深キ御慰問等ノ御言葉等モ拜戴致シ尚御内帑金ヲ御下賜ニナリマシテ救恤ノ資ニ充テヨ斯ウ云フ誠ニ有難キ天恩ニ浴シタノデアリマス是ニ就キマシテハ早速聖旨ヲ奉體致シマシテ三月十四日ニハソレゾレ關係町村長ヲ呼ビマシテ罹災者ニ傳達致シ尚去ル一日附ヲ以テ皇后陛下ニ於カセラレマシテハ罹災地ノ老幼中孤獨ニナッタモノハ誠ニ可愛想デアルト云フ思召又負傷致シ或ハ疾病ニ罹リマシテ重ク惱ンデ居ルモノハ誠ニ可愛想デアル斯ウ云フ思召カラシテ各自ニ對スル裁縫料ヲ頂戴致シマシタ目下県ニ於キマシテハ其一封ハ夫々子供ハ子供、男ハ男、女ハ女ニ分ケテ之ヲ傳達致シマスルコトハ宜シイト存ジマシテ愛國婦人會ニ托シテ置キマシタヵラ一兩日中ニ差上グルコトト存ジマス軈テ是ガ各關係町村ヲ通シテ傳達致シタイト存ジマス尚各宮家カラ御手厚キ御救恤ヲ頂戴致シマシテ此ノ如キ今回ノ震災地ニ付キマシテ皇室ノ御惠ミハ誠ニ海ノ如ク洪大デアリマス此ノ聖慮ヲ拜シマシテ私共県民ハ大ニ皇室ノ御恩ニ對シ將來十二分ニ緊張致シマシテ罹災民ハ勿論之ヲ救済シ又罹災民
ヲシテ自力更生ノ趣旨ニ基キ將來再起セシメ進ンデハ國家ニ御奉公スル所ノ途ヲ與ヘルヤウニ私共県民ハ共ニ共ニ力ヲ盡サナケレバナラヌト存ジマス斯樣ニ致シマシテ此ノ厚キ御恩ニ報ヒ奉リタィト存ジマス尚今回ノ震災ニ付キマシテ一言簡單ニ申上ゲテ見タイト存ジマス御承知ノ如ク被害ハ四郡ニ渉ツテ居リマス關係致シテ居リマスル町村ガ三十六ケ町村デアリマス被害ニ就キマシテハ死亡者ト認メラレル者ガ二千七百人ヲ越ェ又家屋ノ毀レタト認メラルルモノ無クナッタモノ之ヲ合シマスルト云フト四千三百戸ニ達シテ居リマス更ニ浸水シタモノ二千八百戸以上モ加ヘテ見ナケレバナラヌ尚其ノ他ニ負傷者八百五十人ヲ算シテ居リマス又其ノ聞ニ於キマシテ家具其ノ他金品ヲ失ヒ或ハ職業用ノ一切ノ器具機械ヲ失ヒ又商品ヲ失ヒ更ニ耕地ヲ全ク荒廢セシメタモノ其ノ他一切ノ物ヲ擧ゲテ空ニ歸シタノデアリマシテ損害ノ額ハ二千萬圓ト稱セラレテ居リマスケレドモ實際ハ未ダ未ダモット多額ニ上ッテ居ルト私ガ信ジマス斯樣ニ非常ナル災害ヲ被リマシタ我々県民同胞ノ方々ニ對シ實ニ何トモ申上ゲヤウノナイモノガアル御氣ノ毒ノ感ジヲ致シマス當時應急處置ト致シマシテハ海嘯發生ノ報告ヲ得マスルト同時ニ県ニ於キマシテハ先ヅ県廳員ノ非常招集ヲ行ヒマシタ、サウシテ第一段ニ非常警備ノ計畫ニ基キマシテ警察官ヲ夫々被害地ニ向ケテ急派ヲ致シマシタ第二段ニ於キマシテ救護班ヲ編成スルト同時ニ出發ヲ命ジ亦一面ニ於キマシテ地方ノ交通ガ不使デアリマスル結果關係方面ヲ四組ニ分ケマシテ夫々擔當ノ者ヲ學務部長以下事務官警視等ヲ夫々派遣致シマシタ大體午前七時半頃マデニハ皆出發致シヤツタ救護班ノ第一班モ既ニ出發致シタヤウナ状態デアリマス更ニ衣服食料等ノ急迭並ニ建築材料等ノ徴發是ガ配給等ノ手續ヲ致シマシタ當日ノ午前十時頃ニハ既ニ遠野方面ニ救護品ヲ大體迭リ盡シタヤウナ状態デアリヤス斯樣ナ非常ナ塲合ニ當リマシテ實ニ私共卜致シマシテハ努メテ遺漏ナキヲ期シタ積リデアリマス併シ尚其ノ間ニ於キマシテ遺憾ノ点ガ有ルコトヲ洵ニ申譯ナイト存ズル次第デアリマス更ニ其後矢張リ當日デアリマスガ軍艦ノ派遣等モ午前七時頃ニ既ニ申請シテ置キマシタ又陸軍方面等トノ聯絡ヲ取リマシテ是亦陸軍方面カヲモ派遣ヲ願ツテ大變ニ有難ク感ジテ居ルヤウナ次第デアリマス翌日ハ県參事會ヲ招集致シマシテ參事會ノ方々ト罹災應急ニ就キマシテ非常手段ヲ講ズルコトニ致シマシテ是レニ依ッテ救護ノ萬全ヲ期シタ次第デアリマメ尚本省トノ聯絡ヲ取リマシテ食料其ノ他衣類等ノ方面ノ問題モ着々進ミマシテ更ニ皆サンノ御集リガゴザイマシタノヲ好機會ト致シマシテ今後ノ復舊問題ニ付テモ皆サンノ御指導ヲ仰グヤゥナ次第デアリマスガ更ニ此ノ善後ノ處置ニ關シマシテハ皆サンノ御意見ノ有ル所モ此ノ間ニ承リ県關係者ニ於キマシテ調査致シタ結果ヲ取纒メマシテ復舊ノ仕事又復興ノ仕事之ヲ總ジテ九百萬圓ト致シ勿論其ノ中ニ救護經費モゴザイマシテ總ジテ三千九百萬圓ト云フコトニ相成リマシタ十一日ノ夜私ガ東京ニ參ッテ十二日以來關係各省ヲ訪間シ交渉ヲ重ネルコトニナリマシテ県廳員ノ不眠不休ノ努力ニ依リマシテドシドシ其ノ後交渉ヲ續ケマシタ又此ノ事ニ付キマシテハ政府當局ニ於テモ非常ニ同情セラレ兩院共ニ亦非常ナ同情ヲ與ヘラレ又一般ノ社會モ非常ニ厚イ同情ヲ注イデ戴イテ居ッタ結果當初追加豫算トシテ帝國議會ニ提出セラレルヤ否ヤ疑ヒガアリ會期切追シタニモ拘ラズ遂ニ追加豫算トシテ政府ノ此ノ復舊事業ニ對スル費目ノ計上ヲ見ルコトニ相成ッタノハ實ニ是等一切ノ人々ノ厚イ同情ニ依ルモノデアルト共ニ亦各員ノ非常ナル御盡力ニ依ッタモノデアリマシテ私ハ厚ク皆サンニ對シテモ感謝ノ意ヲ捧ゲテ居ル所デアリマス政府ノ方針ハ當時復興ト云フコトハ其ノ内容ガ仲々複雜デアリマシテ此ノ際容易ニ審議スルコトガ出來ナイ又從來東京市ノ震災復舊以外ニ復興ト云フコトニ就テハ認メタ理由モアリマセヌガ要スルニ期日切迫ノ際デアルノデ復舊事業ノミニ限リ斯ウ云フコトニ相成リマシタガ併シ其ノ問ニ於キマシテ尚復興ニ對スル所ノ考慮ヲ加ヘテ貰ッタコトヲ私共ガ感謝スルノデゴザイマスガ此ノ点ニ就キマシテハ特ニ本県選出ノ代議士諸君ノ衆議院ニ於ケル質問等ガアリ又貴族院ニ於テハ川村貴族院議員ガ特ニ親シク關係大臣ニ御質問下サイマシテ大臣ガ一々言明ヲ與ヘタヤウナ次第デ私共誠ニ其ノ間ノ事情ヲ承知シテ有難感ズル次第デアリマス政府ハ本県ニ對シテ四百四十六萬圓バカリノ國庫助成ヲ認メラレ尚低利資金ノ融通ニ就キマシテハ九百萬圓ヲ運用サレルノデアリマシタケレドモ政府ノ都合ニ依リマシテ六百七十一萬圓バカリ現在認メラレテ居リマス今回ノ豫算編成ニ當リマシテハ斯樣ナ点モ考慮シテ編成致シマシタ尚今回ノ災害ニ就キマシテ特ニ皆サンニ御承知ヲ願ッテ置キタイト思フノハ陸軍省ト海軍省トハ終始非常ナル御援助ヲ與ヘラレタコトデァリマス陸軍省ハ此ノ駐屯ノ旅團聯隊又八師團ヨリ當日既ニ將兵ヲ災害地方面ニ送ッテ頂キマシタ県ノ物資配給其ノ他ニ付キマシテ特ニ援助ヲ戴キマシタ即チ衣類或ハ食料等ヲ災害地ニ送ッタコトデアリマス最モ私共ノ苦痛ヲ感ジタノハ道路橋梁ノ破壊デアリマスガ此ノ修築ノ爲ニ工兵ノ一隊ヲ送ラレテ速ニ改修シテ頂イタコトハ誠ニ忘レルコトガ出來ナイ事實デアリマス又海軍方面ニ於キマシテハ驅逐艦五隻ニ食料ヲ満載シ又軍艦嚴島ヲ派遣セラレマシテ陸路ノ交通ノ絶ヘタ方面ニ對シ是等ノ食料衣服ノ配給其ノ他取片付ケ一切ノコトヲ海軍ノ方デ處理シテ下サッタコトニ付テハ洵ニ私共トシテハ斯樣ナ際ニ於テ何トモ手ノ届カヌ所サウシテ過レバ罹災民ヲシテ死ニ陷ラシムルヤモ知レヌ際ニ於キマシテ此ノ行動ヲ執ッテ貰ツタコトハ洵ニ感謝ノ至リニ堪ヘヌノデアリマス過日陸軍大臣ニ又海軍省ニ於テハ大臣不在ノ爲次官ニ御會ヒシテ親シク御禮ヲ申上ゲテ置キマシタ尚在郷軍人ノ活動ハ洵ニ目覺マシイモノガアルノデアリマス更ニ青年團ヲ中心トシタ所ノ罹災地ニ對スル活動是モ實ニ有難ク感ジマス尚災害地附近ノ町村ノ方々モ今回ハ非常ニ御働キニナッタコトヲ聽イテ居リマス誠ニ有難ク感ジテ居ル次第デアリマス其ノ他各種ノ帝國水産會或ハ大日本水産會或ハ水難救済會或ハ愛國婦人會、赤十字済生會各種公私團體ノ盡力ニ就テモ我々忘レルコトノ出來ナイ次第デアリマス尚東京市ガ今回ノ災害ニ就テ束京府ト共ニ非常ニ敏速ニ活動シテ頂キ又内務省社會局モ農林省方面ト相俟ッテ御協力下サイマシタコトニ付テハ是亦私共忘レルコトノ出來ナイ次第デアリマス感謝ニ堪ヘナイ次第デアルト思フノデアリマス此ノ事實ヲ皆樣ニ御傳へ致スコトガ肝要デアルト存ジマシテ一言申上ゲタ次第デアリマス斯樣ナ次第ヲ以チマシテ今日ニ及ンダノデアリマスガ尚罹災民ニ對シマシテ今後一ヶ月バヵリ活動ヲ續ケナケレバナラヌト存ジマス尚生活ノ安定上生業ヲ與ヘマシテ尠クトモ自活ノ出來ル軌道ノ上ニ罹災民ヲ載セルコトガ先決問題デアルト存ジマス其ノ上ニ一定ノ職業ヲ爲サシメルト云フヲ第二段ニ於テ進メテ行ク斯ウ云フコトガ必要デアルト考ヘマシテ大體左樣ナ方針デ今後進ミタイト考ヘマス罹災地ニ於ヶル大體ノ状况ハ是デ申上ゲタ積リデアリマス尚今後ノ對策等ニ就キマシテハ亦後刻皆樣ニ申上ゲテ御審議ヲ願ヒタイト存ジマス


○佐々木議長御禮言上文諮議(四月八日)
過般ノ三陸沿岸ニ於ケル震災ノ被害ノ甚大ナルコトヲ聞召サレ天皇皇后兩陛下ニ於カセラレマシテハ深ク御軫念遊バサレマシテ特ニ優渥ナル御沙汰ヲ賜ヒ御内帑ノ資ヲ下シオカレマシタノデゴザィマス聖恩鴻大天恩無窮誠ニ恐懼感激ノ至リニ堪ヘナイ次第デゴザイマス就キマシテ是ガ御禮言上ノ電報ヲ本會ノ決議ニ依リマシテ宮内大臣及皇后宮大夫ニ御執奏方ヲ御願ヒ致シタイト思フノデアソマス又畏クモ皇后陛下ニ於カセラレマシテハ罹災傷病者並ニ老幼ノ孤獨者ニ對シテ特ニ御救恤品ヲ下シ給ヒマシタ鴻恩優渥誠ニ感激ノ至リニ堪へナイ次第デゴザイマス就キマシテハ是ガ御禮言上ノ電報ヲ本會ノ決議ニ依リマシテ皇后宮大夫ニ御執成ヲ請ハントスルモノデアリマス又各宮家ヨリモ特ニ御救恤ノ資ヲ下シ給ヒマシタ御厚恩洵ニ感激ノ至リニ堪ヘナイ次第デゴザイマス就キマシテハ是ガ御禮言上ノ電報ヲ本會ノ決議ニ依ツテ各宮家事務官ニ御執成ヲ請ハントスルモノデアリマス尚貴衆兩院議長並ニ關係大臣ニ對シマシテ本會ノ決議ニ依リ御禮ノ電報ヲ發シタイト存ジマス次ニ本県出身ノ満洲派遣ノ將士ハ今回ノ震災ニ付テ定メシ憂慮シアルコトト存ジマス就キマシテハ是ガ後顧ノ憂ヒナキ旨激勵ノ電報ヲ本會ノ決議ニ依ツテ發電致シタイト存ジマス以上ニ就キマシテ御異議ゴザイマセヌケレバ電文等ニ付キマシテハ議長ニ御任セヲ願ヒタイト存ジマス特ニ深甚ナル敬意ヲ表シ満塲一致御可決アランコトヲ希望シマス


○澤田權左衛門氏謝辭
沿岸四郡災害地ヲ代表致シマシテ一言御禮ヲ申上ゲタイト思ヒマス此ノ度ノ災害ニ就キマシテハ長官初メ県廳員各位ニ於カセラレマシテハ不眠不休ノ御働キニ依リマシテ我々沿岸民ハ此ノ不時ノ災害ニ些シテ事缺ク事モナク御救助ニ與リマシタ事ハ沿岸民一同深ク感謝シテ居ル次第デ有リマス又県會ノ同僚諸君ニ於ヵセラレマシテモ震災直後班ヲ分チマシテ實地御視察ニナリ御救助ニ御努力下サレマシタ事ハ我々共ト致シマシテ深ク感謝致シテ居ル次第デアリマス由來三陸沿岸ノ海嘯ハ歴史的ニ其ノ文献ニ依リマスレバ一千二百年以前カラ或ハ六十年近クハ三十年此ノ災害ニ遭遇シ來ッタノデアリマス然シナガラ今日此ノ度ノ災害ハ以前ノソレニ比シマシテハ多少其ノ災害ノ度合ニ於テ小サクハアッタ樣デ有リマスルガ災害其ノモノハ今後或ハ周期的ニ來ハシナイヵト云フ樣ナ考ヘヲ持タレルノデアリマス斯ウ考ヘテ來マスル時ニ於テ此ノ機會ニ於キマシテ根本的ニコレニ對シマスル施設其ノ他ニ對シテ御願ヒシナケレバナラヌ事柄モ多々有ル事ダラウト存ジマスソレハ其ノ後ノ事ト致シマシテ兎ニ角此ノ度ノ災害ハ吾々海岸ニ住ム者ト致シマシテ實ニ其ノ慘状ハ目モ當テラレナイ樣ナ状態デ有リマス幸ニモ先程申シマスル通リ県廳員各位ノ御熱誠ナル御救助ニ與リマシテ今日其ノ堵ニ安ンズル事ヲ得マシタ事ハ深ク沿岸民ノ感泣シテ居ル次第デアリマス甚ダ粗雜ナ言葉デ有リマスルケレドモ一言沿岸民ヲ代表致シマシテ御禮ヲ申上ゲル次第デアリマス


○石黒知事県税免除案説明(四月十日)
只今上程ニ相成リマシタ震災地被害者ニ對スル県税免除等ニ關スル條例案ニ付イテ大要御説明申シ上ゲタイト思ヒマス震災地ニ於ケル被害ノ状况ニ鑑ミマシテ是ヲ免除スルト云フ事ハ止ムヲ得ナイ處置ト考ヘマシテ種々考究ノ結果茲ニ提案致シタ次第デゴザイマス第一ハ國税附加税及特別地税ニ付キマシテハ大體ニ於キマシテ三月二十五日公布セラレマシタ法律第十三號及大藏省令第六號ニ準據致シマシテ免除致シタイト存ジマスガ是レハ特ニ條例ヲ以テ規定スル必要ガ有リマセヌノデ條例中ニ規定スル事ヲ省キマシタ第二ニ家屋税ニ付キマシテハ滅失倒壊シタル家屋ノ所有者ガ再建築ヲナシタル時又ハ新ニ取得シタル家ニハ昭和九年度ヵラ二ケ年間免除致ス事ニシマシタ尚毀損シタル家屋ニ付イテハ昭和八年一ケ年間免除スル事ニ致シタ次第デゴザイマス第三ニ營業税ニ付キマシテハ震災ニョル課税標準ガ著シク減損致シマシタモノト認メラレルモノノ課税標準ハ當該年度見積高ヲ以テ算定スル事ニ致シタ次第デゴザイマス第四ニ雜種税ニ付キマシテハ各種目ニ亘リマシテ被害ノ状况ニ依リマシテ昭和八年度ヨリ三ケ年以内ニ於テ之ヲ免除スルト云フ規定デゴザイマス其ノ他県税ノ未納ニ付キマシテハ徴收猶豫ノ申請ヲ待ッテ處置スル考へデアリマス尚詳細ニ亘ル事項ニ付キマシテハ參與員ヲシテ説明致サセタイト思ヒマス何卒愼重御審議下サイマシテ御協賛アランコトヲ御願ヒスル次第デアリマス


○千葉小平太氏賛成演説
私ハ唯今上程ニナツテ居リマスル第一號議案即チ震災救護及復舊ニ關スル豫算並是ニ關聯スル處ノ總テノ議案ニ付マシテ満腔ノ賛成ヲ表スル者デアリマス顧ミマスレバ今ヨリ四十年ノ前明治二十九年ニ於キマシテ三陸海岸ハ實ニ見ル影モナク大海嘯ノ慘禍ニ遭ッタノデアリマス殊ニ本県ノ被害ハ實ニ甚大デアリマシテ私共モ親シク其ノ實状ヲ見タノデ有リマス斯ノ如キ慘害ヲ蒙リマシタ結果トシテ數萬ノ人ハ遂ニ之ゴ犧牲卜ナリ總テ海岸ニ於ケル財産ハ殆ンドアトカタモナクナッタノデアリマスカルガ故ニ之ガ復舊ト云フ事ニ付キマシテハ相當永イ年所ヲ要シタト云フ事ハ是亦申ス迄モナイノデアリマス其ノ間本県ノ如キ數十里ノ海岸ヲ有スル而モ県下生産物ノ殆ンド四分ノ一ヲ有スル所ノ漁獲生産物ハ永イ間其ノ生産ヲ減ジ公私經済上甚大ナル被害ヲ呈シ其ノ減少ハ相當永イ間續イタト云フ事モ亦爭ハレヌ事實デアッタノデアリマス併シ段々年所ヲ經マシテ稍々復舊モ其ノ緒ニ就キ隨ッテ海岸漁民モ相當安定致シタノデアリマス海岸ノ人モ亦我々モ斯ノ如キ大ナル海嘯ハ百年ニ一遍乃至二百年ニ一遍シカ來ナイモノト云フ感ジヲ持ッテ居ッタノデアリマスヨモヤ四十年ノ今日ニ於テ斯ノ如キ事ガ有ルトハ夢ニダモ思ハナイノデ有リマスカルガ故ニ從來海岸ニ住ンデ居テ安心ガ出來ルト思ッテ居ル矢先ニ於キマシテ而モ先年來漁獲物ガ非常ニ減少シ又陸ニ於キマシテモ或ハ凶作ト云ヒ或ハ又經済恐慌ト云ヒ凡ユル經済上ノ打撃ヲ蒙リマシテ非常ニ漁民共ニ於キマシテモ經済的ニ苦シミツツアッタノデアリマスソレ故ニ県ニ於キマシテモコレニ對スル處ノ方法トシテ殊ニ昨年來熱心ニ県當局ノ方モ漁業ニ對シ漁民ニ對シマスル處ノ根本ノ更生ノ途ニ付イテ深甚ナル御考慮ヲ拂ハレテ居タ塲合デアッタノデアリマス處ガ豈圖ランヤ三月三日彼ノ如キ慘害ヲ再ビ見タノデアリマス實ニ此ノ慘害タルヤ人生ノ極ヲ示シテ居リマス夫ヲ失ヒタル妻ハ深夜其ノ夫ヲ呼ビ子ヲ失ッタ親ハ深夜其ノ子ヲ呼ブト云ヘドモコレニ答フルモノハ只波ノ音バヵリ實ニ慘憺タル状况デアリマス又退イテ後ヲ見レバ金品ト云ハズ財産ト云ハズ殆ンド影モ形モナキ状態ニ陷ッタノデアリマス斯ノ如キ塲合ニ於キマシテ我ガ県當局ハ最モ迅速ナル救護ノ途ヲ立テラレ最モ迅速ニ之等漁民ニ對シテ凡ユル獻身的御努力ヲ拂ハレマツ夕結果遣憾ナク救護ノ途ヲ立テ又復舊ノ方面ニ於キマシテ迅速ナル方針ヲ立テラレタト云フ最モ目覺シイ處ノ御働キヲナサレマシテ夫故ニ慘害ヲ蒙リマシタ處ノ漁民ノ方々モ禍ヲ一掃シテ死力ヲ盡シテ或ハ救護ナリ復舊ナリニ直チニ取リ掛ラントスル樣ナ旺盛ナル氣カヲ持タレルト云フ事ハコレ取リモ直サズ長官初メ県當局ノ方々ノ御指導宜シキヲ得タモノデアリマシテ私ドモハ県當局ニ對シテ深甚ナル敬意ヲ表シタイト思フノデアリマス斯ノ如キ救護ニ付キマシテ寢食ヲ忘レテ御努力ニナリ又今後ノ復舊ト云フ方面ニ付キマシテ直チニ思ヒヲ致サレテ我々同僚ニ之等ノ事柄ニ付テ親シク御諮リニナルト同時ニ直ニ上京セラレテ政府當局ニ當ラレ又本県選出ノ各代議士或ハ又我々同僚ニ依テ代表トシテ選出セラレタ方々コレ又當局ト力ヲ合セテ寢食ヲ忘レテ此ノ復舊ノ事柄ニ付テ政府ニ當ラレマシタ其ノ結果ト致シマシテ本日吾々ノ議シマスル處ノ此ノ復舊ニ關スル處ノ豫算ハコレカラ生レタ處ノモノデアリマス金額ハ一千萬餘圓ニ達シマシテ實ニ追加豫算トシテ前代未聞ノ豫算デアリマヌ併シナガラ我々ドモハ此ノ豫算ヲ以テ満足スルモノデハナイノデアリマス今後ニ於キマシテハ復舊ニ加フルニ復興ト云フ方面ニ付テ政府ノ力県全體ノ力ヲ持チマシテ相當此ノ途ヲ立テルト云フ事ガ我ガ岩手県ノ取ルべキ途デアルト斯ウ私ガ信ズルノデアリマス幸ニ県當局並其ノ他ノ方々ノ御努力ニヨリマシテ復興ニ關スル所ノ調査費用ガ國ノ豫算ニ現レタノデアリマス之ハ本県ノ海嘯慘禍ノ跡ヲ復興スル上ニ於キマシテ實ニ大ナル案ト私共ガ信ズルモノデアリマス此ノ調査ニ依リマシテ必ズヤ明年以後ニ於テ現レル處ノモノハ海岸防波ニ對シマシテ少クトモ今日ノ如キ慘害ヲ除キマシテ安心シテ我ガ沿岸漁民ガ漁業ニ從事スル事ガ出來ル此ノ方法サへ立テラレル事ト致シマスレバ或ハ今日ノ禍ガ轉ジテ幸トナルト思フ又左樣ニシタイト云フ確信ヲ持ツノデアリマス付キマシテハ此ノ豫算ガ通過致シマシタ時ニ於キマシテハ沿岸ノ慘禍ヲ蒙リマシタル處ノ人々ハ一面ニ置キマシテハ救護、救済、救助等ニ遣憾ナク此ノ豫算ヲ利用ナサルベク又積極的ニハ唯今申シマシタ如ク禍ヲ轉ジ幸ヒトスルヤウナ氣分ヲ以テ十分ニ復舊ノ仕事ニ鞅掌セラレテ少クトモ國ノ今日ノ情勢又県ノ今日ノ努力ニ對シマシテ十分ニ報ヒラレルダヶノ復舊ナリ復興ナリノ事業ニ努メラレン事ヲ沿岸民ノ各位ニ向ッテモ私共ハ熱心ニ希望致スモノデアリマス茲ニ於キマシテ私ハ慘禍ヲ蒙リマシタ被害地各町村ノ一同ニ對シマシテ深ク深ク御同情申シ上ゲルト同時ニ今後ニ於ケル復舊ナリ復興ナリニ對シマシテハ十二分ノ御努力ヲ希ヒマシテ我ガ岩手県ノ數十里ニ亘ル處ノ海岸ニ於キマシテ是非トモ県ノ希望スル處ノ生産ヲ助長シテ而シテ從來ニ於ケル處ノ海岸一體ノ所謂衰微ノ叫ビヲ今後ニ於テ無カラシムル樣ニ或ハ漁業ニ或ハ漁船ヲ造リマシテ以テ海國ノ實ヲ舉ゲラレン事ヲ此ノ塲合ニ於テ海岸民ニ向ッテ希望致シマス私ハ斯ノ如キ理由ヲ持チマシテ今日ノ提案ニ對シマシテ絶對ニ賛同ヲ表シテ此ノ壇ヲ降リマス


○石黒知事閉會挨拶(四月十四日)
連日御苦勞樣デゴザイマシタ本県ト致シマシテハ未ダ甞テ無イ重大ナル各種ノ案件ノ御審議ヲ願ヒマシタガ今回ノ臨時県會ニ當リマシテ只一件不動産讓受ニ關スル案件ガ審議未了ニ終ッタ事ハ誠ニ遺憾ト致シマス皆樣ノ御努力ニ依リマシテ他ノ重大ナル諸案ガ特ニ県民ノ危急存亡ヲ救フ重要案件並ニ將來ニ當ッテ県民ノ福利ヲ増進スベキ案件ノ御審議ヲ原案通リ御可決ニ相成リマシタ事ハ誠ニ提出致シマシタ當局ト致シマシテ有難ク感謝致シマスルト共ニ県民ノタメニ實ニ有難イ事デ有ルト云フ事ヲ深ク感ジマス謹ンデ皆樣ニ對シテ御禮ヲ申上ゲマス今後御決議ニ相成リマシタ諸案ニ付キマシテハ県當局ハ夫々關係方面ヲ督勵致シマシテ必ズヤ御期待ニ添フヤウニ努メタイト存ジマス誠ニ御苦勞樣デゴザイマシタ閉會ニ當リマシテ一言御挨拶ヲ申上ゲマス


斯くて県は臨時県會が和衷満塲一致を以て議決した震災費豫算に基づいて、直ちに救護並に復舊に關する施設の實行に任じたが、更に五月一日県參事會に諮つて警備費二萬九千四百六十一圓を追加し、同三十日救護・警備・救療諸費に對する國庫補給金九萬九千二百一圓の交付に由る豫算の更正を爲し、次いで六月二日には県債及び貸付金利子收入百五十八萬九千百四十九圓の減額に伴なふ豫算(産業並住宅復舊貸付金及県債利子)の更正を爲し、尚ほ臨時県會の議決を經た震災産業復舊費轉貸資金並に住宅復舊費轉貸資金起債及償還方法を左の如く變更した。


議第五號
昭和八年度岩手県震災費歳入歳出追加豫算
歳入
第七款 繰越金 金貳萬九千四百六拾壹圓
第一項 前年度繰越金 金貳萬九千四百六拾壹圓
歳入合計 金貳萬九千四百六拾壹圓


歳出
第二款 警備費 金貳萬九千四百六拾壹圓
第一項 警備費 金貳千貳拾圓
第二項 警察電話復舊費 金貳萬四千貳百參拾六圓
第三項 警察廳舍復舊費 金參千貳百五圓
歳出合計 金貳萬九千四百六拾壹圓
昭和八年五月一日提出
岩手県知事石黒英彦


議第十七號
昭和八年度岩手県震災費歳入歳出追加豫算
歳入
第七款 國庫補給金 金九萬九千貳百壹圓
第一項 國庫補給金 金九萬九千貳百壹圓
歳入合計 金九萬九千貳百壹圓


歳出
第十三款 雜出 金九萬九千貳百壹圓
第一項 前年度歳入繰上金 金九萬九千貳百壹圓
歳出合計 金九萬九千貳百壹圓
昭和八年五月三十日提出
岩手県知事石黒英彦


議第二十一號
起債及償還方法變更ノ件
昭和八年四月十二日臨時県會ノ議決ヲ經タル震災産業復舊費轉貸資金起債及償還方法左ノ通變更スルモノトス
昭和八年六月二日提出
岩手県知事石黒英彦


起債及償還方法
第一條 震災産業復舊費轉貸資金ニ充ッル爲昭和八年度ニ於テ金貳百九拾壹萬千圓ヲ起債ス
県債ハ金參萬圓ヲ蠶絲業復舊資金、金拾壹萬參千圓ヲ農産復舊資金、金貳萬參千圓ヲ畜産復舊資金・金拾四萬貳千圓ヲ耕地復舊資金、金貳拾貳萬六千圓ヲ商工復舊資金、金貳百參拾七萬七千圓ヲ水産復舊資金トシテ町村、漁業組合、産業組合及其ノ他ノ團體等ニ轉貸スルモノトス
第二條 県債ハ大藏省預金部ヨリ借入レ県債證券ヲ發行スルモノトス
県債證券發行ノ樣式其ノ他證券發行ニ必要ナル事項ハ知事之ヲ定ム
第三條 県債ノ利率ハ年三分二厘以内トシ毎年度九月一日及三月一日ニ於テ各其ノ日迄六箇月分ヲ支拂フモノトス但シ發行又ハ償還ノ際ニ於ケル一期ニ満タサル端數期間ノ利子ハ發行ノ際ハ現金拂込ノ翌日ヨリ償還ノ際ニハ支拂當日迄日割計算ニ依り支拂フモノトス
第四條 県債ノ元金ハ左ノ區分ニ依リ毎年度九月一日及三月一日ニ於テ別紙償還年次表ニ依リ之ヲ償還ス但シ財政ノ都合ニ依リ全部又ハ幾部ヲ繰上ケ償還シ若ハ低利借替ヲ爲スコトヲ得
第五條 県債ノ償還元利金ハ貸付償還金及一般県歳入ヲ以テ支辨ス


議第二十二號


起債及償還方法中變更ノ件
昭和八年四月十二日臨時県會ノ議決ヲ經タル震災住宅復舊費轉貸資金起債及償還方法中左ノ通變更スルモノ卜ス
岩手県知事石黒英彦


第一條 震災住宅復舊費轉貸資金ニ充ツル爲昭和八年度ニ於テ金八拾參萬參千五百圓ヲ起債ス
県債ハ金七拾貳萬七千圓ヲ産業組合住宅資金、金拾萬六千五百圓ヲ住宅組合資金トシテ町村及産業組合ニ轉貸スルモノトス
第四條 中償還年次表ヲ別紙ノ通定ム
昭和八年六月二日提出
岩手県知事石黒英彦


次いで八月一日開會の県參事會に於て郵便局舎復舊費貸付金五千九百圓の計上に伴なふ震災
費豫算の更正を爲し且つ其の起債及償還方法を左の如く決定した。


議第四十號
昭和八年度岩手県震災費歳入歳出追加豫算


歳入
第四款 県債 金五千九百圓
第一項 県債 金五千九百圓
第五款 貸付金收入 金百拾壹圓
第一項 利子 金百拾壹圓
歳入合計 金六千拾壹圓


歳出
第十一款 県債費 金百拾萱圓
第一項 県債利子 金百拾壹圓
第十四款 郵便局舎復舊費貸付金 金五千九百圓
第一項 郵便局舍復舊費貸付金 金五千九百圓
歳出合計 金六千拾壹圓
昭和八年八月一日提出
岩手県知事石黒英彦


急議第十三號
起債及償還方法
第一條 震災ニ因ル罹災郵便局舎復舊資金トシテ下閉伊郡田老村外六ケ村ニ轉貸ノ爲昭和八年度ニ於テ金五千九百圓ヲ起債ス
第二條 県債ハ預金部ヨリ借入レ県債證券ヲ發行スルモノトス
県債證券ノ發行ノ樣式其ノ他證券發行ニ必要ナル事項ハ知事之ヲ定ム
第三條 県債ノ利率ハ年三分二厘以内トシ毎年度九月一日及三月一日ニ於テ各其ノ日迄六箇月分ヲ支拂フモノトス但シ發行又ハ償還ノ際ニ於ケル一期ニ満タサル端數期問ノ利子ハ發行ノ際ハ現金拂込ノ翌日ヨリ償還ノ際ニハ支拂當日迄日割計算ニ依 リ支拂フモノトス
第四條 県債ノ元金ハ昭和八年度ヨリ昭和十二年度迄五箇年間据置キ昭和十三年度ヨリ昭和二十七年度迄十五箇年間ニ於テ別紙償還年次表ニ依リ之ヲ償還ス但シ財政ノ都合ニ依リ全部又ハ幾部ヲ繰上ケ償還シ若ハ低利借替ヲ爲スコトヲ得第五條県 債ノ償還元利金ハ貸付償還金及一般県歳人ヲ以テ之ヲ支辨ス
昭和八年八月一日提出
岩手県知事石黒英彦

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昭和七年度岩手県歳入歳出追加更正豫算説明
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昭和七年度岩手県罹災救助基金歳入歳出追加豫算説明
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昭和七年度岩手県罹災救助基金歳入歳出追加更正豫算説明
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昭和八年度岩手県震災費歳入歳出豫算
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償還年次表
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償還年次表
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償還年次表
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償還年次表
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償還年次表
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償還年次表
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償還年次表
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昭和八年度岩手県震災費歳入歳出追加豫算
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昭和八年度岩手県震災費歳入歳出追加豫算
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起債及償還方法
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(一)償還年次表 蠶絲業復舊資金(稚蠶共同飼育所設置資金)
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(二)償還年次表 蠶絲業復舊資金(蠶具復舊資金)
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(三)償還年次表 農業復舊資金
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(四)償還年次表 畜産復舊資金
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(五)償還年次表 耕地復舊資金
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(六)償還年次表 商工復舊資金
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(七)償還年次表 水産復舊資金(漁船復舊資金)
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(八)償還年次表 水産復舊資金(漁具復舊資金)
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(九)償還年次表 水産復舊資金(共同販賣所復舊資金)
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(十)償還年次表 水産復舊資金(共同製造所復舊資金)
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(十一)償還年次表 水産復舊資金(共同倉庫復舊資金)
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(十二)償還年次表 水産復舊資金(共同養殖設備復舊資金)
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(一)償還年次表 産業組合貸付金
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(二)償還年次表 住宅組合貸付金
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昭和八年度岩手県震災費歳入歳出追加豫算
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償還年次表(起債額金五千九百圓)

第六章醫療救護及衛生施設

第一節 應急對策

三月三日未明東海岸一帶に亘る津浪の報に接するや、県に於ては直ちに日本赤十字社岩手支部並に郡・市醫師會と協力して救護班を編成派遣し、罹災地隣接町村の開業醫及び県外より來援の救護班とともに罹災傷病者の醫療救護に任じ、且つ自療用藥品・醫療器具等を配給し防疫保健に關し萬全を期せしめた。
前表記載ノ他仙臺遞信局ヨリ三月四日釜石町ヲ經テ同五日宮古署下着同日引上ゲ各署下經由引上ゲ


【藥品衛生材料等ノ配給】
醫療救護及び衛生施設に任じた県衛生課は災後直ちに醫療藥品(解熱・鎭痛・鎭咳・袖痰剤・胃膓藥・消毒剤其他)並に衛生材料(ガーゼ・繃帶・脱脂綿其他)を調逹して救護班及び救療に從事する開業醫に配給し、尚ほ地勢・交通・醫師の分布等を考慮七自療用藥品(解熱・鎭痛・胃膓藥・凍傷膏・鎭咳・袖痰剤・下痢止其他)及び自療用器具材料(檢温器・吸入器・懷爐・綿ネル其他)を罹災地方民に配給し自療の普及徹底を圖つた。


【防疫】
罹災の直後は傳染病患者の發生を見るを常とするに鑑み之が豫防對策を講究し、先づ内務大臣に申請して防疫職員を増員配置し且つ特に警戒を要する罹災町村の開業醫に防疫醫務を在郷看護兵に防疫事務を囑託して專ら豫防撲滅の徹底を期した。又罹災地に於ける飮料水源は殆ど埋沒破壞され、僅かに殘存せる少數の井戸其の他の水源に之を求むるの實情に顧み、掘拔井戸用鐵管二千三百本、手押ポンプ二千三百箇を配給し、且つ技術員を派遣して飮料水質の檢査並に消毒の實地指導に當らしめ、簡易消毒方法を印刷配布して浚渫消毒を勵行せしむる等飮料水源に因由する傳染病發生の未然防遏に意を注ぎ、更に感冐豫防の爲マスクを配付し、県令を以て臨時種痘並に臨時消毒方法の施行を命じ、且つ傳染病其の他の免疫剤・井戸消毒剤等を配給した。


【保健】
罹災者の死體處理に關して震災の直後關係各警察署長に通牒を發し且つ疾患の豫防其の他保健上必要なる事項の實行方法を指示する所あり、又母乳代用人工榮養品並に傷病者の食餌を配給して災禍の爲母を失ひし乳兒幼兒及び傷病者の保健に留意し、尚ほ保健に關する印刷物を配布し、食糧品配給並に合理的榮養攝取方法實地指導の爲榮養士を各町村に派遣し、罹災地町村の死亡者日報及び傷病者日報を徴し災害後に於ける罹災民の衛生状態を觀察する等保健上の萬全を期した。

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【救護班編成派遣】久慈警察署下(九戸郡)
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【救護班編成派遣】岩泉警察署下(下閉伊郡)
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【救護班編成派遣】釜石警察署下(上閉伊郡 氣仙郡)
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【救護班編成派遣】宮古警察署下(下閉伊郡)
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【救護班編成派遣】盛警察署下(氣仙郡)
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【他府県ヨリ來援ノ救護班】宮古警察署下(下閉伊郡)
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【他府県ヨリ來援ノ救護班】釜石警察署下(上閉伊郡)
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【他府県ヨリ來援ノ救護班】盛警察署下(氣仙郡)

第二節 亞應急對策

【救療】
醫療救護費國費補給費三萬四千三百七十五圓を以て巡回救療班六班を編成し醫師なき村其の他必要と認むる地方に配置し醫療救護の普及徹底に努めたが、面積廣大且つ交通不便に加ふるに窮迫せる經済状態の際に於ける罹災の爲要救療者の數多く昭和七年同八年度の國費補給の醫療救護費のみにては到底不可能なるを以て、恩賜財團済生會に對し救療費の増額配當を申請するとともに県醫帥會長・同藥剤師會長に震災事務を囑託して連絡協調を保ち、又日本赤十字社岩手支部に於ては救療班を編成し県の巡回救療班と協力して醫療救護上遺憾なきを期した。


【防疫措置】
傳染病豫防撲滅の徹底を期するの要を認め三月三日内務大臣に對し防疫職員配置方を禀請し三月五日附増員配置の指令あり、之に要する費用二千五百八十一圓の配當により罹災町村中八町十三箇村内の開業醫二十四名に防疫醫務を囑託し又隣接地在郷看護兵に防疫事務を囑託し、警察署長指揮の下に清潔消毒・儉病的戸口調査等防疫措置をなし且つ県令を公布し臨時清潔方法の施行を命じ實施に要する消毒藥品及び器具を配給した。


【保健措置】
井戸の改善をなし、榮養士を派遣して食料品の調理を指導せしめ、住宅の建築は防波林・防波堤等の設置計畫後に於て之をなさしむる等健康の保持に關する對策を講じた。

第三節 恒久對策

罹災地方に於ける醫療機關の不備なるに鑑み昭和七年十二月産業組合法により恩賜救療記念
事業として組織せる岩手県藥草販賣購買利用組合聯合會利用部をして醫師なき村に診療所を設置せしめ、又醫師あるも地勢交通等の關係上醫療の普及困難なる地方には巡回診療班を組織せしめて恒久醫療機關の徹底を期し、飮用水源は當分打込井戸に依り更に恒久的對策として水道若しくは簡易水道の布設を計畫した。その外罹災地に於ける流失・燒失・倒壞家屋の復舊に際し汚物掃除法準用地は勿論その他の地方に對しても内務省考案改良便所の設置を奬勵普及し、消化器系傳染病及び寄生虫豫防其の他健康障害の外因芟除を期した。


岩手県震災地救療規程
(昭和八年六月九日告示第三六九號)
第一條 本救療ハ昭和八年三月三日本県内震災ニ依ル罹災者ノ醫療救護ヲ行フヲ以テ目的トス
第二條 本救療ハ總テ無料トス
本救療ヲ受クベキ者ハ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニシテ所轄警察署長ノ作製セル要救療者
名簿ニ登載セラレタル者トス
一 罹災民ニシテ公費ノ賦課ヲ免除セラレタル者及其ノ家族
二 前號ニ該當セザルモ震災ノタメ事實上困憊シ療養ノ資力ナシト認ムル者及其ノ家族
第三條 本救療ヲ行フ爲警察部ニ左ノ有給吏員ヲ置ク
救療醫 若干名
救療事務員 若干名
救療看護婦 若干名
第四條 前條ノ吏員ハ上司ノ命ヲ承ケ罹災地方ノ醫療救護ニ從事ス
第五條 本救療ハ巡回又ハ醫師ナキ村及醫師アルモ面積廣大交通不便ナル適當ノ塲所ニ診療所ヲ設ケ出張シ診療スルノ外罹災地方郡醫師會員・歯科醫師・藥剤師及産婆ニ委託シ診療スルモノトス
第六條 委託診療ニ關シテハ恩賜財團済生會岩手県救療規程第五條乃至第十一條ノ規定ヲ準用ス


岩衛發第五一號
昭和八年三月五日
岩手県警察部長
各警察署長殿
各市町村長殿


痘瘡豫防ニ闘スル件
痘瘡豫防ノ件ニ關シテハ屡々通牒致置候處目下各府県ニ百餘名ノ發生患者アリテ益々蔓延ノ兆有之然ルニ這回ノ東海岸海嘯罹災ノタメ見舞等トシテ該流行地ヨリ來県セル者多數ナルト罹災者救助ノタメ寄贈セラレタル衣類等ノ消毒不完全ノ結果患者ノ發生蔓延ヲ見慘害ヲ蒙ルガ如キ事アリテハ遺憾ニ付此際特ニ定期種痘ノ繰上ゲ施行檢病調査ノ勵行等ニ依リ之ガ豫防上ノ萬全ヲ期セラレ度


県令第二號
臨時種痘施行ノ件左ノ通定メ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和八年三月九日
岩手県知事石黒英彦
痘瘡豫防ノ爲種痘法第十五條ノ規定ニ依リ左ノ通臨時種痘ノ施行ヲ命ズ
一、區域
九戸郡 種市村、中野村、侍濱村、久慈町、夏井村、長内村、宇部村、野田村
下閉伊郡 普代村、田野畑村、小本村、田老村、崎山村、宮古町、磯鷄村内津輕石村、重茂村、大澤村、山田町、織笠村、船越村、岩泉町
上閉伊郡 大槌町、鵜住居村、釜石町、遠野町
氣仙郡唐丹村、吉濱村、越喜來村、綾里村、赤崎村、盛町、大船渡町、末崎村、廣田村、小友村、米崎村、高田町、氣仙町
二、種痘ヲ受クベキ者ノ範圍
(イ)第一期、第二期種痘ノ不善感者
(ロ)其ノ他豫防上必要卜認ムル者
三、期日
 昭和八年三月九日ヨリ一箇月間


県令第三號
臨時消毒的清潔法施行ノ件左ノ通定メ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和八年三月九日岩手県知事石黒英彦
傳染病豫防ノ爲傳染病豫防法第十六條ノ規定ニ依リ左ノ通臨時消毒的清潔法ノ施行ヲ命ズ
一、區域
 九月郡 種市村、中野村、侍濱村、久慈町、夏井村、長内村、宇部村、野田村
 下閉伊郡 普代村、田野畑村、小本村、田老村、崎山村、宮古町、磯鷄村、津輕石村、重茂村、大澤村、山田町、織笠村、船越村
 上閉伊郡 大槌町、鵜住居村、釜石町
 氣仙郡 唐丹村、吉濱村、越喜來村、綾里村、赤崎村、大船渡町、末崎村、廣田村、小友村、来崎村、氣仙町、高田町
一、施行期日
昭和八年三月九日ヨリ四月十日マデ
四、施行方法
一、全部ノ戸障子ヲ開放シ屋内全部ヲ洒掃シ浸水ノ部分ニ對シテハ消毒藥(リゾール、石炭酸等)ヲ以テ擦拭消毒シタル後良ク乾燥スベシ
一、家屋ノ床下土間及其ノ周圍並溝渠下水等ハ良ク汚物ヲ掃除浚渫シタル後石灰末ヲ撒布スベシ
一、飮用井戸ハ良ク浚渫同ジク其ノ周圍ヲ掃除シタル後「クロール」石灰ニテ消毒スベシ
一、肥溜便所畜舎ハ汚物ヲ搬出シ其ノ周圍ヲ良ク掃除シタル後石灰末ニテ消毒スベシ
一、浴槽「流シ」厨庖ハクロール石灰水ヲ以テ消毒シタル後清水ヲ以テ清洗スベシ


岩衛發第六五號
昭和八年三月二十五日 岩手県警察部長
罹災地警察署長殿
罹災地町村長殿
煉乳配給方ニ關スル件
罹災地町村ニ配給ノ煉乳ハ本月七日付岩衛發第五二號ヲ以テ震災ノ爲母ヲ失ヒタルモノ及母性疾病其ノ他震災ニ因スル精神衝動等ノ結果泌乳不足シ哺乳不充分ナル乳兒ニ對シ母乳代用トシ又要救護者其ノ他必要卜認ムル者中傷病者虚弱者等ニシテ普通食ノ攝取不能ナル者ニ對シ配給スベキモノナルヲ指示通牒セルニ不拘之レガ配給ノ趣旨副ハザルノミナラズ未ダ之ガ配給ヲ怠ルモノ等遺憾ニ不堪モノ有之候ニ付テハ爾今前記要配給者ノ調査ヲ嚴ニシ配給上萬遺憾ナキヲ期セラレ度

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醫療藥品配給表
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衛生材料配給表
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豫防藥品器具配給表
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■藥品配給表

第七章内外各地並各種團體の救援

第一節 市町村

強震に次いで残虐な津浪に襲はれた東海岸一帶の町村は、災害の發生とともに期せずして自救自衛の途が講ぜられ、直接の被害を免れた消防組員・青年團員・在郷軍人等は時を移さず出動し相提携して罹災者の收容、死體の搜索、災害跡の整理等に懸命し、又町村當局は或は急遽町村會を招集し或は專決を以て、炊出しを行ひ救護事務所を設くる等臨機應急の措置を講じ、その救護に關し全力を傾注した。
又近傍の町村は津浪の情報を知ると同時に各種團體を罹災地町村に出動せしめ且つ義捐金品を募集して送付し、遠隔の市町村は專ら義捐金品の募集に盡力し更に救援のため務めて各種團體を出動せしめた。
尚ほ市町村及び市町村内各種團體に於て募集した義捐金品は左の通りである。

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市町村諸團體義捐金品表 盛岡市
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市町村諸團體義捐金品表 岩手郡
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市町村諸團體義捐金品表 紫波郡
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市町村諸團體義捐金品表 稗貫郡
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市町村諸團體義捐金品表 和賀郡
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市町村諸團體義捐金品表 膽澤郡
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市町村諸團體義捐金品表 江刺郡
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市町村諸團體義捐金品表 西磐井郡
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市町村諸團體義捐金品表 東磐井郡
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市町村諸團體義捐金品表 氣仙郡
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市町村諸團體義捐金品表 上閉伊郡
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市町村諸團體義捐金品表 下閉伊郡
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市町村諸團體義捐金品表 九戸郡
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市町村諸團體義捐金品表 二戸郡

第二節 青年團

罹災地町村内の被害なき青年團員並に青年訓練所員は、災後直ちに總員出動し消防組員・在郷軍人等と協力して救護其の他に盡力したが、県は更に多數の應援を必要とし即日罹災地隣接の町村に對し救援の爲出動すべき旨を通牒し、尋で翌くる四日県下市町村青年團長に對し食糧品・防寒具等を携帶して急遽往援方を命じた。
即ち盛岡市を始め各町村の青年團並に青年訓練所は能ふ限りに於て團(所)員を罹災現地に派遣し、是等派遣の團(所)員は所定指揮官の統率に依り跡片付・道路修理・小屋掛・救護品配給・警備・死體收容埋葬・墓標建設等に從ひ、残留の團(所)員及び女子青年團員は各種團體とともに義捐金品の募集に盡力した。而して各青年團の出動状况は左の通りである。


○教號外
昭和八年三月四日 岩手県學務部長
各郡市町村青年團長殿


三陸地方津浪ニ關スル件
今回東海岸一帶ニ亘ル海嘯ハ被害甚大ニシテ罹災民ノ慘状誠ニ忍ビ難キモノ之有目下徹宵政府ノ應援ヲ得テ擧県一致之ガ救援ニ努力致シ居ル次第ニ之有候モ殊ニ被害地ニ於テハ跡片付、交通機關ノ整備、小屋掛等ノ爲、相當ノ人員ヲ必要トスル旨被害地ヨリ切ナル要求有之候條左記事項御了承ノ上貴部内團員ヲシテ至急災害地ニ派遣復舊ノ爲御援助相成樣致サレ度
尚隣接町村ニハ曩ニ通牒致シ居リ候モ此際取急ギ出動相成度



一、被害地青年團員ニシテ被害ナキモノ及隣接町村青年團員ハ義務トシテ總動員スルコト
二、其他ノ青年團員ハ出來得ル限リ出動スルコト
三、派遣地、派遣區域及指揮者ハ別表參照ノコト
四、青年團員出動ノ際ハ何村青年團員タルノ腕章ヲッケ、指揮者ヲ定メ、食料品及防寒具ヲ用意スルコト尚出發前ニ參加氏名期日等報告スルコト五、到着ノ際ハ所屬指揮官(県官)ノ指揮ヲ受ケ且在郷軍人指揮官卜打合セスルコト


○教號外
昭和八年三月五日 岩手県知事石黒英彦
各指揮官殿
三陸地方津波ニ關スル件
標記ノ件ニ關シ別紙ノ通各町村青年團長ニ通牒シ團員ノ總動員ヲ致スコ卜ニ相定メ候條團員貴地到着ノ上大體左記ニ依リ御指揮相成樣被致度

青年團員ノ擔當スベキ仕事
一、跡片付
一、道路ノ修理
一、小屋掛
一、救護品ノ配給
一、衛生ニ闘スル事務
一、警備
一、死體集メ、埋葬、墓標建立
一、其ノ他


○教號外
昭和八年三月七日
岩手県學務部長 各郡市町村青年團長殿
三陸地方津浪ニ關スル件
三月四日附ヲ以テ標記ノ件ニ關シ救援ノ爲派遣ノ際ハ出發前豫メ報告セラルル樣通牒致置候處災害地現下ノ状况ニ鑑ミ統制上必要有之候條爾今派遣者氏名並ニ出發シ得ル期日御報告ノ上県ノ指揮ヲ待タルル樣致サレ度


○官秘號外
昭和八年三月九日 岩手県知事官房主事
各警察署長殿
各市町村長殿
各種團體ニシテ罹災者救援ノ爲罹災地ニ赴クモノハ必ズ責任アル指揮者ヲ定メテ統制アル行動ヲ執ラシメ又出先官憲ノ指揮ニ從ハシムルコトトシ之ニ反スルモノハ今後罹災地ニ赴カシメザル樣特別ノ御留意相煩度

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青年團出動表
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派遣地、派遣區域及指揮者

第三節 消防組

罹災地町村の消防組並に自警團に於ては概ね激震とともに警備の任に就き、津浪の際は危難を冐して避難・救護に從ひ、又隣接町村の消防組は災後直ちに救護の爲出動し、尋で県下各町村の消防組は所轄警察署長の指令に依つて急遽組員を罹災現地へ派遣し警備・跡片付・假小屋建築・救恤品運搬配給・死體搜索・道路補修等に盡力せしめ、且つ義捐金品を募集して寄贈した。而して其の出動状况は左の通りである。

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消防組出動表

第四節 在郷軍人會

一 本部及盛岡支部
三日午前六時三十分、帝國在郷軍人會盛岡支部長たる盛岡聯隊區司令官國崎大佐は石黒本県知事の招請に依つて本廳に出向し、被害の調査並に救済の方法に就いて凝議の上、午前七時本部に對して被害の概况を報告し且つ満洲派遣將兵遺家族及び罹災在郷軍人の救助を電請した。而して救援隊の派遣と被害状况の調査とは最先の要務なるを以て、午前八時被害地隣接町村の分會に對して總出動を命じ、同時に被害調査の爲船山曹長を盛方面に、宮原中佐を釜石方面に、菊池曹長を宮古方面に、筑後曹長を小本方面に、平山屬を久慈方面に派遣し、更に午前十時本廳に開かれた國防後援統制委員會の議に依り、罹災民の衣糧の窮乏を救ふ爲先づ集散に利便な左記分會に對して其の緊急措置を命じ、且つ管下全分會に對しても寢具、衣類、食糧等の蒐集を命じた。
次いで管内を五區に分ち罹災地及び其の近傍地帶を以て第一線とし、各區の主要地たる盛・釜石・宮古・小本・久慈の五箇所に支部出張所を設けて赴援の在郷軍人青年團及び各種救援隊の統制指揮に任じ、遠隔地帶は總べて第二線として後方の勤務に服せしめ、鐵道沿線の學校配屬將校を其の指揮官に任じて各種團體を統制し救恤物資の蒐集並に輸送に當らしめた。


之に先だち三月三日午後陸軍省恤兵部より派遣將兵家族救恤の爲一萬圓を送附され、支部に於ては直ちに其の幾部を第一線指揮官に交付して一家族平均二十圓を配分し、次いで十二日中込大尉以下職員五名を派遣し一家族最高七十圓最低十圓平均二十八圓餘を配分した。斯くて日を經るに隨つて県内外より支部或は出張所に寄託された救恤金品は夥しい數に上つたが、物資は急速に之を配給し義捐金は罹災地町村長並に軍人分會長に交付し、單に衣食に費消せず復興の資金に充てしめ又は備荒貯金を爲さしめた。而して支部の所管にかかる救恤金は陸軍省恤兵部第一回一萬圓、同第二回二萬五千二百二十五圓、帝國在郷軍人會本部九千九百五十五圓、一般六千五百三十二圓十六錢、總計五萬一千七百十二圓十六錢であつた。
尚ほ帝國在郷軍人會副會長海軍中將中野直枝氏は三月八日評議員二名とともに來県三日間に亘つて罹災地方を巡歴慰問し、次いで支部長國崎大佐は三月十四日より十七日に至る四日間同じく罹災地方を巡視して罹災の軍人並に派遣將兵の家族を慰問し、且つ在郷軍人に對し復興に就き激勵する所あつた。


二 分會
罹災地町村の分會は津浪の發生とともに直接の遭難を免れた會員の非常招集を行ひ、又罹災地近傍町村の分會は自發的に或は支部の命に依つて救援に出動し、遠隔町村の分會は主として後方の勤務に服し其の餘力を第一線出動員の援助に傾注した。
即ち罹災現地に出動した分會員は總べて第一線指揮官に隷屬し、青年團・消防組等と協力して破壞家屋の整理、行方不明者の搜索、屍體の收容、負傷者の手當、衣糧の配給、道路の復舊及び警備の任務に服し、後方に在るものは司令部職員・學校配屬將校等の指揮に依つて救恤金品の蒐集輸送及び救援隊の派遣準備等に從ひ、孰れも能く訓練統制ある行動を執り地方民より感激賞讃された。
而して此の出動の總員は實に延五萬八千二百七人に達し、其の内第一線に出動して救護に任じたるもの二萬二千八百三十人、後方の勤務に服したるもの三萬五千三百七十七人であつた。

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分會に對して其の緊急措置
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第一線指揮官表
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第二線指揮官表
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在郷軍人活動状况一覧表

第五節 岩手県農會

岩手県農會は急遽役職員會議を開いて罹災地救援の方策を講究し、翌四日に至り應急措置の大綱を決定し左の如き指令を県下各郡市農會に發して救護の迅速徹底を期した。
一、被害地郡農會に對する指令
一 無被害の町村農會を督勵し、災禍を免れし幸福を頒つ爲應分の金品を義捐するやう會員 に勸奬し且つ之を蒐集して罹災地に送附すること
二 君國の爲身命を賭して満洲熱河に奮闘中の罹災地方出身將兵に對し後顧の憂無からしむ るやう其の家族に對し特に同情を寄せ救護の徹底に努むること
二、無被害地郡市農會に對する指令
一 前叙の趣旨を以て町村農會を督勵し義捐金品を蒐集し、之を凡そ左の割合に依り當該郡 農會へ送附すること
下閉伊 四 上閉伊 三 氣仙 二 九戸 一
二 物資は衣類・布團・米穀・蔬菜・日常品たること
次いで罹災郡農會職員救助の爲米穀味噌等を配給し、同時に帝國農會に對し本県被害の慘状を報告し、全國府県農會に金品の義捐を勸奬せられんことを要望し、且つ被害調査の爲職員の派遣を申講した。仍て帝國農會は三月七日職員を派して罹災地を視察せしめ、全國農村に檄して義捐金品の醵出を斡旋した。
県農會は斯く應急救護の措置を講ずるとともに、屡々職員を災害地に派遣して生活状態を調査し最も食糧自給の緊要なるを認め、被害地郡農會に對して栽培の簡易な馬鈴薯の栽培を勸奬し、種薯を青森県古間木堀口農塲より購人し各郡農會をして之を配付せしめ、又水稻種籾・農用器具等に就いても購入を斡旋し栽培耕種の上に遺憾なきを期した。

第六節 日本赤十字社

日本赤十字社岩手支部は、震災の當日直ちに醫師一名・書記一名・看護婦三名より成る救護班四を編成し、第一班は上閉伊郡釜石町に、第二班は下閉伊郡山田町に、第三班は同郡小本村に、第四班は九戸郡種市村に派遣して遭難傷病者の救療に當らしめ、更に移動巡回診療を行つたが救護患者數は男六五四・女五一六・計一、一七〇此の延人員四千二百十二名に逹し、地方民の熱誠なる感謝の裡に第二班の三月二十二日を最先とし順次四月一日迄に歸還した。
又三月五日には東京の本社より囑託小林省三氏が特派來県し、下閉伊郡山田・宮古地方の救護状况を視察した。
而して慘禍の報が全國に傳へらるるや、少年赤十字團は健氣にも哀れな罹災同胞少年の爲に進んで義捐金品を醵し、教科書・學用品・被服等四十八梱、八千六百二十六点を寄贈し來り、支部より県救護部を經てそれぞれ罹災地へ送附した。

第七節 愛國婦人會

一 本部及他府県支部

愛國婦人會本部は災害激甚の情報に依つて直ちに罹災民見舞の爲二千圓を岩手県支部に交付し、更に三月八日理事宗像ッタ子を特派し支部長石黒萬千代子を件なひて氣仙郡下の罹災出動軍人遺族を慰問した。又全國各府県支部よりは鄭重なる慰問の辭と共に金品の寄贈を受けたがその數は衣類其の他百五十梱、現金一萬二千三百十九圓であつた。

二 岩手県支部

震災の當日急遽主事高橋小兵衛氏以下の職員を罹災地方に派遣し、満洲事變の爲出動中の罹災地出身將兵四百五十名の遺家族の内遭難した百三十六戸に對し一戸に付二十圓以下の生業資金(總額一千百八十六圓)を交付した。
之は今次變災に於ける現金惠與の先鞭で其の機敏周到の措置は罹災民より非常な感激を以て迎へられた。又即日支部役職員を招集して對策を協議し、幹事部並に委員區に指令して會員及び一般篤志家より慰問金品を募り衣類物品四百七十三梱は県救護部を經て罹災地へ送附し、現金一千三百五十九圓は恒久施設の資に充てた。
次いで四月一日畏くも皇后陛下より罹災傷病者並に孤獨の老幼者御救恤の爲県に御下賜になつた衣服地を支部及び幹事部の役職員有志會員等の手に於て裁縫を奉仕し、別に葬儀用の白衣百着を最も死者の多かつた下閉伊郡田老村に寄贈した。尚ほ他府県支部よりの義捐金品の内物品は即時県救護本部を經て罹災地に配給し、現金は託兒所開設等の救済施設の資に充てた。


【託兒所】半恒久的罹災地救済の一端として、其の被筈の最も著しき都落約二十五箇所に託兒所を設置すべくその經費として五月以降八箇月分金二萬七百二十圓を計上し、既に十九箇所の開設を見、罹災民より非常なる感謝を以て迎へられてゐる。


【授産所】凶作地及び出動軍人遣家族中の失業婦人並に罹災に件なふ失業婦人を收容救護し職を授げる爲に義捐金の一部と県よりの補助金とを以て授産所(ホームスパン製織を主とするもの)を盛岡市に設置し、十一月二十五日より開所し二十九名を入所せしめた。

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託兒所開設一覧 (一二月二〇日現在)

第八節 岩手県教育會

岩手県教育會は三月七日震災の救援に關し緊急理事會を開き專ら教育關係の救援に當ることに決し、職員は月俸額の百分の一、生徒は五錢以上、兒童は一錢以上の標準に依る義捐金を郡市部會長・支區會長並に中等學校長に依頼して募集し、尚ほ他府県教育會へもその應援を依頼した。又その配給に關しては最も愼重に考慮し、國費並に県の救恤と重複を避け罹災學校長の意見希望及び寄託者の意思を尊重參酌して配當の公正を期した。又死亡教職員兒童等に對しては最も厚く弔慰を行ひ、生存者に對しては其の罹災程度及び經済上の地位等を參酌して差等を附し復興上の一助となるやうにつとめた。
中等學校生徒中父兄の罹災程度によつて學用品費の一時的補給の外、一箇年に亘り學資の補給をなす途を立て中途退學のないやうに考慮し、卒業期迄數年に亘り學費の補給を必要とする者に就いては之に應ずる用意をなす等教育上の救援に全力を傾注した。

第九節 恩賜財團済生會

恩賜財團済生會は震災の直後衛生材料・藥品・寢臺・毛布・天幕等を送附し、次いで三月六日救療部長紀本參次郎氏は見舞の爲來県した。又東京支部派遣の醫療救護班一行七名は三月四日より十三日迄氣仙郡唐丹村に於て傷病者の救療に盡力した。

第十節 帝國水難救済會

一 本部

帝國水難救済會本部は三月五日鳥野幹事を派遣して罹災地方を視察慰問せしめ且つ本県支部に一千圓を寄贈し、次いで副會長海軍中將鳥巣玉樹氏は慰問の爲來県し更に一千圓を支部に交付した。

二 支部

【大船渡救難所】強震に件なひ津浪のあるべきを察し警鐘を鳴らして町民を安全の地に避難せしめ、一方職員の非常招集を行ひ三月九日に至る間罹災者の救護及び諸調査警備等に任じた。【釜石救難所】救助佐野吉助氏以下職員七名は強震の後海岸數箇所に篝火を焚いて海水變化の状態を看視中、急激な減水と沖合の異樣の音響に依つて津浪の來襲を豫知し町民に警告して避難せしめ、災後は罹災民の救護及び警備に從事した。
【宮古救難所】津浪の襲來とともに本部に軍艦派遣の要請方を電請し、所長篠田米吉氏以下の職員は自己の所有にかかる發動機船を悉く提供し三月三日より九日に至る間宮古港を中心に山田・田老・田野畑・小本の各港に出動し、人命の救助、死體搜索・救護品輸送・航路開拓等に從事した。

第十一節 宗教團體

県内各宗教團體は中央の本部と呼應し義捐金品を募集して罹災地町村に送り、且つ慰問使を派遣し映画會を開催し託兒所を設立する等救援の爲に盡力した。
【佛教團體】佛教團體に於ては、各宗共に多額の義捐金品を募集して罹災地に寄贈し三月五日には亡靈慰問使十三名を派遣して津浪遭難者の靈を懇ろに弔ひ、又罹災地寺院に託兒所を設置して孤兒幼兒を收容保護した。


盛方面 岩瀨豊英、稻田泰堂、遠藤洲山
釜石方面 藤本正道、斗ケ澤慶雲、阿部大環
宮古方面 上舘全靈、海野義雄、村松梅恩
岩泉方面 及川富雄、山本悟岳
久慈方面 松尾正眞、淺沼俊道
【基督教團體】基督教團體に於ては日本基督教聯盟の名を以て約五千圓の義捐金を罹災民に贈り尚ほ慈善鍋等による義捐金約千三百圓を以て釜石町及び大槌町に三箇所の託兒所を設置し、更に衣類七十梱を送り慰問使を派遣し映画慰間會を開催した。
【救世軍】救世軍本營は義捐金三百圓を罹災地に送り、盛岡小隊に於ては多數の義捐金品を募集寄贈し二名の慰問使を派遣した。
【大本教及び其他の宗教團體】大本教及び其の他の宗教團體も亦多額の義捐金品を罹災地に送り且つ慰問使並に多數の人員を救援の爲罹災地に出動せしめた。

第十二節 各府県總督府其他

本県沿岸地方の震災に際し近県は固より全國道府県並に我國領域の殖民地官民はいたく其の慘禍に同情し、或は即時鄭重なる見舞の電信を寄せ、或は代表慰問使を派遣し、或は義捐金品を募集して寄贈されたが、就中東京府市並に神奈川県は關東大震災に於ける本県の救援に報ゆべく哀恤の至情を寄せ、慰問使・醫療救護班を派遣し且つ多額の義捐金品を寄贈された。
斯く國内の同胞を擧げての救援に依つて、衣類・食糧等急要物資の配給を豊富ならしめ罹災民をして飢寒の苦しみを免れしめ得たるは洵に感謝に堪へない所である。
【東京府】東京府並に東京市は本県の慘害に對して特に深甚の同情を寄せ、東京府よりは三月
四日見舞の爲下松社會事業主事來県し、又同日救護主事横島常三郎・醫學博士小島榮治郎兩氏を首班とする醫療救護班を氣仙郡に派遣し、尋で九日知事代理安原學務部長は見舞金五千圓を携へて府會議長朝倉虎治郎氏とともに來県した。又東京市は市長代理として保健局衛生課長酒井菊雄氏を派遣し、更に同氏を首班とする醫療救護班を編成して釜石に派遣した。
【神奈川県】神奈川県は醫療救護の急務なるを察し五日救護班を氣仙郡唐丹村に派遣し、又横濱市は五日技師高橋尚三氏を首班とする救護班を下閉伊郡田老村に派遣し、次いで技師主事山田三郎氏は市長の代理を以て七日來県した。


【千葉県】千葉県は見舞の爲五日社會課長宇佐美毅氏を派遣した。
【青森県】青森県は県自ら尠からぬ損害を蒙つたが本県の慘害の大なるに同情し多額の義捐金品を寄贈し、殊に八戸市は其の救援に全力を擧げ五日早朝トラック八臺に衣服・食糧等を積載して沼宮内に輸送し、又八戸港經由罹災地へ配給すベき建築材料の輸送に關し八戸市長は船舶の供給、賃銀の輕減等に就いて大いに斡旋盡力した。
【秋田県]秋田県は五日知事代理學務部長松岡四郎氏、及び賀來社會事業主事を派遣して慰問せしめ、且つク口ール石灰一千本を寄贈された。

第十三節 諸外國

三陸地方震災の慘状が全世界に亘つて報道さるるや、満洲國執政閣下・英國皇帝陛下・ハンガリー國攝政殿下・西班牙國大統領閣下はいたく哀悼あらせられて親しく我が天皇陛下に懇篤なる御見舞の電報を寄せられ天皇陛下は之に對しそれぞれ御答電を御發送あらせられた。
又東京駐在の各國大公使は本國政府の旨を受けて外務省に來訪し鄭重な見舞の辭を述ベられた


表弔來訪の外國使臣
三月三日 ルーマニヤ國代理公使
三月四日 瑞典國公使
同 英國大使
同 ブラジル國大使
同 佛國臨時代理大使
同 獨逸國大使
同 加奈陀國公使
同 鮑満洲國代表
同 中華民國公使
同 ソヴイェト國臨時代理大使
三月六日 伊國臨時代理大使
同 土耳其國代理大使
同 暹羅國公使
同 米國大使
三月七日 和蘭國公使
同 諾威國公使
同 白耳義國臨時代理公使
同 亜爾然丁國臨時代理公使
三月八日 チエッコ・スロヴアキヤ國公使
同 丁抹國臨時代理公使
三月九日 ポルトガル國公使
同 キユバ國臨時代理大使

第十四節 新聞社

三月三日の黎明に近く県民九十餘萬の夢を駭ろかした激震に次いで兇濤一擧本県東海岸の一帶を襲ふとの情報至るや、岩手日報・岩手毎日新聞、及び東京朝日新聞・東京日日新聞・時事新報・讀賣新聞・報知新聞・河北新報等の盛岡支局(通信部)は通信機關の錯綜故障の際有らゆる犧牲を拂つて慘害の情報を蒐集し刻々號外或は掲示を以て民衆に報道し、且つ急遽記者・寫眞班を派遣して罹災地を踏査せしめ慘憺たる光景を詳細に報道するとともに全國民の同情に愬へて義金を募り孰れも多額を本県に寄贈した。
又東京朝日新聞・東京日日新聞の兩社は三月三日午後飛行機を派遣して罹災地方を慰問し次いで東京朝日新聞通信部長伊東圭一郎・東京日日新聞編輯顧問松岡正男の兩氏は三月七日、東京日日新聞社員伊藤金次郎氏は九日各々多額の義金を携へて來県し、更に東京朝日新聞社は三月十八日土岐善麿氏以下三班の慰問使を罹災地方に派遣して救恤金を交付し且つ震災記念碑建設費として二萬六千二百三十圓を県に寄贈した。

第十五節 其他

一 電燈會社

盛岡電燈株式會社は罹災者慰問の爲五百圓を義捐し且つ四月三十日迄十六燭光一燈を無料点燈したが、氣仙水力電氣株式會社並に九戸水力電氣會社に於ても罹災者に同情し三四兩月分の電燈料を免除した。

二 岩手殖産銀行

不測の震災に依つて罹災地方の金融状况は一時極めて急迫し前途を悲觀されたが、當時唯一の金融機關たる岩手殖産銀行は緊急協議を了し三日午前九時半行員に巨額の現金を携帶せしめて釜石・山田其の他の地方に派遣し迅速に預金の拂戻しに應じた。

第八章義捐金品募集並分配

第一節 義捐金並義捐品募集

震災に依る海岸地方の被害激甚の情報に接した石黒知事は即日北海道樺太兩廳長官・全國府県知事・朝鮮總督府政務總監・臺灣總督府總務長官等に對し至急救援を乞ふ旨の電報を發し、次いで最も急を要する食糧・被服・日用品等の供給に關し擧県一致の應援に俟つべく内務・警察・學務各部長並に盛岡聯隊區司令官・帝國在郷軍人會盛岡支部長・日本赤十字社岩手支部長愛國婦人會岩手県支部長等の連名を以て、県下罹災地外の警察署長・市町村長・中等學校長・小學校長・青年訓練所主事・軍人分會長・消防組頭・日本赤十字社分區長・愛國婦人會委員區長・青年團長・女子青年團長等に對し金品の義捐を要望した。
而して義捐品の種目は食糧・寢具・衣類・薪炭・日用品とし盛岡市は同市役所ヘ其の他の地方は最寄警察署へ送附せしめ、又義捐金は總ベて本廳會計課に於て直接受理し、且つ經理の正確を期する爲三月三日震災義捐金取扱規程を制定し取扱主任を任命して即日事務を開始した。軈て慘禍の實情が判明するに及び、其の被害意外に夥しく到底本県自體に於て應急救護の完壁を期し難きを察し、石黒知事は更に積極的に全國民の同情に愬ふべく三月十五日關東廳長官朝鮮總督府政務總監・臺灣總督府總務長官・北海道樺太各廳長官及び各府県知事に對し左の如き手翰を發送し、同時に佐々木県會議長・中村盛岡市長・細川県町村長會長・佐々木盛岡商工會議所會頭等の連名を以て全國の市長・町村長・商工會議所會頭にそれぞれ義捐方を懇請した。
謹啓愈々御清穆奉慶賀候
陳者本月三日拂曉突如本県を中心として三陸沿岸地方一帶に來襲仕候強震並に海嘯に關しては當時不取敢電報を以て罹災地救援方御依頼申上置候處早速諸般の御尊配相賜り洵に感謝に不堪次第に御座候
其後調査の進むに從ひ被害の程度は豫想外に激甚を極め人畜の死傷家屋の流失倒壞は申す迄も無之漁塲の破壞養殖塲の全滅殊には沿岸一帶に於ける漁船漁具の流失等慘禍枚擧に遑なく全滅せる部落すら多數有之状態にて且つ罹災者中には目下皇軍の第一線に在つて熱河の掃匪に奮戰しつつある將兵の家族も頗る多く洵に痛心に不堪次第に御座候加之罹災地方は今尚寒氣烈しく時々降雪を見感冒の流行急性肺炎の續出等眞に深憂すべきもの有之候御承知の事とは存候へども固々天惠薄く民度未進の本県は昭和五年以來連年の不漁凶作に加へて県内全銀行の破綻に伴ふ金融梗塞に依り疲弊困憊の極に有之候折柄骨肉を奪はれ家を失ひ生活の資を喪ひ茫然唯天意の難きに怯えつつある三萬罹災民をして安意生業に就かしめ復舊復興の大業を完成可致事眞に容易ならざるもの有之一に國家並に同胞各位の深厚なる御同情に依縋するの外途なき状態に有之候茲に衷情を具し重ねて御高配を奉懇願度希くは貴管下各方面の御同情懇請方に付一層の御盡力相賜度謹て得貴意候
恐惶謹言
昭和八年三月十五日
岩手県知事石黒英彦


次いで三月二十日學務部長湯本書記官は全國道府県學務部長並に社會課長に宛てて依頼状を發し、同月二十八日にはポスター二萬枚を、四月二十二日には「地震海嘯に關する概况」(冊子)五百部を全國に頒ち、極力江湖の同情喚起に努めた。

第二節 義捐金

義捐金募集の議成るとともに県官吏吏員は高等官同待遇者俸給月額の百分五、判任官同待遇者以下月俸額の百分三の比率を以て率先三千圓を義捐したが、漸次新聞・ラヂオ等に依つて罹災民の窮状が報道せらるるに及んで県内外の同情は翕然として集り、東京府五十二萬圓、満洲國十一萬圓、大阪府六萬圓、本県及神奈川県各四萬圓、愛知県・京都府・千葉県各三萬圓を首めとし全國道府県殖民地より、或は遠く關東州・南洋・中華民國・印度・北米合衆國・南米・自耳義・伊太利・佛蘭西等より夥しい義捐金が寄贈され、県に於て受理した總額は百四十萬六百三十九圓九十一錢(内費途指定三萬五千九百八十七圓三十六錢)の巨額に達した。
而して右義捐金の募集に就き社會局(内務省)は最も其の斡旋に盡力し、各府県並に各種團體を激勵して義心の喚起に勗め、又外國義捐金の收受を掌り、同局を經由して本県に送附された總額は二十七萬六千餘圓である。
尚ほ隣邦満洲國執政溥儀閣下は深甚の同情を寄せられ、三月九日特に内帑より銀二萬元(邦貨一萬九千圓)を義捐し日本駐剳代表鮑觀澄氏に命じて我が政府を通じ本県に一萬四千四百圓を寄贈された。


義捐金募集高
一金百四十萬六百三十九圓九十一錢
○道府県及各國別
北海道一七、一一五五五〇円
青森県二、五四五、八三〇
岩手県 四二、二六七、二九〇
宮城県 七、一〇二、五二〇
秋田県 一、○、八五九、八五〇
山形県 一八、五八六、三七〇
福島県 一一五、二二六、五六〇
茨城県 九、七八八、〇三〇
栃木県 一一、三六四、二六〇
群馬県 七、二〇八、八八○
埼玉県 一八、二八六、四七〇
千葉県 三○、○八五、六三〇
束京府 五二五、二三五、二四五
神奈川県 四八、九四一、九一○
新潟県 二四、一二五、六〇〇
富山県 六、四五九、五七〇
石川県 九、一一二、五六○
福井県 五、二二八、九八五
山梨県 五、八二一、八一〇
長野県 二五、三一三、○○○
岐阜県 一○、三七○、二二○
静岡県 一八、五一九、三六〇
愛知県 三七、○四四、三四○
三重県 一三、四六七、九九○
滋賀県 八、五二六、八二〇
京都府 三六、六二三、五五〇
大阪府 六〇、九五六、四○○
兵庫県 二八、八六七、六九〇
奈良県 一八、四三〇、五二〇
和歌山県 八、二七五、六八○
烏取県 二、○九三、四八○
島根県 五、二二四、八二〇
岡山県 四、八九八、六四〇
廣島県 一四、八四四、五九〇
山口県 一四、四九一、〇六〇
徳島県 四、一四七、九一○
香川県 二一、九九七、三一〇
愛媛県 五、六五八、六四○
高知県 三、二七七、一三○
福岡県 一五、八六三、三○○
佐賀県 二、○八三、七三○
長崎県 二九九、八九○
熊本県 四、九○○、四九○
大分県 三、八○○、六一○
宮崎県 二、○一五、二五○
鹿兒島県 四、四九二、六四○
沖縄県 一、四八七、四三○
朝鮮 二五、九〇八、五五〇
臺灣 一二、四三五、〇三〇
樺太 二、五二九、三〇〇
關東州 二一、三三七、二九〇
南洋 二四七、五八○
満洲國 一一六、九五三、八三〇
中華民國 九、七四一、五二〇
北米合衆國 一三、〇九九、六三〇
南米四、 六四八、〇五〇
印度 五七、一八○
べルギー國 一〇二、七五〇
伊太利國 一六四、四〇〇
佛蘭西國 五七、三九〇
無名 二二、○○○


O右の内費途指定義捐金
一、警察官吏二九六圓

内東京府一〇五圓
京都府一九一圓


一、漁業組合三七五園
岩手県 五○圓
内長野県 二五圓
神奈川県 三○○圓


一、消防組一、七二○圓
岩手県 二○圓
神奈川県 一○○圓
内東京府 一、三〇〇圓
新潟県 三○○圓


一、飲料水改善及救療費 二六二圓六〇〇
岩手県 一二七圓六〇〇
内東京府 一五圓
兵庫県 一二○圓


一、理髪業者 一〇〇圓四五〇
束京府 一〇〇圓四五〇


一、小學校兒童三、三四〇圓九三〇
群馬県 九五圓○五○
福島県 一ニ圓二七○
東京府 四五三圓七九〇
神奈川県 一、○四八圓○八○
栃木県 一○圓五○○
長野県 五圓
富山県 四圓
内東都府 一、六六〇圓五〇〇
鳥取県 四圓
島根県 一圓五三○
廣島県 一圓四七○
朝鮮 二一圓七八○
臺灣 七圓九六〇
満洲 一五圓


一、水難救済會 一、○○○圓
東京府(帝國水難救済會) 一、○○○圓


一、満洲派遣兵家族 二九圓六四○
岩手県 一五圓
内 山梨県 一四圓六四○


一、宮古町公共團體 四圓一〇〇
兵庫県 四圓一○○


一、釜石町 一圓
福島県 一圓


一、小學校へ 五圓
新潟県 五圓


一、罹災記念碑建設 二六、二三○圓二六〇
東京府 (東京大阪朝日新聞) 二六、二三○圓二六○


一、農業家へ 三〇〇圓
東京府 三〇〇圓


一、釜石宮古附近へ 三圓
岩手県 三圓


一、在郷軍人會員 六圓三〇〇
臺灣 六圓三〇〇


一、銃後慰問金 三〇〇圓
岩手県 三○○圓


一、恩賜財團済生會臨時依托醫療救護費中需用費 一、八○○圓
東京府一、八○○圓


一、貧困者 一三三圓○八○
山形県 一三三圓○八○


一、罹災青年團員 八○圓


東京府 八○圓
合計三五、九八七圓三六〇


震災義捐金取扱規程(三月三日告示第百二十號)


第一條 岩手県下震災義捐金ノ出納ハ本規程ニ依リ之ヲ取扱フベシ
第二條 義捐金出納ノ事務ハ震災義捐金取扱主任之ヲ取扱フ
前項ノ取扱主任ハ内務部會計課長ノ職ニ在ル者トス
第三條 取扱主任ハ第一號樣式ノ震災義捐金出納簿ヲ備へ之ガ出納ヲ登載スベシ
前項ノ出納簿ハ隨時内務部長ノ閲覧ヲ受クべシ
第四條 取扱主任義捐金ヲ領收シタルトキハ第二號樣式ノ領收證ヲ交付スべシ
第五條 休日又ハ執務時間外ニ於テ義捐金ノ申込ヲ受ケタルトキハ内務部宿直員ニ於テ領收ノ取扱ヲ爲シ前條ニ依ル領收證ヲ交付スベシ
前項ノ義捐金ハ第三號樣式ノ義捐金授受簿ニ登載ノ上保管シ領收證原符ヲ添へ翌朝遅滯ナク取扱主任ニ之ガ引繼ヲ爲スベシ
當直員更替ノ塲合ニ於ケル引繼ハ前項ニ準ズベシ
第六條 取扱主任ニ於テ受領シタル義捐金ハ株式會社岩手殖産銀行當座預金ニ預入ルべシ
第七條 取扱主任義捐金ノ支出ヲ爲サントスルトキハ内務部長ノ決裁ヲ受ケ預金銀行ノ當座小切手ヲ振出シ受領證ヲ徴スベシ
第八條 取扱主任ハ義捐金收支日計表ヲ作成シ學務部社會課長ニ通知スベシ
第九條 取扱主任ハ毎十日ニ第四號樣式ノ義捐金收支計算書ヲ作成シ知事ニ報告スベシ
第十條 取扱主任更替ノ塲合ハ第九條ニ準ジ收支計算書ヲ作成シ現在金及帳簿其他關係書類ヲ後任者ニ引繼ヲ爲スベシ
前項ノ引繼ヲ了シタルトキハ直ニ其ノ旨知事ニ報告スベシ
第十一條 有價證券ノ取扱ニ關シテハ前各條ノ規定ヲ準用ス
第十二條 知事ハ必要ト認ムル塲合ハ義捐金收支ニ關スル現金並帳簿ノ検査ヲ行フコトアルべ シ
附則
第十三 條本規程ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
以書翰啓上致候陳者貴國東北地方ノ慘害ニ關シ本國政府ニ電報致シ置キタル處昨日外交總長ヨリ本國政府及人民ハ貴國東北地方慘害ニ對シ同情ノ意ヲ表スルト共ニ巳ニ中央政府ニテハ委員會ヲ組織シ義捐金募集ニ着手セリ本國執政ハ罹災民ニ對シ深甚ナル同情ヲ表シ特ニ銀二萬元ヲ義捐送金セル旨ノ電報有之タルニ付テハ之ヲ日本金一萬九千圓ニ換算シ茲ニ及御送付候條右可然御取計相成又本國執政ノ災民ニ對スル同情ヲ貴政府及災區民衆ニ御傳達相成度此段併セテ御依頼旁茲ニ重テ閣下ニ向テ敬意ヲ表シ候 敬具
大同二年三月十日
駐日本満洲國代表 鮑觀澄
大日本帝國外務大臣
伯爵 内田康哉 閣下
人普通第一五八號
昭和八年三月二十四日
外務次官 有田八郎
内務次官 潮惠之輔殿
三陸地方ノ震災ニ付満洲國執政ヨリノ義捐金轉送ノ件
在京満洲國代表鮑觀澄氏ハ今般本件災害ニ對スル本國官民ノ同情ノ意ヲ傅フルト共ニ同國執政薄儀閣下ノ義捐金銀二萬元也此ノ邦貨一萬九千圓也ノ高ヲ轉送シ來レルニ付右別紙金券ヲ以テ送付ス罹災県下へ配付方可然御取計相成渡本件ニ關スル鮑代表來信譯文相添へ此段御依頼申進ス


收社第一五一號
昭和八年三月三十一日社會局社會部長
岩手県知事殿
満洲國執政ヨリノ震災義捐金送付ニ關スル件通牒
今般満洲國執政薄儀閣下ヨリ別紙寫ノ通震災義捐金御出捐相成候ニ付貴県ニ對シ金一萬四千四百圓也別途送付候條御査收ノ上謝意表示方可然御取計相成度


拜啓今般県下海岸地方の災禍に際し貴國政府並貴國民に於かれては深甚なる御懇情を寄せられ今回は執政閣下より多額の御救恤金を賜り洵に感銘の至に不堪謹みて御禮申上候執政閣下の此の有難き思召はよく之を罹災民衆に傳達すると共に拜受の金員は必ず御意圖に副ひ候樣取計可申候へば恐入候得共此儀宜敷御言上被成下度奉願上候尚又貴國中央政府に於ては厚き御同情を以て既に委員會を組織し義捐金募集中の趣拜承仕候處之偏に御同情深き貴下御取盡の賜物と深く奉感謝候
以御蔭罹災地の救護は着々進捗致し今後は鋭意復興に努力可致候へば何卒一層の御援助御鞭撻を賜度奉願上候先は御厚禮旁御挨拶申上度如斯御座候 再拜
昭和八年四月日
岩手県知事石黒英彦
駐日本満洲國代表鮑觀澄宛

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第一號樣式 震災義捐金出納簿
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第二號樣式
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第三號樣式 震災義捐金授受簿
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第四號樣式 義捐金收支計算書

第三節 義捐品

県民の罹災者に對する哀恤の情は県の慫慂を待たずして歙然集注し、罹災地近傍の町村は災禍を知るとともに擧つて食糧・被服等を義捐し直接若しくは最寄警察署を經由して寄贈し、又盛岡市民は即日白米・漬物・衣類等多くの義捐品を本廳に寄贈した。
尋で翌くる四日以後には東京府及び警視廳の煉乳・天幕・澤庵漬・毛布等の義捐を始めとし食糧・被服・庖厨用品・藥品・學用品・慰問袋等の夥しい救恤品が續々県に送達され、是等の義捐品は一應廳内の救護總本部に於て收受し、県に於て調達した救護物資とともに配給計畫に基づいて迅速に配給したが、漸次県外の寄贈物品が殺到するに及び三月五日西磐井郡一關町に配給支所を設置して更に配給の敏速を圖つた。

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義捐物品表(県外)

第四節 義捐金の配分

罹災民の急要とする衣類・寢具・食糧等は県及び県内各地方・陸海軍等の救援に依つて迅速に配給されたが、更に県は義捐金の一部を以て生活必需品を購入調達して補給した。尋で県は八月一日に至り被害の程度・生活の緩急・生業の状態等を考慮して配分の要綱を決定し別表の如く罹災地各町村に分配した。


義捐金配分方法要綱
一般義捐金收入高 金一、二七九、四四七、三三〇円
同支出済高(生活補給) 金一〇四、五一八、〇五〇
差引現在高 金一、一七四、九二九、二八○
配分額 金一、一三六、二四七、五三〇
配當内譯
第一、生業資金 金七〇〇、○○○、○○○
第二、生産施設援助 金二一七、九〇〇、○○○
第三、醫療及救護援助 金七六、七八六、○○○
一 醫療施設費 金五〇、二五六、○○○
二 養老養育費 金五、五三〇、○○○
三 托兒所及授産施設費 金二一、○○○、○○○
第四、死者ノ弔慰ニ關スル援助 金一六、九〇〇、○○○
一 弔慰ニ關スル施設費 金五、九〇〇、○○○
二 追悼費 金一一、○○○、○○○
第五、災害豫防及備荒施設援助 金一二四、六六一、五三〇
一 備荒林及防潮林苗圃造成援助 金一八、一六一、五三〇
二 備荒倉庫設備援助 金一〇〇、○○○、○○〇
三 水難救済施設援助 金三、○○○、○○〇
四 津浪豫報施設費 金三、五〇〇、○○○


義捐金配分の要旨
第一、生業資金
罹災人口及び被害程度を參酌し、罹災者生業の資に充てしむるものにして、現金にて交付せず郵便貯金・組合貯金の通帳又は確實なる銀行預金通帳を以て交付し、町村長をして其の拂戻を監査せしむ、又此の際産業組合新加入者及び水産販賣購買利用組合員・住宅組合員に對しては其の第一回出資拂込金を、公營住宅利用者に對しては建築費寄附豫定金を拂込又は前納せしむることとし、町村に於て左記各項以外の施設を必要とする時は生業資金配當額の二割以内に於て罹災民又は町村會議員・復興委員會等の同意を得て其の施設費に充てることを得
第二、生産施設援助
(一)水産業共同施設
町村長は管内の漁業組合をして其の施設に當らしめ、水産物の副業的製造加工處理設備(製造工塲建築費並器具機械其他)に充てるものとす
(二)養蠶業共同施設
町村長は管内養蠶實行組合をして其の施設に當らしむ。而して此の實施指導斡旋のため郡養蠶組合をして專ら之に當らしめ、稚蠶共同飼育所の設置及び乾繭機・製籏機の設備、稚蠶共同桑園の設置をなさしむ
(三)畜産共同施設
町村長は管内の農會・畜牛組合・養豚組合・養鷄組合等をして一種牛の購入、二飼料共同調製所の設備、三豚に關する共同施設をなさしむ
(四)林業共同施設
町村長は産業組合又は出荷組合等の共同經營をなさしめ、若し是等組合の設なき町村にありては速に生産者を綱羅する組合を組織せしめ、木炭共同仕別所及び桐苗養成共同苗圃を設置せしむ
(五)副業共同施設
町村長は産業組合をして一製莚機購入、二農産加工塲建設並運轉資金助成、三共同裁縫所建設、四藁細工共同作業所建設、五藁細工器具購入等をなさしむ
(六)商工施設
町村長は産業組合をして一椿油製造工塲建設並運轉資金助成、二ブラシ製造、三桶・樽・籠及び海産物容器類製造等の施設をなさしむ
(七)其の他の施設
叙上各生産施設の外更に施設を要する時は本配當金に依り計畫を樹て県の承認を得て實施せしむ
第三、死者の弔慰に關する援助
町村は遭難者の祭祀を絶たざる方法を講じ且つ毎年震災當日弔祭を行ひて其の追憶を新にし災害防止の觀念を喚起せしむ
第四、災害豫防及備荒施設援助
(一)備荒林及防潮林苗圃の造成援助
備荒林は町村施業主體となり防潮林苗圃は町村若しくは町村の委託者をして經營せしむ
(二)備荒倉庫設備
町村は災害其他非常時に備へ且つ日常生活の調節に資するため備荒倉庫を訟け、其の設備は配當金を三分し建築費・入庫品(米雜穀衣類日用品等)運轉資金に充てしむ
右の外醫療及救護援助並災害豫防及備荒施設援助として一醫療施設、二養老養育施設、三託兒所及授産施設、四水難救済施設援助、五津浪豫報施設等は事業の性質上町村個々に行はず罹災地方全般に亘り統一的に行ふは實效を擧ぐる所以なるを以て県又は團體をして實施せしむ



醫療施設費金五萬二百五十六圓也(衛生課)
養老養育費金五千五百三十圓也(社會課)
托兒所施設費金一萬八千圓也(愛國婦人會岩手県支部)
授産施設費金二千圓也(右同)
授産施設費金一千圓也(教育課)
水難救済施設費金三千圓也(保安課)
津浪豫報施設費金三千五百圓也(土木課)
配分總額金一百十三萬六千二百四十七圓五十三錢也

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義捐金配分表
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生産施設及災害豫防施設計畫表
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生業資金配分表
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死者行方不明者弔慰ノ援助
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備荒林及防潮林苗圃造成援助

第五節 県教育會の義捐金募集

県教育會は罹災の教員兒童救恤のため單獨に県内外の教育關係方面に向つて義捐金の募集を行つたが其の總額四萬八千七百十五圓八錢に達し、之を弔慰・被服學用品配給・學資補給・救恤施設等を主眼として左の如く分配した。

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配分費目
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義捐金の指定と配當率

第六節 義捐品の無賃輸送

救恤用寄贈品の輸送に就いて鐵道省は特に三月四日より五月三日迄省線及び岩手輕便鐵道内を無賃で取扱ひ、又三陸汽船株式會社は自らの甚だしい被害を措き無賃輸送の便宜を與へた。


義捐金の處分
義捐金の募集總額は前述の通り百四十萬六百三十九圓九十一錢であるが、内指定義捐金は夫々指定の如く配分し、一般義捐金中八月一日配分の殘金及び其の後の義捐金共十二萬三千八百八十六圓九十七錢並に預金利子五千三百九圓五十二錢此の合計十二萬九千百九十六圓四十九錢は左の如く處分した。
八三、五一一、七九〇 震災地方民ノ精神作興及授産教養施設
二五〇、○○○ 死者弔慰ニ關スル施設費
三、五七一、四四〇 生活補給
二六一、○○○ 醫療救療費
四一、六〇二、二六〇 社會事業資金

第四編復舊事業

第一章 復舊計畫

第一節 復舊計畫概要

県は津浪の發生以來臨機應急の施設を爲し罹災民の救護及び被害の復舊に全力を傾到したが三月七日本廳内に復興事務局を設置して從前の諸施設を統一し、救護・警備に任ずるとともに復舊並に復興に關する企畫と其の執行に鞅掌せしめ、次いで四月六日同局の規程を改訂し新たに總務課を置き、專ら復舊・復興に關する事業の聯絡統制と指導監督に任じた。
而して復興事務局の組織成るや關係各課は直ちに之が對策の樹立に着手し、被害の状况に基づいて周到な復舊並に復興に關する計畫案を作成、石黒知事は三月十一日夜上京十二日以來關係各省を歴訪し具に慘憺たる災害の實情を訴へて助成を懇請したるに、當時帝國議會の會期剩すところ十餘日に過ぎず追加豫算として提案が出來るや否やに疑があつたにも拘らず、各省共深く県情に同情し之が審査に晝夜兼行の努力を拂はれ、兩院亦非常なる同情を寄せられ遂に昭和八年度追加豫算として復舊事業に關する各費目の計上を見るに至つた。所謂復興計畫とは將來津浪の襲來に際し其の災害を防止する爲、諸般の防浪施設を講じ更に進んで罹災地方の産業を進め地方の富力の増進を圖らむとするものであるが、當時政府に於ては復興計畫は其の内容複雜であつて期日切迫の折柄到底その審議を遂げること不可能なる理由によつて留保せられ、八年度豫算には内務省及び農林省に海嘯災害豫防調査費として各二萬圓を計上してこれが調査研究を遂げることとなつた。かかる經緯のもとに昭和八年度豫算に於て復舊費として本県の分に付認められた金額は補助金及び補給金を合し總額四百四十五萬餘圓に達したのである。而して補助金は事業の種類に依り補助率に相違あるが救護・救療・警備に就いては全額を補助せられ、農作物・種苗及び蠶種等應急必要のもの亦全額補助せられ、又災害復舊土木事業及び街路復舊事業には八割五分他の大部分は五割を補助せらるることとなり、斯くて廣汎に亘る復舊事業は政府の非常なる援助に依りて順調なる進捗を見るに至つた。
一方大藏省預金部に於ては運用委員會を開き三陸地方震災復舊資金として低利資金を融通することに決定本県に對しては一千百七萬一千圓を配當せられることとなつた。この低利資金の融通形式は県債・町村債又は勸業債券・産業債券の引受に依ることは勿論であるが、各種組合又は罹災者に融通する資金に付銀行を經由するの原則を破り特に県轉貸の便宜なる方法を認められたるは、預金部が罹災地の事情を深く斟酌せられた結果に基づく特別の詮議に出づるものである。是等資金の概要を記せば左の通りである。(表中經由機關の欄に於て直接とあるは県若しくは町村が直接預金部より借入るを謂ひ県とあるは預金部より県が融通を受け県より事業主體に轉貸するものを謂ふ)


岩手県震災復舊資金貸付規程
岩手県震災復舊資金貸付規程左ノ通定ム
昭和八年八月九日
岩手県知事石黒英彦


岩手県震災復舊資金貸付規程
第一條昭和八年三月三日ノ地震及之ニ伴フ海嘯又ハ火災ニ因ル災害復舊ノ爲本規程ノ定ムル所ニ依リ豫算ノ範圍内ニ於テ資金ヲ貸付ス
第二條本資金貸付ニ關スル事業區分及借受主體左ノ如シ
一水産復舊事業
漁船漁具ノ新調又ハ修繕但シ定置漁具ニシテ一統壹萬圓ヲ超ユルモノノ新調及新調ニ要シタル一統ノ費用壹萬圓ヲ超ユルモノノ修繕ハ之ヲ除ク
水産物ノ共同販賣所、共同製造塲又ハ共同倉庫ノ新築又ハ修繕
水産物ノ共同養殖塲又ハ共同乾燥塲ノ新設又ハ修繕
水産復舊事業資金ノ借受主體ハ町村、漁業組合又ハ産業組合トス
ニ蠶絲業復舊事業
稚蠶共同飼育所ノ新築
蠶具ノ新調又ハ修繕
蠶絲業復舊事業資金ノ借受主體ハ町村又ハ産業組合トス
三農産復舊事業
農具ノ購入
納舎又ハ肥料舎ノ新築
農産復舊事業資金ノ借受主體ハ町村又ハ産業組合トス
四畜産復舊事業
家畜又ハ飼料ノ購入
畜産復舊事業資金ノ借受主體ハ町村トス
五耕地復舊事業
耕地ノ復舊
耕地復舊事業資金ノ借受主體ハ町村又ハ耕地整理組合トス
六商工復舊事業
工場又ハ店舗ノ設備
貨物運送船ノ建造
商工復舊事業資金ノ借受主體ハ町村卜ス
七住宅組合住宅復舊事業
住宅ノ新築
住宅組合住宅復舊事業資金ノ借受主體ハ町村トス
八郵便局舎復舊事業
郵便局舎ノ新築郵便局舎復舊事業資金ノ借受主體ハ町村トス
九産業組合建物復舊事業
住宅ノ新築
共同設備(公會堂、浴場、水道、作業場、製造場、倉庫、家具、什器等)
産業組合建物復舊事業資金ノ借受主體ハ産業組合トス
第三條 本資金ノ貸付ヲ受ケタル町村ハ其ノ事業區分ニ應ジ左ノ者ニ之ヲ轉貸スルモノトス
一水産復舊事業ヲ行フ十人以上ノ連帶者
二蠶絲業復舊事業ヲ行フ養蠶實行組合
三農産復舊事業ヲ行フ農事實行組合又ハ十人以上ノ連帶者
四畜産復舊事業ヲ行フ十人以上ノ連帶者
五耕地復舊事業ヲ共同シテ行フ者
六商工復舊事業ヲ行フ商業組合、工業組合又ハ十人以上ノ連帶者
七住宅復舊事業ヲ行フ住宅組合
八郵便局舎復舊事業ヲ行フ者
一箇町村ノ借受希望者十人ニ満タザル場合ニ於テハ連帶者十人未満ナル場合卜雖モ之ガ貸付ヲ爲スコトヲ得
第四條 本資金ノ貸付利率ハ年三分二厘トス
町村ハ轉貸ノ場合利鞘ヲ徴スルコトヲ得ズ
第五條 本資金ノ貸付ヲ受ケタル者ハ左ノ區分ニ依リ各半箇年賦元利均等償還ノ方法ニ依リ毎年八月一日及二月一日迄ニ各六箇月間ニ屬スルモノヲ支拂フコトヲ要ス
据置期間中ノ利子ハ毎年八月一日及二月一日迄ニ各六箇月間ニ屬スルモノヲ支拂フコトヲ要ス
一 水産復舊事業資金
(イ)漁船復舊資金 二十箇年(五箇年ノ据置期間ヲ含ム)
(ロ)漁具復舊資金 十箇年(三箇年ノ据置期間ヲ含ム)
(ハ)共同販賣所復舊資金 二十箇年(五箇年ノ据置期間ヲ含ム)
(ニ)共同製造場復舊資金 二十箇年(五箇年ノ据置期間ヲ含ム)
(ホ)共同倉庫復舊資金 二十箇年(五箇年ノ据置期間ヲ含ム)
(ヘ)共同養殖設備復舊資金 十箇年(三箇年ノ据置期間ヲ含ム)
二 蠶絲業復舊事業資金
(イ)稚蠶共同飼育所設置資金二十箇年(五箇年ノ据置期間ヲ含ム)
(ロ)蠶具復舊資金十箇年(三箇年ノ据置期問ヲ含ム)
三農産復舊事業資金
農産復舊資金十箇年(三箇年ノ据置期間ヲ含ム)
四畜産復舊事業資金
畜産復舊資金十箇年(三箇年ノ据置期間ヲ含ム)
五耕地復舊事業資金
耕地復舊賓金二十箇年(五箇年ノ据置期間ヲ含ム)
六商工復舊事業資金
商工復舊資金二十箇年(五箇年ノ据置期間ヲ含ム)
七産業組合建物復舊事業資金
産業組合建物復舊資金二十箇年(五箇年ノ据置期間ヲ含ム)
八住宅復舊事業資金
住宅復舊資金二十箇年(五箇年ノ据置期間ヲ含ム)
九郵便局舎復舊事業資金
郵便局舎復舊資金二十箇年(五箇年ノ据置期間ヲ含ム)
第六條 資金ノ貸付ヲ受ケムトスル者ハ各事業毎ニ借入申請書(第一號樣式)ニ左ノ書類ヲ添付シ昭和八年八月末日迄ニ之ヲ知事ニ提出スベシ
一事業計畫書
二償還計畫書(第二號樣式)
三起債ニ關スル決議書謄本
四借入金償還年次表(第三號樣式)
五事業ニ關スル收支豫算書(第四號樣式)
六貸付規程(轉貸セムトスル場合ニ限ル)
七利用規程(町村ヲ除ク)
八擔保物件調又ハ保證ヲ證スル書類(町村ヲ除ク)
九財産調書
一〇負債調書
一一貸付豫定個人別調書(轉貸セムトスル場合ニ限ル)(第五號樣式)
一二設備利用者名簿(町村ヲ除ク)
第七條 町村、漁業組台、産業組合其ノ他ノ團體ニ於テ貸付ヲ受ケタル資金ノ轉貸ヲ爲サム卜スルレキハ貸付規程ヲ定メ知事ノ承認ヲ受クベシ變更シタルトキ亦同ジ
第八條 資金ノ貸付ヲ受ケタル漁業組合、産業組合ハ左ノ事項ヲ嚴守スベシ
漁業組合ニ在リテハ
一組合員ノ漁獲物竝ニ製造加工品中知事ノ指定スルモノハ之ヲ組合ニ於テ共同販賣ヲ爲スコト
二共同販賣代金ヨリ元利償還金ヲ徴收スルコト
産業組合ニ在リテハ
一新築シタル住宅及住宅用地ハ資金償還ニ對スル擔保トシ之ニ抵當權ヲ設定セシムルコト
ニ前號ノ抵當權ヲ抹消スル場合ハ知事ノ承認ヲ受クルコト
三組合員ハ組合ノ目的タル生産品ノ販賣、購買品ノ買入、貯金ノ預入、産業竝ニ經済設備利用ニ付必ズ組合員ヲシテ利用セシムルコト
四生産品ノ販賣代金ヨリ元利償還金ヲ徴收スルコト
五出資額ハ本資金借入額ト同額以上タラシメ止ムヲ得ザル場合卜雖モ出資額及保證金額ノ合計額ヲシテ借入金額ヲ下ラシメザルコト
第九條 資金貸付ノ通知ヲ受ヶタル者ハ借用證書(第六號樣式)ヲ差出シ資金ノ貸付ヲ受クベシ
漁業組合、産業組合又ハ耕地整理組合ヨリ差出スベキ借用證書ニハ役員全員ノ個人保證ヲ要ス
第十條 左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ資金ノ貸付ヲ取消シ又ハ貸付期間内ト雖モ元利金ノ全部若ハ一部ヲ即時返還セシムルコトアルベシ
一本規程ニ違反シタルトキ
二資金貸付ノ條件ニ違反シタルトキ
三事業ノ施行方法又ハ貸付不適當ト認メタルトキ
四其ノ他知事ニ於テ必要ト認メタルトキ
第十一條 本資金ノ貸付ヲ受ケタル者ハ其ノ貸付ヲ受ケタル日ヨリ二月以内ニ事業ニ着手シ又ハ轉貸ヲ了スルコ卜ヲ要ス策十二條 町村其ノ他ノ團體ニ於テ轉貸ヲナシタルトキハ第七號樣式ニ依り其ノ月分ヲ翌月五日迄ニ之ヲ報告スベシ
第十三條 本資金ノ貸付ヲ受ケタル者事業完了シタルトキハ五日以内ニ事業報告書ニ收支計算書(第四號樣式ニ準ズ)ヲ添 へ報告スベシ
第十四條 本資金ノ貸付ヲ受ケタル者元利金ノ償還ヲ怠リタルトキハ償還金百圓ニ付一日金四錢ノ割合ヲ以テ延滯金ヲ支拂 フベシ

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震災復舊事業資金一覽表
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預金部直接貸町村別配當表
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震災復舊資金町村別配當表(県轉貸ノ分)其の一
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同 其の二
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震災復舊資金町村別配當表(勸業銀行及中央銀行經由ノ分)
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書類様式

第二節 土木事業の復舊策

災害復舊の土木工事は、其の被害が甚だしく且つ財政の逼迫に依り到底県の自力を以て施行し難いため、三月三日震災直後知事は至急電報を以て内務省土木局長・農林省水産局長に報告したるに、土木局に於ては直ちに現場調査を開始し即夜事務官近藤欣一・技師長久保俊夫兩氏の一班をして南端宮城県界より、事務官谷口松雄・藏重長男兩氏の一班をして北端青森県界より調査せしむべく派遣し、四日朝には夫々災害地に到着した。

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災害復舊土木費調(△ハ減)
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昭和七年度國庫補助災害工事管區別表
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県所屬昭和七年度國庫補助災害工事管區別表
一 道路橋梁等

道路橋梁の復舊工事は盛岡久慈・盛一關・小本小鳥谷・福岡久慈・盛釜石・釜石宮古・久慈八戸・小本宮古・小本久慈・高田氣仙沼の十路線に付、道路八十六箇所・橋梁三十箇所を國庫の補助に依り總工費四十三萬八千百四十六圓を以て施行し、道路百三箇所・橋梁三十一箇所を県限に於て總工費四萬七千百七十圓を以て施行し、更に町村所屬にかかる道路六十五箇所・橋梁四十三箇所・河川三十五箇所・海岸港灣四十九箇所を國庫補助に依り總工費百十五萬一千九百三十一圓を以て施行することとした。
而して國庫補助に依る県・町村各所屬の復舊工事は、其の經費豫算を政府に要請したが、内務省に於て百七十八萬一千八十九圓に査定し、更に大藏省に於て百五十九萬七十七圓に査定し其の八割五分を國庫より補助するに決定した。

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県所屬昭和七年度災害土木費路線別表
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県所屬昭和七年度國庫補助災害土木工事箇所別表 道路之部
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橋梁之部
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県限災害復舊費管區別表
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県限災害土木工事路線別表
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昭和七年度県限災害工事箇所別表 道路之部
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昭和七年度県限災害工事箇所別表 橋梁之部
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町村所屬昭和七年度國庫補助災害土木工事管區別表
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町村所屬昭和七年度災害土末費町村別表
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昭和七年度町村組合別國庫補助災害土木工事箇所別表
二 街路

罹災町村の中甚だしく街路を破壞された釜石・山田・田老・大槌・氣仙・大船渡・末崎の七箇町村に對する街路の復舊は總工費十萬圓の査定に依り、其の内八萬五千圓は國費の補助に仰ぎ、一萬五千圓は各町村の負擔を以て施行することとなつた。

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街路復舊計畫表(昭利八年十二月二十日現在)
三 港灣

昭和七年度匡救事業の施行中に係るものの中被害を受けた釜石港外十一港の被害額及び復舊方法は左表の通りである。

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港灣被害額箇所別表(内務省關係分)
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船溜、船揚場被害額箇所別表(農林省關係)
四 住宅地造成

將來津浪襲來の際に於ける人命並に住宅の安全を期する爲、今次並に明治二十九年に於ける津浪襲來の浸水線を標準として其れ以上の高所に住宅を移轉せしむることとし、倒壞家屋も多からず且つ造成に多額の工事費を要せざる適當なる小面積の移轉地が分散せる部落に就いては別に資金を供給せず各箇に分散移轉の方法に依らしめ、其の然らざる地方即ち四郡内二十箇町村の四十五部落約二千二百戸は集團的に移轉せしむることとし、之が造成に要する工事費三十四萬五千圓を預金部低利資金の融通に仰ぎ之を左表の如く各町村に配當、県に於て設計し内務省都市計畫課の承認を受けたる上各町村に交付し、町村を事業主體として之を執行せしむることとした。只諸般の事情に依り高地移轉の不可能なる地方、例へば釜石町・大槌町・山田町の如きは止むを得ず原地に住宅を復舊せしむることとし、將來の津浪災害防止策として後章に記述する如く防浪堤・防浪護岸等の築造を計畫した。


住宅適地造成資金利子補給ニ關スル通牒(昭和八年三月三十日土第一、二四一號沿海各町村長宛)
三陸地方震嘯災ニ因リ流失、倒壞又ハ浸水シタル區域ニ於ケル住宅ノ復舊ニ際シ其ノ住宅ヲ高所ニ移轉セシムル爲住宅適地ノ造成ヲ爲スモノニ對シテハ政府ヨリ低利資金ヲ融通シ其ノ利子ヲ補給セラルベキニ付左記條件ノ下ニ希望ノ向ハ別紙住宅移轉計畫ノ概要ニ基キ來ル四月七日迄ニ本県ニ御申出相成度
追テ同日迄ニ本県ニ御申出ナキ向ハ.希望ナキモノトシテ處理可致候條爲念申添候

一、低利資金ハ五ケ年据置キ十五ケ年償還(利子補給)
二、設計、調査並ニ工事監督ハ県ニ一任スルコト
三、右ニ要スル費用トシテ事業費ノ内一割ヲ県ニ寄附スルコト
四、住宅適地ノ造成ハ移轉ニ必要ナル敷地ノ地均工及連絡道路ノ改修ニ限ル
五、事業ノ主體ハ町村トス


(別紙)住宅移轉計畫概要
何郡何町村何部落
1 移轉ヲ要スル棟數 何棟
2 移轉ニ要スル面積 何坪
但シ一棟五十坪以内ニ取リ度シ
3 連絡道路ノ延長何間
但シ平均幅九尺トシ一棟當二十間以内トシ度シ
4 移轉セムトスル土地ノ地形
山地ナルヤ緩傾斜地ナルヤ説明ノコト
5 敷地工法ノ大要
切盛ヲ必要トスルヤ切取ノミヲ必要トスルヤ或ハ盛土ノミヲ必要トスルヤ
6 飮料水
附近溪流ヨリ引水出來ル見込ナルヤ鑿井ニ依ル見込ナルヤ
7 平面圖
參謀本部五萬分一地形圖又ハ見取圖ニ移轉地ノ位置及飮料水水源地位置ヲ記入セルモノヲ添付スルコト

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住宅適地造成計畫表

第三節 水産事業の復舊策

津浪のため沿岸一帶の水産業者は、其の生命とする漁船・漁具・製造場等を殆ど流失し、若しくは破壞されて生業の途を失つたが、漁民の大半は資力に乏しく県並に政府の助成によらねば到底再起し得ぬ窮状に陷つた。県は即ち諸般の被害の中最も急施を要する水産業の復舊に最善の努力を盡くし、政府に要請して復舊に要する總經費六百五十六萬一千四百四十七圓の内二百萬五千百五圓を國庫の助成に仰ぎ、三百二十萬五千圓を低利資金の融通に依り、爾餘の百三十五萬一千三百四十二圓は罹災者の自己出資を以て漁船・漁具・共同販賣所・共同製造場・共同倉庫・共同養殖場等の復舊に當つた。
右復舊助成の計畫は概ね原状に復するを以て主眼としたが、更に進んで改善向上の途を講ぜしめ且つ漁業組合・産業組合等の機關を運用して當業者の共同經營に移し、協力一致、共存共榮の途に向つて邁進せしむる方針を執つた。

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水産業復舊助成金一覽表
一 漁船

漁船の復舊に就いては先づ第一に小漁船一千隻の建造を計畫し、之に要する船材は國有林の拂下げに依り又資金は県の一時貸附に依つて、各漁業組合を主體とし全力を盡くして其の竣功に當らしめ、更に約四千隻は漸を追つて建造することとした。
而して小漁船の建造に先だち農林省水産局及び大日本水産會の援助に依り県内各地方の船型を調査し、造船能率を増進するため規格を統一して標準船型を制定し船匠の工作を統制した。次いで發動機附漁船の建造を計畫し、發動機關は粗製品の供給を避くる爲水産局の斡旋に依つて全國各地の優良工場に分割註文し、斯くて五噸以下の動力船及び無動力船は漁業組合より組合員に貸與の形式を執らしめ漸次個人有若しくは共有に移す方針を執り、又五噸以上の動力船は從前の關係を考量して個人有若しくは漁業組合・産業組合等の機關を利用せしむる等便宜の方法に據らしめた。

二 漁具

漁船の復舊と前後して漁具の復舊に着手し、小漁具は各漁業組合に於て共同購入の上之を組合員に貸與し漸次個人有とする方針を執り、大規模の漁具は五噸以上の動力船に準じて處置することとした。

三 共同施設

漁船及び漁具の復舊に對する措置が一段落を告げた後、各郡の水産會を督勵し漁業組合等と協議して共同販賣所の復舊に努め、或は從前個々に經營した製造場・倉庫・養殖場等を共同經營に改めて經費の輕減を圖らしむる方針を執つた。
尚ほ以上の計畫に伴なふ震災復舊水産業助成規程並に助成施行に關する通牒は左の通りである。


震災復舊水産業助成規程(昭和八年五月十五日県告示第三〇九號)
第一條 震災地ニ於ケル水産業復舊ヲ助成スル爲本規程ノ定ムル所ニ依リ豫算ノ範圍内ニ於テ補助金ヲ交付ス
第二條 補助金ハ昭和八年三月三日ノ震災及之ニ伴フ火災又ハ海嘯ニ因リ損害ヲ被リタル漁船・漁具ノ新調若ハ修繕、水産物ノ共同販賣所・共同製造場・共同倉庫ノ新築若ハ修繕又ハ共同養殖設備・船溜・船揚場・築磯ノ新設若ハ修繕ノ費用ニ對シ之ヲ交付ス但シ左ノ費用ニ對シテハ補助金ヲ交付セズ
一、動力附漁船ニ付テハ左ノ各號ノ一ニ該當スル發動機關ノ新調ニ要スル費用
(一)外國製ノモノ
(二)漁船ニ定着セザルモノ
(三)吸入瓦斯發動機
(四)揮發油發動機(但シ機關發動ノ爲揮發油ヲ用フルモノハ此ノ限ニ在ラズ)
二、新調費一統一萬圓ヲ超ユル定置漁具ノ修繕ニ要スル費用
第三條 水産物ノ共同販賣所・共同製造場・共同倉庫ノ新築若ハ修繕又ハ共同養殖設備・船揚場・築磯ノ新設若ハ修繕ノ費用ニ對スル補助金ノ交付ヲ受クルコトヲ得ベキ事業主體ハ左ニ掲グルモノニ限ル
一、市町村
二、漁業組合又ハ漁業組合聯合會
三、産業組合又ハ産業組合聯合會
四、水産組合
五、水産法ニ依リ設立シタル水産會
六、十人以上ノ團體
七、以上ノ外特別ノ事由ニ依リ知事ニ於テ適當ト認メタルモノ
第四條 補助金ハ左ノ標準ニ依り之ヲ交付ス但シ知事ニ於テ必要アリト認ムルトキハ左ノ率ヲ超エテ之ヲ交付スルコトアルべシ
一、漁船漁具(定置漁具ヲ除ク)ノ新調又ハ修繕費用ノ二分ノ一以内
二、定置漁具ノ新調又ハ修繕費用ノ四分ノ一以内
三、水産物ノ共同販賣所・共同製造場若ハ共同倉庫ノ新築若ハ修繕又ハ共同養殖設備・築磯ノ新設若ハ修繕費用ノ二分ノ一以内
四、船溜・船揚場ノ新設又ハ修繕費用ノ四分ノ三以内
第五條 補助金ノ交付ヲ受ケムトスル者ハ申請書ニ左ノ書類ヲ添へ昭和八年六月十五日迄ニ知事ニ提出スベシ一、事業計畫書(第一號樣式)
二、設計書(第二號樣式)
三、收支豫算書(第三號樣式)
前項ノ書類ノ外知事ハ必要ト認ムル書類ノ提出ヲ命ズルコトアルベシ
第六條 補助金交付ノ指令ヲ受ケタル者其ノ計畫、設計若ハ豫算ニ重大ナル變更ヲ加ヘムトスルトキハ知事ノ認可ヲ受クベシ
第七條 補助金交付ノ指令ヲ受ケタル者ハ昭和九年三月三十一日迄ニ設備ヲ完了スベシ但シ已ムヲ得ザル事由ニ因リ豫メ知事ノ承認ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第八條 補助金交付ノ指令ヲ受ケタル者其ノ設備完了シタルトキハ遅滯ナク經費精算書ヲ添ヘ知事ニ届出デ檢査ヲ受クベシ知事ニ於テ特ニ檢査ノ時期ヲ指定シタルモノニシテ其ノ部分工事ノ竣成シタルトキ亦同ジ
前項檢査ノ結果知事ニ於テ不備ノ廉アリト認メタルトキハ其ノ設備ノ變更ヲ命ズルコトアルベシ
第九條 補助金ハ檢査終了シタル後請求書ノ提出ヲ俟チテ之ヲ交付ス但シ部分拂ノ場合ニ於テハ其ノ出來型ノ三分ノ二以内ヲ交付スルモノトス
第十條 補助金ノ交付ヲ受ケタルトキハ其ノ日ヨリ漁船・漁具又ハ共同養殖設備ニ在リテハ三箇年間、水産物ノ共同販賣所・共同製造場若ハ共同倉庫・船溜又ハ船揚場ニ在リテハ五箇年間 許可ナクシテ使用ノ日的ヲ變更シ若ハ重大ナル變更ヲ加ヘ又ハ譲渡スルコトヲ得ズ
第十一條 知事ニ於テ必要アリト認ムルトキハ前條ニ掲グル期間内何時ニテモ當該官吏又ハ吏員ヲシテ該設備ヲ檢査シ又ハ其ノ状况ニ關スル調書ノ提出ヲ命ズルコトアルべシ
第十二 條本規程ニ違背シ若ハ不正ノ行爲ヲ以テ補助金交付ノ指令ヲ受ケ又ハ補助金ノ交付ヲ
受ケタル者ニ對シテハ其ノ指令ヲ取消シ又ハ補助金ノ全部若ハ一部ノ返還ヲ命ズルコトアル ベシ
第十三條 本規程ニ依り知事ニ提出スベキ書類ハ所轄町村長支廳管内ニ在リテハ所轄町村長及 支廳長ヲ經由スベシ


第一號樣式
事業計畫書
一、設備ノ種類
二、設備ヲ必要トスル理由
三、設備ノ目的及用途
四、設備ノ場所
五、設備完了後ノ事業經營目論見概要


第二號樣式ノ一
無動力漁船新調(修繕)設計書
一、船材
二、船體ノ長・幅・深
三、外板ノ厚
四、甲板ノ有無
五、艪ノ所要數
六、起工及竣工豫定年月日
左ノ書類ヲ添附スルコト
船體略圖及新調(修繕)設計仕樣書
備考 修繕ノ場合ニ於テハ船體ノ建造年月日ヲ記載スルコト


第二號樣式ノ二
動力附漁船新調(修繕)設計書
一、船種及船名
二、船體ノ長・幅・深
三、總噸數
四・機關ノ種類及純長力(「シリンダー」ノ徑及數「ストローク」並ニ一分間ノ囘轉數)
五、造船者ノ住所氏名
六、機關ノ製作所
七、起工及竣工豫定年月日
左ノ書類ヲ添付スルコト
(一)船體圖面中央横截面圖、中心線縱截面圖、甲板平面圖及船艙内平画圖)
(二)船體新調(修繕)設計仕樣書
(三)發動機圖(重要部構造ヲ知ルニ足ルモノ)
(四)發動機新調(修繕)設計仕樣書
備考 修繕ノ場合ニ於テハ船鑑札番號ヲ記載スルコ卜


第二號樣式ノ三
漁具新調(修繕)設計書
一、 漁具ノ名稱及數
二、構造概要
三、屬具ノ種類及數
四、漁業方法、從業人員及主タル漁獲物(動力附漁船ヲ使用スルモノニ在リテハ使用スル漁船ノ船名、噸數及馬力ヲ記載スルコト)
五、新調(修繕)設計仕樣書
六、新調(修繕)完了豫定年月日
備考
(一)修繕ノ場合ニ於テハ既設漁具ノ製作年月日ヲ記載スルコト
(二)定置漁具ニ在リテハ敷設漁塲ノ免許番號ヲ記載スルコト


第二號樣式ノ四
共同販賣所新築(修繕)設計書
一、販賣所及附屬建築物ノ敷地坪數及建坪數(各階別)
二、設計ノ概要(略圖添附)
三、附屬設備ノ概要
四、取扱數量ノ見込
五、起工及竣工豫定年月日
左ノ書類ヲ添附スルコト
建設場所附近ノ略圖(棧橋其ノ他設備利用上關係アル設備ノ位置ヲ明示スルコト)及新築(修繕)設計仕樣書
備考 單ニ附屬設備ノミノ揚合ニ於テハ之ニ準ジテ記載スルコト


第二號樣式ノ五
共同製造場ノ新築(修繕)設計書
一、建設場所ノ敷地坪數及建坪數
二、設計ノ概要(略圖添附)
三、機械器具ノ名稱及構造概椴要(略圖添附)
四、動力其ノ他附屬設備ノ概要
五、機械器具製作所又ハ販賣所名及所在地
六、機械器具買入及据付豫定年月日
七、起工及竣工豫定年月日
左ノ書類ヲ添附スルコト
(一)建設場所附近略圖
(二)機械器具据付場所附近ノ略圖
(三)建築物新築(修繕)設計仕樣書
(四)機械器具ノ新調(修繕)設計仕樣書


第二號樣式ノ六
共同倉庫ノ新築(修繕)設計書
一、倉庫及附屬建築物ノ敷地坪數及建坪數
二、倉庫ノ室數及各室ノ面積容積
三、外部建築材料ノ種類
四、設計ノ概要(略圖添附)
五、防熱防濕防寒其ノ他特殊設備アラバ其ノ構造ノ概要
六、貯藏物ノ種類及數量
七、起工及竣工豫定年月日
左ノ書類ヲ添附スルコト
(一)建築場所附近ノ略圖
(二)新築(修繕)設計仕樣書


第二號樣式ノ七
共同養殖設備ノ新設(修繕)設計書
甲養殖場
一、設備場附近ノ地勢又ハ海况(海軍水路部發行海圖若ハ陸地測量部發行五萬分ノ一地形圖又ハ其ノ寫ニ施設場所ヲ明示シタルモノ添付)
二、設備場所ノ水面坪數及漁場免許番號
三、設計ノ概要
四、新設(修繕)一坪當リ單價表
五、起工及竣工又ハ買入豫定年月日
乙乾燥場
一、設備場所附近ノ地勢概况(略圖添附)
二、敷地ノ坪數
三、設備ノ概况(略圖添附)
四、附屬設備ノ概要
五、起工及竣工又ハ買入豫定年月日


第二號樣式ノ八
築磯設備ノ新設(修繕)設計書
一、建設場所附近ノ地勢(略圖添附)
二、施行數量
(イ)漁礁ニ在リテハ沈設スベキ總船數(但シ船ヲ使用セズ枠其ノ他ノモノヲ使用スルトキハ其ノ總數)
(ロ)投石ニ在リテハ總面積及總投石數
(ハ)磯掃除ニ在リテハ總面積
三、單價表(漁礁ニ在リテハ船一隻當單價投石及磯掃除ニ在リテハ一坪當單價)
備考 漁礁、投石及磯掃除ノ種類別ニ作成スルコト


第二號樣式ノ九
船溜、船揚場ノ新設(修繕)設計書
一、施設場所附近ノ地勢概况(海軍水路部發行海圖又ハ陸地測量部發行五萬分ノ一地形圖若ハ其ノ寫ニ施設場所ヲ明示シタルモノ添附)
二、工事計畫ノ概要(修繕ニ在リテハ既設工事ノ大要及被害部明細並ニ復舊工事計畫ヲ説明シタルモノ)
三、各工事種目ノ配置、規模及構造
四、敷地又ハ水面坪數ト其ノ利用ノ豫想
五、工事施行方法(直營又ハ請負ノ區別ヲ記載シタルモノ)
六、起工及竣工豫定年月日
左ノ書類ヲ添附スルコト
(一)工事設計仕樣書
(二)設計圖(施行箇所大勢圖、平面圓、縱横斷面圖、工事工法圖)
(三)附屬設備ノ圖面及仕樣書


第三號樣式ノ一
何々新調(新築、新設又ハ修繕)收支豫算書
收入
一金何圓
内課
金何圓 県補助收入
金何圓 低利資金借入
金何圓 何々
支出
一金何圓
内課
金何圓 何々
金何圓 何々
金何圓 雜費
備考
一、設備完了後事業費收支豫算書ニ記載スベキ事項ナキトキハ其ノ旨附記スルコト
二、支出記載ハ左ノ例ニ依ルコト


記載例
一、漁船新調(修繕)
(一)船體(艤装、屬具及其ノ据付費ヲ含ム)
(二)機關(据付費ヲ含ム)
(三)防熱装置アラバ其ノ工費
(四)副漁具ノ買入費(据付費ヲ含ム)
(五)其ノ他
二、漁具新調(修繕)
(一)漁具製作又ハ買入費
(二)屬具買入費
(三)其ノ他
三、共同販賣所新築(修繕)
(一)敷地買入費
(二)建築物工費
(三)附屬設備費
(四)設計費及監督費
(五)其ノ他
四、共同製造場新築(修繕)
(一)敷地買入費
(二)建築物工費
(三)機械器具買入費
(四)機械器具運搬及据付費
(五)設計費及監督費
(六)其ノ他
五、共同倉庫新築(修繕)
(一)敷地買入費
(二)建築物工費
(三)附屬設備費
(四)防熱装置アラバ其ノ工費
(五)其ノ他
六、共同養殖設備新設(修繕)
甲養殖場
(一)設備費(設計費其ノ他ノ雜費ヲ含ム)
(二)附屬設備費
(三)其ノ他
乙乾燥場
(一)敷地買入費
(二)設備費(設計費其ノ他ノ雜費ヲ含ム)
(三)其ノ他
七、築磯ノ新設(修繕)
(一)工事費
(二)設計費及監督費
(三)雜費
八、船溜、船揚場新設(修繕)
(一)工事費
(二)附屬設備費
(三)設計費及監督費
(四)雜費


第三號樣式ノ二
設備完了後ノ事業費一箇年收支豫算書
收入
一金何圓
内譯
金何圓 何々收入
金何圓 何々收入
支出
一金何圓
内譯
金何圓 何々支出
金何圓 何々支出
差引
一金何圓 益(損) 金


○八、水第六三號
昭和八年五月三日内務部長
各漁業組合長殿
漁業組合聯合會長殿


水産業復舊ニ關スル件逼牒
首題ノ件別紙ノ通貴組合内ニ於ケル水産業復舊ニ對シテ助成金及低利資金供給相成ルベキ見込ニ付左記事項留意ノ上組合員ハ勿論貴組合地區内水産業者卜熟議協定シ共力一致共存共榮ノ精神ニ基キ速ニ適切ナル復計畫樹立相成樣致度此段及通牒候也

(一)別紙配當豫算ハ組合ノ實况ニ應ジ或ル程度迄總額並數量ノ増減ヲ認ムル見込ニ付實際ニ適應シ且ッ實行ノ見込確實ナル樣計畫セラルベシ
(二)配當豫算ハ復舊ヲ原則トスルハ勿論ナルモ復興ヲ加味スル例ヘバ無動力船數隻ヲ建造ノ代船トシテ壹隻ノ發動機付漁船ヲ新造シ或ハ個人製造所ノ個々ノ復舊ニ代フルニ共同製造場ヲ新築スルガ如キ復舊ハ可成認ムル見込ニ付充分留意諸般ノ計畫ヲ樹立セラルベシ
(三)低利資金ハ實際ノ所要額ヲ貸與シ助成金ハ精算額ニ對シ交付セラルルモノナルヲ以テ努メテ實際ニ近キ豫算ヲ計上セラルベシ
(四)曩ニ便宜配當シタル無動力漁船一千隻ハ別紙豫算中ニ包含スルモノト承知アルベシ
(五)計畫豫算中ニハ震災以降新設又ハ修繕シタルモノ一切ヲ包含シ計上セラルベシ
(六)漁船漁具ニアリテハ個人トシテハ低利資金ノ供給ヲ受クルニ困難ヲ伴フベキヲ以テ巳ムヲ得ザル者ノ外可成組合ニテ製作シ其レヲ組合員ニ貸附スルノ形式ヲ執ラルベシ但シ個人ノモノニ在リテモ可成組合ニ於テ適當ナル囘收方法ヲ定メ資金ヲ轉貸スル樣計ラレタシ
(七)海苔養殖揚、牡蠣養殖場ニ在リテハ組合ニ於テ材料ヲ購入シ其レヲ組合員ニ貸附スル形式ヲ執ラルベシ
(八)個人製造場ニ付テモ前二項ニ準ジ其ノ復舊ヲ容易ナラシムル樣適當ノ方策ヲ講ゼラルベシ
(九)漁網其ノ他ノ漁具ハ可成組合ニ於テ共同購入セラルル樣計畫セラルベシ
(十)漁船ニ付テハ各地ノ實情ヲ充分參酌シ夫々適當ナル標準船型圖及仕樣書ヲ近日中送付スベキヲ以テ該船型中適當ノモノヲ選定シテ統一的ニ建造セラルべシ
(十一)發動機付漁船ニ要スル發動機關ニ付テハ總テヲ水産局ニ於テ其ノ種類、馬力ノ大小ニ應ジ全國優秀ナル工場ニ製作セシメ檢査ノ上配給セラルルヲ以テ其レ以外自由ニ購入スルモノニ對シテハ助成金ノ交付ナキモノト承知セラルベシ
(十二)組合事業ト爲シ難キ各種個人事業ニ對シテモ組合ハ申請其他ノ手續等充分ニ指導斡旋シ可成組合ニ於テ取纒メ提出セシメラルベシ
(十三)豫算ノ各項目中ニ於テ
(イ)小漁具トアルハ捕鮑具、採藻具、柔魚釣具、其他ノ雜漁具
(ロ)曳網類トアルハ地曳綱、底曳網、船曳網、手繰網、桁網等
(ハ)旋綱類トアルハ揚繰網、巾着網等ノ各種旋網
(ニ)延繩類トアルハ沖合用鮪繩ヨリ近海用ノ鱈繩、鰈繩等大小一切ノ延繩
(ホ)刺網類トアルハ大小ノ各種刺網及流網
(へ)定置漁具トアルハ各種類及名稱ノ定置漁業用漁具
(ト)共同販賣所トアルハ漁業組合ノ共同販賣所及附屬設備
(チ)共同製造所トアルハ組合又ハ團體ノ製造、加工處理場及附屬設備器具機械類等
(リ)共同製造場就業資金トアルハ設備以外ノ事業資金
(ヌ)共同倉庫トアルハ漁具庫、水産物ノ貯藏庫等ノ共同設備
(ル)海苔養殖場トアルハ海苔網、海苔ヒビ等ノ購入費
(ヲ)海苔乾燥場トアルハ乾燥場設備、乾枠のり簀、抄製用具等海苔製造用具ノ一切
(ワ)牡蠣養殖場トアルハ筏設備ノ一切ヲ指スモノト承知セラルベシ
(十四)速念計畫ヲ樹立スベキハ勿論計畫樹立終リタル際ハ直ニ其レヲ(新造、新設又ハ修繕等ヲ爲スベキ數量及所要金額)各事業別ニ所屬町村經由報告セラルベシ
(十五)補助規程、資金貸付規程ハ近ク公布スベキニ付同規程ニ基キ申請書ヲ提出セラルベキモ差當リ資金回收方法及償還方法ヲ確立シ置クベシ
(十六)配當額中低利資金ニ付テハ豫メ貸付ヲ是認シタル義ニ在ラズ事業計畫妥當ナラザル向ニ對シテハ實際融通セザル場合アルベシ

第四節 農業の復舊策

一 農事復舊

罹災農家一千五百七十戸に對し、自家食料の補給として馬鈴薯の種薯一戸當り平均四俵を各郡農會を經て配付し、尚ほ作付に要する肥料一戸當り三圓及び鍬二梃・肥料桶一荷を配付、更に次季作付農作物種苗として籾・大豆・雜穀・蔬菜等の種子をそれぞれ県農會の斡旋によつて交付した。その事業費は二萬三千百八十三圓で全額補助によるものである。
又流失燒失による農具の復舊を助成する爲その購入に對し一戸當り八十圓以内に於て二分ノ一の額を補助することとし、郡農會をして共同購入を爲さしめた。その事業費十二萬五千八百圓の中六萬二千八百圓は國庫補助により、納屋及び肥料舍の復舊に就いては罹災農家一千二百六十一戸分一戸平均八十圓以内に於て二分ノ一の額を交付助成することとし、その事業費十萬四百四十圓の中五萬四百四十圓は國庫補助によつた。尚ほ罹災農家二千五百二十五戸に對して一戸平均三十六圓の低利資金を供給することとした。


○八農第二、二二四號
昭和八年五月二日
内務部長
下閉伊支廳長殿
關係町村長殿
震災蠶絲業復舊對策ニ關スル件
今次ノ三陸沿岸ノ震災ニ依ル蠶絲業ノ被害ノ状况ニ鑑ミ可及的蠶具ノ復舊ヲ講ジ掃立蠶種ノ配給ヲ爲スト共ニ蠶作ノ安定ヲ期セシムルコト最モ緊要ト認メ養蠶實行組合ノ行フ之等施設ヲ助成スル爲過ル臨時県會ノ協賛ヲ經テ蠶絲業復舊豫算成立致候ニ付左記要項ニ依リ之ガ助成ヲ爲スコトト相成候ニ付テハ右ノ趣旨篤ト御了知ノ上目的達成上萬遺憾ナキ樣御配慮相成度依命此段及通牒候也
追テ罹災養蠶家ニシテ養蠶實行組合ニ加入セザルモノ又ハ罹災町村ニシテ養蠶實行組合ノ設立無之向ハ之ガ契機トシテ加入又ハ設立セシメラルル樣致度此段申添候


震災復蠶蠶絲業助成要項
第一 補助金交付ノ主體及條件
被害養蠶實行組合ニシテ本年養蠶ヲ爲サムトスルトキハ左ニ掲グル費用ニ對シ補助金ヲ交付ス
(イ)家屋ノ流失又ハ全壞等被害激甚ナル個所ニ稚蠶共同飼育所ヲ設置ノ費用
(ロ)家屋ノ流失、全壞又ハ半壞・浸水シタル者ニ對スル供用蠶種購入配付ノ費用
(ハ)家屋ノ流失又ハ全壞ニ依リ蠶具ノ流失又ハ破損シタル者ニ對スル蠶具購入配付ノ費用
第二 補助金交付標準
(イ)一ノ(イ)ニ在リテハ設置費用ノ半額以内(但シ補助金ハ一箇所千三百圓ヲ最高限度トス)
(ロ)一ノ(ロ)ニ在リテハ掃立所要蠶種購入費ノ全額
(ハ)一ノ(ハ)ニ在リテハ購入費ノ半額以内
第三 申請手續及補助金交付方法
(イ)補助金ノ交付ヲ受ケムトスル養蠶實行組合ハ
一 蠶種及蠶具ニ付テハ別記樣式第一號ニ依ル申請書ニ別記樣式第二號ニ依ル事業計畫書ヲ添付シ町村長及郡養蠶業組合長ヲ經由五月十日迄ニ知事ニ提出スベシ
二 稚蠶共同飼育所設置ニ付テハ昭和六年二月十七日告示第八十號稚蠶共同飼育所設置奬勵規程ニ依リ五月十日迄ニ申請スベシ
(ロ)補助金ノ交付ヲ受ケタルモノ事業完了シタルトキハ蠶種及蠶具ニ付テハ別記樣式第三號ニ依リ稚蠶共同飼育所ニ就テ
(ハ)稚蠶共同飼育所設置奬勵規程ニ依リ費用精算書ヲ提出スベシ
第四 補助金ノ交付ヲ受ケタルモノ本要項ノ規定ニ違反シタルトキ又ハ不正ノ行爲アリト認ムルトキハ補助金ノ全部又ハ其ノ一部ノ返還ヲ命ズルコトアルベシ


樣式第一號
蠶種購入(蠶具購入)補助金交付申請書
蠶種購入(蠶具購入)費用ニ對シ補助金御交付相成度此段及申請候也
昭和年月日
何々郡何々町村
何々養蠶實行組合
組合長 何某 印
知事宛


樣式第二號
蠶種購入(蠶具購入)計畫書
備考
一蠶種・蠶具各別紙ニ記載スルコト
二蠶種ハ春蠶種・夏秋蠶種別ニ欄ヲ區別スルコト
三蠶具ハ蠶箔・蠶莚・蠶網・蠶架等ト區別シテ記載スルコト
四蠶種ノ數量ハ瓦ニテ記載スルコト


樣式第三號
蠶種購入(蠶具購入)費用精算書
備考
一蠶種・蠶具各別ニ記載スルコト
二蠶種ハ春蠶種夏秋蠶種別ニ記載スルコト
三蠶具ハ蠶箔・蠶莚・蠶網・蠶架等區別シテ記載スルコト
四蠶種ノ數量ハ瓦ニテ記載スルコト


○八農第二、二二四號
昭和八年五月二日
内務部長
氣仙、上閉伊、下閉伊、九戸各郡養蠶業組合長殿
震災蠶絲業復舊對策ニ關スル件
首題ノ件別紙寫ノ通及依命通喋候ニ付貴組合ニ於テ左記御了知ノヒ萬遺憾無之樣御配慮相成度

一蠶絲業被害ノ現况ニ依リ速ニ計畫ヲ樹立セシムルコト
二蠶種、蠶具ノ購入ハ事業計畫書ニ基キ取纏メ共同購入ヲ爲スコト
三補助金ハ組合ニ於テ支拂委任ヲ受クル樣手配スルコト
四養蠶期ニ入リテハ特ニ被害地蠶作ノ安定ヲ期セシムル樣指導スルコト


○農號外
昭和八年四月二十五日
内務部長
氣仙、上閉伊、下閉伊、九戸各郡農會長殿
震災復舊農事助成ニ關スル件
標記ニ關シ別紙ノ通震災復舊農事補助金交付要項制定相成罹災町村長ニ通牒致シ候條左記ニ依リ夫々御取運相成度及御依頼候

一種苗
1種苗ハ町村長ノ申請ニ依リ貴會ニ現物配付方依頼致度ニ付町村長ヨリ申請書二通ヲ送付セラレタルトキハ其ノ一通ハ配付資料トシテ留置キ他ノ一通ハ適否意見ヲ附シ直ニ県ニ進達セラルルコト
2種苗配付済報告ハ町村長ヨリ二通送附セラルベキヲ以テ其ノ一通ヲ留置キ他ノ一通ハ直ニ県ニ進達セラルルコト
二農具
1補助金ハ町村長ノ申請ニ依リ町村長ニ交付スベキモ農具ノ共同購入斡旋ヲ貴會ニ依頼致度ニ付町村長ヨリ申請書二通ヲ送付セラレタルトキハ斡旋資料トシテ一通ヲ留置キ他ノ一通ハ適否意見ヲ附シ直ニ県ニ進達セラルルコト
2町村長ニ交付スベキ補助金ノ支拂ハ郡農會長ニ一括委任拂ト爲スベキニ付町村長ヨリ委任状ヲ徴シ請求、受領一切ノ手續ヲ採ラルルコト
三納屋及肥料舍ハ直接町村長ヲシテ罹災者ニ交付スベキモ可然御指導願ヒタキコト


○農號外
昭和八年四月二十四日
岩手県内務部長
罹災地町村長殿
震災復舊農事助成ニ關スル件
震災復舊農事補助金交付要項別途制定相成候處左記事項御了知ノ上速ニ御取運相成度

一種苗
1種苗ハ町村長ノ申請ニ依リ一括シテ郡農會ヲシテ之ヲ配付セシムベキニ付申請書ハ二通ヲ作成シ郡農會長ニ送付スル
2郡農會ヨリ種苗ノ配付ヲ受ヶタルトキハ左記樣式ニ依リ交付者名簿ニ受領印ヲ徴シ交付スルコト
3交付要項第五ノ配付済報告書ハ交付者名簿寫ヲ添付シ二通ヲ郡農會長ニ送付スルコト
二農具
1農具ハ郡農會長ヲシテ共同購入ノ斡旋ヲ爲サシムベキニ付申請書ハ二通ヲ作成シ郡農會ニ送付スルコト
2補助金ハ郡農會ヲ經テ交付スベキニ付補助金ノ請求及受領權ノ委任状ヲ豫メ郡農會長ニ差出シ置クコト
3補助金ハ左記樣式ニ依ル交付者名簿ニ受領印ヲ徴シ交付スルコト
4 鎌・鍬・除草器・ホーク・肥桶・篩・籠・莚等ハ一農家二個以上必要トスル場合アルベキモ唐箕・脱穀器・萬石及籾摺器ハ三戸以上共同ニテ使用セシムベキ見込
三納屋及肥料舍
1申請書提出ノ際ハ事業計畫書ヲ一括シテ左ノ調書ヲ作成添付スルコト
本調書ハ新築及修繕ニ分ッコト
2補助金ハ左記樣式ニ依ル交付者名簿ニ受領印ヲ徴シ交付スルコト


震災復舊農事助成要項
第一 震災農事復舊ノ爲罹災農家ニ對シ豫算ノ範圍内ニ於テ種苗ノ無償交付ヲ爲シ農具・納屋・肥料舍等ノ新調・新築若ハ修繕ノ助成ニ要スル費用ニ對シ補助金ヲ町村ニ交付ス
第二 種苗及補助金ハ左ノ範圍内ニ於テ之ヲ交付ス
一種苗
一戸當給與量ハ農作物ノ種類毎ニ反當所要種子量ヲ作付面積ニ乗ジタル量ヲ超ユザルモノトス
二補助金
イ半潰以上農家ノ農具ノ新調又ハ修繕ノ費用ニ對シテハ其ノ半額以内但シ一戸當八十圓ヲ超エザルモノトス
ロ半潰以上農家ノ納屋、肥料舍等ノ新築又ハ修繕ノ費用ニ對シテハ其ノ半額以内但シ一戸當八十圓ヲ超エザルモノトス
補助金ハ事業進捗ノ程度ニ依リ分割シテ之ヲ交付スルコ卜アルベシ
第三 種苗ハ町村長ノ申請ニ依リ之ヲ配付ス
町村長ハ第一號樣式ノ申請書ニ第二號樣式ノ配付計畫書ヲ添付シ昭和八年五月十日迄ニ知事ニ提出スベシ
第四 補助金ハ町村長ノ申請ニ依リ交付ス
町村長ハ第三號樣式ノ申請書ニ農具ニ付テハ收支豫算書及第四號樣式ノ事業計畫書ヲ納屋、肥料舍等ニ付テハ收支豫算書及第五號樣式ノ事業計畫書ヲ添付シテ昭和八年五月末日迄ニ知事ニ提出スベシ
第五 町村長種苗配付ヲ完了シタルトキハ第二號樣式ノ配付計畫ニ準ジ作成シタル配付済報告書ヲ遅滯ナク知事ニ提出スベシ
第六 補助金交付申請ヲ爲シタル町村長事業完了シタルトキハ竣工届書ニ申請ニ添付シタル事業計畫書ニ準ジ作成シタル事業成續書並收支精算書ヲ添付シテ遅滯ナク知事ニ提出スベシ
第七 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ハ交付指令ヲ取消シ又ハ既ニ交付シタル補助金ノ一部又ハ全部ノ還付ヲ命ズルコトアルベシ
一本要項ノ規定ニ違反シタルトキ
二事業施行方法不適當ト認メタルトキ


第一號樣式
震災復舊種苗配付申請書
今般震災復舊ノ爲罹災農家ニ對シ別紙事業計畫書ノ通種苗配付致度候ニ付種苗御配付相成度此段及申請候
昭和八年月日
何郡何町(村)長何某印
岩手県知事殿


第二號樣式
種苗配付計畫書
農具(納屋、肥料舍)新調(新築)修繕補助金交付申請書
今般震災復舊ノ爲罹災農家ノ農具(納屋肥料舍)新調(新築)修繕費ニ對シ別紙事業計畫書ニ基キ助成致度右補助金交付相
成度此段及申請候
昭和八年月日
何郡何町何村長 何某 印
岩手県知事殿


第四號樣式
農具新調修繕事業計畫書
備考 本計畫書ハ新調修繕各別ニ調製スルコト


第五號樣式
納屋、肥料舍新築修繕事業計畫書
備考 本計畫書ハ新築修繕各別ニ調製スルコト


○八農第二〇八○號
昭和八年四月十九日
内務部長
氣仙、上閉伊、下閉伊、九戸郡農會長宛
災害地次季作付用農作物種苗配付ニ關スル件
標記ノ件ニ關シ三月二十五日關係郡農會技術員協議會ニ於テ答申ニ基キ罹災農家(半壞以上及浸水農家)ニ對シ稻・大豆・
雜穀・甘藷・藷菜各作物ノ種子ヲ配付可致貴部内分左ノ通ニ付貴會ヨリ曩ニ提出セル町村別被害調査ニ基キ左記配付要項御
了知ノ上夫々貴會ニ於テ購入配付ノ上貴會ヨリ代金御請求相成度



一金圓也 次季作付用農作物種苗配付費
配付要項
一罹災農家一戸ニ付配付スベキ數量
金額六圓六拾參錢ヲ以テ其ノ土地ニ應ジ稻・大豆・雜穀・甘藷・蔬菜ヲ適當ニ配付スルコト
二配付スベキ農家ハ半壞半燒以上ノ農家及浸水農家ヲ含ムコト
三種子ノ購入先(住所氏名)及單價、數量金額(運賃ヲ含ム)等ヲ八月末日迄ニ報告スべシ
四配付済ノ上ハ町村別ニ配付者名簿ヲ作成シ八月末日迄ニ報告スベシ
五播種ノ状况及栽培指導状况收穫其ノ他ノ成續ヲ經費支出調書ヲ添ヘ十二月末日迄ニ報告スベシ
六指定以外ノ經費ニ流用スルコトヲ得ズ
七經費ノ残額處置ニ付テハ更ニ指揮ヲ受クベシ

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種苗配付表
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種苗配付表(續の一)
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種苗配付表(續の二)
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種苗配付表(續の三)
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種苗配付表(續の四)
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農具助成金交付額調
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納屋肥料舍復舊状况(昭和九年二月末日現在)
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書類様式
二 畜産復舊

被害家畜の内馬六十七頭一頭平均百圓、牛六十六頭一頭平均八十圓、豚六百二頭一頭平均十圓の見込を以て購入を斡旋し之に對して二分ノ一額の補助金を交付することとしたがその事業費總額は一萬八千圓で内國庫の補助額は九千圓、低利資金の融通額は九千圓である。尚ほ此の家畜復舊の外家畜飼料購入助成事業費二萬七千五百七圓(補助一三、五〇七圓、低資一四、○○○圓)を以て家畜飼料の購入を助成する爲馬七百九十頭分一頭一日二十錢五十日分、牛三百三頭分一頭一日二十錢五十日分、豚千七百八十七頭分一頭一日五錢百八十日分を見込み、購入費の半額を交付することとし、更に畜産關係の義捐金により種牛種豚を購入せしめ或は共同飼育所を設置せしむる等復舊に關し萬全の方法を講じた。


○指令農第號
昭和八年月日附申請ニ依ル畜産復舊事業費ニ對シ事業完了後補助金ヲ交付ス
但シ左記ノ通心得ベシ
昭和八年九月十三日
岩手県知事石黒英彦

一、補助金ハ左ノ承認額ノ範圍ニ於ケル經費精算額ノ二分ノ一
二、補助金ノ交付ヲ受クル家畜及家畜飼料ハ昭和八年十一月二十日迄ニ購入シ震災復舊助成要項第三ノ三項ニ依ル請求書ヲ
昭和八年十一月末日迄ニ提出スルコト


○八農第二二七六號
昭和八年五月八日岩手県内務部長
支廳長・關係町村長殿
震災ニ依ル畜産復舊補助金交付ニ關スル件依命通牒
這般ノ震災津浪ニ依ル彼害地ニ於ケル畜産復舊助成ノ爲本年度豫算ノ範圍内ニ於テ別紙要項ニ依リ補助金交付可相成候條
貴部内該當者へ周知方御取計ノ上申請書提出セシムル樣御配慮相成度依命此段及通牒候也


震災復舊畜産助成要項
第一補助金交付ノ客體及交付要件
昭和八年三月三日ノ震災及之ニ伴フ火災又ハ海嘯ニ因ル彼害者ニシテ復舊ノ爲左ニ該當スル家畜ノ購入又ハ家畜飼料ヲ購
入スル場合ニ於テ之ニ要スル費用ニ對シ補助金ヲ交付ス
一明ケ二歳以上明ケ十歳以下ノ馬
二當歳以上明ケ八歳以下ノ牛
三豚
四馬・牛・豚ノ飼料
第二 補助金交付標準
一馬購入ノ場合ニ在リテハ購入價格ノ二分ノ一以内但シ一頭ニ付金七十五圓ヲ超エザルモノトス
二牛購入ノ場合ニ在リテハ購入價格ノ二分ノ一以内但シ一頭ニ付金六十圓ヲ超エザルモノトス
三豚購入ノ揚合ニ在リテハ其ノ購入價格ノ二分ノ一以内但シ一頭ニ付金七圓ヲ超エザルモノトス
四馬・牛・豚ノ飼料購入ノ場合ニ在リテハ各其ノ購入價格ノ二分ノ一以内但シ馬・牛ニ在リテハ各一頭ニ付五十日分金
五圓豚ニ在リテハ一頭ニ付百八十日分金四圓五十錢ヲ超エザルモノトス
第三 申請其ノ他ニ關スル事項
一補助金ノ交付ヲ受ケントスル者ハ申請書(第一號樣式)ニ事業計畫書(第二號樣式)ヲ添付シ五月末日迄ニ知事宛提
出スベシ
二補助金交付ノ指令ヲ受ヶタル者事業計畫書ニ記載シタル事項ニ重要ナル變更ヲ加へントスル卜キハ知事ノ承認ヲ受ク
ベシ
三補助金交付ノ指令ヲ受ヶタル者補助金ノ交付ヲ請求セムトスルトキハ事業終了後請求書(第三號樣式)ニ左ニ掲グル書
類ヲ添付シ知事ニ提出スベシ
1事業成績書(第四號樣式)
2購入價格ノ證憑書類寫
3馬ノ購入ニ在リテハ馬籍謄本・牛・豚及飼料ノ購入ニ在リテハ住所地町村長ノ購入證明書
四補助金ノ交付ヲ受ケテ購入シタル馬ニ在リテハ購入ノ日ヨリ三箇年牛ニ在リテハ購入ノ日ヨリ一箇年豚ニ在リテハ購
入ノ日ヨリ六箇月間知事ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ屠殺又ハ讓渡スルコトヲ得ズ
五本要項ニ依リ知事ニ提出スベキ書類ハ總テ町村長ヲ經由スルコト
六補助金交付ノ指令ヲ受ケタル者又ハ補助金ノ交付ヲ受ケタル者左ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ知事ハ補助金交付ノ指
令ヲ取消シ又ニ既ニ交付シタル補助金ノ全部若ハ一部ノ還附ヲ命ズルコトアルベシ
1本要項ニ違反シタルトキ
2補助金交付ノ條件ニ違反シタルトキ


第一號樣式
畜産復舊補助金交付申請書
昭和八年五月八日附八農第二二七六號通牒ニ依リ馬(牛・豚)ノ購入(肥料ノ購入)費用ニ對シ相當補助金御交付相成度
事業計畫書相添此段及申請候也
年月日
郡町(村)番地(戸)
何之誰印
岩手県知事宛


第二號樣式
事業計畫書
(イ)馬(牛・豚)ノ購入


(ロ)飼料ノ購入(牛馬豚)
備考 一 本表ニハ馬・牛・豚各別ニ記載スルコト
二 馬・牛ニ在リテハ各一頭ニ付五十日分以内豚ニ在リテハ百八十日分以内ノ所要量ヲ購入計算スルコト


第三號樣式
畜産復舊補助金交付請求書
昭和八年月日附八農第 號指令ニ依ル事業終了致候ニ付補助金御交付相成度別紙事業成績書、證憑書類相添此
段及請求候也
年月日
郡町(村)番地(戸)
何之誰 印
岩手県知事宛


第四號樣式
事業成績書
(イ)馬(牛豚)ノ購入
(ロ)飼糧ノ購入(馬牛豚)


備考 本表ニハ馬・牛・豚各別ニ記載スルコ卜

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補助金交付並義捐金配付表
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書類様式
三 蠶絲業復舊

稚蠶共同飼育所設置 家屋の流失又は倒壞の難に遇つた養蠶家が、不完全な急造家屋に於て養蠶を爲すことは飼育上不安を伴なふので、特に蠶作上最も緊要な稚蠶期飼育の均整安全を期するため被害の甚だしかつた氣仙・上閉伊・下閉伊の三郡内八箇所に一箇所平均二千六百圓を以て稚蠶共同飼育所を設置することとした。而して事業費二萬八百圓の中一萬四百圓は補助により殘る一萬圓は低利資金の融通によることとした。
蠶種の購入 本年の掃立に供用すべき蠶種は養蠶者平均一戸五十瓦單價十五錢此の金額七圓五十錢とし、家屋の流失全壞半壞又は浸水に遭つた養蠶著千二百五十戸に對してその所要數量六萬二千五百瓦此の購ス費九千三百七十五圓の全額を補助することとした。
蠶具復舊 罹災養蠶者の復舊奬勵の爲被害者中五百戸に對して蠶具復舊費平均一戸當八十圓この事業費四萬圓の中二萬圓を補助し殘る二萬圓を低利資金の融通に依らしめることとした。その詳細並に助成に關する通牒は左の通リである。

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昭和八年度蠶絲業復舊費豫算書
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一、被害調
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二、復舊費補助金交付豫定調
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三、復舊費低利資金貸付豫定調

第五節 耕地の復舊策

罹災地全町村の被害耕地中急速に復舊を要する七十四地區地積四百二十二町歩並に防潮堤一千五百九十五間、道水路二萬三千五百八十四間、護岸其他一千二百三十二間、二百三十二箇所の復舊を計畫した。而して事業費總額は五十九萬八千三十五圓で其の中補助額は三十五萬五千三十五圓である。尚ほ助成規定並に復舊費の細目は左の通りである。


震災復舊耕地助成規程(昭和八年六月十日県告示第三七六號)
第一條 昭和八年三月三日ノ震災被害耕地復舊工事ヲ施行スル者ニ對シ知事ニ於テ適當ト認ムル場合ハ本規程ニ依リ豫算ノ範圍内ニ於テ助成金ヲ交付ス
第二 條助成金ハ工事費支出額ニ對シ左ノ割合ニ依リ實地檢査ノ上交付ス
一防潮堤道水路其ノ他設備ノ復舊工事費ニ對シテハ三分ノ二
二耕地復舊工事費ニ對シテハ二分ノ一
前項ノ助成金ハ工事進捗ノ程度ニ應ジ申請ニ依リ分割交付ヲ爲スコトアルべシ
第三條 本規程ノ執行ニ關シテハ昭和七年告示第六百四十六號耕地ニ關スル工事助成規程第三 條乃至策六條ノ規定ヲ準用ス但シ助成金ノ交付承認申請期限ハ昭和八年九月末日トス

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震災耕地復舊費
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震災耕地復舊費町村別表 氣仙郡
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震災耕地復舊費町村別表 上閉伊郡
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震災耕地復舊費町村別表 下閉伊郡
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震災耕地復舊費町村別表 九戸郡
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耕地復舊費郡別表

第六節 住宅及其他の復舊策

一 産業組合による住宅復舊

災害に依る漁民住家の復舊に就いては、産業組合組織に依る住宅購買利用組合を設立せしめ協同の力に依り漁民集團部落の復舊を圖り、尚ほ此れを一轉機として漁村部落の改善を期する爲、單に住家の復舊だけに止らず浴場・作業場・倉庫・集會場・託兒所・冠婚葬祭具の共同設備をも建設し、産業經營に生活改善に協同力の發揚に努めしむべく、別表の通り大體二十八部落(産業組合經營主體二十四組合)漁民住家一九六五棟の復舊復興を圖ると共に之に伴なふ共設備を施設し、眞に隣保相助の實を擧げ得べき理想的新漁村の建設を企圖した。

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震災復舊資金(農林省所管)配分表(産業組合建物復舊資金)
二 公營住宅並住宅組合に依る住宅復舊

罹災復舊の住宅中産業組合組織以外のものは分讓式公營住宅及び住宅組合に依らしめる方針をとり、大船渡・吉濱・小友・野田・山田・田老・釜石の七箇町村に對し六百五十四戸分の低利資金三十二萬七千圓を供給して復舊せしむることとした。

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住宅復舊資金町村貸附豫定表
三 郵便局舍復舊

罹災郵便局舍七箇所の復舊に就いては、県は復舊に要する資金五千九百圓を低利資金の融通によつて町村に轉貸し、町村は年利三分二厘、五箇年据置十五箇年賦、年二期毎年度八月一日及二月一日に於て各其の日迄六箇月分の元利均等償還を條件として、罹災郵便局長に貸附け郵便局舍を復舊せしめることとした。

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罹災前局舍と復舊計畫局舍との比較表
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罹災郵便局舍復舊事業費調
四 養老育兒院の設置

扶養義務者を失ひ孤獨となつた老幼並に癈疾者を收容保護する爲、罹災地の中央部に養老育兒院の設置を計畫し、その事業費總額八千圓の内四千圓は政府の補助により四千圓は低利資金の融通に依ることとした。


養老育兒收容施設計畫要項
一、收容人員老癈人孤兒共四十名
二、建物八○坪(坪當六十五圓)此建築費五、二〇〇圓
三、敷地三〇〇坪(坪當七圓)此買收費二、一〇〇圓
四、其他ノ設備費(夜具及器具類)七〇〇圓
經費總額金八千圓

五 公益質屋並公設浴場設置

罹災地町村に於ける公益質屋の經營困難を豫想し、運轉資金の増額を圖つて一般の金融に便ならしめる爲、その事業費五萬圓を大藏省低利資金の融通に俟ち調査の結果高田町に對し金五千圓を貸附けることとした。
又罹災六箇町村七箇所の罹災民集團地域に町村公設浴場を設置して保健衛生に資すベく普通社會事業資金二萬五千圓を供給することとしたが、銓衡の結果僅かに釜石・高田の兩町に對し各金五千圓づつを供給するに過ぎなかつた。

第七節 教育關係の復舊策

一 小學校舍復舊

罹災小學校舍の復舊に關し県は曩に氣仙郡廣田村實業補習學校水産實習所及び上閉伊郡鵜住居小學校兩石分教場の流失に對し低利資金五千圓を融通して復舊せしめることに決したが、後廣田村實業補習學校は自力復舊が可能で資金の必要なきに至つた爲之を省き、別に氣仙郡赤崎村に於ける小學校舍改築用材の流失に對し資金を供給することに計畫を變更した。而してその事業費總額は五千圓である。

二 罹災兒童就學奬勵

罹災就學兒童の登校受業を奬勵するため國庫より四萬三千九百四十二圓の補助を仰ぎ罹災兒童五千八百十九人に對し學用品一人三圓以内被服費一人五圓以内給食費一食四錢以内を以て給與することとした。

三 教員住宅復舊

罹災地二十五箇町村に於ける教員住宅の復舊に就いては、低利資金六萬四千圓を以て一戸平均八百圓の豫算により約八十戸を建設せしめることとした。


○八教第一、○一九號
昭和八年十月二十一日
岩手県内務部長
岩手県學務部長
織笠、廣田、綾里各村長殿
小學校教員住宅建築ニ關スル件
標記ノ件ニ關シテハ曩ニ屡々及照會置候處今般教員住宅資金トシテ左記融通條件ヲ以テ預金部資金ヲ融通セラルル事ト相成別表ノ通資金配當額決定相成候條起債許可後五日以内ニ工事着手並竣工豫定年月日御囘報相成度尚起債許可申請ニ關シテハ別途通喋相成筈ニ付御諒知ノ上可及的速ニ起債並資金供給ニ關シ稟請ノ手續取運ノ上別記事項以外ニ關シテハ總テ昭和七年十二月十六日大藏省令第三十號預金部普通地方資金融通規則ニ準據相成度
追テ起債禀請ノ際ハ稟請書提出ト同時ニ別ニ學務部長宛同寫一通提出相成度



融通條件
一、資金ノ使途 震災復舊費ニ使用スルモノトス
二、融通ノ形式 直接町村ニ對シ貸付ノ形式ニ依ルモノトス
三、融通利率 年三分二厘
四、償還期限 二十年以内(五ケ年以内ノ据置期間ヲ含ム)
五、元利支拂期日 本資金ハ預金部ニ對スル元利支拂期日ハ九月一日三月一日トス


別記
一、町村ニ於テ資金配分ノ通知ヲ受ケタル後資金ノ供給ヲ受ケントスルトキハ資金供給禀請書正副二通ニ夫々事業計畫書關係豫算書起債議决書償還年次表及起債許可書ノ寫ヲ添へ預金部支部出張所ニ提出スルコト
二、資金配分額ニ不要額ヲ生ジタルトキハ不要ノ理由並不要金額ヲ直ニ報告スルコト
三、資金ノ供給ヲ受ケタルモノニシテ資金ノ使途其ノ他ニ付不都合アリト認メタルトキハ期限内ト雖何時ニテモ全部又ハ一部ノ償還ヲ命ゼラルルコトアルベシ
四、預金部ニ於ケル町村ヘノ貸付ハ昭和八年十二月末日ヲ以テ打切ラルルコト從ッテ資金供給禀請書ハ遲クモ昭和八年十一月三十日迄ニ提出スルコトヲ要ス
五、借入金ニ對スル利子ハ県豫算ヲ通シ全期間國庫ヨリ補給セラルル見込

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教員住宅資金配分表

第八節 商工業の復舊策

罹災の商工業者千八百六十戸の復舊を助成する爲、工場店舖設備資金二十五萬三千五百圓(内補助金十萬一千五百圓、低利資金十五萬二千圓)並に運轉資金十五萬三千圓(低利資金)を供給し、又海運業者四十九戸に對し資金九萬五千圓(内補助金一萬六千五百圓低利資金七萬四千圓)を供給して運送船を建造せしめた。


震災復舊商工業助成規程(昭和八年五月十七日県告示第三一五號)
第一條 昭和八年三月三日ノ震災ニ因リ損害ヲ被リタル商工業(海上運搬業ヲ含ム)ノ復舊ヲ助成スル爲本規程ニ依リ豫算ノ範圍内ニ於テ補助金ヲ交付ス
第二條 補助金ハ震災直前震災地ニ於テ商工業ヲ營ミ其ノ工場並店舖諸設備(商品・原料・材料ヲ含マズ)若ハ運搬船ニ付流失・全燒・半燒・全壞又ハ半壞ノ損害ヲ被リタル者ニ對シ之ヲ交付ス
第三條 補助金ノ交付率ハ左ニ依ル
一工場並店舖諸設備ノ復舊ニ付テハ其ノ所要資金ノ二割五分以内
二運搬船ノ復舊ニ付テハ其ノ所要資金ノ一割以内
第四條 補助金ハ自力ニ依リ復舊シ得ルモノト認メタル者ニ對シテハ之ヲ交付セズ
第五條 補助金ノ交付ヲ受ケムトスル者ハ補助金交付申請書(第一號樣式)ニ工場並店舖諸設備又ハ運搬船復舊計畫書(第二號樣式)及事業計畫書(第三號樣式)ヲ添附シ昭和八年六月十日迄ニ知事ニ提出スベシ
第六條 補助金交付ノ指令ヲ受ヶタルトキハ遲滯ナク工場並店舖諸設備又ハ運搬船ノ復舊ニ着手スベシ
第七條補助金交付ノ指令ヲ受ヶタル者工場並店舗諸設備若ハ運搬船ノ復舊ヲ完了シタルトキハ直ニ經費精算書ヲ添附シ其ノ旨知事ニ届出ヅベシ
第八條 補助金ハ出來形檢査ノ上之ヲ交付ス
前項ノ檢査ハ知事ニ於テ必要アリト認ムルトキハ町村長ニ之ヲ委囑スルコトアルベシ
第九條 經費精算額ガ豫定金額ヨリ減少シタルトキハ指令金額ヲ減ズルコトァルべシ經費精算額ガ豫定金額ヨリ増加シタルトキハ指令金額ヲ變更セズ
第十條 補助金交付ノ指令ヲ受ケタル者ハ昭和八年十二月末日迄ニ工場並店舖諸設備又ハ運搬船ノ復舊ヲ完了スベシ
第十一條 補助金ノ交付ヲ受ケテ復舊シタル工場並店舗諸設備若ハ運搬船ハ補助金ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ五年間知事ノ承認ヲ受クルニ非ザレバ移轉、讓渡又ハ廢止ヲ爲スコトヲ得ズ
第十二條 左ノ各號ニ該當スルトキハ補助指令ヲ取消シ又ハ補助金ノ全部若ハ一部ヲ返還セシムルコトアルベシ
一本規程ニ違背シタルトキ
三事業遂行ノ見込ナシト認メタルトキ
第十三條 本規程ニ依リ知事ニ提出スル書類ハ所轄町村長ヲ經由スべシ


第一號樣式
商工業復舊補助金交付申請書
私儀
昭和八年三月三日ノ震災ニ因リ損害相受ケ候ニ付相當ノ御助成相成度別紙書類相添ヘ此段及申請候也
年月日
住所
(職業)氏名印
岩手県知事石黒英彦殿
備考 用紙ハ美濃紙ヲ用フルコト


第二號樣式ノ一
工場店舖諸設備復舊(新築・改築・修繕)計畫書
一 復舊スベキ工場・店舗・機械・器具ノ區別並新築・改築修繕ノ區別
例工場新築・店舖修繕・工場新築及機械器具ノ新設・店舖新築及機械器具ノ新設・機械器具ノ修繕二建設場所及其ノ敷地坪數
三建築物ノ建坪數及設計概要
四機械・器具ノ名稱・用途及構造概要
五動力其ノ他附屬設備ノ概要
六機械器具ノ製作所又ハ販賣所名及所在地
七機械器具買入及据付豫定年月日
八起工及竣工豫定年月日
九總經費竝其ノ内譯
左ノ書類添附ノコト
(一)機械器具据付場所附近ノ略圖
(二)建造物新築(改築・修繕)設計仕樣書
備考 用紙ハ美濃紙ヲ用フルコト


第二號樣式ノ二
運搬船新造(改造・修繕)計畫書
一船種及船名
二船體ノ長・幅・深
三總噸數
四機關ノ種類及純馬力(「シリンダー」ノ徑及數「ストローク」並一分間ノ囘轉數)
五造船者ノ住所氏名
六機關製作者ノ住所氏名
七起工竝竣工豫定年月日
八總經費竝其ノ内譯
左ノ書類ヲ添付スルコト
(一)船體圖面(中央・横截圖面・中心線縱截圖面・甲板平面圖及び船艙内平面圖)
(二)船體新調(修繕)設計仕樣書
(三)發動機關圖面(重要部構造ヲ知ルニ足ルモノ)
(四)發動機新調(修繕)設計仕樣書
備考 修繕ノ場合ニ於テハ船鑑札番號ヲ記載スルコト
用紙ハ美濃紙ヲ用フルコト


第三號樣式
事業計畫書
一設備(工場・店舖・機械・器具・運搬船)ノ種類
二設備ヲ必要トスル理由
三設備ノ目的及用途
四設備ノ場所
五設備完了後ノ事業經營目論見
備考 用紙ハ美濃紙ヲ用フルコト


○八商第三二六五號
昭和八年七月十二日
商工省商務局長
商工省工務局長
岩手県知事殿
三陸地方震嘯災地工場竝店舖諸設備及運搬船建造復舊助成金交付ノ件別紙ノ通指令相成候處其ノ内譯ハ工場竝店舗諸設備助成金拾壹萬壹千五百圓也、運搬船建造助成金壹萬六千五百圓也ニシテ本件助成ノ趣旨ニ鑑ミ此際産業復興ノ爲メ相當御高配相成度尚本件助成事業ノ遂行ノ的確ヲ期スル爲メ貴県助成規程ノ實施ニ當リテハ補助金交付指令附屬命令書ノ勵行ニ付充分御留意相成樣致度此段依命及通牒候也


商工省指令八商第三二六五號
岩手県
其ノ県ニ對シ三陸地方震嘯災地工場竝店舗諸設備及運搬船建造復舊ノ爲メ昭和八年度ニ於テ産業復舊助成金拾壹萬八千圓也ヲ交付ス
但左詑ノ通心得ヘシ
昭和八年七月十二日
商工大臣男爵中島久萬吉



一、本助成金ハ震災復舊商工業助成規程ニ依リ交付スヘキ補助金ニ之ヲ充當スヘシ
震災復舊商工業助成規程ヲ改正セントスルトキハ商工大臣ノ承認ヲ受クヘシ
二、本助成金ヲ以テ充テラレタル補助金ハ成ルヘク本年度内ニ全額ノ交付ヲ完了スヘク止ムヲ得サル事情ニ依リ本年度内ニ交付シ得スシテ其ノ殘餘ヲ次年度ニ繰越シ使用スルトキハ商工大臣ノ承認ヲ受クヘシ
三本助成金ヲ以テ充テラレタル補助金ニ剩餘ヲ生シタルトキ又ハ震災復舊商工業助成規程ニ依リ補助金ノ返還ヲ命シタルトキハ其ノ補助金ノ處分ニ付商工大臣ノ指揮ヲ受クヘシ
四、當該年度終了後若ハ本助成金ヲ以テ充テラレタル補助金ノ支出ヲ了シタルトキハ三ケ月以内ニ收支計算報告書及支出明細書(別紙樣式一、二)ヲ添へ當該事項ノ状况ヲ商工大臣ニ報告スヘシ
五、本助成金ヲ以テ充テラレタル補助金ハ他ノ目的ノ經費ニ流用スルコトヲ得ス
六、本命令ニ違反シ又ハ事業遂行ノ見込ナシト認ムル卜キハ商工大臣ハ助成金ノ全部又ハ一部ノ返還ヲ命スルコトアルヘシ


(別紙樣式ノ一)
産業復舊助成金支出明細書(甲)(自昭和年月日至昭和年月日)
備考 1、市町村毎ニ小計ヲ爲スコト(人名欄ニハ員數ヲ記載スルコト)
2、人名欄ニハ商業・工業・運送業ノ別ヲモ記載スルコト
3、貸付豫定額中ニハ貸付額ヲモ含マシムルコト


(別紙樣式ノ二)
産業復舊助成金支出明細書(乙)(自昭和年月日至昭和年月日)
備考 1、本報告書ハ支出明細書(甲)ノ市町村別ノ集計ナリ
2、設備トアルハ工場並店舗諸設備助成金・建造トアルハ運搬船建造助戌金ノ謂ナリ

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商工業助成金交付豫定表

第九節 豫防對策

三陸沿岸はその地勢上絶對に津浪の災禍を免れ得ないことは既往十數回に亘る史實に徴して肯定さるる所である。而してあらゆる被害の中最も悲慘な人の被害を完全に免れるには沿岸全部落の高地移轉によつて始めて達成し得らるるのであるが、朝に夕に海を以て生活の全資源とする漁民部落の高地移轉は到底實現不可能なる状態なるに鑑み、被害の減殺及び警戒を主眼として大要左の如くその對策を考案實施した。

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豫防施設豫算書(内務省關係)
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豫防施設豫算書(農林省關係)
一 防浪施設

防浪海堤 釜石港は本県東海岸第一の商港として海陸聯絡の關係最も緊密な港灣であるが、背後に嶮しき山を負ひ市街の地域は極めて狭隘で他に移轉の餘地なく、且つ海を離れて生業の途なきを以て防浪海堤を築造し津浪の被害を減殺するの方策を樹てた。
防浪陸堤 陸上に比較的廣大な地域を擁して相當の緩衝地帶を存する氣仙郡末崎村外九箇所に防浪陸堤を設け部落を保護するの方策を立てた。
防波堤及護岸 漁業を以て生業とする小部落には防波堤・防浪堤を築設して港灣の安全を期

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防浪海堤
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防浪陸堤
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防波堤施設工事費一覽表
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防浪堤施設工事費一覽表
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護岸施設工事費一覽表
二 津浪豫報裝置

津浪は概ね地震に伴なうて發生しその前兆として地震の直後潮位の異状を見るのが通例である。故に此の潮位の異状を利用して津浪の襲來を豫知し避難を警告するため津浪觀測所十八箇所、警報所四十箇所の設置を計畫した。

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津浪豫報裝置適地表
三 道路改修

県道改修 本県の沿岸を聯絡する県道は未だ完全に改修されず辛うじて人馬の通行に耐ヘる險岨狭隘の區間が尠くなく、又内陸部と海岸との連絡幹線であつても車馬の通行し得るものは僅かに數線に過ぎない爲、今次の如く一朝海岸地帶に災禍發生の場合は最も緊急迅速を要する救護に支障を生ずることの必然なるに鑑み、盛釜石線外四線の県道を改修し交通運輸を圓滑ならしむることとした。
町村幹線道路 県道より分岐する幹線道路は部落の連絡上必要なるを以て、氣仙郡越喜來綾里海岸線外十八箇所の路線を改修することとした。
町村避難道路 津浪の襲來は地震の後概ね二十五分乃至五十分の餘裕があつたが避難道路不完備の爲避難の途中において遭難したものが多かつたに鑑み、氣仙郡氣仙町外二十一箇町村四十九部落に避難道路を改修することとした。
町村連絡道路 住宅適地造成資金の融通により部落移轉をなした部落と海岸又は樞要幹線とを連絡するため、氣仙町長部外四十一箇所に連絡道路を開修することとした。

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県道改修
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町村幹線道路
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町村避難道路
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町村連絡道路
四 耐浪建築並簡易水道

上閉伊郡釜石町は地勢及び生業等の關係によつて海岸より高地へ移轉し得ない事情にある爲、臨海の最前線に耐浪建築を施し防波堤と相俟つて津浪の被害を緩和することとした。
又部落移轉の結果飮料水源を失つた氣仙郡氣仙町長部外八箇所には簡易水道を設けることとした。

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防浪建築
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簡易水道
五 津浪浸水線石標建設

災害防止施設の一端として東京朝日新聞社の指定義捐金二萬六千二百三十圓を以て、罹災地各町村に震災記念碑を建設せしむることとした。此の碑は各部落毎に津浪浸水線上適當の箇所に震災年月日時・死亡者數・流失戸數等を表示した石標を建設し、津浪の浸水線を標識すると共に右線内は今次津浪の被害地帶であり且つ將來も亦容易に津浪の氾濫すべき地域であることを後世に知らしめ災害を警戒せしむるものである。


○八更第四九九五號
昭和八年五月二十九日
農林次官石黒忠篤
大藏次官黒岡英雄
岩手県知事殿
三隆地方震災復舊資金融通ニ關スル件
貴管下震災復舊資金トシテ今囘別紙融通要項ニ依リ預金部資金中ヨリ左記ノ通融通スル事ニ決定致候條右御了知ノ上取扱上遺憾ナキヲ期セラレ度此段及通牒候也
追而本資金巾各種組合又ハ罹災者ニ融通スルモノハ該地方ノ事情ニ鑑ミ銀行經由ノ方法ニ依ラズシテ特ニ貴県轉貸ノ方法ヲ認メタルモノナルニ付融通金額ハ之ヲ必要ノ最小限度ニ止ムルハ勿諭囘收ノ見込確實ナルモノノミニ限ルコトトシ且融通後ニ於ケル資金ノ償還ヲ容易ナラシムル爲特別ノ方法ヲ講スル等適當ニ借置相成樣致度申添候


三陸地方震災復舊資金融通要項
一、資金融通總額五百六拾萬圓以内
二、融通ノ形式
道県市町村(市町村組合及町村組合ヲ含ム以下同シ)債又ハ勸業債券、農工債券、北海流拓殖債券若ハ産業債券ノ引受ニ依ル
道及県ハ右ニ依リ得タル資金ヲ
ィ市町村及産業組合若ハ漁業組合ヲ經曲シ罹災者ニ
ロ市町村ヲ經由シ耕地整理組合・耕地整理共同施行者・産業組合・漁業組合畜産組合若ハ罹災者ニハ産業組合若ハ漁業組合ヲ經由シ罹災者ニ
ニ耕地整理組合・耕地整理共同施行者・産業組合・漁業組合・畜産組合ニ其ノ震災復舊資金トシテ轉貸スルモノ卜ス
市町村ハ右ニ依リ得タル資金ヲ自己ノ震災復舊資金ニ充當スルモノ卜ス
日本勸業銀行・農工銀行・北海道拓殖銀行又ハ産業組合中央金庫ハ右ニ依リ得タル資金ヲ産業組合・漁業組合・畜産組合・森林組合若ハ罹災者ニ又ハ産業組合・漁業組合ヲ經由シ罹災者ニ轉貸スルモノトス
三、融通利率
預金部ノ融通利率ハ年三分二厘、各銀行及産業組合中央金庫ノ貸付利率ハ年三分九厘以内
道県市町村ハ轉貸ノ場合利鞘ヲ徴スルコトヲ得ス
四、償還期限
二十箇年以内(五箇年以内ノ据置期間ヲ含ム)トス
但農具購入資金・納舍及肥料舍等建設資金・肥料資金・炭材購入資金・漁船復舊事業資金・漁具復舊資金・共同製造場復舊事業資金・家畜購入資金・家畜飼料購入資金及蠶具復舊資金ニ付テハ十箇年以内(三箇年以内ノ据置期間ヲ含ム)トス
五、預金部ノ地方公共團體ニ對スル融通若ハ銀行又ハ産業組合中央金庫ノ貸付ハ昭和八年十二月末日、預金部ノ銀行債券若ハ産業債券ノ引受ハ昭和九年一月末日ヲ以テ打切ルモノトス


三陸地方震災復舊資金(農林省所管)融通細目
一、地方長官ハ割當額ノ範圍内ニ於テ市町村、組合又ハ罹災者ニ對スル配當計畫ヲ定ムルコト
二、道県債引受ノ方法ニヨリ融通スルモノニ就テハ
(イ)組合及罹災者ニ對スル配分計畫ニ付別紙第一號樣式ニ依リ農林及大藏大臣ノ承認ヲ受クルコト
(ロ)右配分計畫ヲ變更セントスルトキハ右ト同樣ノ方法ニ依リ更ニ承認ヲ受クルコト
(ハ)(イ)及(ロ)ニ依ル配分計畫ノ承認アリタルトキハ地方長官ハ直接預金部ニ對シ資金交付ノ申請フ爲シ資金受領後配分計畫ノ範圍内ニ於テ貸付ヲ爲スコト
(ニ)前項ノ資金交付申請書ニハ起債決議書寫・起債許可書寫及申請額ノ資金別内譯書ヲ添付スルコト
三、町村ハ自己ノ復舊事業資金トシテ預金部ヨリ融通ヲ受クルモノニ就テハ
(イ)地方長官町村別配分額ヲ定メタルトキハ當該町村ニ之ヲ通知スルト共ニ別紙第二號樣式ニ依リ預金部支部長ニ通知スルコト
配分額ヲ變更シタルトキハ直ニ前項ニ準シ通知ヲ爲スコ卜
(ロ)町村前項ニ依ル配分ノ通知ヲ受ヶタルトキハ資金供給禀請書正副二通ニ夫々事業計畫書・關係豫算書・起債議次書償還年次表及起債許可書ノ寫(各二通)ヲ添へ預金部支部出張所ニ提出スルコト
(ハ)資金供給禀請書ノ提出期限ハ昭和八年十一月三十日トス
四、銀行及産業組合中央金庫經由融通スルモノニ付テハ預金部資金ノ借入申込書ヲ徴セス地方長官ハ配分計畫ノ範圍内ニ於テ銀行又ハ産業組合中央金庫ト協議ノ上供給決定ヲナシ大藏大臣及農林大臣ニ對シ預金部普通地方資金融通規則實施取扱規程附屬樣式ニ依リ經由機關別ニ之ヲ報告スルコト
五、本資金ノ預金部ニ對スル元利金支拂期日ハ三月十五日、九月十五日トスルコト
六、右以外ノ事項ニ付テハ預金部普通地方資金融通規則ニ準據スルコト


第一號樣式
三陸地方震災復舊資金(農林省所管)配分計畫(資金名)
右承認相成度此段及申請候也
年月日
県知事氏名印
大藏大臣氏各宛
農林大臣氏名
備考
一、資金別ニ作成スルコト(資金名ハ農林、大藏兩次官通牒割當ノ種別ノ欄ノ名稱ニ依ル)
一、農林大藏大臣宛各別ニ提出スルコト
一、貸付先(最終融通先)毎ニ各別ニ金額用途等ヲ記入スルコト但シ個人ノ場合ハ其ノ口數(貸付欄ニ)ト總額(金額欄ニ)融通ノ方法竝一口ノ最高及最低額(備考欄ニ)ヲ記入スルヲ以テ足ルモノトス
一、融通ノ方法ノ欄ハ農林大藏兩次官通牒ノ融通ノ形式ノイ、ロ、ハ、ニノ道県ヨリ最終融通先ニ至ル徑路ヲ記入スルコ卜
一、市町村ニ對スル資金(町村ノ自己使用分)配分計畫ハ左記ニ依リ配分計畫承認申請ノ際添付スルコト
參照
市町村ニ對スル資金配分計畫ハ左ノ如シ


第二號樣式
三陸地方震災復舊資金配分通知(資金名)
右及通知候也
年月日
県知事氏名印
預金部支部長氏名宛
備考
本表ハ資金別ニ作製スルコト


岩手県ニ對スル三陸地方震災復舊資金融通割當表(單位千圓)


○内務省發地第四八號
昭和八年六月二日
内務省地方局長
預金部長
岩手県知事殿
三陸地方震災復舊資金融通ニ關スル件通牒
標記ノ件ニ關シテハ曩ニ禀請有之候處今回甲號融通條件ヲ以テ乙號ノ通融通セラルルコトト相成候ニ付テハ左記事項御了知ノ上適當ニ御措置相成度

一、県ニ對スル資金ニ付テハ本通牒ニ依ル資金ノ割當ニ基キ之カ供給ヲ受ヶムトスルトキハ資金供給禀請書ヲ大藏大臣及内務大臣ニ提出スルコト
二、町村ニ對スル資金ニ付テハ貴官ニ於テ町村別配分額ヲ定ムルコト
三、前項ニ依リ町村配分額ヲ定メタルトキハ當該團體ニ之ヲ通知スルト同時ニ別紙第一號樣式ニ依リ預金部支部長ニ別紙第二號樣式ニ依リ内務大臣及大藏大臣宛各別二通知及報告スルコト
配分額ヲ變更シタルトキハ直ニ前項ニ準シ通知及報告ヲ爲スコ卜
四、前項ニ依ル配分ノ通知ヲ受ヶタル町村資金ノ供給ヲ受ケム卜スルトキハ資金供給禀請書正副二通ニ夫々事業計畫書・關係豫算書・起債議決書・償還年次表及起債許可書ノ寫ヲ添ヘ預金部支部出張所ニ提出スルコト
五、第三項ニ依リ報告シタル本資金配分額ニ不要額ヲ生シタルトキハ別紙第三號樣式ニ依リ速ニ内務大臣及大藏大臣宛各別(大藏大臣宛ノ報告ハ預金部支部ヲ經由ノコト)ニ之ヲ報告スルコト
六、資金ノ供給ヲ受ケタルモノニシテ本資金ノ使途其ノ他ニ付不都合アリト認メタルトキハ期限内ト雖何時ニテモ全部又ハ一部ノ償還ヲ命スルコトアルヘキコト
七、預金部ニ於ケル地方債ノ引受又ハ町村ヘノ貸付ハ昭利八年十二月末日ヲ以テ打切ラルルコト從テ資金供給禀請書ハ昭和八年十一月末日迄ニ提出スルコトヲ要ス
八、前各項ニ定ムルモノノ外預金部普通地方資金融通規則ニ準據スルコト
九、内務省闘係資金中震災市街地區劃整理資金、住宅適地造成資金及住宅復舊資金ニ付テハ別途通牒セラルルモノナルコト


甲號
融通條件
一、資金ノ用途 三陸地方震災復舊費ニ使用スルモノトス
二、融通ノ形式 県ニ在リテハ地方債證券引受ノ形式ニ依リ町村(町村組合ヲ含ム)ニ在リテハ貸付ノ形式ニ依ルモノ
トス
三、融通利率 年三分二厘
四、償還期限 二十箇年以内(五箇年以内ノ据置期間ヲ含ム)
五、元利支拂期日 本資金ノ預金部ニ對スル元利支拂期日ハ九月一日三月一日トス


乙號
第一號樣式
三陸地方震災復舊資金配分通知
何々資金ノ分
右通知候也
年月日
県知事氏名印
預金部支部長氏名宛
備考
一、本表ハ資金別ニ作成ノコト
二、事業費ニ對スル補助金ニ付テハ指令額若ハ内定額ヲ記載スルコト
三、數囘ニ互リ通知スルトキハ別ニ前同迄ノ配分額及累計ヲ記載スルコト


第二號樣式
三陸地方震災復舊資金配分報告
右報告候也
年月日
県知事氏名印
内務大臣氏名宛
大藏大臣氏名


第三號樣式
三陸地方震災復舊資金不要額報告
右報告候也
年月日
県知事氏名印
内務大臣氏名宛
大藏大臣氏名


○内務省發都第一六號
昭和八年九月五日
内務大臣官房都市計畫課長
預金部長
岩手県知事殿
三陸地方震災復舊資金ニ關スル件通牒
標記ノ件ニ關シ別紙融通條件ヲ以テ住宅適地造成資金參拾四萬五千圓、街路復舊資金壹萬五千圓ヲ融通セラルルコトト相成候ニ付テハ左記事項御了知ノ上適當ニ御措置相成度

一、町村別配分額ハ貴官ニ於テ定ムルコ卜
二、前項ニ依リ町村別配分額ヲ定メタルトキハ當該團體ニ之ヲ通知スルト同時ニ別紙第一號樣式ニ依リ預金部支部長ニ別紙第二號樣式ニ依リ内務大臣及大藏大臣宛各別ニ通知又ハ報告スルコト
配分額ヲ變更シタル場合ニ於テモ直ニ右ニ準シ通知又ハ報告ヲ爲スコト
三、前項ニ依ル配分ノ通知ヲ受ヶタル町村資金ノ供給ヲ受ケムトスルトキハ資金供給禀請書正副二通ニ夫々事業計畫書、關係豫算書、起債議決書、償還年次表及起債許可書ノ寫ヲ添へ預金部支部出張所ニ提出スルコト
四、第二項ニ依リ報告シタル本資金配分額ニ不用額ヲ生シタルトキハ別紙第三號樣式ニ依リ速ニ内務大臣及大藏大臣宛各別
大藏大臣宛ノ報告ハ預
金部支部ヲ經由ノコト
ニ之ヲ報告スルコト
五、資金ノ供給ヲ受ケタルモノニシテ本資金ノ使途其ノ他ニ付不都合アリト認メタルトキハ期限内ト雖何時ニテモ全部又ハ一部ノ償還ヲ命スルコトアルヘキコト
六、預金部ニ於ケル町村ヘノ貸付ハ昭和八年十二月末日ヲ以テ打切ラルルコト從テ資金供給禀請書ハ昭和八年十一月末日迄 ニ提出スルコトヲ要ス
七、前各項ニ定ムルモノノ外預金部普通地方資金融通規則ニ準據スルコト
八、街路復舊資金ハ六月三十日發地第四十八號三陸地方震災復舊資金ニ關スル件左記第九項ノ震災市街地區劃整理資金ニ該當スルモノナルコト


融通條件
一、資金ノ用途 昭和八年三月三日ノ震災ニ因ル町村ノ罹災地住宅適地造成費竝ニ街路復舊費ニ使用スルモノ卜ス
二、融通ノ形式 町村ニ對スル貸付ノ形式ニ依ル
三、融通利率 年三分二厘
四、償還期限 二十ケ年以内(五ヶ年以内ノ据置期間ヲ含ム)


第一號樣式
三陸地方震災復舊資金配分通知
何々資金ノ分
右通知候也
年月日
県知事氏名印
預金部支部長氏名宛
備考
一、本表ハ資金別ニ作成ノコト
二、事業費ニ對スル補助金ニ付テハ指令額若ハ内定額ヲ記載スルコト
三、數囘ニ亙リ通知スルトキハ別ニ前囘迄ノ配分額及累計ヲ記載スルコト


第二號樣式


三陸地方震災復舊資金配分報告
右報告候也
年月日
県知事氏名印
内務大臣氏名宛
大藏大臣氏名


第三號樣式
三陸地方震災復舊資金不用額報告
右報告候也
年月日
県知事氏名印
内務大臣氏名宛
大藏大臣氏名


○收社第四三八號
昭和八年六月二十日
社會局社會部長
預金部長
岩手県知事殿
三陸地方震災復舊資金融通ニ關スル件依命通牒
三陵地方震災ニ因ル罹災住宅及郵便局舍復舊資金左記ノ通リ預金部資金中ヨリ融通方法決定相成候條別紙供給要項御了知ノ
上至急御處理相成度

一、罹災住宅復舊資金 參貳七、○○○圓也
一、郵便局舍復舊資金 五、九○○圓也
計金 參參二、九○○圓也


供給要項
一、資金ハ夫々別紙融通條件ニ依ル
二、郵便局舍復舊資金ハ左ノ局ニ對シ貸付ノコト
田老・越喜來・綾里・平井賀・廣田・細浦・八木
三、資金融通手續ハ左ニ依ル
三陸地方震災復舊資金(罹災住宅復舊資金)融通手續
(一)地方長官ハ本通牒ニ依ル割當額ノ範圍内ニ於テ最終融通先タル市町村組合又ハ罹災者ニ對スル配分計畫ヲ定メ之ヲ
第一次經由機關又ハ直接借受主體ニ通知スルト共ニ別紙第一號樣式ニ依リ内務・大藏兩大臣ニ報告シ尚市町村ノ自己使用分ニ付テハ別紙第二號樣式ニ依リ預金部支部長ニ通知スルコ卜
配分額ヲ變更シタルトキハ直ニ前項ニ準シ通知及報告ヲ爲スコト
(二)道県債引受ノ方法ニ依リ融通スルモノニ就テハ
(イ)地方長官ハ直接預金部ニ對シ資金交付ノ申請ヲ爲シ資金受領後配分計畫ノ範圍内ニ於テ貸付ヲ爲スコト
(ロ)前項ノ資金交付申請書ニハ起債決議書寫・起債許可書寫ヲ添附スルコト
(三)市町村カ公營住宅復舊資金トシテ預金部ヨリ融通ヲ受クルモノ(市町村ノ自己使用分)ニ就テハ
(イ)市町村第一項ニ依ル配分ノ通知ヲ受ケタルトキハ資金供給禀請書正副二通ニ夫々事業計畫書・闘係豫算書・起債決議書・償還年次表及起債許可書ノ寫(各二通)ヲ添ヘ預金部支部出張所ニ提出スルコト
(ロ)資金供給禀請書ノ提出期限ハ昭和八年十一月三十日トス
(四)本資金ノ預金部ニ對スル元利金支拂期日ハ九月一日、三月一日卜スルコト
(五)右以外ノ事項ニ付テハ預金部普通地方資金融通規則ニ準據スルコト
四、住宅復舊資金ハ資力乏シク自力ヲ以テ住宅ノ復舊ヲ爲スコトヲ得サルモノニシテ將來償還確實ト認メラルル者ニ對シ住宅ヲ供給スル趣旨ヲ以テ融通スルモノナリ
五、住宅復舊資金ノ貸付ヲ受クル住宅組合ノ設立ヲ許可シタルトキハ直ニ報告セラルルコト
六、住宅復舊資金ノ配分ヲ受ケタル市町村ハ別紙第三號樣式ニ依ル實施計畫書ノ速ニ提出スルコト
七、本資金ノ貸付ヲ受ケ建設シタル住宅ニハ債權確保ノ方法ヲ講ゼラルルコト
罹災住宅復舊資金融通條件
一、融通ノ形式 道県市町村(市町村組合及町村組合ヲ含ム以下同シ)債ノ引受ニ依ル
道及県ハ右ニ依リ得タル資金ヲ自己ノ震災復舊資金ニ充當シ又ハ市町村若ハ産業組合ヲ經由シ又ハ直接ニ住宅組合、罹災者ニ其ノ震災復舊資金トシテ轉貸スルモノ卜ス
市町村ハ右ニ依リ得タル資金ヲ自己ノ震災復舊資金ニ充當スルモノ卜ス
二、融通利率預金部ノ融通利率ハ年三分二厘
道県市町村ハ轉貸ノ場合利鞘ヲ徴スルコトヲ得ス
三、償還期限二十ケ年以内(五ケ年以内ノ据置期間ヲ含ム)
四、預金部ノ地方公共團體ニ對スル融通ハ昭和八年十二月末日ヲ以テ打切ルモノトス


郵便局舍復舊資金融通條件
一、融通金額一萬二千圓以内
二、融通ノ形式県債ノ引受ニ依ル
県ハ右ニ依リ得タル資金ヲ市町村ヲ經由シ罹災者ニ貸付クルモノ卜ス
三、融通利率年三分二厘
県及郡町村ハ轉貸ノ場合利鞘ヲ徴スルコトヲ得ス
四、償還期限二十ケ年以内(五ケ年以内ノ据置期間ヲ含ム)
五、預金部ノ県債引受ハ昭和八年十二月末日ヲ以テ打切ルモノトス


別紙第一號樣式
三陸地方震災復舊資金(罹災住宅復舊資金)配分計畫報告書
右及報告候也
年月日
県知事氏名印
大藏大臣氏名宛
内務大臣氏名
備考
一、名宛人毎ニ各別ニ作製スルコト
二、貸付先(最終融通先)毎ニ各別ニ金額等ヲ記入スルコト但シ個人ノ場合ハ其ノ口數(貸付先欄ニ)ト總額(金額欄ニ)融通ノ方法並一ロノ最高及最低額(備考欄ニ)ヲ記入スルヲ以テ足ルモノトス
三、融通ノ方法ノ欄ハ本資金融通條件中ノ融通ノ形式ノ第二項ニ依リ道県ヨリ最終融通先ニ至ル徑路ヲ記入スルコト


別紙第二號樣式
三陸地方震災復舊資金配分通知
右及通知候也
年月日
県知事氏名印
預金部支部長氏名宛


別紙第三號ノイ
公營住宅實施計畫書
一、所在(位置明示圖共)
二、建築戸數、棟數及坪數(種類別又ハ樣式別ニ)
三、配置圖
四、各階平面圖
五、建築豫算明細書(諸設備費ヲモ含ム相當詳細ナルモノ)
六、敷地關係調書(買收又ハ借入價格及借入契約要項、坪數、並實測圖等)
七、經營方法
(1)家賃ノ豫定及其ノ算出ノ計數的基礎(例へバ建築費並之ニ對スル利子相當額ノ合算額ヲ借入金償還期間ノ月數ニ依リ均分シタル額ニ一ケ月ノ火災保險料其ノ他維持費等ヲ加ヘ計算スルガ如シ)
(2)貸付條件(貸付規定又ハ其ノ案)
(3)管理方法
八、低利資金償還終了ニ至ル迄ノ具體的財政計畫
九、事業着手及竣功豫定時期


別紙第三號ノロ
罹災住宅復舊資金貸付計畫書
一、住宅復舊資金貸付規程
二、資金ノ貸付ヲ受クル者ノ調書(左ノ樣式ニ依ル)


○藏銀第二、五六五號
昭和八年七月七日
大藏省銀行局長大久保偵次
日本勸業銀行岩手県地方監理官殿
今回貴監日本勸業銀行支店ヲシテ三陸地方震災復舊資金(商工省關係)ヲ別紙ノ方法及條件ニ依リ貸出サシムヘキニ付本資金融通ノ趣旨ニ叶フ樣可然取扱相成度依命此段及通牒候也


三陸地方震災復舊資金融通ノ方法及條件(商工省關係)
一、融通ノ形式
勸業債券ノ引受ニ依ル
日本勸業銀行ハ右ニ依リ得タル資金ヲ工業組合・商業組合若ハ直接罹災者ニ又ハ工業組合・商業組合ヲ經由シ罹災者ニ轉貸スルモノトス
二、融通利率
預金部ノ融通利率ハ年三分二厘、各銀行ノ貸付利率ハ年三分九厘以内トス
三、償還期限
十ケ年以内(三箇年以内ノ据置斯間ヲ含ム)トス
四、本資金貸付ニ對シ日本勸業銀行ハ調査費ヲ徴收スルコトヲ得ス
五、本資金關係銀行債券ノ元利支拂期日ハ毎年度九月一日三月一日トスルコト
六、本資金ノ銀行ニ於ケル貸付ハ昭和八年十二月末日、預金部ノ銀行債券引受ハ昭和九年一月末日ヲ以テ打切ルモノトス
七、本資金取扱ニ付テハ右ニ定ムルモノヲ除ク外預金部普通地方資金融通規則ニ準據スルコト


○八商第二、二三四號
昭和八年七月四日
商工次官吉野信次
大藏次官黒田英雄
岩手県知事石黒英彦殿


三陸地方震災復舊資金融通ノ件
今般貴管下震災復舊資金卜シテ別紙融通要項ニ依リ預金部資金中ヨリ左記ノ通融通スルコトニ決定致候條右御了知ノ上取扱上遺憾ナキヲ期セラレ度此段及通牒候也
追而本資金中各種組合又ハ罹災者ニ融通スルモノハ該地方ノ事情ニ鑑ミ銀行經由ノ方法ニ依ラズシテ特ニ貴県轉貸ノ方法ヲ認メタルモノアルニ付融通金額ハ之ヲ必要ノ最少限度ニ止ムルハ勿論囘收ノ見込確實ナルモノノミニ限ルコ卜トシ且融通後ニ於ケル資金ノ償還ヲ容易ナラシムル爲特別ノ方法ヲ講ズル等適當ニ措置相成樣致度申添候

(岩手県)
金參拾七萬九千圓也
内譯
工場竝店舖設備資金 県債引受 金拾五萬貳千圓也
工場竝店舗運轉資金 勸業債券引受 金拾五萬參千圓也
運送船建造資金 県債引受 金七萬四千圓也


三陸地方震災復舊資金融通要項
一、資金融通總額五十二萬二千圓以内
二、融通ノ形式
県債又ハ勸業債券興業債券若ハ農工債券ノ引受ニ依ル県ハ右ニ依リ得タル資金ヲ
(イ)市町村及工業組合若ハ商業組合ヲ經由シ罹災者ニ
(ロ)市町村ヲ經由シ工業組合・商業組合若ハ罹災者ニ
(ハ)工業組合若ハ商業組合ヲ經由シ罹災者ニ
(ニ)工業組合若ハ商業組合ニ
其ノ震災復舊資金トシテ轉貸スルモノトス
日本勸業銀行・日本興業銀行・農工銀行ハ右ニ依リ得タル資金ヲ工業組合・商業組合若ハ羅災者ニ又ハ工業組合・商業組合ヲ經由シ罹災者ニ轉貸スルモノ卜ス
三、融通利率
預金部ノ融通利率ハ年三分二厘、各銀行ノ貸付利率ハ年三分九厘以内
県市町村ハ轉貸ノ場合利鞘ヲ徴スルコトヲ得ス
四、償還期限
二十ケ年以内(五ケ年以内ノ据置期間ヲ含ム)
但工場並店舗運轉資金ニ付テハ十ヶ年以内
(三ケ年以内ノ据置期間ヲ含ム)トス
五、預金部ノ県債引受若ハ銀行ノ貸付ハ昭和八年十二月末日預金部ノ銀行債券引受ハ昭和九年一月末日ヲ以テ打切ルモノトス


○八商第二、二三四號
昭和八年七月四日
商工省商務局長
同工務局長
預金部長
岩手県知事殿
三陸地方震災復舊資金融通ノ件
首標ノ件ニ關シ別途八商二、二三四號ヲ以テ商工・大藏兩次官ヨリ通牒相成候處本資金ノ取扱ニ付テハ別紙融通細目ニ依リ遺憾ナキヲ期セラレ度此段及通牒候也
追而萬一本資金貸付先ヨリ償還困難ナル場合生ズルモ預金部ニ對シ本資金關係県債ノ利子ハ勿論償還延期等一切申出無之樣致度右御承諾ノ上ハ御囘答相煩度申添候


三陸地方震災復舊資金(商工省關係)融通細目
一、地方長官ハ割當額ノ範圍内ニ於テ組合又ハ罹災者ニ對スル配分計畫ヲ定ムルコト
二、県債引受ノ方法ニ依リ融通スルモノニ付テハ
(イ)組合及罹災者ニ對スル配分計畫ニ付別紙樣式ニ依リ商工大臣及大藏大臣ノ承諾ヲ受クルコト
(ロ)右配分計畫ヲ變更セントスルトキハ右ト同樣ノ方法ニ依リ更ニ承認ヲ受クルコト
(ハ)(イ)及(ロ)ニ依ル配分計畫ノ承認アリタルトキハ地方長官ハ直接預金部ニ對シ資金交付ノ申請ヲ爲シ資金受領後配分計畫ノ範圍内ニ於テ貸付ヲナスコト
(ニ)前項ノ資金交付申請書ニハ起債決議書寫、起債許可書寫及申請額ノ資金別内譯書ヲ添付スルコト
三、銀行經由融通スルモノニ付テハ預金部資金ノ借入申込書ヲ徴セズ地方長官ハ配分計畫ノ範圍内ニ於テ銀行ト協議ノ上供給決定ヲナシ大藏大臣及商工大臣ニ對シ預金都普通地方資金融通規別實施取扱規程附屬樣式ニ依リ經由機關別ニ之ヲ報 告スルコト
四、本資金ノ預金部ニ對スル元利金支拂期日ハ三月一日トスルコト
五、右以外ノ事項ニ付テハ預金部普通地方資金融通規則ニ準據スルコト


(別紙樣式)
三陸地方震災復舊資金(商工省關係)配分計畫(資金名)
右承認相成度此段及申請候也
年月日
県知事氏名印
大藏大臣氏名

商工大臣氏名
備考
一、資金別ニ作成スルコト(資金名ハ商工大藏兩次官通牒割當ノ種別ノ欄ノ名稱ニ依ル)
一、商工大臣・大藏大臣宛各別ニ調製スルコト
一、貸付先(最終融通先)毎ニ各別ニ金額用途等ヲ記入スルコト但個人ノ場合ハ其ノ口數(貸付欄ニ)ト總額(金額欄ニ)融通ノ方法並一口ノ最低額(備考欄ニ)ヲ記入スルヲ以テ足ルモノ卜ス
一、融通ノ方法ノ欄ハ商工、大藏兩次官通牒ノ融通ノ形式ノ(イ)(ロ)(ハ)(ニ)ノ県ヨリ最終融通先ニ至ル徑路ヲ記入スルコト


○預地第一、六六六號ノ内
昭和八年十二月二十八日
預金部長川越丈雄
岩手県知事石黒英彦殿
三陸地方震災復舊資金融通打切期限延長ノ件
三陸地方震災復舊資金ノ融通打切期限ハ預金部ノ地方債引受及銀行等ノ貸付ハ昭和八年十二月末日、預金部ノ銀行債券又ハ産業債券ノ引受ハ昭和九年一月末日ト相成居候處今囘左記ノ通期限延長相成候條別記事項御了知ノ上可然御處理相成度此段及通牒候也
追而預金部資金ノ融通打切期限ノ延長ハ本資金ニ限リ之ヲ認メタルモノニシテ將來之ヲ前例トセサルモノニ付右特ニ御承
知相成度

預金部ノ地方債引受又ハ銀行等ヨリ貸付 昭和九年二月末日
預金部ノ銀行及産業債券引受


(別記)
一、本資金中配分計畫ノ承認ヲ要スヘキモノニ付テハ配分計畫承認申請書ハ打切期限ノ二十日以前ニ到逹スル樣提出スル
コト
二、市町村ノ預金部支部出張所ニ對スル資金供給禀請書ノ提出期限ハ昭和九年一月末日迄トス

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東京朝日新聞社震災記念碑建設指定義捐金配當表
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書類様式

第二章 復舊事業の進捗

三十六箇町村に亘る災害復舊事業は、政府の絶大なる援助に依り國庫補給金及び補助金四百四十五萬三千圓、低利資金七百五十七萬四千圓、總額一千二百二萬七千圓を以て所定の計畫實施に着手し、本廳と罹災地方民は相協力して其の完成に邁進した。
而して此の復舊事業の實施に當つては復雜多岐に亘る諸般の事業を統制するため「新漁村計畫」を立案し村落運營の全般を綜合する基本計畫となし、之を貫くに協同の精神を以てし眞に幸福なる新漁村を建設せんことを努めた。
今事業の主なるものに就き功程の概要を記せば、先づ計畫事業の根幹たる住宅の復舊は最も安全の方法として高所に住宅適地を造成せしめ、或は防浪施設を講じて集團移轉をなさしめ、之を産業組合組織の下に統制して相互扶助の美風を涵養し、右に據り難きもの及び自力に依る復舊以外のものに對しては公營又は住宅組合組織に據らしむることとしたが、孰れも住宅適地造成工事の進行に伴なひ復舊建築に着手し順調に進捗した。
産業の復舊は、最も被害の著しい水産業に主力を注ぎ、之が復舊は業者の協同力に俟つの外なきことを考慮し漁業組合をして地方の實情に應じ業態を按排し適種適地の方針に依りその遂行を圖らしめたため、極めて順調に進捗し漁船・漁具・漁網・製造場・販賣所・倉庫・養殖場等を通じて九分通りの功程を見るに至つた。又農産・畜産・林産等の復舊に就いては多角型綜合經營の方法に則り農會・養蠶組合・畜産組合等産業團體の機能を活用し年丙(昭和八年)に於て略々完了した。
商工業の復舊は、罹災商工業者の店舖又は工場の設備を助成し且つ運轉資金を供給して其の運營を圓滑ならしめ、又海運業者に對し流失破損せる運送船の復舊を助成するため資金の供給を圖つた。而して前者は一般住宅の復舊と關聯し順次進捗し、後者も亦交通運輸の急要性に促されて既に大半竣功した。土木復舊事業は、道路の缺壞・橋梁の破壞・河川港灣護岸の破壞等の被害に關しては罹災の直後應急の工事を施行したが、廣範に亘る本事業の復舊は各種産業の振興上最も重大なる關係を有するに鑑み諸種の復舊計畫中特に永遠の計を樹つるに意を輸し、將來に備ふる防浪施設・防潮林造成等に考慮を拂ひ県工事或は町村工事を以て緩急に應じそれぞれ施行中である。
其の他社會事業施設として、扶養義務者を失ひ孤獨となつた老幼者・不具癈疾者を救護收容する爲養老育兒院の建設を計畫し、或は罹災地域に於ける庶民の少額金融を潤澤ならしめる爲公益質屋の新設及び資金増額を圖り、或は罹災者の集團地域に於ける保健衛生のため公設浴場を設置せしめることとし、又教育關係施設として罹災學校々舍の復舊を助成し罹災兒童就學奬勵の爲食料・被服・學用品等を給與交付し、防疫醫療施設として傳染病豫防方法を講じ、救療醫を常設派遣し警備施設として警察官の増員配置・警察電話の復舊等を完行した。
斯くて叙上の各種事業は豫定の如く着々進行し震災發生以來僅かに満一年を以て大要左の如き功程を見るに至つた。
一、災害土木應急復舊
(イ)県工事  事業費  一六、○○○圓
罹災三十六箇町村中三十箇町村に亘り、災害甚だしく交通の杜絶した道路の缺壞四十一箇所橋梁二十一箇所に對し、應急的に工事費總額一萬六千圓を以て復舊工事を施行し災後數日にして交通の利便を回復した。
(ロ)町村工事 事業費県費補助 四、○○○圓
前項県工事に併せ町村道に屬する災害個所道路橋梁三十二箇所を県費四千圓を補助し應急的工事を施行せしめた。
二、災害土木復舊
(イ)県工事  事業費  四六四、七六九圓(補助三九四、七六九圓 低資七○○、○○○圓)
災害個所中道路橋梁に對する應急的工事を以て一先づ交通の利便を回復し、次いで恒久本格的工事として罹災地二十七箇町村地内に於て道路の缺壞八十六箇所橋梁の流失破壞三十 箇所に付工事費總額四十六萬四千七百六十九圓に對し八割五分の國庫補助を得、又此の外県限工事として道路百三箇所橋梁三十一箇所に對し工事費總額五萬圓の見込にて、先づ罹 災民の救済事業として或は交通上の支障等の緩急事業の難易等を較量し、急速踏査測量を 開始し設計の出來を俟つて五月中旬頃より順次工事に着手したが、一月末現在に於て竣功したるもの 道路八二箇所 橋梁二八箇所
工事中のもの 道路三八箇所 橋梁五箇所
工事未着手のもの 道路六九箇所 橋梁二八箇所
即ち豫定計畫の約四割の進度を見るに至つた。
右工事の内町村街路復舊(第四項所載)及び住宅適地造成(第三項所載)工事と關連する
箇所四十箇所は十月中旬頃より順次工事に着手し、既に竣功を見たるもの六箇所現に施行
中のもの十八箇所あり、他の箇所も工事着手準備中である。
(ロ)町村工事 事業費一、二二〇、八三一圓(補助一、〇三七、八三一圓 低資一八三、○○○圓)
前項県工事に並行し町村事業として三十二箇町村地内に於て災害を蒙りたる道路六十五箇
所・橋梁四十三箇所・河川三五箇所・海岸港灣四十九箇所に亘り、總工事費百二十二萬
七百七十八圓に對し八割五分の補助を交付すみこととし、県に於て測量設計の上八月上旬頃より順次工事に着手したが一月末現在に於ける功程は左の通りである。
竣功済のもの 道路 四箇所 橋梁三箇所 河川三箇所
施行中のもの 道路四二箇所 橋梁一九箇所 河川一四箇所 港灣一八箇所
未着手のもの 道路一九箇所 橋梁二箇所 河川一八箇所 港灣三一箇所
尚ほ右工事に付いても街路復舊(第四項所載)住宅適地造成(第三項所載)事業と關連する二十五箇所の中既に十九箇所は工事に着手し他の箇所も急速着工の豫定である。二、住宅適地造成 事業費三四五、○○○圓 低資三四五、○○○圓
津浪の浸水高く被害の激甚なる地域中の十八箇町村四十一部落に對し、將來斯かる災禍より免れしむる爲住宅地帶を今次並に明治二十九年の浸水線を標凖として高所に引上げしめ、又適地なき場所に對しては防浪堤築造等の施設を講ぜしめ自力に依る適地移轉を除く復舊總戸數二千二百三十四戸を收容し得る計畫の下に、町村をして適地を造成せしむることとし、事業費三十四萬五千圓を見込み資金の供給を圖り測量設計の上八年八月より順次工事に着手したが既に總體の約六分通りの進捗を見るに至つた。
町村部落別 面積 收容戸數 事業進度
氣仙町 長部 五、三七四坪 八六戸 二月中ニ工事着手ノ豫定
廣田村 六ケ浦 九五九坪 一五戸 十一月末竣功
泊 二、六五六坪 四三戸 九月着工九分通出來
四、街路復舊事業 事業費一○○、○○○圓(補助八五、○○○圓低資一五、○○○圓)
復舊市街地域の街路を整理して區劃を整然たらしめ一面有事の時に際し避難に利便ならしむる爲、主要地區七箇町村(氣仙町・大船渡町・釜石町・大槌町・山田町・田老村)に對し事業費十萬圓の内八割五分の補助を交付し路床・路面・側溝等の工事を施行せしむることとし、住宅適地・災害土木工事・耕地關係・道水路防潮堤等の工事とともに八年十二月初旬より順次着工し總體の三分の進捗を見るに至つた。
五、無動力漁船復舊 事業費六三〇、四五〇圓(補助三一五、四五〇圓低資三一五、○○○圓)
無動力漁船の被害約八千五百隻に對する復舊を爲さしむべく事業主體を原則として漁業組合とし、之に低利資金を供給し事業費の五割を補助すると共に船材は希望に依り國有林六千三百石の拂下を斡旋し、且つ二百四十一名の船大工を周旋し船型原圖數種を配付して可及的に統一を圖つたが一月末現在に於ける状况は左の如く計畫の大部分を了した。
新造済 七千百二十三隻 修繕済 一千九十七隻 計 八千二百二十隻
新造中 四百十二隻 修繕中 二十一隻 計 四百三十三隻
計七千五百三十五隻計一千百十八隻計八千二百五十三隻
尚ほ漁船の修繕及び新造に伴なふ船具は左の如く共同購入の斡旋を了した。
櫓 三千百五十八梃 櫂 一千百六梃 椀木 一千八百七十八梃
六、動力付漁船復舊 事業費一、四八二、二五〇圓(補助七四一、二五〇圓低資七四一、○○○圓)
動力付漁船の被害約八百隻に對する復舊の爲、一隻平均二千五百圓の低利資金を供給し事業費の五割を補助し、又船型標準圖を交付して可及的規格の統一を圖り、發動機は農林省水産局及び日本發動機協會の斡旋に依り優良工場より共同購入し船材並に舶大工も希望に依り斡旋を爲した。
而して一月末現在に於ける竣功の状况は左の如く殆どその完了を見るに至つた。
新造済 三百十一隻 修繕済 五百十三隻 計八百二十四隻
新造中 百三隻 修繕中 六十四隻 計百六十七隻
計 四百十四隻 計 五百七十七隻 計九百九十一隻
七、漁船復舊事業資金融通 事業費一七〇、○○○圓(低資一七〇、○○○圓)
漁船の復舊に伴なひ事業資金を必要とするもののため、一隻に付二百圓八百五十隻分の低利資金を供給すべく其の貸付經由機關たる産業組合中央金庫及び勸業銀行と目下借入に付手續中のものが二十四組合あり孰れも近く借入を終了する豫定である。
八、漁具漁網復舊 事業費二、〇六八、六八○圓(補助一、三九七、○○○圓低資六七一、六八○圓)
漁船の復舊と共に小漁具及び各種漁網を復舊せしむる爲低利資金を供給する外、定置漁具設備費に對して二割五分(一統一萬圓を超ゆるものに對しては補助せず)其の他には五割を補助したが一月末現在に於ける出來高は左の如く略々復舊を見るに至つた。
計畫 出來高
小漁具 七千四百十九隻分 全部出來
曳網 四百六十統 三百十一統
旋網 百五統 九十六統
延繩 三萬五千八百三十一鉢 三萬一千三百八十九鉢
刺網 一萬四千三百二十三反 一萬三千三十五反
定置漁具 小全部出來
尚ほ定置漁具の一統一萬圓以上を要するものの資金は産業組合中央金庫及び勸業銀行を經て供給するもので現在借入申込中のものは十萬圓である。
九、水産共同施設復舊 事業費五二二、六〇〇圓(補助二二二、六〇〇圓低資三〇〇、○○○圓)
從來多く個々に經營せる水産諸施設は可及的之を共同經營として合理的經済的に利用せしむる方針の下に、共同販賣所・共同製造所・共同倉庫・海苔養殖場・同乾燥場・牡蠣養殖場を漁業組合をして復舊せしむることとし、低利資金を供給し事業費の五割を補助する計畫を樹てたが一月末に於ける竣工の状况は左の通りである。
計畫 竣功
共同販賣所 五十二箇所 三十五箇所
共同製造所 七十一箇所 六十一箇所
共同倉庫 百二十九箇所 百四箇所
海苔養殖場 二十四萬坪 二十三萬四千五百六十坪
海苔乾燥場 四百四十八箇所 全部出來
牡蠣養殖場 百二十臺 全部出來
一〇、水産個人製造所復舊 事業費二四〇、○○○圓(低資二四〇、○○○圓)
個人製造所の被害にして前第九項に依り難きものは一箇所に付低利資金一千圓を供給して復舊せしむる計畫を樹てたが、既に復舊せるもの五百九十五箇所にして資金は目下貸付經由機關たる勸業銀行と手續中である。
一一、船溜船揚場復舊 事業費二四、一二五圓(補助一八、一二五圓低資六、○○○圓)
船溜場及び船揚場の被害にして災害復舊工事として施行するものの外五箇所(氣仙郡氣仙町長部・綾里村湊・上閉伊郡釜石町白濱・下閉伊郡山田町山田・小本村茂師)の復舊を圖ることとし、目下工事中にして事業費の七割五分を補助すべく低利資金は既に全部借入を了した。
一二、築磯復舊 事業費七二、○○○圓(補助三六、○○○圓低資三六、○○○圓)
被害箇所全部を復舊せしむる爲資金を供給し事業費の五割を補助することとしたが、その數三十三箇町村五十七箇所にして何れも工事に着手し近く完成の豫定である。
一三、耕地復舊 事業費五八八、一六五圓(補助三四五、一六五圓低賓二四三、○○○圓)
罹災地全町村の被害耕地七十四地區に亘り田畑に流入せる土砂雜物の除去工事施行地積四百七十町歩にして、其の他の特殊工事防潮堤一千五百九十五間、道水路二萬三千五百八十四間、護岸其の他一千二百三十二間二百三十二箇所に對し前者は工事費二分の一額の助成金を交付し大部分個人施行とし耕地整理法に依るものと之に依らずして共同施行するものとあり、後者は事業の性質上耕地整理組合及び町村に於て施行せしめ之に對し三分の二額の助成金を交付することとし工事費總額五十九萬八千三十五圓を見込み、田畑流入土砂雜物の除去工事は八年春其の大部分を終了し作付を爲したが、防潮堤道水路護岸等の特殊工事は十一月末工事に着手し一月末現在に於て五分通りの進捗を見るに至つた。
一四、農作物作付種苗購入配付 事業費二三、一八三圓(補助二三、一八三圓)
罹災農家中一千五百七十戸に對し助成費二萬三千百八十三圓を見込み、先づ内九百七十六戸自家食料補に給用として栽培せしむべぐ四月上旬種馬鈴薯三千九百四叺並に作付に要する肥料一戸當三圓及び鍬二梃、肥料桶一荷宛を應急的對策として配給し又總戸數に對し次季作付用種苗として水稻百五十七石三斗、陸稻八石九斗、大豆百六十六石二斗、小豆三石六斗、稗八十二石六斗、蕎麥十五石一斗、粟八石七斗其の他甘藷疏菜等播種期に應じ何れも罹災地各郡農會をして斡旋せしめ現品を交付配給し七月末完了した。
一五、農具復舊 事業費一二五、八○○圓(補助六二、八○○圓低資六三、○○○圓)
前項農作物種苗配付の助成と共に一戸當八十圓以内にて事業費總額十二萬五千八百圓の二分の一額を補助することとし、各郡農會をして共同購入を斡旋せしめ十月末を以て小農具三十三種五萬八千二百三十九点を購入配付した。
一六、納舍及肥科舍復舊 事業費一〇〇、四四〇圓(補助五〇、四四〇圓低資五〇、○○○圓)
罹災農家中一千二百六十一戸に對し流失倒壞せる納舍及肥料舍一千三百三十棟を復舊せしむべく、一戸當八十圓以内にて事業費總額十萬四百四十圓を見込み二分の一額の補助を以て五月以降建設し一月末現在に於て七百九十六棟の竣功(八分通)を見た。
一七、家畜復舊 事業費一八、○○○圓(補助九、○○○圓低資九、○○○圓)
家畜は農業經營上畜力利用並に肥料の自給上極めて重要なるを以て急速復舊を圖るの要あり被害家畜馬八十八頭平均百二十一圓、牛七十八頭平均七十八圓、豚八百十三頭平均十圓、總額二萬五千百十圓に對し二分の一額の補助金を交付することとし一月末に於て計畫通り購入を完了した。
一八、家畜飼料購入助成 事業費二七、五〇七圓(補助一三、五〇七圓低資一四、○○○圓)
家畜の復舊と共に飼料を流失せるものに對し飼料購入を助成すべく事業費一萬九千九百二圓に對し二分の一の補助を交付し馬三百八十頭分一頭一日二十錢五十日分、牛二百九十七頭分一頭一日二十錢五十日分、豚一千五百二頭分一頭一日五錢百八十日分を見込み順次購入十二月を以て殆ど完了した。
一九、蠶種購入助成 事業費九、三七五圓(補助九、三七五圓)
罹災養蠶家一千二百五十戸に對し蠶種を一戸平均五十瓦金七圓五十錢、總額九千三百七十五圓全額補助にて助成すべく各郡養蠶業組合をして春種夏秋蠶種を順次購入配付の斡旋を爲さしめ九月上旬計畫通り完了した。
春蠶種 一千六十九戸分 四萬三百八瓦
夏秋蠶種 九百二十戸分 二萬二千百九十二瓦
二〇、蠶具購入助成 事業費四〇、○○○圓(補助二〇、○○○圓低資二〇、○○○圓)
蠶具を流失せる約五百戸に對し事業費四萬圓を見込み一戸八十圓以内にて二分の一額を補助し蠶具一式を復舊せしむべく、各郡養蠶業組合をして春夏秋蠶の蠶齡に應じ購入の斡旋を爲さしめ十月上旬完了した。
二一、桑園復舊 奬勵金一二、五〇〇圓
被害桑園約五十町歩は時局匡救事業として罹災地三十二箇町村五十二養蠶實行組合に對し反當二十五圓の奬勵金を交付助成することとし、總額一萬二千五百圓を見込み九月中旬より整理改植に着手し一月末現在に於て八分通り進捗した。
二二、稚蠶共同飼育所設置 事業費二〇、四〇〇圓(補助一〇、四〇〇圓低資一〇、○○○圓)
罹災養蠶家にして不完全なる急造家屋等にて養蠶を爲すものあるべく蠶作に影響多き稚蠶期飼育の安全を期する爲主要地赤崎村・綾里村・唐丹村・大槌町・鵜住居村・船越村・磯鷄村・田老村の八箇町村養蠶實行組合をして平均二千六百圓、總額二萬四百圓を見込み二分の一額を補助し稚蠶共同飼育所を設置せしむることとし六月中旬より着工したが船越村・赤崎村の二箇所を殘し竣功を見た。
二三、炭材購入金ノ融通 事業費一三四、○○○圓(低資一三四、○○○圓)
罹災製炭業者に對し低利資金を融通して炭材の購入及び製炭を助成せしむることとし、勸業銀行經由の下に貸出の決定したもの一月末に於て三名金額一千三百圓あり尚ほ貸出を繼續中である。
二四、商工業ノ復舊 事業費四九七、○○○圓(補助一一八、○○○圓低資三七九、○○○圓)
罹災商工業者一千八百六十戸の復舊助成の爲工場及び店舗の設備に對し事業費總額二十五萬三千五百圓を見込み四分の一額の補助金を交付し、且つ運轉資金十五萬三千圓を勸業銀行經由供給を圖り又海運業者四十九戸の被害運送船七十六隻の復舊造船に對し事業費總額九萬五百圓を見込み十分の一額の補助を交付することとし、工場店舗の設備は一般住宅の建築と共に逐次復舊され一月末現在に於て總體の九分の進捗を見運轉資金亦順次融資を得て決定せるもの八件七千二百五十圓に達し、運送船の建造は六十餘隻竣功殘除の分に就いても約九分の出來を見た。
二五、産業組合ニ依ル住宅復舊 事業費七二七、○○○圓(低資七二七、○○○圓)
壞滅に瀕した村落の新規更生を圖り統制ある理想の村落たらしむる見地より、産業組合に依る「新漁村建設計畫」の下に十筒町村二十四組合(内新設十一組合)に對し事業資金七十二萬八千圓を轉貸し五十五部落に一千九百六十五戸を集團移轉せしむることとし、組合の機能を村落運營の全般に織込ましめ住宅の復舊と共に各種の改善されたる共同施設即ち作業場・販賣所・倉庫・納舍・肥料舍・稚蠶飼育所・苗圃・菜園等の産業設備、或は診療所・集會所・浴場・水道・家具什器等の經済的設備、修養道場・託兒所・圖書舘・娯樂所等の修養娯樂設備等を爲さしめ隣保共助の實を揚げしむる方針にして、既に住宅は前掲第三項所載の住宅適地の造成進行と相俟つて進捗中である。
二六、産業組合事業資金融通 事業費七〇〇、○○○圓(低資七〇〇、○○○圓)
罹災地に於ける産業組合復舊事業資金の融通を圖り物資の需給を圓滑ならしむる爲、不取敢應急資金として県信用組合聯合會をして産業組合中央金庫より五萬圓の融通を受け各組合に對し急速に貸出さしむる一方、産業組合普通地方資金七年度分より二十萬圓の融通を受け同聯合會より轉貸の方法に依り、二十二組合に對し十五萬七千圓を七月末貸付を了し四萬七千圓は之等組合と直接關係ある県購買販賣組合聯合會に融通せしめて物資の供給を斡旋した。
二七、公營又ハ住宅組合ニ依ル住宅復舊 事業費三二七、○○○圓(低資三二七、○○○圓)
住宅の復舊中前掲第二五項所載の産業組合に依る住宅復舊及び自力復舊に依らざるものに對しては公營又は住宅組合に依らしめ分讓式と爲すこととし、事業資金總額三十二萬七千圓の供給を圖り公營に依るものは山田町・小友村・田老村・吉濱村(大船渡町は中止)の四箇町村とし、住宅組合に依る釜石町は十八組合を組織し資金四萬五千圓を轉貸融通して前掲第三項所載住宅適地造成の進行と共に順次着工した。
二八、郵便局舍復舊 事業費五、九〇〇圓(低資五、九○○圓)
罹災地末崎・綾里・越喜來・廣田・田老・田野畑・種市の七箇町村に於ける郵便局舍の復舊を助成する爲、事業費五千九百圓の融通を圖り町村をして轉貸せしめ田野畑局は十一月中既に竣功し其の他も工事施行中である。
二九、防潮林苗圃造成 事業費一、一六三圓
防潮林の浪災防止上効果極めて顯著なるを以て罹災地域中主要箇所五十四箇所に急速造成せしめ防浪施設とする方針の下に苗圃造成の計畫を樹て二十三箇町村に對し實施せしめた。
三〇、學校舍ノ復舊 事業費五、○○○圓(低資五、○○○圓)
廣田村實業補習學校水産實習所及び鵜住居村小學校兩石分教場校舍は流失の厄に遭ひ、又赤崎村蛸浦小學校は校舍改築中用材流失したが、廣田村實業補習學校水産實習所は自力を以て復舊することとし近く着工の豫定、他の二校分に對しては總額五千圓の低利資金の供給を圖り既に蛸浦小學校は略々竣功の運びに至り、兩石分教場は近く着工の豫定である。
三一、教員住宅復舊 事業費六四、○○○圓(低資六四、○○○圓)
罹災地二十五箇町村に亘る教員住宅を復舊せしむべく事業費六萬四千圓の供給を圖り、平均八百圓の見込にて十九箇町村に八十戸の建築を計畫し目下工事中のものは十一箇町村四十二戸である。
三二、罹災兒童就學獎勵 事業費四三、九四二圓(補助四三、九四二圓)
罹災兒童五千八百十九人を救済する爲國庫より兒童就學奬勵費四萬三千九百四十二圓の交付を得て學用品一人に付三圓以内被服費一人五圓以内給食費一食四錢以内を給與することとし、五月中に各罹災地町村長をして取計らはしめた。
三三、養老育兒院ノ設置 事業費八、○○○圓(補助四、○○○圓低資四、○○○圓)
罹災者中扶養義務者を失ひ孤獨となつた老幼者或は不具癈疾となつたものを收容保護する爲事業費八千圓を見込み二分の一額の國庫補助を得て養老育兒院を罹災地の中央部山田町に設置するに決し、救護施設として主務省の承認を得たが尚ほ義捐金中より三千圓を増額支出して設備の充實を期すべく目下取運び中である。
三四、公益質屋助成 事業費五〇、○○○圓(低資五〇、○○○圓)
罹災地域に於ける庶民の金融を可及的に潤澤緩和せしむる見地より運轉資金増額の必要を認め、既設の大槌・釜石・高田・宮古の四箇町より主務省に申請し高田町は昨年末承認を得たが山田・船越・重茂の三箇町村に於ても新設を希望し目下國庫補助申請中である。
三五、公設浴場設置助成 事業費二五、○○○圓(低資二五、○○○圓)
罹災地域中人家稠密の市街地に對し公設浴場を設置して保健衛生の一助たらしむべく、高田・釜石・宮古・山田・田老の各町村に各一箇所、大槌町二箇所、計六箇所に於て事業費二萬五千圓を見込んだが資金供給申込のものは高田・釜石の二町にして目下手續中である。三六、防疫 國費七、○○○圓
罹災地方に於ける保健衛生の萬全を期する爲、三十二箇町村に各一名の防疫醫及び七箇町村に各一名の防疫事務囑託を配置し或は醫師なき村落に對し醫師の斡旋を爲した。又傳染病豫防方法として窒扶斯豫防注射及び接種を行ひ、赤痢・疫痢・窒扶斯等の内服豫防剤延六萬人分を配給し消毒藥として石油乳剤三百六十鑵を購入配付した。
尚ほ飮料水の改善上水質を檢査し或は打込井戸ポンプを配付し、簡易水道の設置及び共用井戸の改修を圖らしめた。又三十六箇町村に對し百八十箇所に改良便所を築造せしめ一月末現在に於て總體の七分通り出來した。
三七、救療 事業費三四、三七五圓(補助三四、三七五圓)
救療醫員二名看護婦一名及び救療醫務囑託十五名事務囑託七名を罹災地所管盛・釜石・宮古・久慈・岩泉の各警察署に配置し救療に從事せしめ、又開業醫産婆等に委託し救療券を交付して救療を爲した。
三八、警備 事業費五一、六二五圓(補助五一、六二五圓)
罹災地方に於ける警察力を充實し警備の萬全を期する爲警部補一名巡査四名を増員配置し又巡査駐在所の流失倒壞せる大船渡町・末崎村・田老村の三箇所の復舊を計畫し總工費一、九二○圓を以て八年九月着工し既に竣功を見るに至つた。警察電話の復舊架設を要するもの六線(盛岡宮古間・宮古普代間・宮古釜石高田間・遠野盛間・岩泉沼宮内間)延長百四里二十九町、工事費總額四九、五七九圓の國庫補助を得て八年四月着手九年一月を以て完成した。

第五編雜纂

第一章 帝國議會議事速記録(抄)

第一節 東北地方震災状况

一、衆議院

○議長(秋田清君)是ョリ會議ヲ開キマス、諸君昨三日早曉東北三陸地方ニ於テ大震火災竝ニ海嘯ノ爲メ同地方民ガ不測ノ慘禍ヲ被リマシタ事ハ洵ニ同情ニ堪ヘヌ次第デアリマス、又之ガ爲メ殃死者モ多數アリタルヤニ報ゼラレテ居リマス、是等ノ人々ニ對シマシテ茲ニ謹ンデ深ク哀悼ノ意ヲ表シマス(拍手)尚ホ其内ニハ満洲派遣軍將兵ノ家庭モ數百ニ及ブトノ事デアリマス、之ニ對シテハ國民ハ宜シク慰籍ヲ爲シ將兵ヲシテ後顧ノ憂ナカラシムルヤウ力メタイト考ヘマス(拍手) 此ノ際内務大臣ヨリ東北地方震災被害状况ニ付キ報告ノ爲メ癸言ヲ求メラレマシタ、之ヲ許シマス 内務大臣山本達雄君
〔國務大臣男爵山本達雄君登壇〕
○國務大臣(男爵山本達雄君)私ハ東北地方震災ノ大略ノ御報告ヲ致シマス、昨朝東北地方北海道關東地方及本州中部地方ニ起ッタ震災ノ被害ノ情况ヲ申述ベマスレバ、被害ハ強震地帶殊ニ岩手県ニ於キマシテ甚ダシク宮城青森北海道之ニ亞ギ、其海岸地方ニ於キマシテハ何レモ海嘯ヲ伴ヒ又岩手県釜石町ニ於キマシテハ地震ト同時ニ火災ヲ起シマシテ、右以外ノ地方即チ山形・秋田・茨城・栃木・埼玉・千葉・東京・神奈川ノ各府県ニ於キマシテハ被害ハ極メテ僅少デアリマシテ死傷者倒潰家屋ハナイトノ知事ヨリノ報告ニ接シテ居リマス、尚ホ昨日早速飛行機ニ依リマシテ震災地方ヲ視察セシメマシタ事務官ノ報告ニ依リマスト、宮城県金華山以北ヨリ岩手県ノ海岸ニ亘リ一帶ニ其被害大キク、倒潰セル家屋等相當多ク且ッ流失セル木材竝ニ流失船舶家屋ノ破片等ガ海岸一面ニ浮ンデ居ル状態デアリマシテ、取分ヶ釜石町附近各部落ニ於キマシテ其状况最モ慘憺タルモノト認メタト云フコトデアリマス、而シテ其状况ハ昭和五年北伊豆地方震災當時ノ被害ヲ遙ニ凌駕スルノ有樣デアリマス、今人及家屋其他ノ被害ニシテ本日午前零時マデニ判明シマシタル分ヲ申シマスレバ次ノ通リデアリマス
死傷者等ノ數ヲ県別ニ申述べマスレバ、岩手県ニ於キマシテハ氣仙・九戸・下閉伊・上閉伊ノ四郡ガ主デアリマシテ、死者千三百八十名、傷者二百七十六名、行方不明ガ六百九十六名デアリマス、宮城県ニ於キマシテハ牡鹿・本吉・桃生ノ三郡ガ主デアリマシテ死者百三十六名傷者二十五名行方不明ガ二百二十七名デアリマス、青森県ニ於キマシテハ死傷者三十七名行方不明ガ二十一名デアリマス、北海道ニ於キマシテハ日高國ガ主デアリマシテ死者十一名傷者無シ行方不明ガ四名デアリマス、以上ヲ總計致シマスレバ死者千五百三十五名傷者三百卅八名行方不明九百四十八名デアリマス、次ニ家屋ノ損害ニ付キ申述ベマスレバ岩手県ニ於キマシテハ倒潰ガ九百七十一戸流失ガ二千四百五十三戸燒失ガ二百十一戸浸水ガ五千四十四戸計八千六百七十九戸デアリマス、宮城県ニ於キマシテハ倒潰ガ二百八十三戸流失ガ四百四十戸浸水ガ千二百二十九戸計一千九百五十二戸デアリマス、青森県ニ於キマシテハ倒潰ガ十三戸流失ガ五十九戸浸水調査中計七十二戸デアリマス、北海道ニ於キマシテハ倒潰ガ十二戸流失十一戸浸水七十戸計九十三戸デアリマス、以上家屋ノ被害ヲ總計致シマスレバ倒潰ガ千二百七十九戸流失二千九百六十三戸燒失二百十一戸浸水六千三百四十三戸計一萬七百九十六戸デアリマス、更ニ震災ニ伴フ海嘯ニ因リ左ノ如ク船舟ノ流失ヲ見マシタ、宮城県ガ千九十六隻青森県ガ三百七十隻北海道ガ十四隻岩手県ハ目下マダ調査中デアリマス、右ノ外漁具ノ流失モ相當多數ニ上ル見込デアリマス、以上ガ昨日ノ震災ニ因ル被害状况ノ大要デァリマス
次ニ震災直後内務省ノ取リマシタ應急措置ヲ申シマスレバ、取敢ズ事務官ヲ飛行機ニ依リ昨日震災激甚地ニ急派致シマシテ一般状况ヲ視察セシメマシタ、又救護状况ヲ視察ノ爲ノ事務官ヲ現地ニ急行セシメマシタ、尚ホ又本日ハ丹羽社會局長官ヲ同地ニ派遣セシメマシテ罹災地全般ノ救護實施上遺憾ナカラシメンコトヲ期シテ居ル次第デアリマス、別ニ土木ノ事務官技師兩名ヲ現地ニ急行セシメ其方面ノ善後措置ヲ講ゼシメルコトト致シマシタ
次ニ罹災地方ノ警備状况ニ付キマシテ申シマスレバ、岩手県ニ於キマシテハ地震發生ト同時ニ知事ハ非常警備規定ニ基イテ非常警備司令部ヲ設ケ県下警察官ノ全員非常召集ヲ行ヒ罹災地ニ應援警察官百名ヲ急派致シマシテ警備ノ萬全ヲ期シマスルト共ニ、極力被害状况ノ視察情報蒐集ニ努メマシタガ県下一般ニ警備上何等ノ事故ハゴザイマセヌ、唯情報ノ蒐集ニ付キマシテハ僻遠ノ地デ而モ通信機關杜絶ノ爲メ極メテ困難ヲ感ジツツアル状况デアリマス、宮城県ニ於キマシテハ県警察部ヨリハ直チニ應援警察官ヲ派遣シ警備及救護等ノ状况視察ニ當ラシメマシテ目下遺憾ノ点ヲ認メマセヌ、尚ホ青森県及北海道ニ於キマシテハ主要地方ニ警察官ヲ派置シ治安維持上萬遺憾ナキヲ期シテ居ル次第デアリマス
次ニ罹災者救護ノ状况ニ付キ申述ベマスレバ、罹災者ニ對スル應急救護ニ關シマシテハ目下各關係県竝ニ町村等ニ於キマシテ全力ヲ傾倒シテ救助ノ遺漏ナキヲ期シツツアリマスガ、今其主要災害地ノ状况ヲ申述ベマスレバ岩手県ニ於キマシテハ県職員ヲ各罹災中心地ニ派遣シ、地元町村當局竝ニ關係諸團體ト協力致シマシテ應急救助ノ方法ヲ講ゼシメマシタ、其概况ヲ述ベマスレバ各罹災中心地ニ救護本部ヲ設ケ炊出シヲ行ヒッツアリ、又取敢ヘズ學校寺院等ヲ避難所ニ充當シテ罹災者ヲ收容セル外小屋掛材料ヲ取纏メ急速收容設備ヲ開設スル見込デアリマス又醫療ニ付キマシテハ県醫師會ノ協力ヲ求メ特ニ同會ヨリ醫師ヲ罹災地ニ派遣シ負傷者ノ治療ニ努メッツアリ、尚ホ東北帝國大學ヨリモ更ニ醫師ヲ派遣スル見込デアリマス
次ニ食糧被服其他日用品ノ配給ハ県ニ於キマシテ直接之ヲ行フコトトシ、各地ノ警察署ヲ通ジテ各罹災者ニ支給ヲ爲シツツアリマス、尚ホ義捐金品ノ募集ニ付キマシテハ県ニ於キマシテ聯隊區司令部青年團在郷軍人分會愛國婦人會等ノ各團體ト協力致シ既ニ其募集ニ著手致シテ居リマス、同県ニ於キマシテハ罹災救助ニ要スル經費トシテ直チニ豫算ヲ追加シ罹災救助基金約十七萬圓ヲ支出ノ見込デアリマス、救護ニ萬遺算ナキヲ期シテ居ル次第デアリマス
次ニ宮城県デアリマスガ県ニ於テハ震災直後各町村當局青年團體在郷軍人會等ヲ督シ各罹災者ニ對シテ炊出シヲ行ヒ、當面ノ食糧給與ニ遺漏ナキヲ努メツツアリマス、尚ホ住宅ノ流失倒潰セルモノ相當多數ニ上ル爲メ罹災地ニ於キマシテハ取敢へズ小學校寺院等ヲ避難所ト爲シ罹災者ノ收容ニ充テッツアリマス。負傷者ニ對スル醫療ニ付キマシテハ恩賜救療施設カラ救護班ヲ出シ、尚ホ県赤十字支部及第二師團所屬救護班ト協力シ罹災地方ニ救護所ヲ設ケ負傷者ノ應急手當ヲ行ヒッツアリマス、更ニ救護物資ノ供給デアリマスガ目下ノ所罹災地方ニ於キマシテハ食糧品ハ特ニ窮乏ヲ告グルコトナキ模樣デアリマスガ、海嘯ノ襲來アリタル爲メ衣類防寒具ノ缺乏ヲ見マシタノデ第二師團司令部カラ毛布二千枚ヲ借入レ、既ニ罹災地ニ發送致シマシタガ、尚ホ衣類ニ付テハ県ニ於テ急速現品ヲ調達送付ノ手配ヲ致シマシタ
青森県ニ於キマシテハ罹災救助ヲ要スト認メルモノハ目下上北郡三澤村外一箇村ノ見込デアリマス、県ニ於キマシテハ直チニ關係職員ヲ派遣シ炊出シ衣服小屋掛等必要ナル救助ニ關スル手配ヲ了シ救助ニ遣憾ナキヲ期シッツアリマス
最後ニ北海道ノ状况デァリマスガ目下判明セル罹災地ハ日高國ノ一部デアリマス、支廳及地元町村ヲ督勵シソレゾレ罹災救助ニ努メツツアル状况デアリマス
以上簡單ナガラ昨朝ノ地震竝ニ其被害警備ノ状况ノ大要ヲ申上ゲマシタガ、尚ホ復舊復興等ニ付キマシテハ關係道県等ト協議致シマシテ萬遺策ナキヲ期シタイト思ウテ居ル次第デゴザイマス、此点御報告申上ゲマス(拍手)

二、貴族院

内務大臣男爵山本達雄氏ノ報告演説ハ衆議院ニ於ケルト同一ニ付省略


○伯爵柳澤保惠君……終リニ内務大臣ハ最近三陸地方ノ災害状况並ニ其救済方法ニ付テ特ニ委員會ニ於テ報告ヲサレタノデゴザイマス……以下省略
○田中館愛橘君 只今柳澤伯爵ヨリ御報告ニナリマシタ豫算委員會ニ於テ内務大臣ヨリ東北地方ノ震害ニ付テ御報告ガアリマシタ、之ヲ速記録ニ依ッテ承知イタシマシタ、此震害ニ對シマシテハ御同樣誠ニ痛マシキ限リニ存ジマス、之ニ對シテ此内外共ニ多事ノ際ニモ拘ラズ政府當局ヲ初メ中央地方共文武朝野ノ諸君ヲ擧ゲテ早速是ガ救済ニ力ヲ傾ケラレマシタコトハ全ク我ガ國民ノ祖先傳來ノ至誠ヨリ發スル生レ付キノ美徳ト感ジマシテ苦シイ中ニモ嬉シ涙ヲ催ス次第デアリマス、唯私ハ專門學徒ノ一人ト致シマシテ斯樣ナ自然現象ヲ豫報シ得ナイコトヲ悲シミ且ッ深ク之ヲ愧ヂル者デアリマス、地震國ノ國民ノ一人トシテ愧ヂルト共ニ人類ノ一人トシテ此無力ヲ愧ヂル者デアリマス、故ニ訥辯ヲ以テ屡々議場ヲ煩スコトハ恐縮デスカラ同僚ノ藤澤君ヲ促シテ質問ヲ願ハウト存ジマシタガ生憎同君ハ今病氣上リデ缺席勝デアリマスカラ不躾ヲ顧ミズ簡單ニ次ノ質問ヲ致シマス、第一、今度ノ震害地方ノ地形變化ノ調査ヲナサラヌノデアリマスカ、第二、町村復興ニ對スル注意或ハ進ンデ或制度ヲ設クル意思ハアリマスマイカ、第三、津浪ヤ地震ノ觀測所タル測候所ノ分布ヲ整理スル必要ヲ認ヌカ、以上ノ三点デアリマスガ、是等ノ趣意ヲ充分ニ説明イタシマスニハ其事ニ付キマシテモ一時間足ラズノ時間ヲ要シマス、サウ致シマスレバ甚ダ失禮ナ申分デゴザイマスガ、專門外ノ方ニハ脱線ノヤゥニ聞エル嫌ヒガアリマスカラ切詰メテ申上ゲマス、而シテ大體ノ御答辯ヲ得マシタ上ニ若シ立入ツテ説明ヲ要スルヤウナ所ガゴザリマシタナラバ更ニ議場以外ニ於テ詳シク申上ゲルコトニ致シタイト存ジマス、第一ノ地形ノ變化デゴザイマスガ、是ハ陸地測量部ト水路部ノオ仕事デアリマス、此前奥丹後地震ノ際ニハ之ニ對シテ熱心ナル御研究ガアリマシテ、追加豫算ヲ提出スル機會ガアリマセヌノデ政府ハ責任支出ヲ以テ此事業ヲ行ヒマシタ、充分トハ參リマセヌガ之ニ依ッテ彼ノ地方ノ地殼運動ノ状况ガ可ナリ詳シク分リマシタ、是等ニ依ッテ此災害ノ豫報ヲスル手段ノ知ルベニ取付クコトガ出來ルカト思ハレマス、此豫算ノコトニ付キマシテハ觀測ナドト云フヨリハ統計ニ依ル方ガ分ラヌカト云フヤウナコトヲ統計學ノ一大家ヨリ御注意ガアリマシタ、統計モ事實ノ根元ニ遡ッテ考ヘマセヌト我々自然科學界ニ於テハ隨分火傷ヲ致スコトガアリマス、統計ニ依ッテ前途ヲ判斷シマスコトニハ餘程注意ヲ要スルモノデアリマス、併シ此前ノ三陸海嘯ニ當リマシテ明治二十九年ノ翌年明治三十年五月二日ニ私ハ奥羽六県北海道教育大會ニ於キマシテ甚ダ烏滸ゴマシキ講演ヲ致シマシタ、其速記録ガ此處ニアリマスガ、其一部分ヲ之ニ關シテ申上ゲテ見タイト思ヒマス、氣象學ノ歴史ヲ調ベテ見レバ學者ガ如何ニ研究シテ得タル結果ナルカガ分リマス、天氣豫報ハ僅ニ三四十年以來出來ルコトニナッタノデアリマス、是ハドウ云フコトヲシテ豫報スルカト云フニ、日本中五十箇所バカリノ測候所ニ於テ毎日雲ノ形、雨ノ量、風ノ方向、氣壓ノ高低、温度ノ變化等ヲ電報デ日ニ三回ヅツ中央氣象臺ニ送リサウシテ中央氣象臺デハ日々之ヲ比較シ昨日ハドウデアッタ、今日ハドウト考ヘテ明日ハドウナルカト云フコトニナルノデアリマス、地震學ハ地殻現象ヲ研究スル氣象學ノヤウナモノデァル、然ラバ如何ナル方法ニ依ツテ氣象ノ測候ニ於ケル如キ觀測ヲスルカト云フニ地震學ト氣象學トハ甚シイ差ガアルト云フコトヲ知ラナケレバナラヌ、氣象學デハ大氣ト云フ瓦斯體ノ變化ヲ講究セネバナラヌガ、地震學デハドウシテ是ト同ジヤウナコトヲスルカト尋ネテモ容易ニ言ハレヌ氣體若クハ液體ニ於テ壓力ヲ計ルコトハ實ニムヅカシイ、例ヘバ地殻ニ穴ヲ穿ッテ之ヲ計ラントシテモ空氣ノ壓力シカ計レナクナル、既ニ穴ヲ穿ヶルト云フコトハ地殼ノ一部ヲ地殼デナクスルト云フコトデス、然ラバ何ヲ調ベテ宜シイカト云フニ誰ガ考へテモ下ノヤウナコトニ出マスマイ、即チ地下温度ノ變化、地球磁力ノ變化、地球引力ノ變化、地歪ノ進行、即チ地ガ歪ンデ行クコトト、ソレカラ地震ノ配布、是等ノ調査ヲヤツテ行ヵナケレバナラヌ云々ト申シタノデァリマス、尚之ニ次ギマシテ明治二十七年ノ十月名古屋ヲ去ル四五里ノ太田村ニ大ナル地震ガアッタ、此豫報ノ現ハレタコトヲ述ベテ居リマス、更ニ此二十九年ノ大津浪ノ豫報ヲ致シタコトガ茲ニ書イテアリマス、是ハ即チ統計ニ依ッタノデアリマス、今ハ故人トナリマシタ同僚ノ大森房吉君ノ調ベタ明治十八年ヨリ二十三年マデ六年間ノ統計ガアリマシテ之ヲ圖ニ掲ゲテ出シマシタ、ソコデ茲ニ特ニ「明治二十四年ノ大地震ノ時ニハ濃尾ハ此色ヲ以テ包マレマシタ、又御承知ノ根室ノ大地震ハ此ノ色デス酒田ノ地震ト云フノハ此處デアル」ト云フヤウニ統計ニ現レテ居ル所ヲ書イテアリマス、此ノ鳶色ノ部ハ明治二十六七年以來震動シマスカラドウモ此次ハ三陸ノ東海岸ノ番ダラウト云フコトヲ私共ノ仲間ガ致シテ居リマシタ、不幸ニモ其ノ豫想ガ當ッテ、アアイフヤウナ大害ヲ生ズルコトニナツタ、斯ウ申ツタナラバドウモ貴樣ハ豫メソウ云フヤゥナ大害ノ起ルコトヲ知リナガラ知ラナイト云フノハ不親切ナヤッダト云フ御叱リヲ受ヶルカモ知レマセヌ、併シ確然ト判レバ勿論發表スルノデゴザリマメルガ顔ッキバカリ見テ此ヤッハドクモ盗人ノヤウナ面付キヲシテ居ルト言ッテ直チニ檢事ニ出訴スル譯ニモイキマセヌ、斯ウ云フ次第デアリマシテ、サッキ數ヘマシタ此地辷リノ進行シテ行クコトヲ見マスコトハ近頃ノ參謀本部ノ測量モ精密ノ度ガ舊來トハ比較ニナラヌホド正確ニナリマシテ、ソレデ奧丹後ノ地震以來、又伊豆ノ地震以來水準及水平動ノ變化ノ起ルコトガ大分明ニナッテ參リマシタ、ココニ偶然ノコトデアリマスガ、先月ノ二十一日ニ地震學談話ヲ開キマシタ時仙臺カラ出タ論文ニァノ地面ノ水平ノ變化ニドウシテモモウ一遍繰返シテ計ッテ見タイ所ガアルト云フコトガアリマシタガ、是モ費用ノ問題又此節ハ陸軍省モ非常ニ御忙シイ、御承知ノ如ク満洲ニ於テ測量部隊ガ殉難シタト云フヤウナ壯烈ナル事件モアリマシテ誠ニ遺憾ト存ズル所デアリマス、斯ウ云フ際ニ陸海軍ノ當局者ニ地形ノ檢査ハ如何デゴザルト云フコトヲ申上ゲルノハ實ハ全ク私ノ苦シキ胸ヲ抑へテ申上ゲルノデアリマス、出來得ベクンバ此機會ニ於テ地動ハドウアッタカ是カラ其動キ方ガドウ進ンデ行クヵト云フコトヲ調べマシテ將來ノ研究ニ大切ナル種ヲ逃サヌヤウニシタイト思フノデアリマス此地震ノ震源ハ而モ海ノ中ニアル大抵五六十「キロメートル」カラ百「キロメートル」位マデノ深サニアリマスカラ、ソレヲ陸ニ居テ觀察ヲシマスコトハ全ク是ハ二階カラ目藥ト云フ方デアリマス、サリナガラ只今ハ幾分カ此目藥ヲ中二階位ニ持ッテ行クコトガ出來ルノデアリマス、ソレハ何カト申シマスト重力ノ不動ヲ計ルノデアリマス、是ハ潜航艇ノ中ニ重力測定ノ機械ヲ入レマシテ重力ノ分布ヲ計ツテ歩キマス、サウシマスト或處デハ重力ガ足ラヌ所ガアリ又ハ大キ過ギル所ガ出マシテ下層ノ動キ方ガ幾分察セラレマス、今日ハ之ニ依ッテ地下ニアル所ノ油、石炭或ハ鐵ヤ「プラチナ」ノ如キ重イモノガアルトカ云フヤウナコトノ判斷ヲスルコトニ用ヰマス、日本デモ使ヒマシタ、歐米ニ於テハ盛ニ行レテ居ル此潜航艇ニ使フ機械ハ幸ニ我ガ海軍ニ於テ据付ケマシテ、昨年暮ニ私モ此船ニ乘ツテ見マシタ、願ハクハ之ニ依ッテ「タスヵロラ」近所ノ重力ノ變化ノ調査ヲサレマシテ此ノ震源地方ト云フモノハドウ云フモノデアラウカト云フコトヲ知リタイ、是ハ我々ガ知リタイト共ニ世界ガ知リタイ所ノモノデアリマスカラ此調査ヲ御進メ下サルコトモ此際特ニ御願ヒシタイノデアリマス、第二ニ内務省ニ關係イタシマスガ、町村ノ復興問題、之ニ對スル注意ハ出來ナイモノデアリマセウカ、建築條例ハ都市ノ上ニ行レテ居リマスガ町村ニハ行渡リマセヌ、ソコデ調ベテ見マスト、貞觀十一年ニ陸奧地方地震溺死千人ニ及ブ、慶長十六年陸奧地震溺死千七百八十三人、延寶五年陸中南部地震、宮古、鍬ヶ崎、大土浦、家屋數軒流失、安政二年是ハ書イテアリマセヌガ、此時ニモ津浪ガアリマシタ、ソレカラ先刻申シタ明治二十九年、ソレカラ昭和八年ノ今度デアリマス、斯ウ云フ具合ニ大抵分ッテ居ル、四五十年カマア遲クモ百年位ニハドウモ大抵來ソウダ或處ハ必ズ浪ニ浚レル、左樣ナ所ニ村ナリ町ナリヲ建テ置クト云フコトハ國家トシテ警戒スベキコトデアリマセヌカ、身體ノ一部ニ故障ガ起リマスレバ全身ニ熱ヲ起スニ違ヒナイ、國家ノ一部分ニサウ云フ所ヲ無クシテ置カナケレバナラナイ、少ナクトモ學校トカ病院トヵ或ハ役場トカ云フヤウナモノハ此津浪ノ及バヌ程度ノ場處ニ建テルヤウニスルトイフコトハ如何デアリマセウカ、之ヲ内務省ニ伺ヒマス、第三ハ續キマシテ此地震津浪等ノ觀測所タル測候所ノ配置デアリマス、測候所ノ數ハ全國ニ於テ百五十九アリマス、其ノ配置ヲ見マスルノニ或處ニハ豐富ニ或所ニハ非常ニマバラデアル、是ハ何故斯ウ云フコトニナルカト言へバ地方税デ持ッテ居ル地方官ノ支配下ニアリマス、昨日土方博士ヨリ命令ト云フ交句ニ付テ御質問ガアリマシタガ、地方官ガ之ヲ支配シテ居リマスカラ中央ノ者ガ之ヲシロトカアレヲシロトカ云フコトハ出來ナイ、明治二十四年ノ濃尾地震ノ際ニ本員モ根尾谷ヨリ大垣名古屋ノ間ヲ奔走イタシマシテ地震研究上材料ヲ遺スヤウニ骨ヲ折リマシタガ如何セム地方税ニ依ツテ建ツテ居ルモノデアリマスヵラ其地方ノ新聞記者ノ喜ブヤウナ仕事ヲシナケレバナラナイ、コチラノ學理上大切ナコトナドハドウモ其時ハ聞イテ居ッテモ實行シナイ、斯ウ云フコトヲ感ジマシテ測候所ノ如キ全國ノ氣候、全國ノ爲ノ天氣豫報ヲスル所ハ是ハ宜シク國庫ニ於テ負擔スべキモノデアル、國家ノ中央機關カラ之ヲ配置スべキモノデアルト云フコトヲ屡々申シマシタガ中々私風情ノ申スコトハ當局ニ通リマセヌ、行政整理トカト云フコトヲ時々聞キマスガ私ヵラ見レバ斯ウ云フコトガ本當ノ行政整理ト思ヒマス、一ッ惡イ例ヲ言ヒマスト相場師ノヤウナモノデモアツテ早ク天氣豫報ヲ聞キタイト云フヤウナ所デハ、サホド無クテ宜イ所デモ測候所ガ出來ルト云フヤウナ形勢デアリマス、必要ノァル所デモ貧乏ナ県デアレバ出來ナイ之ヲ此度痛切ニ感ジマシタコトハ宮古測候所デアル、宮古ノ測候所ハ氣象上ニ於テモ重要ナル地点デアル、所ガ之ヲ県ノ經済ノ都合上廢止スルト云フコトニナッタ、只今家ヲ取壞ハシカカッテ居ル其爲ニ此處ニ備付ケテアッタ潮ノ差引ヲ見ル機械ハ流サレテシマッタ、此津浪ノ前ニハ可ナリ水ガ引キマスガ此引キ始メル時間ヤラ引イタ量ヤラヲ知ルコトガ出來ナイ、誠ニ殘念ナコトニ思ヒマス、斯ウ云フモノハ私ノ理想トスルヤウニ中央ノ機關トナラズトモ